2026年さいたま市人事委員会勧告の概要について

地方公務員は民間企業の従業員とは異なり、争議権(ストライキ)や団体交渉権の一部(協約締結)が制約されています。その代償措置として、人事委員会による給与勧告の制度が設けられています。

給与勧告は、人事委員会の調査の結果により、公務員の給与水準と民間の給与水準を均衡させることを基本に行うとされています。さいたま市人事委員会は9月30日に勧告を行いました。

さいたま市人事委員会勧告 → さいたま市人事委員会サイト

給与改定

月例給

 11,876円(2.78%)引上げ改定

(行政職給料表。その他の給料表も多くはこれに準ずる引上げ改定。ただし、教育職給料表(1)(2)は埼玉県における改定状況等を考慮して引上げ改定。)

・民間給与との月例給の較差(11,876円、2.78%)を解消するため、行政職給料表を引上げ改定

・中堅層以上の職員に重点を置きつつ引上げを実施

・初任給は人事院勧告を考慮して、大卒、高卒ともに9,500円引上げ

・定年前再任用短時間勤務職員の基準給料月額は、人事院勧告を考慮して引上げ

特別給(期末・勤勉手当)

年間支給月数を0.05月分引上げ(年間4.65月分 → 4.70月分)

※ 定年前再任用短時間勤務職員及び特定任期付職員は、人事院勧告の内容に準じて措置

人事管理に関する諸課題

長時間労働の是正

年720時間を超えて時間外勤務等をしている職員・教育職員が一定数存在。これらの職員・教育職員を対象に、最繁忙月における「11時間の勤務間インターバル」の確保状況をサンプル調査したところ、確保できた日が5割に満たない者が大半で、1割にも満たない者も存在。安全配慮義務を遵守する観点から、危機感を持った対応が急務。
現在、例外の「年720時間」を適用する部署の数が、原則の「年360時間」を適用する部署の数を大きく上回る状況。長時間労働の是正に資する枠組みを整備する観点から、「原則」と「例外」の在り方を再点検することが必要。

ワーク・ライフ・バランスの推進

小学校就学後の両立継続が課題。いわゆる「小1の壁」に対応するため、速やかに支援のニーズを把握し、支援策を講じていくことが必要。

「家族の介護」に係る両立支援制度については、「先行きが見通しづらいこと」や「期間が長期化するケースがあること」への対応が課題。職員が家族を介護しなければならない「期間」全般において、安心して、かつ継続して利用できるようにする環境の整備を期待。

利用する者が利用しやすく、利用しない者が受け入れやすい両立支援制度としていくため、制度を利用した職員の業務を引き受けることになった職員を対象に、その負担に対してどのような配慮を求めるかという視点でアンケート調査を実施することも効果的。

メンタルヘルス対策

「組織」に起因するメンタルヘルス不調には、任命権者の取組如何でその解消や緩和が可能なケースも存在。ストレスチェックの集団分析を有効に活用することが鍵。
教職員健康相談室の設置により、労働者数50人未満の学校の教職員も医師等に心身の健康問題を相談できる体制が整備されたことは評価。

組織内におけるハラスメントの根絶

懲戒処分の指針に「パワーハラスメントに係る処分の標準例」が明記されるなど、パワーハラスメントをはじめとする組織内におけるハラスメントを防止するための対策は進展。
今後は、ハラスメントを行った職員に対しては厳正に対処するという姿勢を、これまで以上に明確に示していくことが、組織内におけるハラスメントを根絶する上での要諦。
ハラスメントの行為者が管理・監督をする職(ポスト)に就くことがないよう、まずは人事評価を活用した仕組みを作ることが有効。
ハラスメント根絶に向けた取組や姿勢を評価する項目を人事評価の評価要素自体に設け、評価結果を昇任のための基準に組み込むなど、ハラスメント抑止に一層資する仕組みとすることを期待。

職員を孤立させない取組の推進

労働施策総合推進法の改正により、事業主は、カスタマーハラスメントを防止するため「雇用管理上必要な措置」を講じることが義務化。地方公共団体も事業主として措置を講じることが必須。

カスタマーハラスメントについての実態調査が実施され、その結果は、カスタマーハラスメントが職員の精神的・身体的負担を増大させ、市の事務事業にも深刻な影響を及ぼすことを示唆。

調査結果を受けて、対応マニュアルの作成、外線電話の通話を録音する装置の導入等の各種取組が行われたことは、「職員を孤立させない取組」が一挙に前進したものとして大いに評価。

職員を孤立させない姿勢を明確にすることは、職員を守り、職員が尊重される職場であることを内外に示すことに結実。引き続き「職員を孤立させない」という強い信念の下、働きやすい魅力的な職場環境の整備に向けた各種取組が前進していくことを切望。

職員が自らのキャリアをデザインする道を拓く人事制度の導入

働き方やキャリア形成に対する働き手の意識の変化への対応、組織における専門性の蓄積との関係においては、課題がある。「職員が自らのキャリアをデザインする道を拓く」ことは、将来の組織力を量的にも質的にも左右する重要な鍵。前向きな検討を進められることを引き続き期待。

職務・職責を重視した人事・給与体系への転換

人材獲得と離職防止に資する人事・給与制度の改善

小1の壁に対応する支援策としては、「部分休業」を補完するものとして、これと同様の無給の休暇を「子が小学校に入学した後も」取得できるようにすることが有効。こうした制度(子育て部分休暇など)を導入する地方公共団体は増えつつあり、導入の状況は更に加速。
小1の壁をはじめ、子育てとの両立の難しさから退職を選択するという事態が極力発生することがないよう、必要とする職員にとって十分な支援策が講じられることを期待。
人材獲得の観点から、「公務を一度離職した者」を再採用することも有効。育児、介護といった、やむを得ないライフイベント等を理由に退職した職員・教育職員を対象とした再
採用制度がスタートし、再採用した職員・教育職員が各職場で再度活躍。

人事・給与制度の運営に係る適切な効果測定の実施

「職員の働きがいや職場環境等に関するアンケート」について、調査結果を他組織との比較により自組織の現状を客観的に把握・可視化することについて、前向きな検討が進められることを強く期待。