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第1章 教育権・教育の自由・学校自治

Q1 「教師の教育の自由」の法的根拠について説明してください。

●教師は、子どもを教育する父母・国民の権利と責務の信託にもとづいて教育にあたっています。国民の教育の自由は、実際の教育の担い手である教師の教育の自由を必然的に要請するものであり、教師の教育の自由は国民の教育への権利の重要な一部をなすものといえます。子どもの学習権を保障する教育を実現するために、また父母・国民と直接に結びついて、国民の教育要求をくみとり、これを実現するために教師には教育の自由が保障されなければなりません。

●教師の教育の自由は憲法によって保障されています。憲法23条の「学問の自由の保障」によって教育への不当な支配が禁止されています。教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し、直接に責任を負って行われるべきものです。(47年教育基本法)

●「不当な支配」の主体としては政党、官僚、財界等があげられますが、とりわけ国家権力、公権力による教育行政がこの中に含まれます。教育行政その他の不当な支配を禁止し、教師が国民に対して直接的に責任をおっているとすることは、教師の教育権を教育行政から独立のものとして保障していることを意味します。教師の教育活動については、教育委員会等による不当な支配介入を受けないという保障を有するものでもあります。

●今日、学習指導要領の「法的拘束力」、教科書検定・採択統制、初任者研修制度をはじめとする教員管理体制等で、教師の創意性や国民の教育要求を受け入れる余地が排除されているのはきわめて問題です。これらに対し、教職の専門性を確認し、教員ないし教員団体の教育政策の策定、教育課程・教科書・教 具の開発への参加を保障するユネスコの「教員の地位に関する勧告(同勧告6・62・75項等)の実現を要求することが重要です。杉本判決(1970.7.17)は教育の自由について次のように述べています。

杉本判決(1970.7.17)(抜粋)教師の教育の自由「教師は、子どもの学習権を保障するための教育の責務を国民から信託されて、実際の教育にあたっており、必然的に真理教育が要請され、そのためには、教師は学問研究の成果を児童・生徒に理解させ、それによって子どもに知る力、考える力、創造する力を得させるのであるから、当然、教師にとって学問の自由が保障されていなければならず、同時に、教師は子どもの心身の発達とこれに対する教育的効果とを科学的に見きわめることが要請されているから、教師に対して教育ないし教授の自由が尊重されていなければならない。」「教師に教育の自由を保障することは、近代および現代における教育思想および教育法制の発展に基本的に合致し、また、わが国における戦後教育改革の基本的方向と軌を一にするばかりでなく、ことに最近における教育に関する国際世論の動向にも沿うゆえんである」「教師の教育ないし教授の自由は学問の自由を定めた憲法23条によって保障されていると解せられる。」教職の専門性(「教育労働者の権利」より)

Q2 学習指導要領に法的拘束性はありますか

●前項の教師の教育の自由と深くかかわる問題ですが、文部省(当時)は1947年、「学習指導要領・一般編(試案)」を発行した際、その序論で「これまでの教師用書のように一つの動かすことのできない道をきめて、それを示そうとするような目的でつくられたものではない。新しく児童の要求と社会の要求  とに応じて生まれた教科課程をどんなふうにして生かしていくかを教師自身が自分で研究していく手引きとして書かれたものである」とし、今後の方針として「下の方からみんなの力でいろいろと作りあげていく」としていました。つまり、学習指導要領はあくまでも試案で、教育課程は教師自身が研究し、みんなの力で作りあげるものとされていたのです。しかし、1955年に「試案」が削除され、1958年の改訂以降、学習指導要領は官報告示され、文科省は法的拘束性があるとしました。教科書は学習指導要領に準拠しなければならないとして、教科書統制も強められてきました。文部省は各教科ごとの指導書の発行、伝達講習・官制研修等を強化しています。これは教師の教育権を制約し、ひいては国民への教育の権利を制約する方向にはたらき、教育により国民を統制した過去の反省にたった視点が大切です。

●憲法に照らすならば、学習指導要領の法的拘束性を認めることはできません。教育の内容・方法は基本的に教師の教育の自由に委ねられるべき領域であり(Q1参照)、教育行政の任務は教育の内容面に支配・干渉することではなく、教育条件整備をすすめることだからです。公教育制度のもとで教育行政としてできるのは教科の種類・名称・目標・標準授業時教・卒業必要総単位などの学校制度法定主義に伴う学校制度的基準事項の「大綱的基準」の設定、指導・助言権の行使、教師の自主的な研修の機会の提供等であり、法的拘束力を伴わない形での関与であるとするのが教育法学界での通説となっています。各教科の内容やとりあげる教材等まで包括的に法的拘束性ありとすることは関係法規からみても無理があり、学習指導要領は、試案ないしは手引書として指導助言文言の性格を超えないものです。これは「学カテスト」をめぐる裁判判決でも明らかです。

学テ事件・旭川地裁判決(1966.5.25 教育基本法第10条は、教育内容について国家の行政作用(とくに強権的な作用)の介入を抑え、教育活動の独立を確保し、教員の自由な、創意に富む、自主的な活動を尊重するという理念を基礎としつつ、教育行政の任務を教育条件の整備確立においていることが明白である。学校教育法第38条等の規定をみると、同条が文部大臣に対し教育課程の第一次的、包括的な編成権を与えたものとはとうてい解されず、同条により、文部省が学校教育の内容や方法について詳細な規定を設け、教員の教育活動を拘束するようなことは、法の予想しないところだといわなければならない。むしろ同条は、初等、中等教育が義務教育であること等を考慮し、その教育課程の編成について、文部大臣が(前記の教育の独立および教育行政の地方自治等を尊重しつつ、)大綱的な基準を設定すべきものとした趣旨に解するのが相当である。したがって、学習指導要領のうち右のような大綱的な基準の限度を越える事項については法的拘束力がなく、単に指導・助言的な効力を持つべきにとどまると解すべきである。

Q3 教育課程の編成権は学校(教職員集団)にあると考えてよいのでしょうか

 ●法律上、教職員集団に教育課程の編成権があるとした規定はありませんが、憲法の原理的な規定ならびに教育条理上保障されている教師の教育の自由と教育権の内容として、当然学校の教職員集団にあると解されています。

埼玉県教育委員会が、2020年の学習指導要領の改訂に伴い、本県における「教育課程の基準」の改善にあたって作成した資料も、「小学校(中学校)教育課程編成要領」としていることにも示されています。

「小学校教育課程編成要領」教育課程一般編では次のように記しています。

第2節 教育課程編成の一般的な手順 教育課程は、各学校の校長が責任者となって編成するものである。その際、それぞれの学校の運営組織を生かし、全教職員の協力のもとにそれぞれの分担に応じて十分研究を重ねるとともに教育課程全体のバランスに配慮しながら創意工夫を加えて、特色ある教育活動が展開できるよう編成することが大切である。

●すべての子どもの成長と発達を保障する教育の実現をめざし、子どもの声を聴きとり、子どもの実態を重視して、全ての教職員の参画のもと、父母、地域住民とともに、各学校の教育課程を創ることが重要です。それぞれの学校・地域から多様で多彩な参加と共同の学校づくり、教育課程づくりを進めましょう。

Q4 「日の丸・君が代」の強制についてどう考えればよいでしょう

●学校行事における「君が代」斉唱、「日の丸」掲揚をめぐって、多くの学校で問題になっています。それは多くの教職員の反対意見を踏みにじって、校長が一方的におしつけようとするところから生じています。論議を尽くし、結論が得られそうになると、校長が「おねがい」、さらには「職務命令」までもち  出して押しつけてくる傾向が強まっています。

●「日の丸・君が代」は戦前において、絶対主義的天皇制を称え、象徴するために使われました。敗戦後は一時、学校行事から姿を消しましたが、アメリカの対日政策の転換、朝鮮戦争の開始頃から、再び天皇制と深く結びつき、反動的役割を担って、軍国主義・国家主義復活に利用されています。学習指導要領でも1958年に、「国旗を掲揚し、君が代を斉唱させることが望ましい」とし、1977年の改訂では「国旗を掲揚し、国歌を斉唱させることが望ましい」と、「君が代」を「国歌」と明示しました。1989年の改訂ではさらに踏みこんで「国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」としました。

●1998年8月、自民党・自由党・公明党などの賛成により、「日の丸・君が代」を国旗・国歌とする「国旗及び国歌に関する法律」がたった27時間の審議で成立されられました。国民主権に反し、世論も一致していないにもかかわらず、政府・文部省(当時)は学校教育に介入し、これを政治的に利用しました。しかし、その国会審議の中でも「法制化によっても国民には強制できない」こと、「内心の自由は保障されなければならない」ことを認めざるをえませんでした。

●「君が代・日の丸」問題だけに焦点をあてるのではなく、子どもを主人公にし、その行事の目的に沿って、ふさわしい内容をどうつくっていくのかを討論する中で、「日の丸・君が代」おしつけ反対のたたかいをすすめることが大切です。

子どもを中心にすえた教育的意義の高い学校行事をつくり出すとりくみを通して、教職員や父母との合意やいっそうの団結がつくられるのです。

Q5 教育基本法について教えてください

●自民、公明の与党(当時)は、2006年12月15日、改悪法案の廃案、慎重審議を求める圧倒的多数の父母・国民の声、教育現場の声を無視して政府提出教育基本法案(改悪教育基本法)を強行採決しました。

●改悪教育基本法は、何よりも憲法違反の重大問題を持つものです。第1に、第2条に「教育の目標」をおき、ここに「国を愛する態度」を入れ込んで、子どもと国民に「愛国心」を法律で強制するということです。これは、思想・信条・内心の自由を定めた憲法第19条に違反するものです。第2に、第16条で「教育は…この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」として、政治的多数決によって決められる法律や文部科学省や教育委員会の出す命令、通達によって、教育の自主性、教育の自由を蹂躙し、時の政府の思いのままに教育を統制・支配するという、憲法第13条、23条、26条に違反する大問題です。

●政府は、2018年6月15日に「第3期教育振興基本計画」を閣議決定しました。

 第3期教育振興基本計画では、「2030年以降の社会を展望した教育政策の重点事項」として、「「超スマート社会(Society5.0)」の実現にむけた技術革新が進展するなか「人生100年時代」を豊かに生きていくためには、「人づくり改革」、「生産性改革」の一環として、若年期の教育、生涯にわたる学習や能力向上が必要」としています。こうした動きは国や財界が求める「人材」育成をすすめるためのものであることをあからさまに示しています。私たちは一部のグローバル人材の育成をめざし、大多数の子どもの成長・発達をないがしろにする新自由主義的教育政策に反対し、すべての子どもの学習権を保障することを求めるものです。

●県教委は2019年9月に、教育基本法第17条を根拠に第3期埼玉県教育振興基本計画を策定しました。これは、2019~2023年度までの5年間を拘束する教育施策で、「豊かな学びで 未来を拓く埼玉教育」を基本理念とし、学力や体力の育成、家庭や地域の教育力の向上など10の目標のもとに、30の施策と155の主なとりくみを設定しています。

●教育予算や教員定数については数値目標化されない一方で、教育内容についての安易な数値目標化は避けるべきですし、その運用も慎重であるべきです。数値目標を達成するために、子どもたちが犠牲になるようなことがあってはなりません。

Q6 校長は日案や週案の提出を職務命令で強要できますか

●日案や週案などの教案を提出するように教師に命じたり、教育課程の変更を命じたりすることは、教師の教育権を侵害する違法行為といわねばなりません。職務命令が有効であるためには、職務上の上司が発したものであり、それが部下の職務に関することであるだけでなく、部下が職務上の独立を認められている場合にその範囲を侵さないことが必要です(Q82参照)。週案、日案の提出命令は、その点でも教師の固有独立の教育権を侵すことになりかねません(Q3参照)。

●しかし、年間の指導計画をもとに、1週間単位の計画、さらに毎日の授業計画を具体的にきちんと作成することは、生き生きとした学習指導を展開するうえで不可欠です。具体的な単元や指導内容をはっきりさせることは、学年や学級の通信などで父母に知らせて理解と協力を得たり、子ども自身の家庭学習を能動的にしたりすることなどもふくめて、教師の教育活動にとって重要な意味をもっている面もあります。

Q7 教師に教育評価の権限と自由はありますか

●教師は教育目標にもとづいて、教育内容を編成し、教育実践を行い、その結果について必ず評価しなければなりません。自らの教育活動の結果に対する点検と反省が教育評価であり、どのような方法で行うかは教師の権限であり、自由です。その教育評価を踏まえて、次の教育活動が準備されます。教育実践は  不断の教育評価を伴っており、教師が自主的・計画的に教育実践を遂行していく上で教育評価は不可欠です。

●人事評価にかかわって、自己評価シートの記入の際、教育評価をする方法にあたって、その達成度を数値化して記入をするように促す管理職がいる場合ありますが、上記の内容から言っても正しくありません。教育の成果は単年度で示せるものではないことはこれまでの当局とのたたかいの中で確認をするとともに、交渉において人事評価は、教職員自らが行なう「自己評価」を基本とすることを確認しています。

●正しい教育評価は第一に、学習をはじめとする教育活動の到達目標への到達度を客観的に示すことによって、子ども自身の学習意欲・活動意欲を高め、励ますものでなければなりません。

第二に、教育評価は教師にとって、教育活動を改善する手がかりとなるものであることです。

第三に、父母にも教育活動の成果と弱点をわかってもらい、父母の教育要求を正しく汲み上げられるようにすることです。

●評価には評定尺度が必要ですが、これは目標と表裏の関係にあります。子どもの権利保障の場である小・中学校で、子どもたちの学力をつける側面と情意・行動を育てる側面とで、妥当性をもつ方法を教職員集団で研究することが重要です。差別選別教育体制の下では他との優劣をつけたり、選別するための道具に変質させられたりしている面があります。「関心・意欲・態度」を「知識・理解」から切り離して点数化するなどは本来の教育評価の役割を大きく歪めるものです。本来の教育評価はそのようなものではありません。また、選別に反対する立場から、評価をすべて排除する考え方も正しくありません。

Q8 教科書採択のしくみを教えてください

●ユネスコの「教員の地位に関する勧告」では「教員は生徒に最も適した教具及び教授法を判断する資格を、特に有しているので、教科書の選択にあたって・・・・主要な役割が与えられるものとする」とあります。教科書採択は、なによりも現場教員の意見を尊重して行われるべきです。

 明治以降、教科書は有償制でしたが、経済成長を推進する池田内閣が1961年から教科書の無償化にとりくむことを決定し、1963年に「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」が公布され、これ以降義務教育の全児童生徒に無償で教科書が給与されるようになり、現在に至っています。

●義務教育教科書無償化にともない広域統一採択制度がとられ、当該教育委員会が採択することになり、教師は自分の使用する教科書を自分で選択できなくなったことは最大の問題点です。毎日の教育にあたっている現場の教員が実質的に関与できない状況は、きわめて異様であると言わざるを得ません。

●広域採択制の2つ目の問題点は、教科書発行会社の「寡占化」を引き起こしていることにあります。教科書無償化制度により、その費用は国家予算から捻出され、すべての義務教育の児童・生徒に教科書が無料で配布されています。結果的に大規模で、営業力の強い会社が有利となり、市場を占有することになる点が問題点です。

●広域採択制の3つ目の問題点は、採択された教科書は、最低4年間は使い続けなければならないという点です。たとえ良くない教科書であっても、4年間は使用しなければならないのです。教育的観点からも、使用してみて合わない教科書であれば変えることができるほうが望ましいことは明らかです。

●県内の教科書採択にあたっては、従来の「学校票」として、教科書研究にもとづいてふさわしい教科書を学校ごとに希望していました。地域によって学校ごとの希望を出せないところもあり、問題です。

●2020年の教科書採択にあたっては、日本の侵略戦争を正当化する育鵬社の歴史教科書、子どもを改憲に誘導する同社の公民教科書が各地で次々と不採択になりました。教科書採択の透明性・公開制をめざし、教育委員会会議の公開を求め、教育現場の教員の意見や調査資料を尊重し、子どもに、どの教科書がふさわしいかを、教育的な観点で採択することを要求するとりくみが各地で行われました。

●県内では、学校の教職員の意見(学校希望)の尊重、教科書展示会においての保護者や住民の意見表明の機会づくり、採択協議会の公開などがはかられました。

《義務教育諸学校用教科書採択のしくみ》

《教科用図書採択地区一覧表》   (2020年4月1日現在)

採択地区構成市町村
第1さいたま市
第2川口市
第3草加市
第4蕨市 戸田市
第5朝霞市 和光市
第6志木市 新座市
第7鴻巣市 桶川市 北本市 伊奈町
第8上尾市
第9川越市
第10富士見市 ふじみ野市 三芳町
第11坂戸市 鶴ヶ島市 毛呂山町 越生町
第12所沢市
第13飯能市 狭山市 入間市 日高市
第14東松山市 滑川町 嵐山町 小川町 川島町吉見町 鳩山町 ときがわ町 東秩父村
第15秩父市 横瀬町 皆野町 長瀞町 小鹿野町
第16本庄市 美里町 神川町 上里町
第17熊谷市
第18深谷市 寄居町
第19行田市
第20羽生市 加須市
第21春日部市 杉戸町 松伏町
第22久喜市
第23蓮田市 幸手市 白岡市 宮代町
第24越谷市
第25八潮市 三郷市 吉川市

Q9 「子どもの権利条約」の意義は何ですか

●「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約です。18歳未満の児童(子ども)を、権利をもつ主体と位置づけ、おとなと同様ひとりの人間としての人権を認めるとともに、成長の過程で特別な保護や配慮が必要な子どもならではの権利も定めています。

●「子どもの権利条約」が日本でも批准され、1994年5月22日に発効しました。1989年11月に国連総会で採択されて以来4年5か月が経過し、世界で158番目という遅い批准となりました。この条約は、今日の段階の人類英知の結晶であり、世界と日本の子どもとその教育の困難を打開するものに  させることが大切です。

●この条約は、前文と3部からなる本文で構成されていますが、最大の特徴は、子どもを“権利行使の主体”として位置づけていることです。国際人権規約で保障されている人権のうち、年齢的な制限をもつもの(選挙権など)を除き、すべての権利が子どもにも保障され、さらに子ども固有の権利保障も盛り込まれています。

例えば、「意見表明権」「思想・良心・宗教の自由」「結社・宗教の自由」「プライバシー・通信・名誉の保護」などの市民的諸権利や「休息・余暇・遊び・文化的芸術的生活への参加」のように子どもたちの成長発達に欠かすことのできない権利も保障されています。このことは、従来の「子どもは未熟だから」という子ども観の大変革を大人に義務づけているともいえます。

●1998年6月、国連「子どもの権利」委員会は、日本政府の報告書、非政府組織の報告書をもとに政府に対しての勧告を出しました。勧告の43条では、「本委員会は、貴締結国における教育制度が極度に競争的であること、その結果、教育制度が子どもの身体的および精神的健康に否定的な影響を及ぼしていることに照らし、本条約第3条、第6条、第12条、第29条、および第31条にもとづいて、過度なストレスおよび不登校を防止し、かつ、それと闘うための適切な措置をとるべきことを貴締結国に勧告する」と日本政府に対し教育制度の改善を求めています。勧告が出されおよそ20年が経過しますが、今もなお子どもたちがおかれている状況は深刻です。

●埼玉県議会でも、1996年12月議会において「子どもの権利条約の実行を求める請願」を可決しています。わたしたちは、この条約がすみずみまで生きる学校づくりをめざして早急にとりくみを強めなければなりません。この権利条約を生かした一人ひとりの教育実践や父母・地域との共同した民主的な学校づくりが求められています。

Q10 研修の制度的保障について説明してください

 ●教員は子どもたちの教育に直接に責任を負う立場から、日常不断に研究と修養を積まなければなりません。

憲法の理念を踏まえて、子どもたちの持つ可能性を引き出し、その成長を最大限に援助するためには、教育課程、教科内容、指導の方法、児童・生徒の発達過程等々について研修を深めるだけでなく、教育の理念や原理、子どもと教育をめぐるさまざまな問題に関する理解が必要であり、また子どもと触れ合うことを通じて人格的影響を与えるという教育の特質から、教員自身が人間としての豊かさを身につけることが求められています。研修は教育にとって不可欠なものであり、教員の職務の重要な一環をなすものです。

このように教育が本質的に研修を要請しているからこそ、国家公務員や地方公務員一般の研修の規定とは別に、教育公務員特例法(教特法)で教員の研修に関する特段の規定を設けているのです。

●教特法は「教育を通じて国民全体に奉仕する教育公務員の職務とその責任の特殊性に基き」(教特法1条)教員の研修について、次のように定めています。

教育公務員特例法(研修)第21条1.教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研修と修養 に努めなければならない。2.教育公務員の任命権者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を 樹立し、その実施に努めなければならない。(研修の機会)第22条1.教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。2.教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修を行うことができる。3.教育公務員は、任命権者の定めるところにより、現職のままで、長期にわたる研修を受けることができる。

教員の研修の特質の第一は、研修の目的において、「その職責を遂行するため」とされていることです。これに対し、一般公務員の研修の目的は「職員の勤務能率の発揮及び増進のため」とされています。(国公法73条、地公法39条)

第二に、研修の実施主体についても、一般公務員の場合は「研修は、任命権者が行うものとする」(地公法39条2項)と定められていますが、教員の場合は、その任命権者に「研修施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画の樹立・実施の協力義務」(教特法21条2項)が規定される一方、21条・22条1・2項で、教員が自主的に研修を行う権利を定めています。

要するに、一般公務員の研修が「勤務能率向上のため、任命権者が行うもの」なのに対し、教員の研修は「その職責を遂行するため、自主的・自発的に、日常不断に行われるもの」が基本なのです。教育行政当局の研修における役割は、教育の自主的・自発的研修に対する条件整備、奨励・援助が第一義とされなければなりません。行政が研修計画をたてる場合は、自主的研修を補完するものとして、自主参加の原則により、教員の専門性の向上と教育実践上の必要と関心にそったものでなければなりません。

●したがって、教師個々人がおこなう読書、視察、実験、見学などによる研修をはじめとして、組合教研やサークル、民間教育研究団体の研究などは、教育行政機関によって重視され保障されるべきです。

校長は、「授業に支障がない限り」承認を行うべく拘束されており、校長に自由裁量権があるのではありません。

●ところが近年、行政解釈は研修を(1)職務命令による研修、(2)職務専念義務免除による研修、(3)勤務時間外の自主的研修に区分し、教員研修の基本である自主的研修にさまざまな条件を付けて勤務時間内に行うことに厳しい枠をはめる一方、文科省・教育委員会等の主催する行政研修を強化し、「初任者研修」「2年次研修」「3年次研修」「5年経験者研修」「中堅教諭等資質向上研修(10年経験者研修)」「20年経験者研修」「研究指定」等々、研修の押しつけを強めています。「研修に追われて子どもと接する機会をつくることがむずかしい」「研究指定も発表が終わると、その後はほとんど生かされていない。見せるための授業準備になっている。」など“研修あって教育なし”といった状況も報告されています。

教育の国家統制を強めるこれらの官制研修には反対し、研修本来のあり方である「自主・民主・公開」という三原則を踏まえた「研修権」確立のためのたたかいを職場から強めることが大切です。

●教特法では、「授業に支障がない限り・・・勤務場所を離れて研修を行うことができる」と規定されています。この場合法の主旨は「授業に支障があるかないか」です。授業に支障がなければ大いに研修をするべきだとしています。

「本属長」=校長は承認する際、承認するかしないかは「授業の支障」について判断すればよいのです。「授業」という教育計画を立てておきながら教員が勤務場所を離れてどんどん研修してしまってはうまくありません(授業があってもセンターの○○研修が出張研修になっていますが)。だから、「これでは認めない」「この書き方では認めない」など法の主旨に反することとなります。

Q11 初任者研修の問題点は何ですか

●初任者研修は、以前には新任教員研修として市町村教委主催で行われていました。当初は年間2~3回程度の教委が大半でした。1980年代後半には年間十数回位になっていましたが、それでも出張は数回で済むものでした。

しかし、1989年度に教特法が改悪され(20条の2)小学校を皮切りに初任者研修制度が本格的に実施されました。これは、新採用者の条件付任用期間をそれまでの6か月間から1年間に伸ばし、新任教員に対し、1年間の行政研修を命じるものです。これまでの教員の自主的な研修権を保障することから義務研修への転換であり、教員研修の本質に反する「国定教師作り」をねらうものです。さらに実施形態等もふくめ次のような問題もあります。

①毎週決まった曜日に機関研修があるので、研修と重なる時間帯に持ち授業をいれることができない。

②初任研のために非常勤講師が配置されるが、その任期は機関研修の行われる間だけなので、その期間外の非常勤講師の授業は必然的に自習になってしまう。

③埼教組が廃止を求めている法定外研修(2年次研、3年次研、5年次研)においても非常勤講師が配置されないために、学校全体の負担ともなってしまっている。

④機関研修を最優先させる校長・地教委が多い。(学校行事等と重なってもほとんどの場合機関研修が優先される)

このように、初任者研修には様々な問題がありますが、埼教組は粘り強く交渉をかさね、次のような改善をさせてきています。

(1)研修は憲法や法令にもとづいて行う。

(2)あらかじめ、学校で予定されている研修は、初任研の校内研修に含めることができる。

(3)初任研機関研修を縮減させ、2020年は13日に減じた。

また、初任研をはじめとする年次研修による長時間過密労働の実態を明らかにする中で、埼教連(埼教組、埼高教で構成する埼玉県教職員組合連合の略)は研修内容の改善も要求し、これまでに、公開授業の大幅な縮小、略案(公開授業時における指導案)の廃止、研修日数・時間の削減、研修報告書の削減などの改善をはからせました。

引き続き、機関研修と学校の行事が重なった時は、小・中学校の場合、校長と地教委教育長とで事前に協議を行う仕組みもあり、学校の事情を優先するよう校長から意見具申させるとりくみを強めることなどが必要です。さらに、最終的には年次研修を廃止・縮減させることをめざして運動を進めていくことが重要です。

Q12 学校運営の基本的視点として重要な点は何ですか

●学校は子どもたちに確かな基礎学力や豊かな情操、体力などをきちんと身につけさせ、自らの力で次の時代を創造できる人間として成長するのを援助することを本来の任務としています。ひとりも切り捨てることなく、その発達を保障し、子どもにとって楽しい学校、父母や地域から信頼される学校をつくることをめざしています。

●子どもと父母にとって良い学校は教職員にとってもいきがいをもって仕事に打ち込める職場です。こうした職場では学校運営の基本に民主主義が貫かれています。教育の自由と教職員の自主性が保障され、一人ひとりが創造性を発揮して、いきいきと教育実践にとりくめるようにすることが大事です。また、学校は教職員個人の自主性とあわせて、教職員集団としての一致した方針にもとづく組織された共同の活動が不可欠です。高い教育力をもった民主的な教職員集団づくりをすすめることが重要です。

●校務分掌は教育活動の展開と関連させて検討を加え、子どもの発達を保障する立場で、学校運営上必要な分掌については本人の希望を尊重して公平に分担しあうことが必要です。

事務・栄養・会計年度任用職員などとも相互理解を深め、連帯を強めることも運営の基本的視点として大切です。

●教職員集団の共同のとりくみをすすめていく上で、職員会議や学年会・教科会などの協議の場とその民主的な運営はきわめて大切です。また研修も重要な役割を果たします。おしつけ研修を排し、自主的・民主的研修を拡充する努力を日常的に追求しましょう。教育活動を組織的・集団的に検討し、すぐれた実  践を教職員集団のものに広げていきましょう。みんなで計画し、実践し、その結果をみんなで評価して、次の実践に発展させる過程が教職員全員のルールとして確認されること、つまり参加と合意と納得によって毎日の学校運営が行われることが基本です。学級、学年、教科の問題等は関係者で協議し、共通理解と協力体制がとれるよう、全員に知らせることを原則として確認することも大切です。

Q13 職員会議の性格について説明してください

●教職員の民主的な討議や交流を通して、教職員の教育活動の質を高め、学校としての調和のとれた組織的な教育活動をすすめていく上で職員会議はとても重要です。

したがって、職員会議を民主的協議の場とし、全体の意志を統一する場として、次のような点をポイントにして充実させることが重要です。

職員会議を考えるポイント

①学校運営の根幹として職員会議を位置づけ、教職員の民主的協議と合意形成の場とする。

②会議運営に民主的ルールをつらぬき、校長や教頭の主張の一方的伝達の場でなく、全員が平等の立場で発言できるようにする。

③個々人の自主性を守り、事実や実践にもとづいた討議を重視し、あくまで説得と納得を基本に一致点をみいだしていき、多数で強制したりしない。

④会議の時間は実情にあったものとする。

⑤節度ある相互批判、適切な助言をする。

●県教委は「県立学校管理規則」の改定を行い、2001年10月6日付で施行しました。私たちは、改悪された「学校管理規則」のもとでも、憲法にもとづいた民主的な職員会議の意義と位置づけ、またその在り方、職員会議の運営について、職員会議における校長の責務などについて県教委との間で、相互に確認しました。

Q14 校長及び教頭の地位・権限・職務などについて説明してください

●教職員の職務内容については、主として、学校教育法37条に規定されています。この中で、校長、教頭の職務内容については次のようになっています。

校長―校務をつかさどり、所属職員を監督する。

教頭―校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる。校長に事故があるときは、その職務を代理し、校長が欠けたときはその  職務を行う。

●「校務をつかさどり]の「校務」とは、具体的にどの範囲をさすのかが問題となってきます。文科省などは、「校務」は「学校の果たすべき仕事の全体」としています。しかし、学校の果たすべき仕事は現実に多くの職種の教職員によって分担されていて、それぞれの職種の職務と権限が定められているのです。

したがって「教諭は、児童の教育をつかさどる」と定められている教育活動そのものについて、教員の権限を無視して一方的にチェックしたりすることは、  権限を逸脱した行為といえましょう。(Q1・Q2参照)

●戦前は、校長に各教科目の教授細目まで定めることを義務づけると同時に、教室におけるその実施を監督する権限まで与えていました。そのため教師に日案、週案を強要し、事後には教授集録を出させて教授成果を確認することまで行われていました。

戦後は、教育の自主性の尊重を基調として教師を教育課程の編成主体におき、教育課程の編成と実施に対する権力の介入を排除してきました。

このようなことから言っても、「校務」の内容を拡大解釈することは許されません。

●教頭の職務は「校長を助け…必要に応じ児童の教育をつかさどる」とありますから、校長の「補佐役」ばかりが強調されるのは正しくありません。

また「校長を助け…」という規定から直ちに校長の職務権限が委任され専決できると考えるのも誤りです。

一般にある者の職務を代理するといった場合の代理には「法定代理」と「授権代理」があります。

「決定代理」―法規の定めにもとづいた代理で、本来その地位にない者の行為がその地位にある者の行為と同じ法律上の効力を生ずる関係。

「授権代理」―権限をもつ機関の任意授権により生ずる代理であって代理させる者がその意思により授権するという性質上、一般にはその代理権の範囲は事務の一部に限られ、かつ臨時的であり、代理させる者に代理者への指揮監督権が保留されると解される関係。

教頭が校長の代理をするといった場合でも埼玉では、「授権代理」の立場をとることは県教委も明らかにしています。

●近年、学校教育法37条の規定をたてに授業時間を全く待たない教頭や、自習時間の担当(いわゆる補欠授業)の協力をしない教頭・校長も目立ちますが、同規定に「教頭は、校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる。」とあり、教頭が授業をするのはまったくさしつかえありませんし、自習時間の担当などは「学校の果たすべき仕事」の一部であると考えられるので、校長も積極的に協力すべきです。

 また、小学校現場の教頭職にあたる者で、所持免許が中学校種であることを理由に自習時間にすら入れないことを主張する教頭も目立ちます。これについて埼教組は所持免許の校種と同様の学校種への教頭配置も求めています。仮に所持免許のない教頭であっても自習監督に入ることはさしつかえないと県教委は表明しています。

教職員の定数が低くおさえられている現状かつ、深刻な未配置・未補充の問題が全県的な課題となっている中、特に小規模校では、このような協力がなければ日々の教育活動がやりくりできないのは明白です。

Q15 校務分掌、主任、主幹の地位・権限・職務などについて説明してください

●担任・校務分掌など校内人事を決めるのは校長の権限ですが、だからといって校長個人が勝手に決めるのではなく、教職員個々人の希望を聞き、職員会議などで民主的な協議を経て決めることが望ましいあり方です。

校内人事は「勤務条件に密接に関連する事項」であり、当然交渉の対象です。職場で合意点を見いだしていくことが大切です。

●1976年春、文部省は、全国各県に「任命制主任]を置くことを強制してきましたが、埼玉では埼教連(埼教組・埼高教)と県教委がねばり強く話し合いをつづけてきた結果「任命制主任」を事実上排除する確認をしました。

①「主任」を「中間管理職」としてではなく公務分掌の一環としたこと。
②「主任」の選出にあたっては、職員会議等にはかり、教職員の意見を十分きくようにしたこと。
③女子教職員を含め、なるべく多くの人に「主任」としての経験を積ませるようにしたこと。

その特徴は次のようにまとめられます。

以上のことからわかるように、埼玉では、校務分掌やその一環である「主任」を、校長などが一方的に任命して決めることは管理規則に反することになっています。

●主任手当(正式には「教育業務連絡指導手当」といい、Q57特殊勤務手当を参照)は、特定の主任に1日200円支給することによって、教職員の協力体制をこわし、教育を財界や政府の思うように支配・統制しようというものです。

●2007年に改悪教育基本法の具体化として教育関連三法の改悪が強行されました。その教育関連三法の一つである学校教育法の改悪により、「副校長、主幹教諭、指導教諭を置くことができる」とされました。改悪のねらいは、学校を管理的重層化して教育政策をすみやかに反映させることにあります。上意下達の学校運営体制、時の政府の言いなりの学校づくりです。

●改悪教育基本法の具体化の一つである主幹教諭が2009年度に設置されました。

法の改悪を受けて、2008年2月に全国人事委員会連合会(全人連)は、主幹教諭の給料表を教頭と教諭のあいだに新たな給料表として「特2級」を設定しました。主幹教諭を賃金面でも教諭から切り離して管理職化させ、学校の共同体制を壊すものです。

当時、埼玉県では300人、さいたま市で38人発令され配置されました。「新たな職」は「職の設置ができる」としながら、定数の改善は行われず、職場にとっては「従来の定数の一部を取られて主幹教諭がおかれた」状態となり、この制度は上意下達の教育体制をねらうもので、教職員の多忙化解消、子どもと向き合う時間の確保などの観点からも問題です。

●埼教連が県教委と回答・確認した概要は次のとおりです。

・「教職員の自発性、創造性、専門性が発揮されることが大切」
・「主幹教諭の校務分掌に特別な事情がない限り当該分掌に主任を置くことができる」
・「主幹教諭を想定した授業時数の軽減など特別な措置は考えていない。加配については国の動向を見守る」
・「主幹教諭が担当する校務は、当該学校の校務分掌調整の手順を踏まえて決定する」
・「主任の決定は教職員の共通理解と協力体制の確立、相互の意見交換を十分に踏まえる」
・「服務監督権は持たず、独自の指導監督権を持つものではなく管理職でない」
・「管理職候補者をもって主幹教諭とする」

●埼玉県では、2005年に県立学校に導入された「主幹」設置の際に、「教諭であり、給料表は2級である。授業や部活動も持つ。管理職登載者をあて特別な選考は行わない」と確認し、2006年以後の小中学校導入の際にも趣旨を変えないとしていました。

●県教委は「国法に位置づけられた新たな職について、・・・本県において設置が可能か検討することが必要と考える。副校長や指導教諭については、学校に研究のための相当職を位置づけた上で調査研究をおこない、その機能や具体的な効果・課題について検証していきたい」とし、2008年度「副校長」「指導教諭」相当職の調査研究協力校を8校とし、相当職を配置して研究を進めていました。その後、指導教諭の配置を断念しました。

●新たな「職」に新たな給料表を設定して賃金面で教諭と格差をつけ、管理業務を重層化することは、現在、学校が抱えている困難の克服と教育力の向上には結びつきません。むしろ、教職員の役割を管理的に固定化し、教職員の協力・共同をますます困難にします。埼教組は新たな「職」の設置に反対しています。

●マネジメント加配(主幹教諭の配置充実による学校マネジメント機能強化への対応)は主幹教諭の授業時数等の軽減(義務標準法15条4号)のための加配とされていますが、私たちは管理職ではない主幹教諭についても、教諭と同様の授業時数を受け持つべきと主張しています。

Q16 研究委嘱・指定研究、学校訪問のあり方はどのようなものですか

〈学校訪問〉

●「事務所の学校訪問は教職員の資質を高める良い機会である」と管理職や事務所はいいますが、訪問される学校では、そのための準備などで負担が大きいのも事実です。参考になるような指導がなされないという不満もよく聞かれます。

ところで地教行法48条1項には「都道府県教育委員会は市町村に対し、都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うものとする」とあります。事務所(県教委)はこの法にもとづいて学校訪問を行っているとしています。

しかしながら、この文面にあるとおり、事務所の指導対象は市町村教育委員会であり、学校ではありません。従って、一般に行われているいわゆる指導課訪問というものは事務所が強制的に行うことはできないのです。そこで、名目的に学校の要請を受けて行っているということにしているのです。しかも、その要請は、学校が市町村教育委員会に要請し、これを受けて市町村教育委員会が教育事務所に要請して実施するという形式になっているのです。

さらに地教行法48条2項には指導、助言又は援助について例示されています。全部で11例あげられていますが、その中には教師の児童生徒への指導方法や内容のことは一切ありません。ですから、公開授業の指導は基本的には事務所ではできないことになります。

これらのことから、事務所の学校訪問は

①形式的であるが、学校の希望で行うものであり

②訪問の内容(公開授業の有無、研究授業の有無、日程等)は学校が自主的に決めるべきものであるから

③事務所の指示どおりや、管理職の希望だけで決めるものではなく、職員の合意された内容で行うもので

④学校の教育計画、学校の職員、児童・生徒等に必要以上の負担がかからず、悪影響のない範囲で計画し実施すべきものといえます。

いずれにしても、事務所の学校訪問を教職員の力量の向上につながるもの、真に子どもたちのためになるものに改善していくことが重要です。

●管理主事訪問が近づくと、様々な「表簿」「記録」「計画」「日誌」などを整備して提出するようにと動く学校があります。どの教育委員会の「管理主事」であれ、「指導」権限があるのは、法に定めのある「表簿」のみです。これらは市町村教育委員会へ提出義務があったり、学校で保管が義務づけられたりしているものです。これらの整備の責任者は学校長ですが、校務分掌等によって教職員がその整備にあたるのは教育公務員として当然のことです。

しかしながら、「授業時数統計」「週案」「学級経営案」などは、法に定めのある「表簿」=「公簿」ではありません。学級づくりや日常の教育活動上必要なものとして作成したり活用したりすることはあっても、「管理主事訪問」の「指導の対象」とはならないものです。「学級日誌」に至ってはそれがどのように扱われているかを考えれば一目瞭然です。これら提出義務のないものは提出する必要はありません。学校長が「でも管理主事が指導を」と言ってくるのであれば、学校長が管理主事から指導を受ければいいことです。

学校教育法(昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号(抄))
第四十三条 小学校は、当該小学校に関する保護者及び地域住民その他の関係者の理解を深めるとともに、これらの者との連携及び協力の推進に資するため、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとする。

学校教育法施行規則(昭和二十二年五月二十三日文部省令第十一号(抄))
第二十八条 学校において備えなければならない表簿は、概ね次のとおりとする。
一 学校に関係のある法令
二 学則、日課表、教科用図書配当表、学校医執務記録簿、学校歯科医執務記録簿、学校薬剤師執務記録簿及び学校日誌
三  職員の名簿、履歴書、出勤簿並びに担任学級、担任の教科又は科目及び時間表
四  指導要録、その写し及び抄本並びに出席簿及び健康診断に関する 表簿
五 入学者の選抜及び成績考査に関する表簿
六 資産原簿、出納簿及び経費の予算決算についての帳簿並びに図書機械器具、標本、模型等の教具の目録
七  往復文書処理簿

●いわゆる指導主事訪問がまるで「計画的」になされているのが実態です。学校が「指導」を要請するから「訪問」なのであって、学校運営や学校の都合もお構いなしに、勝手にずかずかと学校に乗り込んでくるのでは「強制訪問」となって、学校の主体性はだいなしです。学校が総意として「いつ」「どのような」訪問を「要請」したのかを確認することが大切です。市町村教育委員会と教育事務所が何年も先までの「訪問計画」を立てておくなど論外です。

●訪問が決まると、「全員公開授業」とか「研究授業を3人」とか、特定の運営形式をとらなければならないかのように言われます。県教委は「特定の形式を求めない」と回答しています。そもそも学校が「要請」する訪問であれば、このような研修を行うから「訪問してほしい」とするはずです。学校が論議して行う形式で授業や協議会を催せばいいのです。どこかに、「2時間目公開授業、3・4時間目研究授業・・・」などのAパターン・Bパターンの「形式」が存在していて、これにもとづいて行わなければならないとする訪問は、県教委回答から考えて不合理なものです。

〈研究委嘱〉

●埼教組は、委嘱を精選し大幅に削減することを要求してきましたが、県教委は「最小限に限定」と回答し、市町村教委・市町村研究団体・各種団体も同様であると回答しました。研究委嘱はいっこうに減りません。ある市町村では全校が委嘱を受けているとか、ある学校は10年近く毎年委嘱を受けている場合があります。「最小限」なら委嘱を大幅に削減するよう市町村教育委員会・市町村教育研究会等へ要求しましょう。

●学校長が受けてきて「もう決まっているので」などと、委嘱が押しつけられている実態が報告されています。委嘱の決定は「応募のあった学校の中から」 決定すると県教委は回答しています。「応募」する=とは委嘱を受けたいと手を挙げることです。また、応募の際は「学校長は教職員の意向を十分配慮したもの  と理解している」と県教委は回答しています。教職員の意見を聞かず、共通理解もはからず、「応募」でなく決まったものを押しつけるでは、県教委の回答を予知することになります。

●委嘱の決定も、各学校が十分な共通理解をはかって応募で決めるなら、委嘱研究の発表も、学校が自主的に決めるものです。発表の回数・形式、研究紀要の量や様式などどこかに特定のものがあるわけではありません。他校のものを参考にしたとしてもあくまでも決めるのは当該の学校です。

●本来教員の研修は自主的・自発的なものです。目が回るほどの長時間過密な学校現場です。研修は子どもたちに返る、本当に身に付く自らが求める、学校の自主的な研修こそ有効なものです。「研修」のための「研修」で、子どもたちの理解ができなくなったり、教職員のいのちと健康が脅かされたりでは本末転倒です。教職員間の十分な論議で研究委嘱問題を考えましょう。

Q17 学力テストの実施についてどう考えたらいいですか(全国一斉学力テスト、市町村の学力テスト)

●文部科学省は、2006年6月に通知を発出して、「平成19年度から、小学校第6学年及び中学校第3学年の全児童生徒を対象とする全国学力・学習状況調査を実施する」としました(以下=「全国一斉学力テスト」)。実施する教科に関して小学校第6学年は国語・算数、中学校第3学年は国語・数学とし、「学習意欲、学習方法、学習環境、生活の諸側面等に関する質問紙調査を実施すること」、調査を実施する日時を「平成19年4月24日火曜日とする」としました。また、この「全国一斉学力テスト」に関する準備予算が2006年度29億円執行され、2007年度予算では実施にあたり66億円が予算化されました。

●いわゆる「全国一斉学力テスト」はすでに1961年から64年の4年間実施されたことがあり、当時大きな社会問題となりました。「全国一」をめざす県や地域・学校などが現れたりする中で、成績の悪い子どもを当日無理矢理休ませたり「障害児学級」に入れてしまったり、正答率を上げるために教育計画を度外視して「ドリル」「問題集」ばかりに走ったり、「過去問」のように「テストのためのテスト」をくり返したり、果ては教員が自分の担当する子どもたちに事前に答えを教えたりなど、およそ教育とはかけ離れた事態となりました。

受験競争を煽るだけでなく学校間競争も煽られました。埼玉も例外ではありませんでした。このため、文部省(当時)は、65年には20%の抽出調査に縮小し66年には3年に一度とし69年にはついに中止せざるを得ませんでした。

●本来、学習成果の定着状況を把握し、それに応じた課題を探り、当該児童生徒に合った学習活動、教育活動を組織していくことは、学校長を中心とした学校教職員の責務であり、そこに委ねられるべきことです。学校教育法や県教委の教育課程編成要領を引くまでもなく、日常の教育活動の自主性・主体性は学  校と教職員にあります。教育行政が一律にこうした「テスト」を課すことは、日々学力保障に向け教材や指導法・評価等を工夫し懸命に努力している現場の教育活動への重大な介入とならざるをえません。

●「全国一斉学力テスト」の実施は、実施の方法や公表の仕方によって、地域や学校間の競争を一層進行させ、子どもと教育の営みを歪めることになるばかりでなく、学校解体、公教育解体への道を開く危険性をもつ重大な問題です。

●現在県教委が実施している「学習状況調査」についても、反対の立場で県教委・市町村教委に対応を行ってきました。「学力の保障」「学力の向上」をすすめるためのとりくみは必要であるとしても、埼玉においては、県教委のすすめる「学習状況調査」、市町村教委がすすめる「学力テスト」、学校毎の市販の「学力テスト」、それに学校の教職員作成ないし市販のいわゆる評定のための「テスト」を受けさせるとなれば、「全国一斉学力テスト」もあわせて、二重・三重どころでは済まない数のテストによって学力に関して調査されることとなります。「重複する」ことを理由として「代替」を行うとしても3回~4回のテストで調査することとなり、ダブルスタンダートをはるかに凌ぐ状況が生まれます。子どもたちの負担はより一層増大し、それにかかる学校・教職員への負担も増加し、逆に学力向上のとりくみに支障を来すことが危惧されます。

このように、すでに40年前に破綻した手法を復活させ教育現場に強引に持ち込み、全国一律に悉皆でテストを行うことは、本来的な基礎学力の保障をすすめることや、様々な教育課題を解決しないばかりか、新たな「教育問題」を出現させ、公教育の解体や学校破壊に道を開くものであると指摘されています。

●2007年4月25日に実施された全国一斉学力テストについては、調査の内容や方法が、子どもたちや家庭の個人情報保護で重要な問題を生じさせ、埼玉県内のみならず全国各地で憂慮される事態となりました。さらに加えて、その採点が外部委託会社によって請け負われ、採点基準の不統一など多くの問題を生じさせました。

●文部科学省は、各都道府県別の結果を公表し、新聞などマスコミで報道されました。

・「家で学校の宿題をする児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」

・「読書が好きな児童生徒、家や図書館で普段から読書をする児童生徒の方が、国語の正答率が高い傾向が見られる」

・「朝食を毎日食べる児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」

など、「全国」「学力・学習状況調査」「分析」などと言われなくとも、毎日子どもたちと接して学習指導や生活指導に全力であたっている教職員ならみんな「実感」しているし、様々なとりくみでしっかりと認識しているいわば「わかりきった」ことが明らかにされているだけにすぎません。

一方「自尊意識・規範意識等」として、

・「学校のきまり・規則を守っている児童生徒の方が、正答率が高い傾向が見られる」

・「学校調査」においては「児童生徒が礼儀正しいと思っている学校の方が、平均正答率が高い傾向が見られる」

と、子どもたちの実態を無視して、ただ「規範意識」のみを押しつけるやり方は、教育のいとなみの本質に照らして大きな問題を持つものです。

●埼教組は、各都道府県教育委員会および市町村教育委員会に対して、市町村ごと学校ごとの結果公表は決して行わないよう強く求めています。また、県内の教職員・各地域の父母・住民のみなさんと、子どもの学力についての学習と論議を広げ、子どもの学力向上に役立たない全国一斉学力テストの中止を強く求めています。

Q18「埼玉県学力・学習状況調査」はとりくまなくてはならないのですか

●埼玉県教委は、いわゆる「埼玉県学習状況調査(以下:県学調)」を中学校2年生の全生徒を対象に5教科のペーパーテスト調査と質問紙調査を実施しています。

●この調査の「趣旨」は「本県児童生徒が学習内容をどの程度身に付けているかを把握するとともに、学習に対する興味・関心などの状況を調べ、課題を明らかにして学習指導の改善を図ることにより、確かな学力を育成する」とされています。

●本来、学習成果の定着状況を把握し、それに応じた課題を探り、当該児童生徒に合った学習活動、教育活動を組織していくことは、学校長を中心とした学校教職員の責務であり、そこに委ねられるべきことです。学校教育法や県教委の教育課程編成要領を引くまでもなく、日常の教育活動の自主性・主体性は学校と教職員にあります。教育行政が一律にこうした「テスト」を課すことは、日々学力保障に向け教材や指導法・評価等を工夫し懸命に努力している現場の教育活動への重大な介入とならざるをえません。

●2020年、コロナウイルス感染拡大の影響で2019年度の3月から安倍政権による、突然の一斉休校要請が行われ、2020年度6月に徐々に学校が再開されました。こうした影響を受け、文科省は「全国一斉学力学習状況調査」の中止を判断せざるを得なくなりました。

 これにともない、埼教組は県教委に対し、県学調の中止を求めましたが、県教委は数回の延期日程を示した後に、「市町村教委に実施の判断に委ねる」とし、県学調の実施の判断を市町村教委にまる投げをする、極めて無責任な対応をとりました。

 その結果、さいたま市を除く62市町村中、58市町村が実施の判断を行いました。時の政権の学校現場や地域実態を全く配慮しない一斉休校により、学びを止められざるを得なかった子どもたちに、悉皆による調査はもはや何を図ろうとしているのか、本質的な部分も失い、慣例的に行っている姿が露呈する結果となりました。

●2021年2月10日に行った青年部交渉において、義務教育指導課は2021年度の県学調について「令和3年度調査の実施につきましては、学校により令和2年の教育課程を令和3年度に繰り越す可能性があることから、例年より約1ヶ月遅い時期の実施とし、かつ、実施期間に幅を持たせることで、市町村や学校が任意に実施日を設定できるようにしております。」と回答しました。

Q19 学校評価についてどう考えたらいいですか

●学校評議員制度、通学区の弾力化とあわせて、県教委は「学校評価システム」について、「調査研究事業」として予算化し、「学校評価システム調査検討委員会」を設置して検討をすすめてきました。県教委は委員会での検討をすすめ、「学校評価システム調査検討に関する報告」をまとめ発表しました。この報告にもとづき、県立学校で設置され実施がすすめられています。

●県教委は埼教連の主張を大枠として認め、その方向で実施要綱を策定しました。とりわけ、

①教職員と保護者、生徒による「学校評価懇話会(仮称)」が提起されていること

②双方向性を明らかにしていること

③教職員の共通理解を求めていること

④従来の「学校評価」をベースとしているものとなっていること

などは、埼教連のとりくみの到達点として評価できるものとなっています。

●外部からの特定な「学校評価」を行わせ、「特色ある学校づくり」の名の下に学校間競争に走らせることのないよう、交渉結果と確認を守らせるとりくみが求められています。こうした教育の条理と現場の実態からの提言と主張をすすめることは、県教委の積極的な対応を引き出し、子ども・教職員・父母の立場に立った制度にさせていくことができることの証明となっています。

●文部科学省は、従来の「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」について、2007年6月の学校教育法の「改正」を受けて、新たに改訂し「学校評価ガイドライン」として2008年1月に策定し、各都道府県教委に通知しました。学校教育法施行規則で、

①自己評価の実施・公表

②保護者など学校関係者による評価の実施・公表

③自己評価結果・学校関係者評価の設置者への報告に関する規定

が設けられています。

 さらに、2015年6月の学校教育法等の改正により小中一貫教育の実施を目的とする義務教育学校の制度が創設されたこと等を受け、小中一貫教育の実施に当たっての学校評価の在り方に関する記述が追加されました。

●現在、いわゆる「学校評価」については、各市町村教委、各学校において、様々な内容での評価をすすめていますが、「学校評価ガイドライン」にもとづく評価をすすめることとなれば、「学校外部評価」が先行し、教育行政による権力的な「査察」を伴うものとなりかねません。「学校評価ガイドライン」は学校評価のとりくみ参考とひて、目安となる事項が示されているものであり、学校評価を行う上で必ずしも「学校評価ガイドライン」に沿って実施されなければならないという性質のものではありません。学校の教育の自主性を守り、発展させる方向での「参加と共同の学校づくり」をすすめる中で、学校評価のあり方を模索する必要があります。

●文部科学省は、2008年度から「学校支援地域本部」事業を予算化して、3年間で全国1800の全市町村を対象にすすめています。この事業は、校長・教職員、PTAなどの関係者を中心として「学校支援地域本府」を設置して、その下で地域住民が「学校支援ボランティア」として学習支援活動や部活動の指導など地域の実情に応じて学校教育活動の支援を行うとしています。

●埼玉県教委は、2005年度から「学校応援団」づくり事業を展開しています。これも「学校支援地域本部」と同様の機能をもつ「学校応援団」を学校毎  に設置し、保護者・地域住民が学習活動、安心・安全確保、環境整備などについてボランティア活動をすすめるとするものです。

●いずれの事業も学校の教育への介入や押しつけとならないよう、本来的な子ども・父母参加の学校づくりとして機能する方向で対処することが求められます。

●学校関係者評価委員会を新たに組織することにかえて、既存の学校評議員制度や学校運営協議会の機能として学校評価を位置付けている学校も多く存在しており、新たな問題も懸念されています。(Q20参照)

Q20 コミュニテイ・スクール(学校運営協議会)について教えてください

●1970年代までは、「国家教育権」の主張する教育政策と、「国民の教育権」を主張する国民運動との二向対立がありました。「父母の教育要求」と「教師の教育権の主張」が、当時は同じ向きのベクトルを持っていました。

1980年代に入り、管理教育、体罰教育などが問題となり、学校・教師不信が目立つようになり、教師と父母の連帯関係が崩れ始めていきました。教師への攻撃が強まる一方で、父母の教育件の声高な主張が行われました。

1990年代になると、管理主義教育の破綻を契機に、学校を単位とした生徒・父母の学校参加の形態が各地で発足するようになります。こうした背景から1998年、中教審「今後の地方教育行政の在り方について」において、国家的対応として学校評議員制度が制度化されました。

●コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)は、学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる「地域とともにある学校」への転換を図るための有効なしくみとされ、学校運営に地域の声を積極的に生かし、地域と一体となって特色ある学校づくりを進めていくことがその目的とされています。

 教育委員会が学校に設置するコミュニティ・スクールの主な役割は

 ①校長が作成する学校運営の基本方針を承認する

 ②学校運営に関する意見を教育委員会または校長に述べることができる

 ③教職員の任用に関して、教育委員会規則に定める事項について、教育委員会に意見を述べることができる

としており(地教行法代47条の5)、①学校の基本方針への承認権、②学校運営への意見具申権、③教職員人事への意見具申権の3つを具体的な権限として挙げています。指定学校の職員の任命権者は。当該職員の任用にあたり、コミュニティ・スクールで述べられた意見具申について「尊重」する義務はあるものの、従う義務は有していません。場合によっては、任命権者にとって都合の良い人事のみを「尊重」し、都合の悪い人事については「従わない」といった危険性を有しています。さらに教育委員会による「委員任命」、「運営協議会の指定取消」、「運営協議会の規則制定」と徹底的な教育委員会による学校、教職員の監視機関としてのコミュニティ・スクールが管理されていることも大きな問題です。

●2017年、地教行法改正により、コミュニティ・スクールの設置目的に「当該運営への必要な支援」の協議が追加されるとともに、設置については「努力義務化」されました。さらに法定委員に「地域学校共同活動推進員」、あるいは「学校の運営に資する活動を行う者」が加わりました。

 2017年改正の特徴はコミュニティ・スクールの監視機関としての機能はそのままに、「運営への必要な支援」へと重心が変化したことや、「地域住民」、「保護者」の意見を反映させる機関から、これらを「活用」する機関へ変化した点にあります。

 学力向上政策への保護者、地域住民の強制参加を強いるコミュニティ・スクールは学校参加の学校評議会とは似て非なるものです。公教育を「公助」から「自助」、「共助」へとまさに新自由主義型教育改革の要として変貌させるコミュニティ・スクールに私たちは反対しています。

Q21 人事評価制度について教えてください。

●県教委は、2006年4月から市町村立・県立学校の全教職員(含さいたま市)に「新たな教職員評価システム」にもとづく人事評価制度の導入を行いました。埼教組は埼教連として埼高教とともに、①拙速な導入反対、②賃金・人事・研修などの処遇への反映反対、③段階別評価反対を基調としながら、教職  員評価の原則を提起し、子ども・父母・地域参加の学校づくりの中での評価のあり方を対置してたたかいをすすめてきました。

●埼玉県教育委員会は、11月10日に「埼玉県市町村立学校職員の勤務成績の評定に関する規則」を廃止し、2006年4月1日から施行する「埼玉県市町村立学校職員の人事評価に関する規則」を定めました。また、規則の実施要領を策定し各市町村教育委員会・学校に周知しました。

「教職員の新たな人事評価制度」に関する埼教連と県教委の団体交渉確認事項

1.賃金・処遇との連動について賃金・処遇との連動については、今後の検討課題であり、埼教連との交渉事項である。
2.評価者評価について評価は絶対評価とし、調整後も絶対評価である。
3.教職員評価の原則として
(1)教育活動の特性を十分踏まえたシステム運用について
教育活動の成果は、すぐ現れるものもあれば長い期間かかるものもあり、また 定量的に計りがたい特性を持つことを踏まえ、競争原理による成果主義を導入している民間企業や行政であらわれているような過度の結果主義に陥らないようにするため、目標設定から評価にいたるまで教育論議が深まっていくようなシステム運用が大切である。
(2)教職員の教育活動の特性と力量向上に必要なことについて
教職員の教育活動は、その特性から教職員の自主性、共同性、専門性を尊重しなければならない。
(3)納得性を高めるため、相互の共通理解・意思疎通を基調とする制度運用について
教職員評価が学校の教育力を高め、教職員の教育的力量を高めるよう機能するためには、評価者と被評価者は、評価するものと評価されるものという対立  軸ではなく、評価をめぐって目標・困難度設定から最終評価にいたるまで相互の共通理解と意思疎通を基調とすることが重要である。
(4)自己評価を基本とすることの意味について
教職員が専門性を高め、その自らの力量を高めるためには、自らの力量を高めようとする内面的な動機が尊重されなければならない。そこで、自己評価を基本とする制度運用が徹底されなければならない。
(5)自己評価を基本とすることについて
①目標設定と困難度設定について
目標設定と困難度設定は、教職員が学校の実態から出発し、職員会議等で論  議を深め、共通理解を形成しながら決定した学校教育目標や「目指す学校像」にもとづき、分掌・学年・教科等の会議で十分論議を行う深められた内容を踏まえて設定するものである。
②面談について
面談は、相互理解を深めるために行うもので、評価者は、本人から学校運営や教育条件整備などの要望を十分聞き、評価する際も具体的な意見交換にもとづく共通理解を踏まえて評価を行う。
③評価結果を本人と共通理解を図る努力について
評価結果について信頼性・納得性を高めるため、県教委に報告する前に本人と共通理解を図るよう努力するものである。
④校長の学校運営と制度運用の在り方について
校長は、学校全体の教育力と教職員の教育的な力量を高めるため、教職員が自主的、主体的に学校運営に参加し、学校自己評価システムなどを活用し学校教育の総括活動の中で教職員が自己評価を深められるよう学校運営を行う。
4.授業観察について
授業改善を目的に、教員の専門性を尊重し行うもので、「評価基準」にもとづいてチェックを行うものではない。

●県教委は、2006年度から実施した人事評価制度について、2008年度から制度内容を改訂しました。

●2014年、地公法改訂にともなう人事評価システムの「見直し」に関する埼教連交渉(2014.12.26)において以下のように回答しました。

評価に当たって、「教職員の資質・能力の向上とチームワークづくり、学校の教育力向上」、「成果主義的な評価はなじみにくいという教員の職務の特殊性」を考慮し、「短期」で「個人の成果と報酬を明確に連動させた、いわゆる成果主義的な較差を極力つけるものではな点に十分考慮して制度設計するとともに、そのことを教職員が理解できるよう周知を行っていきたいと考えております。
(中略)
教育活動における「経験」の蓄積や「年齢」の積み重ねにより得られる豊かな人生経験は、子どもとの関わりにおいて専門性を深めるために重要なものと考えております。
また、学校における教育活動の特性として、その成果はすぐに現れるものもあれば、長い間を要するものもあることから、年度末の成果や結果だけではなく、その取組のプロセスを重視することが肝要であり、長期にわたる地道な職務貢献のように短期の評価に表れにくい要素も考慮した制度とする必要があると考えています。
また、活用にあたっては教育の特性を踏まえ、専門性を高める教職員の経験の蓄積を尊重する観点で原則として単年度の評価による昇給ではなく、複数年度の長期的な観点を入れた制度にしていきたいと考えております。具体的には、長期にわたる地道な職務貢献のように短期の評価に表れにくい要素の活用という観点から、毎年度の評価を積み上げるような仕組みを検討し、それを長期的な評価の基礎として活用する形で運用してまいりたいと考えております。
 こうした長期的な観点を取り入れ、教員の指導力や勤務実績を適切に把握し、評価をしていくことで、教職員にさらに意欲と自信を持たせることにより、資質能力の向上に努めてまいりたいと考えております。

 交渉回答が示すように、埼玉県における人事評価システム及び昇給システムは、「長期的な観点」から評価及び活用の制度設計となっています。そのため、制度の構造上、単年度任用を前提(原則)とした職員に適用することは原則的にできない制度になっています。このことは、2018年度の再任用短時間職員・臨時的任用職員・任期付職員への人事評価の実施に関する交渉においても、解決することのできない矛盾として焦点化した問題でした。そのため、県教委は、人事評価実施要領と区別した「別枠運用」を新たに導入せざるを得ませんでした。

●2020年度は地公法改定による新たな人事評価システムが施行されてから6年目、再任用短時間勤務職員・臨時的任用職員・任期付職員への人事評価が拡大されて2年目を迎えていますが、各学校の実態には運用上の課題がまだまだあります。とりわけ「別枠運用」については深刻な実態であり、定着には程遠い状況にあるのが現実です。

●新たにスタートした会計年度任用職員制度(Q22参照)への人事評価の実施は、埼玉県における人事評価システム及び昇給システムの運用を混乱させるものであり、これまでの交渉結果を踏まえても認められるものではありません。2020年度の埼教連交渉において、私たちは当局から以下のような回答を引き出しました。

「人事評価システム及び再任用職員の処遇改善に関する二次要求書」に基づく埼教連交渉回答(抜粋)

  本県の人事評価システム及び昇給システムは、教育活動の特性を踏まえて「長期的な観点」から制度設計されたこれまでの経緯については認識しております。従事する職務の性質の違いから、会計年度任用職員の人事評価の取扱いを別に定めることとします。
  現行人事評価システムから完全に独立した制度・運用とし、埼玉県立学校会計年度任用職員の人事評価実施要領並びに埼玉県市町村立学校会計年度任用職員の人事評価実施要領を新たに定め、運用することとします。 

「多忙化」解消・負担軽減の観点から、最大限簡略化した制度・運用とすることを当局に対して強く求めるとともに、人事評価・再任用問題等に関わる内容は引き続き丁寧に協議することを求めています。

Q22 会計年度任用職員制度について教えてください

●2017年の地方公務員法の改正により、これまでの臨時的任用職員や一部の非常勤の特別職員は、2020年4月から「会計年度任用職員」としての任用が始まりました。

 会計年度任用職員は、地方公務員法第22条の2の規定に基づき任用される非常勤職員であり、これまでの臨時的任用職員や非常勤の特別職員と比べて、休暇、福利厚生、手当等の拡充がされるとしていますが、「会計年度」に限った任用(雇用)が法制化されることから、低賃金・低待遇の上に、いつでも首切り自由の無権利職員がさらに増大することが危惧される一面もあります。さらに、服務規律(守秘義務や職務に専念する義務等)が適用され、かつ、懲戒処分等の対象にもなります。

●2019年、埼教連「2019年度賃金・労働条件等に関する重点要求書」にもとづく交渉で会計年度任用職員制度への移行について、県教委は「総務省により限定された職については特別職非常勤職員、それ以外の職については会計年度任用職員の職にそれぞれ任用する制度に移行します。」と回答し、以下のように整理をしています。

会計年度任用職員制度への移行に向けた非常勤職員・臨時職員(学校配置)の職の整理一覧(抜粋)
これまでの分類職名具体的な業務内容新制度への
移行の内容
担当課
特別職非常勤非常勤講師非常勤講師の業務会計年度任用職員
(一部、報償費対応)
県立学校人事課
小中学校人事課
特別職非常勤障害者非常勤職員事務補助、環境整備業務補助の業会計年度任用職員県立学校人事課
小中学校人事課
特別職非常勤障害者就業補助員障害者非常勤職員の業務監督、業務補助及び支援会計年度任用職員県立学校人事課
小中学校人事課
特別職非常勤部活動指導員部活動における実技指導、学校外での活動(大会・コンクール・練習試合等)の引率等会計年度任用職員保健体育課
高校教育指導課
特別職非常勤スクールカウンセラースクールカウンセラーの業務会計年度任用職員生徒指導課
特別職非常勤スクールソーシャルワーカースクールソーシャルワーカーの業務会計年度任用職員生徒指導課
特別職非常勤教育相談員生徒、保護者、教職員等に対する教育相談や情報提供等の支援会計年度任用職員生徒指導課
臨時職員産育引継賃金職員産休・育休代替職員の引継対応報償費対応県立学校人事課
小中学校人事課

●2019年度の地公労(地方公務員労働組合共闘会議)賃金確定交渉では、会計年度任用職員制度が施行される2020年4月以前(2019年度)に非常勤講師として勤務していた方で、2020年度の報酬月額が2019年度を下回る場合、2020年4月から6月までの間、2019年度と同額とする経過措置を要求し、実現させました。さらに、病気休暇(私傷病)については無給で10日の日数を90日まで拡充させました。

●2020年度の地公労交渉では、会計年度任用職員の通院休暇、通勤緩和休暇について、有給休暇を実現させました。さらに夏季休暇については週1日の勤務を除き、全ての職員に最低3日を付与する(また、非常勤講師の発令を合算した勤務日数に応じた夏季休暇を付与)ことも実現させました。

●会計年度任用職員制度については、これまでのたたかいの中で、上記のように埼玉県では無給ではあるものの90日という長い期間を獲得し、雇用を継続するという点では一定の前進です。しかし、有給休暇でなければ、当事者は安心して休むことはできません。この点について、引き続き改善を求めています。

●県教委は2021年度から会計年度任用職員への人事評価を実施したいと逆提案を示しました。これに埼教連として交渉を重ね、また、これまでの交渉の経過も踏まえ、会計年度任用職員については、現行人事評価システムから完全に独立した制度・運用とし、埼玉県立学校会計年度任用職員の人事評価実施要領並びに埼玉県市町村立学校会計年度任用職員の人事評価実施要領を新たに定め運用することと、その内容については可能な限り簡略化を図り、負担を極力減らした形で実施することを確認しました。

●会計年度任用職員制度については制度化されたばかりであるがゆえに、その処遇や賃金・労働条件が市町村によっても格差があることが全国的にも問題として挙げられています。埼玉県内においては、2020年12月東松山市の学校事務補助として勤務する市費採用の会計年度任用職員に対して、東松山市教委から財政難を理由に一方的な賃金・労働条件引き下げ提案を示しました。これに対して埼教組比企単組、比企労連が交渉を行い、白紙撤回させました。さらに第2回目の交渉では勤務条件の改善を求めた交渉を行い、有給休暇の獲得、残業代の支給等を獲得、昇給を認めさせました。

Q23 育児休業代替(任期付職員)について教えてください

●育児休業代替任期付職員(任期付職員)は育児休業を取得する職員の代替として勤務する職員で、正規職員と同様の職務に従事します。

 任期が定められていることを除き、勤務条件(給与、勤務時間、休暇、服務等)は、原則として正規教員と同等の扱いになります。ただし、育児休業を取得することはできません。

●2019年、「2019年度賃金・労働条件等に関する重点要求書」もとづく埼教連交渉において、本務者の育児休業期間が1年を超える場合、育児休業の代替職員等については、任期付職員としての任用とし、複数年にわたって同一校に配置することができるように改善を求め、実現させました。

Q24 「指導不適切教員」の研修制度、「職務遂行能力不足職員」の研修制度はどのようなものですか

《指導不適切教員》

●中央教育審議会は、1998年9月に「地方教育行政の在り方について」と題する答申を行い、地方教育行政に対する「規制緩和」と学校への「管理統制」を貫徹する方針を打ち出しました地方教育行政の在り方を定めた「地教行法」の中に「不適格教員」の転・免職を盛り込む改悪案が強行されるなど、大掛かりな「国策」として導入がすすめられ、教育行政の権限強化と併せて、安上がりな教育、そのための教職員のリストラ法と言わざるを得ない教職員の切り捨て政策が打ち出されました。

●埼教連は制度導入にあたって、次の確認を行いました。

(1)「指導力とは何か」を問う中で、「指導力は集団性と共同性がある」ことを明言させ、個人の問題に帰結させない確認を行わせました。

(2)教育困難打開に向けて「学校の教育力向上」が課題であることを主張し、校長は「校内の協力体制」を確立することが不可欠であることを認めさせました。

(3)制度導入にあたって、いわゆる「指導力不足教員」を「特定するものではないこと」また、市町村教育委員会・学校長によって「恣意的な運用を行わないこと」を明言させました。

(4)制度の運用にあたって、本人はもちろん本人以外の教職員の意見も聞くことを制度上明らかにさせました。

(5)「教育上の指導困難を抱える教員」について具体的に明らかにし、いわゆる「指導力不足教員」の概念について限定させました。

①子どもなどの状況によって指導困難となった場合は、様々な手だてを講じて支援を行う。

②病気が原因で指導困難となっている場合、勤務軽減措置やメンタルヘルスで対応する。

③障害を持ったために困難な場合は、施設・設備及び人的配置等の配慮を行う。

④セクハラや体罰など反社会的行為については現行法制度に基づき厳格に対処する。

⑤上記のほかに様々な措置を講じた上で、特別な配慮が必要とされる場合は、個別の対策を講ずること。

●こうしたとりくみの結果、いわゆる「指導力不足教員」として認定された場合、職場を離れて1年間の研修を行うとする「指導力不足教員に関する要綱」が制定され、2001年7月より施行されました。また、埼教連の要求によって、要綱の施行に伴って県教委は「指導力不足教員に係る人事管理制度について」と題する通知(以下=「通知」)を発出しました。これら要綱・通知には、埼教連交渉で確認した到達点を各所に盛り込ませることができました。

県教委は「なによりもまず、指導力不足教員を出さないことが肝要である」と報告し、「通知」では「本制度の実施に際しては、恣意的に指導力不足教員の特定を図ることなく適正な運用に努めることが肝要である」と結んでいるように、この問題は、職場でいわゆる「指導力不足教員」を出さないために何が求められるのかが問われています。

●この制度は、2005年度に見直しが行われ、

①「指導力不足教員」に対する研修期間に短期間(6ヶ月)を設ける。

②「児童生徒を適切に指導できない教員」に対する指導・助言を行う際に県からも何らかの支援を行うこと。

③「指導力不足教員」の認定の解除を判定会議で行うこと。

などの内容で要綱の改定が行われました。

●2007年に「教育公務員特例法の一部改正」が成立、公布されました。その概要は「指導が不適切な教員の人事管理の厳格化」であり、埼玉県で運用し実施している「指導力不足教員の研修制度」にも大きな関わりがあるものでした。とりわけ、「任命権者は…指導の改善が不十分でなお児童等に対する指導を適切に行うことができないと認める教諭等に対して、免職その他必要な措置を講ずるものとする」(25条の3)とされています。

●埼教連は県教委と交渉を重ね、従来の「指導力不足教員に関する要綱」を法「改正」を受けて、「指導が不適切な教員に関する要綱」と改定しました。

①県教委がこれまでに示してきた「学校の協力体制づくりが必要」「指導力不足教員を特定することを目的とするものではなく、何よりもまず、指導力不足教員を出さないことが肝要である」、「恣意的に指導力不足教員の特定を図ることなく適正な運用に努めることが肝要である」とした立場を堅持すること。

②県教委として指導力不足教員を出さないために、教育条件の整備と労働環境の改善について全力であたること。

③指導力不足教員に対して処遇に関わる「分限処分」「退職強要」「査定昇給」等と関連させた取り扱いは行わずに、慎重な対応をすること。

上記のことを確認したうえで、要綱を策定し運用することとなりました。

《職務遂行能力不足職員》

●県教委は2007年度に、県立学校及び市町村立学校の行政関係職員(小中学校においては学校事務職員・学校栄養職員)に係る「職務遂行能力を十分に発揮できない職員に関する要綱」を定めて、2008年度より運用を行いました。

●制度の内容は、

①年度当初に、「職務能力不足」「意欲不足」「勤務態度不良」等のため、職務遂行に支障が生じている学校事務・栄養職員を、校長からの報告にもとづき、県教委に申請をする。

②県教委に設置された「職務遂行能力審査会」が認定をする。

③指導・研修が必要と判定された職員は、学校内などで「研修」を受ける。研修は所属長(校長)が計画を立てて実施する。

④研修終了後に、研修状況の報告にもとづいて「職務遂行能力審査会」が、認定解除(職場復帰)、指導継続(引き続き研修を受ける)、退職勧告等を行う。

とされています。

●県立学校、市町村立学校における職員は、学校事務、学校管理、学校図書管理、給食業務等々において重要な役割を担い、日々その職務遂行に励んでいます。近年、長時間過密な労働の状況は、教員ばかりでなく行政職員、学校事務、栄養職員も、時間外勤務の増、仕事の過密化がすすんでいます。これによる病気休職者、精神疾患の罹患も生じています。「職務に関する能力」「仕事に対する意欲」「勤務態度」などについて何をもって「支障をきたす」と判定するのかまったくあいまいです。

●審査会の構成や審査の基準、認定の是非の基準なども不明朗なものとなっています。校長が、学校事務職員の仕事の細部について理解しきれるのでしょうか。栄養職員の仕事の専門性に対して「能力不足かどうか」「意欲があるかないか」など判断できるのでしょうか。また、「指導」「研修」となったら、実  際に「何を」「どのように」指導できるのかが全くあいまいなままです。

●制度では、改善が見られない場合は、指導力不足教員の研修制度にはない「退職勧告」ができるとされていることも重大です。さまざまな手だてが講じられず、教育条件や勤務条件の整備が行われない中で認定され「退職勧告」まで行えるとなれば本人の一生の問題となります。

●埼教連は交渉を行い、要綱策定の撤回を求めながら交渉回答を確認しました。

①申請にあたり、恣意的対応を行わないことを保障するよう、様々な機会での本人との共通理解をはかること。

②職場において様々な手だてを講ずることや、集団的な検討をすすめること。

③認定にあたり病気・障害・非違行為等は対象外とすること。

④「退職勧告」は行わないこと。

などについて制度の適切な運用を求めています。

Q25 障害児教育について教えてください

●学校教育法等一部「改正」で、2007年4月より「特別支援教育」が本格的にスタートし、小~高での通級指導教室、高校内分校も設置されました。いままでの障害児学校や障害児学級が対象としていたものに、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥性障害)、自閉症スペクトラム症など発達障害の子どもたちを加えた形で特別支援教育と規定しました。法律上は盲・ろう・養護学校から特別支援学校、特殊学級から特別支援学級へと名称変更され、制度と役割が変わりました。

●わたしたちは、新たにLD、ADHD、自閉症スペクトラム症の子どもたちを含めて、すべての子どもたちの豊かな発達を保障する教育が必要であることをふまえて障害児教育と呼んでいます。国・文科省は障害児学校を特別支援学校とし、全ての障害種を対象とする学校に変えようとしていますが、それでは障害の軽減・克服も含め、障害に応じた専門的な教育の保障ができません。また、障害児学級を特別支援学級にして、発達障害の子と既存の障害児学級が対象としていた子を教育する場にしようとしています。新たな教員配置も条件整備も行おうとしていません。全くの安上がり政策そのもので、障害児教育の後退をまねくおそれもあります。その点を踏まえて、障害児教育と特別支援教育と区別して使用します。

〈特別支援学校〉

●学校教育法の一部改正で、次の3つの新たな役割が障害児学校に求められることになります。

①地域の障害児教育の支援等をおこなうセンター的機能

②障害児学校の多様な障害種に対する専門的機能

③通常学級に在籍するLD、ADHD、自閉症スペクトラム症など発達障害の子どもたちへの特別な教育支援の機能

しかし、こうした新たな役割を果たすうえで当然必要な教職員配置が法律上も予算上も制度化されていません。

●特別支援教育体制への移行は、LD、ADHD、自閉症スペクトラム症など発達障害の子どもたちの教育が注目されるなどの積極的な側面があります。しかし、基本は各学校の教職員の努力にまかされ、多少の教職員加配があっても地方自治体の負担によることになります。LD、ADHD、自閉症スペクトラム症など発達障害の子どもたちを教育の対象にすれば、新たに現在の4~5倍(国の調査では6.3%、埼玉県では10.5%の在籍)の人数の子どもたちが障害児教育の対象になります。にもかかわらず、国と埼玉県ではそれに見合う抜本的な教職員増や予算措置を怠り、現場の混乱を増幅しているのが実態です。

●2006年10月から本格施行された障害者自立支援法は、原則1割の応益負担が導入され、各地で施設からの退所や利用日数の抑制が起きるなど障害者の自立が阻まれ、障害者の生存権そのものが脅かされています。障害児教育も同様です。特別支援教育体制への移行も、基本は「教育の論理」よりも「コストの論理」が優先されてすすんでいます。一人あたりの教育費が健常児の「10~11倍」であることがことさら強調され、「障害児教育の目的は『タックス・ペイヤー』(納税者)を育てること」などということが公然と語られています。すでに一部の自治体では特別支援教育の先取りとして、障害種を越えた特別支援学校に再編することで教職員を大幅に削減し、障害児学校においては担任教員を大幅に減らし、地域支援担当教員に回すなどの事態が起きています。

●特別なニーズが必要なすべての子どもたちを視野に通常学級も障害児学級も通級指導教室も障害児学校もそれぞれの学習の「場」が充実し、連携した支援体制の確立が求められています。障害児教育の教育条件は現状でも極めて不十分です。今こそ、保護者・父母、教職員、関係者が子どもを「真ん中」にしっかり手をつなぎ、「権利としての障害児教育」、2006年12月国連総会で採択され、2008年5月国内で発行した「障害者の権利条約」で掲げる「インクルーシブ教育」を大きく発展させることが求められています。

〈インクルーシブ教育〉
 インクルーシブは「包含する」という意味があります。インクルーシブ教育の範疇は、決して障害のある子どもではなく、母国語が話せない子、帰国子女、外国籍の子、貧困で学校に行けない子、等も含まれます。
 障害児教育の場合は、障害のある子どもたちが、障害のない子どもの教育に含まれる、という状態をさすように理解する場合があります。極端に言えば障害のある子が「通常の学級で学ぶ教育」を指すと理解する場合です。しかし、これは正しくありません。障害を軽減・克服するなど障害そのものへのとりくみ、専門的な教育の保障やさまざまなサポート、バリアフリーを保障する施設・設備、使用する教材・教具の配慮、科学的研究と実践で深められた指導法・指導理論の導入、医学的な最新治療の導入、障害のある子自身の自己理解等が、その教育の中身として求められます。
 同年齢の人と同等の社会参加が保障される配慮が必要ですが、やみくもに「包含」されればいいのではありません。普通教育のなかで障害に応じたインクルーシブ教育が追求することが重要になります。

●地域に根ざし、障害種別の専門性を大切にする障害児学校を基本として、私たちは障害児学校の設置にあたっては各障害に応じた専門的な実践の蓄積を大切にすることを主張しています。安易に障害種別を超えた総合的な学校にすることなく、障害種別の専門性を大切にします。地域の事情で総合的な障害児学校を設置する場合にも、障害種別に「部門」を設けるなど障害種別の専門性に配慮する必要があると考えます。

●わたしたちは、発達障害をもつ生徒の居場所(安心して過ごせる場、自己肯定感が育てられる場)と学習権保障(将来の自立に向けての力量が育てられること)が統一的に保障される必要があると考えています。そのために、行政の責任で、発達障害の生徒が学ぶ多様な場での公的な責任による教育条件整備と教育課程の充実が必要です。

●病気による入退院を繰り返す子どもたち、難病の治療で長期入院や在宅治療を必要とする子どもたちの教育を保障するうえで、訪問教育の充実が欠かせません。教員の訪問に要する時間短縮や訪問回数を増やすためにも、教員の配置をはじめ、訪問教育を実施する学校種を障害児学校に狭めることなく、地域の障害児学級でも実施していくことが必要です。

〈特別支援学級〉

●特別支援学級と名称変更されたものの、学級制度を維持させることができました。国・文科省は「特別支援教室構想」といって、障害児学級を「特別支援教室」(通常学級に籍を置いて、障害に応じた教育を新たな通級の方法で受ける)へ変える方向を打ち出しています。

これからも、障害をもつ子どもたち一人ひとりにゆたかな教育を保障していくために、安心して関われる集団と発達段階に応じた生活と学習が行なわれる「発達の場」としての障害児学級をいっそう充実させていくことが求められます。また、埼玉においては身近な学校で障害児学級の教育が受けられるように、全校に設置させることも必要です。

Q26 通級指導教室ではどんな子どもを対象にしていますか

●通級指導教室は、通常学級に在籍しながら言語障害、自閉スペクトラム症、情緒障害、弱視、難聴、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などの障害をもつ子どもたちに週数時間、障害に応じた教育を行う場です。通級指導教室が設置された学校の子どもが通う校内通級と、他校から設置校へ通う校外通級の二通りがありますが、埼玉では設置校が少ないため、大半は校外通級となってしまいます。この通級指導教室で学ぶ子どもたちも年々増えています。

●特別支援教育にかかわって、通常学級に在籍するLD、ADHD、自閉スペクトラム症などの発達障害の子どもたちの教育が喫緊の課題とされ、新たに通級指導教室の対象とされました。しかし、現状の通級指導教室は担当教員が多くの子どもたちを受け持っているにもかかわらず、発達障害に専門的に対応する通級指導教室や担当教員を増やさないまま対応させようとしています。これでは、発達障害の子どもたちへの適切な教育や通級指導教室での豊かな教育を望むことはできません。発達障害を含む特別なニーズをもつ子どもたちの通級による教育を充実させていく上から、通級担当教員を増やし、身近な学校で課題にかなった通級の教育を受けられるようにしていくことが必要です。

●国は2017年度より、通級指導教室担当教員を10年間かけて基礎定数化させるとしました。2019年9月、県教委は「通級による指導の教員配置事項」を発出しました。発達・情緒障害は児童生徒数13~25人で教員1人、26~38人で2人、39~51人で3人としました。

 義務標準法では、「児童生徒13人につき教員1人」となっているのにも関わらず、県教委は13人未満の教室の設置を認めませんでした。このことにより、早くから子ども集めがされる弊害が起きています。

●通級指導教室に通う子どもたちは、通常学級で友だちとうまく折り合いをつけられよう指導を受けています。そのため、通常学級の学級運営がどんな仲間も受け入れられる状況であることが望まれます。現状の通常40人学級では担任が一人の子どもたちに目が届かず指導しきれないという悩みもきかれます。そのため少人数学級になることが発達障害の子どもたちが居やすい学級になっていくと考えます。

Q27 教員免許更新制の問題について教えてください

●免許更新制度は2007年6月の改正教育職員免許法の成立により、2009年4月1日から導入されました。

●免許更新制のポイントを次のように説明しています。

 ①最新の知識技能を身につけること

 ②2009年4月1日以降に授与された教員免許状(新免許状)に10年間の有効期間が付されること

 ③2年間で30時間以上(必修領域講習6時間以上、選択必修領域講習6時間以上、選択領域講習18時間以上)の講習の受講・修了が必要

 ④2009年3月31日以前に免許状(旧免許状)を取得した者にも更新制の基本的な枠組みを適用する。

●おおまかな免許更新の流れは次のようになります。

 ①有効期間の満了の日を確認。もしくは最初の修了確認期限を確認する

 ②受講資格を確認

③各自が文科省や大学のホームページ等を確認して、受講したい免許状更新講習を選択(対面式講習とインターネット等を活用した通信式講習の2種類がある)

 ④各自が各大学等に受講を申し込み

 ⑤各大学等で免許状更新講習を受講

 ⑥講習の過程を修了

 ⑦県教委(免許管理者)に免許講習修了確認の申請を、修了確認期限の2ヶ月前まで(1月31日)に行う

ここまでを全て各自で行うのです。つまり教員の「自己責任」ということです。

 ⑦免許管理者が免許講習修了確認を行い、有効期間更新証明書または更新講習修了確認証明書を発行

 ⑧次の有効期間満了日または修了確認期限(10年後)まで有効

●年間およそ9万人以上の教員が対象となるのに財政的な裏づけはなく、受講料や交通費、宿泊費などは自己負担になります。また開設講座の数も少なく、常にホームページを検索しチェックしなくてはなりませんし、開設している大学によっては遠方に出かけることにもなります。

●埼玉県では2020年度現在、深刻な育休、産休、一月以上の病休等による代替が見つからない、「未配置・未補充問題」が全県的な問題となっています。代替申請をしても代替者が見つからない要因の一つにこの免許更新制度が挙げられます。

 中央教育審議会初等中等教育分科会新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会 関係団体ヒアリングにおける教員免許更新制に関する意見(抜粋)では、以下のような各団体からの意見が挙げられました。

全国特別支援学校長会(2020年10 月 28 日特別部会)

教員免許更新制度は、教員の大きな負担になっている。また、代替職員等を探す際に、免許を更新していないために採用できないことも多い。教員免許更新制度については、ぜひ、 総合的に見直しを検討して頂きたい。 


全日本教職員組合(2020年10 月 29 日特別部会)

員未配置の要因のひとつであり、教員の負担増となっている教員免許更新制度は廃止すべき。教員免許更新制が教員の多忙感を増大させ、未更新者が教員未配置の要因となっていることはあきらかである。また、教員の更新講習に係る負担は大きい。ただちに教員免許更新制度を廃止すべきである。

 2020年12月21日、「2020年賃金・労働時間等に関する基本要求書」に基づく埼教連交渉の最終回答において、「未配置・未補充」の問題に関して県教委は「あってはならない重大な事態であり…(中略)…県教育委員会といたしましては、機会を捉え、免許更新制に関する皆様のご意見を国の担当者に伝えるとともに、未配置・未補充の解消に向け、これまで以上に取り組んでまいります。」と回答しています。

 教員免許更新制は深刻な教員不足を起こしかねず、特に埼玉県では臨時的任用教員率や臨時免許発行数に目を向ければ、教育の未来にかかわる大問題でもあります。引き続きこの制度の廃止を強く求めていきます。

第2章 権利

Q28 私たちの労働条件はどのようにして決められるのですか

 ●憲法25条は、国民に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を有することを保障する一方、憲法28条で「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利はこれを保障する」と定めています。これは、勤労者にとってのふさわしい待遇は、団結力と団体行動をする権利を背景にした団体交渉によってのみ実現できるものであり、そのことを権利として保障すべきであるとの考え方にたつものです。

●さらに、こうした憲法の理念を具体的に保障すべく制定された労働基準法も、1条1項で「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」とし、2条1項で「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである」ことを定めています。

●しかし、私たち公務員は地方公務員法58条で労働基準法2条は適用除外になっており、これに代わって「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める」(地方公務員法24 条)としています。

私たちは地公労(埼玉県地方公務員労働組合共闘会議:埼教組・埼高教・県職)で県当局と交渉し、その合意した範囲で、自らの労働条件を決めています。

●埼教組のような「適法な職員団体」は、勤務条件に関して当局と交渉する権利が保障され、勤務時間内に交渉することも認められています。(地方公務員法55条1項、8項)条例、規則に抵触しない限り、書面による協定を結ぶことも出来ます。(同条9項)ですから、職場の労働条件について分会が校長と  交渉してこのようなことを行うのは当然のことです。

Q29 勤務日(勤務を要する日)と休日について教えてください

●週休日、学校職員の休日以外は「勤務を要する日」です。勤務を要する日に、勤務しない場合には以下のような休暇等の取得手続きが必要です。

①年次休暇

②病気休暇

③特別休暇

④組合休暇

⑤介護休暇及び介護時間

⑥職務専念義務免除(職専免)

●「休日」とは、日曜日などの「週休日」と「国民の祝日に関する法律に規定する休日」「12月29日から翌年の1月3日までの日」を指定して使われています。休日の中でも「週休日」と、条例に定められた「休日」(祝祭日など)とは厳密には異なります。「学校の開校記念日」は、2008年より休日とは認められなくなりました。(学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例4条及び10条)

●「休日」には原則として勤務を命ぜられることはありませんが、特に勤務を命ぜられた場合、勤務することを命じた時間に相当する時間を休日後の勤務日等に割り振られた勤務時間中に指定しなければならないことになっています、(学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例 11 条、同規則7条)

●「週休日」とは勤務時間を割り振らない日をいい、学校では日曜日、土曜日を指します。週休日は賃金支給の対象とされておらず、勤務を命じられた場合は代日休暇が与えられることになっています。(学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例4条)

 ●「休業日」は、学校教育法施行規則47条及び「管理規則」によってきめられています。休業日は、授業等は行われず、通常、児童・生徒は登校しません。教職員にとって、休業日は、「勤務を要しない日」ではないので(週休日とは異なる)、賃金は支給されます。賃金が支払われる限りその使用従属関係が存在し、夏休み等の研修をめぐってトラブルがおこりやすくなっています。夏休み中でも必要な業務のある場合は出勤しますが、「休業日」は、教育対象である児童・生徒が登校しないので、教職員も自宅研修などを行うことができます。

●組合は、1971年7月1日、文部省(当時)との問で中央確認事項として、「休業日」を以下のようにあつかっています。夏休み中などの「日番」は、本来は教職員 の業務ではありませんが(校長・教頭などの業務である)、学校運営全体をその構成員である教職員としての立場も考慮して、そのあり方について検討することが重要です。

中央確認事項(1971.7.1)

 教職員の勤務時間管理については、教育が特に教職員の自発性・創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことおよび夏休みのように長期の学校休業期間であること等を考慮し、正規の勤務時間内であっても業務の種類・性質によっては、承認の下に学校外における勤務により処理しうるよう運用上配慮を加えるよう、また、いわゆる夏休み等の学校休業期間については教育公務員特例法第19条(現21条)(研修)および第20条(現22条)(研修の機会)の規定の趣旨に沿った活用を図れるように指導する。 

Q30 教職員の勤務時間(労働時間)はどのように定められていますか

●私たちの勤務時間は、労働基準法を根拠として「学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例」(以下「勤務時間条例」)と「学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則」できめられています。

●労働基準法32条は、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。」また同条2項で「休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない」としています。

●「勤務時間条例」は3条で「学校職員の勤務時間は、休憩時間を除き、四週間を超えない期間につき一週間当たり三十八時間四十五分とする。」と原則を定めています。

 育児短時間勤務の承認を受けた学校職員については、3条2項で一週間あたりの勤務時間は、当該承認をうけた育児短時間勤務の内容に従い、県教委が定めるとしています。

 再任用短時間勤務職員については3条3項において、休憩時間を除き、四週間を越えない期間につき一週間当たり十五時間三十分から三十一時間までの範囲内で県教委が定め、任期付短時間勤務職員については、3条4項において四週間を越えない期間につき一週間当たり三十一時間までの範囲内で、県教委が定めるとしています。

また、学校職員については、4条2項で「月曜日から金曜日までの五日間において、一日につき七時間四十五分の勤務時間を割り振るものとする」と定めています。

Q31 勤務時間の割振りについて説明して下さい

●「勤務時間の割振り」は通常毎年度当初に、毎週恒常的に反復継続しておこなわれる正規の勤務時間をあらかじめ定めておくことです。その日の都合によって随時勤務時間を変更するのは、「勤務時間の割振り」ではありません。各市町村立小中学校管理規則によると「割振り」は、校長が行うものとなってい  ます。しかしこれは、その権限を校長が恣意的に且つ一方的に行使してよいということではありません。地方公務員法第55 条は「地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関  し、適法な交渉の申入れがあつた場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとする。」と定めており、「割振り」および「割振り変更」は勤務条件そのものですので、分会と校長との交渉事項になります。

●2004年より導入された「割振り変更簿」の活用により、長時間過密労働を少しでも緩和することは、重要な手段です。県教委は、「教材研究・持ち帰り仕事以外は割振り変更の対象」と回答していますから、7時間45分の勤務時間からはみ出た部分については、変更簿に記入し後16週で調整することができます。

●通常の勤務時間の割振りを臨時に変更した場合にとられる措置を振替とよびます。大別して次の2通りとなります。

週休日等の割振り変更の運用について【別記】2020.3.31 教県第1090号
1 週休日の振替について
(1)週休日に勤務を命ずる場合には、原則として1日単位として勤務を命ずることとし、やむを得ない場合に限り4時間の勤務時間の割振り変更を行うこと。
(2)週休日の振替及び4時間の勤務時間の割振り変更は、原則として勤務を命ずることになる日を含む週内で行うこととし、やむを得ない場合は、勤務を命ずることになる日を起算日として、前4週後16週の期間で行うことができる。
(3)休憩時間をはさんだ前後の勤務時間の差が45分以内である場合には、当該休憩時間の前後のいずれか一方の勤務時間の全てを割振り変更することにより、4時間の割振り変更をしたものとみなす。
(4)休憩時間をはさんだ前後の勤務時間の差が45分以内である場合には、4時間の割振り変更2回を合わせて1日の週休日として振り返ることは差し支えない。ただし、週休日の振替を分割して、別々の日の午前又は午後の2回に振り返ることはできない。
(5)振替後の最振替はできない。つまり、週休日の振替を行った日に、改めて勤務を命ずることはできない。
(6)毎4週間につき、週休日が4日以上になること。
(7)4時間の勤務時間の割振り変更を行った日を含めた勤務日が引き続き24日を越えないこと。
2 勤務時間の割振り変更(いわゆる調整)について
(1)1日の勤務日において、勤務時間の割振り変更を行うことで、やむを得ず7時間45分を越えて勤務を命ずることができる用務は、校長からあらかじめ命じたものに限る。
(2)上記(1)の業務とは、職員会議や校務分掌に基づく会議用務、教務用務、生徒指導用務、旅行命令による用務、その他学校運営上必要な用務とする。
(3)7時間45分を越えて勤務を命ずる場合には、原則として1時間単位とすること。ただし、学校運営の必要に応じて30分単位でも差し支えない。
(4)勤務を命ずる日を含む週又は翌週で調整を行うこととし、やむを得ない場合は、週休日の振替期間を目安に調整を行うことができること。

●学校現場の実態の一つとして、「割振り変更簿」が十分に活用されていない実態や、周知徹底がなされていない実態があります。2020年3月19日、「学校職員の勤務時間、休憩等に関する条例の「改正」に関する要求書」に基づく地公労交渉の中で、県教委は以下のように回答しています。

割り振り変更(調整)の運用について理解が不十分な校長がいることから、改めて丁寧に説明するとともに適切に運用されているか把握し、必要に応じて指導・助言すること。

 (勤務時間の割振り変更(いわゆる調整)につきましては、県の条例に定めがないため、各市町村で要項を定め運用しているところです。
 また、学校職員の勤務時間管理につきましては、服務監督権者である市町村教育委員会と校長の重要な責務であります。1月の市町村教育委員会事務局職員研究協議会において、いわゆる調整に関する運用についての情報共有を図りました。しかしながら、運用についての管理職の理解が不十分であるというご指摘をいただいている現状を踏まえ、市町村教育委員会等を通じ、適正な運用が行われるよう丁寧に働きかけてまいります。

●2020年3月31日付け教県第1090号「週休日当の割振り変更の運用について(通知)」において、2020年4月1日から小中学校においては新たに以下の運用が加えられました。

「週休日当の割振り変更の運用について(通知)」(抜粋)

・考査の「採点」については、定期考査以外の名称で行われている「校内実力テスト」、「長期休業後の宿題・課題テスト」、「漢字・英単語小テスト」等の各種テストの採点、「レポート及び課題」の採点・評価、「各種作品」等の採点・評価等を含めて差し支えないこととしたこと。
・校長が勤務として認めた「資料の作成に係る業務」については、1日につき、1時間以内で調整の対象とすることができることとしたこと。
  なお、「資料の作成に係る業務」については、「業務のためのプリント等の作成」及び「資料の作成に係る一連の業務」を含めて差し支えないこと。 

Q32休憩時間はどのようになっていますか

●1日の勤務時間が6時間をこえる場合、業務の間に少なくとも45分の休憩時間をおかなければなりません。(勤務時間条例7条)

●休憩時間は給与支払い対象外の時間ですからまったく拘束を受けずに、一斉に、そして自由に利用させなければなりません。(労働基準法34条)

ただし書きとして、労働組合との書面による協定がある場合にのみ「この限りではない(分割付与も可能)」と定めています。従って、このような労基法の精神に反した運用はするべきではないでしょう。

●県教育長は1992年の県議会答弁で「児童生徒の在校中は休憩・休息時間がとりにくい」と現状の問題点を認めているところです。

●勤務時間の割振り上休憩時間がどこに配置されていても、実際に休憩が取れずに勤務を継続せざるを得なかった場合、勤務の始期から7時間45分が終了した時点で、その時点が割り振り上勤務時間中であったとしても、勤務は終了させなければなりません。8時30分勤務開始の場合、16時30分がその時刻に 当たります。このような学校現場の実状があるので、1976年に埼教組・埼高教と県教委の間で「勤務時間問題交渉メモ」が取り交わされ、ほとんどの職場で7時間45分を超える違法な勤務にならないために弾力的な運用がなされているのです。

●教職員定数の抜本的改善等がなされない限り、学校現場において労働基準法通りの休憩時間取得は非現実的です。一校の責任者たる校長は、とれもしない休憩を形式的において7時間45分を超える労働を強いてはなりません。むしろ教職員が安心して休憩を取れるために、定数増を含めた条件整備を地教委に強く具申することこそ求められているのです。

●通常の勤務日の勤務時間については、休憩時間の弾力的運用がはかられている学校・地域で、「長期休業中は子どもたちがいないのだから、休憩時間の運用ははかれない」とし、長期休業中の日直に8時間30分の勤務を命じる学校長がいます。そもそも「日直」なる勤務の形態は、学校の運営を円滑にすすめるために当該校の教職員の協議に基づく合意によって各教職員が分担してあたっている措置です。当然のことながら、長期休業中であっても、子どもたちや父母からの問い合わせや出入り、業者の搬入などの対応、教育委員会をはじめとした外からの連絡への対応など、休憩時間が割り振られていたとしても休憩がとりにくい状況はかわりません。こうした状況では、通常の運用をはかるのが当然です。

「休息時間廃止だから、お茶飲むな。こどもから離れるな」はありえない!

  「国においては民間の勤務時間制度との均衡などを理由として、休息時間を定めた人事院規則がすでに廃止された」として埼玉県は勤務条例を改定して2007年4月1日から「休息時間」を廃止しました。学校現場では休息時間がなくなると報道された途端「教室を離れるな・お茶を飲むな」と話す管理職の存在が報告されています。民間では「休息」という言葉はなくても、仕事の能率を高めるために「お茶の時間」は常識です。
 2007年1月19日の埼教連交渉で県教委は「休息時間廃止が労働強化につながらないよう、また直接教育課程に影響を及ぼすことがないよう、休息時間の実質的確保に向けた努力を含め、教職員の健康管理に十分に配慮するよう、条例改正通知や市町村教育委員会事務局研究協議会を通じて説明してまいりたい」と回答しています。休息時間はなくなっても、学校現場のさらなる過密労働は許されないことを明確にする確認が必要です。

Q33 「一年単位の変形労働時間制」とその問題点について教えてください

●2019年12月4日、都道府県・政令市の条例によって公立学校に「1年単位の変形労働時間制」を導入するための法案が、国会で可決されました。

●安倍元総理の突然の休校宣言からコロナ禍のなかで、国会での法案可決から動きが止まっていた「1年単位の変形労働時間制」に関して、7月17日の文科省通知で改正給特法における「休日のまとめ取り」のための1年単位の変形労働時間制についての、省令の制定及び指針の改正等について示されました。

●そもそもこの「1年単位の変形労働時間制」とは、平均した労働時間が1週間当たり40時間を超えないとすることを条件に、「業務の閑散に応じて労働時間を配分する」ことを認める制度です。時間外・休日労働を減少させ、「総労働時間の短縮」をすることが労基法上での目的です。文科省は手引きにも記載されているように休日の「まとめ取り」を目的としていますが本来の目的自体がそもそも違うのです。

一年単位の変形労働時間制とは
 公立学校の教育職員における休日の「まとめ取り」のための一年単位の変形労働時間制は、1箇月を超え1年以内の期間を平均して1週間あたりの正規の勤務時間が38時間45分となること等を条件として、業務の閑散に応じ勤務時間を配分することを認める制度です。また、本制度は、長期休業期間等において休日を集中して確保することを目的とする場合に限り適用することとしています。
 本制度の活用により所定の勤務時間を延長する日及び時間については、長期休業期間等の業務量の縮減によって確実に確保できる休日の日程を考慮し、確実に縮減できる範囲内で、年度当初や学校行事等で業務量が多い時期に限定することが必要です。 なお、本制度は、あくまで地方公共団体の判断により、条例等により選択的に導入できるものとなっています。


 文科省 初等中等教育局 初等中等教育企画課 作成公立学校の教職員における「休日のまとめ取り」のための1年単位の変形労働時間制〜導入の手引き〜より抜粋

●文科省は、長期休業期間中(8月)に5日程度(約40時間)の休日の「まとめ取り」を可能とするために、「業務等が繁忙な時期」(4,6,10,11月)の勤務を月10時間ずつ延長することを例示しています。

例えば、「1年単位の変形労働時間制」導入前では17時退勤であった勤務時間が「1年単位の変形労働時間制」導入後は勤務時間が延長され、18時となります。同じように学校にいたとしても、その時間は勤務時間となります。つまり拘束されるわけです。7時間45分の勤務時間が8時間を超えると休憩時間も60分となるので、始業から終業の時間はさらに伸びることにもなります。変形労働時間制が導入された場合、年休を取得して帰宅するしかありません。

文科省は、延長した勤務時間に職員会議などの新たな業務を付加しないことを言っていますが、実態を考えればそれはあまりに現実的ではありません。延長した勤務時間以降に自分の仕事をせざる状況になれば、今よりも長時間労働になりかねません。しかし、勤務時間を延長している分、時間外労働を覆い隠すものになってしまいます。

●もう一つ重大な問題は、この制度が労働者の勤務条件の重大な変更であることから、労働者と使用者が書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出ることになっているにもかかわらず、公立学校の教員は、その手続きによらず、都道府県・政令市の条例によって導入できるとしていることです。

これは、労働者の同意無しに1日8時間を超える労働を強制してよいということであり、明確に労働法の大原則に反することです。「教員を突破口にして、すべての労働者に広げるつもりかもしれない」「教員だけの問題ではない」と全国の教職員組合を中心とする団体が反対の声が上がりました。

●都道府県・政令市が以下の項目について「条例」と「規則」を定め、これにもとづき教育委員会と学校が導入を決めます。その際には、当然のことながら教職員の意向がしっかりと反映させなければならない。そしてこれは勤務条件に関わることですから、当然組合との交渉事項です。

組合員がいない場合については、教職員の代表が管理職と協議をすることになります。制度の対象者となる教職員は、基本的には職場内の教職員全員が対象となることも考えられますが、赤字で記載している通り、育児や介護を行う人への配慮や対象期間の最初から末日まで任用されるない方は対象とはなりません。

〈対象労働者の範囲〉
制度の対象者となる教職員は「教育委員会が必要と認めるもの」「ただし、育児や介護を行うものなどについては配慮をしなければならない」「対象期間の最初から末日まで任用される者」
〈対象期間〉
「1ヶ月を超えて1年以内」で「長期休業日を含み」、「各学校の実情に応じ、教育委員会が必要と認める期間」
〈特定期間(所定の勤務時間が延長される期間)〉
「各学校の実情に応じ、特に業務が繁忙であって教育委員会がやむを得ない必要があると認める期間」
〈勤務日及び当該勤務日ごとの勤務時間〉
制度導入時、または対象期間を1ヶ月以上の期間に区切り「各期間の初日の30日前まで」に定める

●制度導入に当たっての前提条件5つです。

〈制度導入に当たっての前提条件〉
1)対象期間に長期休暇等を含むこと
2)長期休業期間等に勤務時間が割り振られない日を連続して設定すること(=「休日のまとめ取り」)
3)育児や介護を行うものに配慮すること
4)対象期間中の「在校等時間」の時間外の上限は月42時間・年320時間とすること
5)教育委員会及び校長は、「指針」に定めた全ての措置を講じること

長時間過密労働が深刻な教職員ですが、4)の上限時間をクリアしている教員はどの程度いるのでしょうか。変形労働時間制対象者は対象期間の間、月45時間、年360時間の上限時間をさらに月42時間、年320時間に削減しなければなりません。

抜本的な業務負担軽減が進まない今、すでにこの上限時間設定だけでも導入することは不可能です。さらに5)にある「指針」に定めた全ての措置というのは次の〈教職員に関する措置〉と〈学校に関する措置〉です。

〈教職員に関する措置〉
①「在校等時間」の客観的な把握を行うこと
②部活動の休養日・活動時間がガイドラインの範囲内であること
③特定期間は「業務量の多い一部の時期」に限ること
④所定の勤務時間が延長される日に、新たな業務を付加して「在校等時間」を増加させないこと
⑤終業から始業までに一定の休憩時間を確保すること
〈学校に関する措置〉
①長期休業期間等の業務量の縮減を図ること
②職員会議、研修等の業務は通常の勤務時間内に行うこと
③育児や介護を行う者に配慮すること

特に〈学校に関する措置〉が取られていない場合には「1年単位の変形労働時間制」を導入することはできません。

●埼教組は2020年8月18日付けで公立学校に「1年単位の変形労働時間制」を導入しないよう求める要求書を提出し、9月1日に交渉を行いました。

この交渉では、「1年単位の変形労働時間制」を導入し、みなしの労働時間を削減するのではなく、「埼玉県 学校における働き方改革基本方針」に即した抜本的かつ速やかな業務負担軽減を行うことと、私たちの勤務条件であることから組合との交渉事項であることを確認しました。

交渉の際のやり取りの中で「仮に12月議会において「1年単位の変形労働時間制」に係わる議案が提出されたとしても、変形労働制の導入を検討していない教育課程を各校で編成していれば、当然変形労働制の導入は困難。」という回答を引き出しました。

●本部での交渉を皮切りに、各級段階での「1年単位の変形労働時間制」導入を許さないための申し入れのとりくみを埼教組一丸となって行い、市町村教育委員会や校長に申し入れを行ないました。

条例提案をさせないためにも、引き続き申し入れと世論づくりが極めて重要なとりくみとなります。

●埼教連は「教育職員の「1年単位の変形労働時間制」に関する要求書」に基づく交渉を3度にわたり実施しました。県教委は「1年単位の変形労働時間制」導入の前に、「働き方改革が最優先」としながらも、「導入した際の利点や課題を整理するとともに、他県の動向等を注視し対応」という回答を繰り返し、現場実態に即した私たちの声に正面から向き合おうとはしません。私たちの勤務条件に関わることであり、国や他県の動向は全く関係がありません。

Q34 教員の時間外勤務と給特法について説明してください

●労働基準法36条は「労働組合との書面による協定」(通称サブロク協定)がある場合に限って「その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」としています。そしてその場合、37条で「通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内で割増賃金を支払わなければならない」と定めています。

●教員の場合は労働基準法の適用除外とされ、1972年1月1日から施行された「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(以下「給特法」)6条で「教育職員(管理職手当を受ける者を除く)を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合は、政令で定める基準に従い条例で定める場合に限るものとする」としています。この法律は「限定された4項目」(別項参照)に当てはまらない業務を所定労働時間外に命じてはならないという「時間外勤務原則禁止法」です。

●本給の4%に当たる教職調整額が支給されるからといって、この手当で無制限に時間外勤務が命じられるものではなく、臨時または緊急にやむを得ない必要がある時に限るものとなっています。つまり、予め計画して実施する場合はこれに該当しません。従って、予め計画されている修学旅行等の校外学習行事が行われる場合は、当然ながら代休及び超過時間分の回復措置が講じられなければなりません。

●調整時間について基準は特にありませんが、「児童生徒の起床時から就寝時までは勤務時間」「児童生徒の就寝以降も必要に応じて業務を行った場合は当然調整の対象となる」(2007年2月16日労安交渉)と県教委も見解を示しています。具体的には、児童生徒の起床時刻から就寝時刻までの時間および、深  夜業務の合計時間から所定内勤務時間としての7時間45分を引いた残りの時間が調整の対象となるべき時間です。割り振り権を持つ校長と弾力的に話し合って常識的な線で決めることが必要です。

●なお、修学旅行などには教員特殊業務手当が支給されますが、これも時間外勤務手当にかわるものではありません。従ってこの支給を根拠に時間調整をしないことはあり得ない話です。

●この法律(以下「給特法」)の運用に関しては、1971年、組合と県教委で以下のように確認されています。

①原則として時間外労働はない。

②時間外勤務を命じることができるのは臨時又は緊急にやむを得ないときで、かつ次の4項目に限定される。

ア.生徒の実習に関する業務

イ.学校行事に関する業務

ウ.職員会議に関する業務

エ.非常災害等やむを得ない場合に必要な業務

③「教職調整額」は、教員本来の職務の特殊性に着目して支給されるものであって、時間外勤務手当に代わるものではない。

(1994年6月の県議会で県教育長も「教職調整額は、教諭等について、その職務と勤務の特殊性に基づき支給される給与であり、一般行政職に支給される時間外勤務手当とはその性格を異にするもの」と明確に述べています。)

●文科省は、教育職員の勤務実態と教職調整額の在り方について検討を進めてきました。この「審議のまとめ」によれば、教職調整額の見直しは単に給与の問題に留まらず、教員の勤務時間管理や時間外における勤務の在り方等に直截影響し、これからの時代の学校の在り方等の幅広い検討が必要とされました。

 埼教組は、「給特法」が想定した教員の働き方が現状と乖離していることから、

 ①測定可能な時間外労働には時間外勤務手当を支給すること

 ②教育の特性として測定困難な時間外労働には定率の手当を支給すること、

という2本立て要求を掲げていました。

●2018年7月に交付された働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律により、民間企業等についてはいわゆる36協定による時間外労働の上限規制が新たに規制されました。こうした流れから、2019年1月25日、文科省は「学校における働き方改革」の総合的な方策の一環として「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を示しました。

公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン【概要】(抜粋)
○趣旨
 限られた時間の中で、教師の専門性を生かしつつ、授業改善や児童生徒等に接する時間を十分確保し、教師が自らの授業を磨くとともにその人間性や創造性を高め、児童生徒等に対して効果的な教育活動を持続的に行うことをできる状況を作り出すことを目指して進められている「学校における働き方改革」の総合的な一環として制定するもの。
○対象者
 給特法第2条に規定する公立の義務教育諸学校等の教育職員 ※義務教育諸学校等:小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校…(略)  教育職員:校長(園長)、副校長(副園長)、教頭、主幹教諭、指導教諭、教諭、養護教諭、栄養教諭、…(略) ※事務職員等については、「36協定」の中で働き方改革推進法に定める時間外労働の規制が適用される。
○本ガイドラインにおける「勤務時間」の考え方
 「超勤4項目」以外の自主的・自発的な勤務も含め、外形的に把握することができる在校時間を対象とすることを基本とする。所定の勤務時間外に自発的に行う自己研鑽の校外での勤務についても、職務として行う研修や児童生徒の引率等の職務に従事している時間について外形的に把握し、これらを合わせて「在校等時間」として、本ガイドラインにおける「勤務時間」とする(休憩時間を除く)。
○上限時間の目安
①1か月の在校等時間について、超過勤務45時間以内 
②1年間の在校等時間につちえ、超過勤務360時間以内 
※児童生徒等に係る臨時的な特別の事情により勤務せざるを得ない場合は、1か月の超過勤務100時間未満、1年間の超過勤務720時間以内(連続する複数月の平均超過勤務80時間以内、かつ、超過勤務45時間超の月は年間6ヶ月まで)

●埼玉県では、これまでにも当局と埼教連の間で教職員の多忙化解消・負担軽減について議論を重ねてきました。

県教委は2018年8月に設置した「多忙化解消・負担軽減検討委員会」での議論を踏まえ、2019年9月に「埼玉県 学校における働き方改革基本方針(2019.9~2023.3)」を策定し、埼教組、埼高教もこの策定にかかわり、基本方針の「目標達成に向けた4つの視点」を示させました。

2019年度の埼教連交渉では、4つの視点の中でもとりわけ「教職員の専門性を踏まえた総業務量の削減」及び「教職員の負担軽減のための条件整備」として位置づけた項目を速やかに実行するよう県教委に対して求めました。

●2020年度の埼教連交渉では、「埼玉県 学校おける働き方改革基本方針」とこれまでの交渉経過を踏まえ、年次研修の廃止・縮小、小学校における文化的・体育的対外行事の廃止・縮小、教育施策の廃止・もしくは中止などを求め、さらなる多忙化解消・負担軽減の推進と総業務量の削減を強く求めました。

 また、2020年7月17日文科省通知「教諭等及び事務職員の標準的な職務の明確化に係る管理規則参考例の送付について(通知)」、「事務職員の標準的な職務の明確化に係る学校管理規則参考例等の送付について(通知)」についても確認しました。

 これらの管理規則の改定は、学校教育法37条の「教諭は児童の教育をつかさどる」と定められたつかさどるべき「教育」の内容との関係が不明確であることや、事務職員の定数削減が続く中で、学校で担っている職務実態も踏まえられていないこと、更に学校現場における教職員と事務職員の仕事の連携にも全く考慮されていない点が問題です。教職員の勤務時間外に及ぶ仕事量が削減されないどころか、教職員間の協力・共同の関係を崩す可能性もあり、反対しています。

●教職員の長時間過密労働の問題を解決するには、教育予算を増やし、教職員定数の改善、教職員の増員、そして20人以下を展望とした少人数学級を実現することです。全教と連携を強めながら、幅広い市民や労働組合・民主団体とともに、教職員の長時間過密労働の改善のとりくみを強めています。

Q35 部活動と時間外勤務の関係はどうなっていますか

●1997年、全教(全日本教職員組合)は部活動問題のプロジェクトを立ち上げ、部活動の本来の姿は「子どもたちが自由に参加し、楽しむものであり、子どもたちの生活にゆとりと精神の自由をもたらし、生き生きと学習をうながすもの」だとして議論を呼びかけました。

中学校学習指導要領(抜粋)
第1章 総則
第5 学校運営上の留意事項
1 教育課程の改善と学校評価、教育課程外の活動との連携等
ウ 教育課程外の学校教育活動と教育課程の関連が図られるように留意するものとする。特に、生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感,連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際、学校や地域の実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い、持続可能な運営体制が整えられるようにするものとする。

●学習指導要領に記載があるように、本来、部活動は「生徒の自主的、自発的な参加」によって行なわれるものです。しかし、現実には「勝つこと」が最優先される勝利至上主義に陥っているところや、子どもたちを強制加入させるなどという部活動本来の目的から外れている現状もあります。教職員の働き方からいえば、勤務時間外の活動が当たり前になっていると同時に、全員が顧問になるよう強制されるのは問題です。子どもたちや教職員にとって苦しいものとなっています。

●スポーツ庁が2018年3月に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定した動きに呼応する形で県教委は「埼玉県の部活動の在り方に関する方針」を策定しました。県方針では運動部に加え文化部も対象とした部活動全体の方針となっています。

 埼教組青年部では、部活動の教育的意義も踏まえつつも、部活動による恒常的な時間外労働の実態と、専門ではない部活の顧問強制などの問題から、部活動指導の社会体育への移行を求めています。2020年度の青年部交渉では、引き続き社会体育への移行を求めるとともに、すぐに実行できない場合は、「埼玉県の部活動の在り方に関する方針」の徹底を図るとともに、部活動指導員の全校配置を求めています。

●国は「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」を通知(2020年9月1日)しました。

 そこでは、「『学校と地域が協働・融合』した部活動の具体的な実現方法とスケジュールをとりまとめた」として、2023年から「部活動改革の全国展開」を行い、「休日部活動の段階的な地域移行」始めるとしています。また、それを推進していくために、「拠点校(地域)における実践研究」を2020年度から実施していくとしています。さらに、「休日の指導を希望する公立の教師については、兼職兼業の許可を得た上で地域部活動の運営主体の下で従事することが考えられる」という教師の職務にかかわる重要な内容も示されています。

 この「部活動改革」では、平日は「学校部活動」、休日は「地域部活動」とされており、大会・コンクール等への参加や責任の所在、活動・運営資金、指導体制等で混乱が生じるおそれがあります。また、「地域部活動」の費用負担については、「受益者負担の観点から、保護者が負担する」こととなっていることにも議論が不十分な部分があります。2020年11月16日、埼教連は「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」に関する要求書に基づく交渉を行い、今回の国の通知内容に関する、現時点で想定される課題を以下の項目で県教委に対して示しました。

 ①学校の部顧問と地域団体の担当者との指導上の連携

 ②土日の公式戦、練習試合の設定と引率、平日に行われる公式戦引率との関係

 ③事故が起きたときの対応

 ④保護者との連絡体制や責任の所在、費用負担など

 ⑤土日の練習場所の確保

 ⑥部活動ガイドラインの原則をどのように適用するか

 ⑦生徒への指導上の観点から、平日と土日の顧問の変更は、どのような影響がでるか

 ⑧以上の課題を、実情に基づいて中学校・高校・特別支援学校などの校種別の対応が必要

 ⑨拠点校における教職員の負担軽減策が必要

 この「部活動改革」は、当事者である生徒や保護者、学校現場で直接指導にあたっている教職員などの意見を十分に聞かず、合意形成もないままに、国からのトップダウンで示されたものであり、到底認めることはできず、埼教連として交渉し「スケジュールありきとせずに、市町村教育委員会と連携を図り、丁寧に進める」との回答を引き出しました。市町村の実態や当事者の意見をしっかりと聞き取り、時間をかけた丁寧な議論が部活動改革には必要です。

 Q36 休暇とは何ですか どんな種類の休暇がありますか

●学校職員の休暇は年次休暇、病気休暇、特別休暇、組合休暇、介護休暇及び介護時間に大別されます。休暇には有給のものと無給のものがあります。有給の休暇とは、正規の勤務時間中に給料の支給を受けて勤務しないもののことをいいます。年次休暇、病気休暇、特別休暇は有給で、組合休暇と介護休暇及び介護時間は無給で、介護時間については、その勤務しない一時間につき、職員の給与に関する条例第十八条第一項に規定する勤務一時間当たりの給与額が減額されます。(学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例12条)

●有給休暇のうち、年休は認められる日数内で労働者の欲する時に、欲する期間認められる休暇であるのに対し、病気休暇や特別休暇は条例等で定められた一定の利用目的のために一定の日数を与えられるという点で異なります。従って、年休が使用者の承認を要せず具体的に成立するのに対し、病気休暇や特別休暇は任命権者もしくはその委任を受けた者の承認を必要とします。(学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例18条)

Q37 特別休暇にはどんなものがありますか

●特別休暇の種類は次のものがあり、有給休暇となっています。(学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例15 条、同規則12 条)。

※妊娠中の負担軽減についてはQ70・71、妊娠・出産にかかる休暇についてはQ69、生理休暇については、Q68参照。

※育児に関する休暇等については、Q39〜41参照。

(1)結婚休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の17)

●この休暇は、職員が婚姻関係(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情であるものを含む)に入ることが確実な場合に取得することができます。

●結婚生活にはいるための諸行事(挙式・旅行・婚姻届)をおこなうための休暇で、連続7日の範囲(週休日・休日・代休を含まない)で取得できます。

●おおむね結婚の日の5日前および結婚の日の後1か月を経過するまでの期間に取得が認められますが、職務が繁忙などの合理的な理由がある場合は結婚の日の後の最初の長期休業中にもとれます。

 「結婚の日」とは、社会的に結婚したと認められる日であり、「結婚式の日」「婚姻届提出日」等がこれにあたり、「結婚の日」とし得る日が複数ある場合、いずれの日を「結婚の日」とするかは、職員が選択することができます。

 なお、結婚式も行わず、婚姻届も提出しないような場合における「結婚の日」については、社会通念にもとづき個別に判断されるものとなっています。

(2)家族看護休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の7)

●学校職員が家族看護及び通院等の世話のために、勤務しないことが相当と認められた場合、1年に3日の範囲で休暇がとれます。介護休暇が日常的にはとりにくいと言う声から、2006年に新設されました。

●看護の内容は、負傷、疾病による治療、療養中の看護及び通院等の世話をいいます。負傷疾病とは、その程度や特定の症状に限るものではなく、風邪、発熱等含めてあらゆる負傷、疾病が含まれます。

 さらに、2020年度の地公労交渉で家族看護休暇の取得事由として、不妊治療(不育症も含みます)にかかわる診断結果や治療方針の説明の際の付き添いも対象としました。

●家族の範囲は次の通りです。

同居・別居ともの場合配偶者、父母、子(義務教育修了前までの子を除く)、配偶者の父母、祖母、孫、兄弟姉妹
同居の場合事実上の父母、事実上の子

※同居とは、看護のために同居する場合を含みます。

また、2015年度より祖父母、孫、兄弟姉妹の同居要件をはずしました。

●一日単位でも時間単位でも取得することができます。さらに、2019年度から30分単位の取得も可能となりました。

(3)忌引休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の10、別表第3)

●親族が死亡した場合、服喪のための休暇がとれます。死亡した者が、学校職員と生計を一にする姻族の場合は血族に準じます。配偶者は、届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情のある者を含みます。伯叔父母の配偶者は、当該伯叔父母に準じます。

●期間は次の通りです。

親族日数
配偶者10日
 血族姻族
一親等の直系尊属(父母)7日3日
一親等の直系卑属(子)7日1日
二親等の直系尊属(祖父母)3日1日
二親等の直系卑属(孫)1日
二親等の傍系者(兄弟姉妹)3日1日
三親等の傍系尊属(伯叔父母)1日

●休暇の開始は、申請に基づく日からで、葬祭のため遠隔地に赴く必要がある場合は、その往復に要する実日数を加算できます。

(4)父母等の追悼のための休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の11)

●配偶者・父母・子の追悼のための特別な行事のため、それぞれ1日の休暇がとれます。特別な行事とは法事等の行事を指すもので、単に命日というだけではとれません。

●「父母」とは、実父母及び養父母、「子」とは実子また養子に限られます。

●遠隔地に赴く場合は、往復に要する実日数を加算できます。

(5)夏期休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の12)

●夏季に心身の健康の維持・増進または家庭生活の充実のために勤務しないことが適当と認められる場合、1年に6月1日から9月30日までの期間内で5日の範囲内で休暇がとれます。

●2021年度より、会計年度任用職員については、週2日以上の勤務日数(複数校勤務であれば日数は合算)があれば、最低3日間の夏季休暇が付与されることになりました。

(6)災害又は交通機関の事故等のための交通遮断休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の14)

●地震・水害・火災・その他の災害・交通機関の事故等で出勤することが困難であると認められ場合の休暇です。その都度必要と認められる期間取ることができます。

●2020年3月4日付け教県第1042-1号「新型コロナウイルス感染症に係る職員の勤務時間等及び感染予防の徹底について(通知)」で、以下の場合において、2021年3月15日までの間、交通遮断休暇の対象であることが示されました。

 ①職員に風邪症状がある場合(濃厚接触者として停留を受けているあるいは就業制限等が行われている場合)

 ②職員の親族等に風邪症状がある場合

 ③濃厚接触者として停留の措置を受けている場合

 ④小学校、中学校等が臨時休業となり、子供の世話が必要な場合

(7)災害又は交通機関の事故等による危険回避のための休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の15)

●地震・水害・火災・その他の災害時等で退勤途上に身体の危険を回避するために勤務しないことがやむを得ないと認められる時の休暇です。その都度必要と認められる期間とることができます。

(8)災害等による、現住居復旧又は一時避難、水・食料等の確保のための休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の16)

●地震、水害、火災その他の災害により単身赴任手当の支給に係る配偶者等の現住居が消滅又は損壊した場合で、当該単身赴任手当の支給を受けている職員がその復旧作業等を行うときに、原則として連続する7日間として取得することができます。

(9)ドナー休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の20)

●骨髄移植のための骨髄若しくは末梢血幹細胞移植のための末梢血幹細胞(以下「骨髄等」)の提供希望者としてその登録に必要な検査又は骨髄等の提供に伴い必要な検査、入院等をする場合に、その都度必要と認める期間に取得することができます。

(10)献血休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の21)

●勤務校又は勤務校の所在する市町村内において献血をする場合に承認されます。

●この休暇の時間には、移動採血車等への往復に要する時間も含まれます。

●献血終了後、速やかに献血手帳の提示を行い、その事実を示すことが求められます。

(11)感染症に関する休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の13)

●感染症の予防、感染症の患者に対する医療に関する法律による交通の制限や遮断または健康診断があった場合、その都度必要と認められる期間とることができます。

(12)公民としての権利を行使するための休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の22)

●選挙権その他公民としての権利を行使する場合で、勤務しないことがやむを得ないと認められる時の休暇です。その都度必要と認められる期間とることができます。

(13)官公署へ出頭する場合の休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の23)

●職務に関して、証人、鑑定人、参考人等として国会、裁判所、地方公共団体の議会その他の官公署へ出頭する場合、勤務しないことがやむを得ないと認められる時の休暇です。その都度必要と認められる期間とることができます。

(14)ボランティア休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条の24)

●自発的に、報酬を得ないで社会貢献活動(専ら親族に対する支援となる活動を除く)を行う場合の休暇です。

ア.障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第五条十一項に規定する障害者支援施設及びそれ以外の同条第一項に規定する障害福祉サービスを行う施設(ウ及びキに掲げる施設を除く。)、同条第二十七項に規定する地域活動支援センター並びに同条第二十八条に規定する福祉ホーム

イ.身体障害者福祉法第五条第一項に規定する身体障害者福祉センター、補装具製作施設、盲導犬訓練施設及び視聴覚障害者情報提供施設

ウ.児童福祉法第七条第一項に規定する障害児入所施設、児童発達支援センター及び児童心理治療施設並びに児童発達支援センター以外の同法第6条の二の二第二項及び第四項に規定する施設

エ.老人福祉法第五条の三に規定する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム

オ.生活保護法第三十八条第一項に規定する救護施設、更生施設、医療保護施設及び授産施設

カ.介護保険法第八条第二十八項に規定する介護医療院

キ.医療法第一条の五第一項に規定する病院

ク.学校教育法第一条に規定する特別支援学校

ケ.アからクまでに掲げる施設のほか、身体上又は精神上の障害がある者の生徒指導、自立訓練、職業訓練等を目的と設置されている共同作業所等の施設のうち、利用定員がおおむね五人以上であり、かつ、利用者の作業指導等のための当該施設において常時勤務する者が置かれている施設

●暦年1年で5日の範囲で取得でき、半日(育児短時間勤務職員等、再任用短時間勤務職員及び任期付短時間勤務職員にあっては1日)単位の分割取得もできます。手続は、休暇届と活動計画書(期間・場所・内容など)を提出します。●2020年地公労交渉によって対象の活動範囲が広げられ、アスポート、フードドライブ等も対象となりました。

Q38 年休について説明してください

●年休は、労基法上は初年度10日とし、上限は20日となっています。私たちに、初年度から20日の年休が与えられているのは、1947年の文部省(当時)との間で交わした「労働協約」によるところが大きいのです。

●年休は「いつ」、「いかなる目的で」利用しようとも労働者の自由であることは確認されています。(1973年、全林野白石、国労郡山両事件最高裁判決)

●年休は、1年を通して20日で、1日または4時間(半日)を単位として与えることになっていますが、1時間単位でもとれます。7時間45分で1日に換算します。

●新採用者のその年における年休の日数は、次の通りです。

採用月123456789101112
休暇日数2018171513121087532

●臨時的任用職員の年次休暇は、任用期間に応じて取得できます。日数は次の通りです。

任用期間1月以内2月以内3月以内4月以内5月以内6月以内
日数2357810
任用期間7月以内8月以内9月以内10月以内11月以内12月以内
日数121315171820

 取扱いについては本務者と同じです。更新されたときには、更新後の任用期間に応じた年次休暇日数に、更新前に残日数が加えられます。

●非常勤講師の年次休暇は、週当たりの勤務日数と採用からの年数(任期が連続している場合)に応じて取得できます。日数は次の通りです。取得単位は1日です。

2校以上に勤務している場合は、各学校の勤務日の数に基づいて学校ごとに取得できます。

週当たり勤務日数1年間の所定の勤務日数 採用初年度2年度目3年度目4年度目5年度目6年度目
1日48日から72日まで122233
2日73日から120日まで344566
3日121日から168日まで5668910
4日169日から216日まで789101213
5日以上217日以上101112141618
週当たり勤務日数1年間の所定の勤務日数 7年度目8年度目9年度目10年度目11年度目12年度目
1日48日から72日まで333333
2日73日から120日まで777777
3日121日から168日まで111111111111
4日169日から216日まで151617181920
5日以上217日以上202020202020

 12年度目以上については同様の日数です。

●短時間勤務職員(育児短時間勤務職員等、再任用短時間勤務職員及び任期付短時間勤務職員)の年次休暇は、斉一型・不斉一型によって、付与日数と取得方法が異なります。

〈斉一型短時間勤務職員〉

 勤務日ごとの勤務時間が同一である場合の勤務形態を斉一型と言います。

1時間の勤務日数1日の勤務時間付与日数
5日4時間55分20日
5日3時間55分20日
5日2時間50分20日
3日7時間45分12日
2日7時間45分8日

 時間単位の年次休暇を日に換算する場合は、1日に勤務時間をもって1日となります。

〈不斉一型短時間勤務職員〉

勤務日によって勤務時間が変わる場合の勤務形態を不斉一型と言います。

1週間の勤務時間(平均)付与日数
16時間8日
20時間10日
24時間12日
28時間14日
31時間16日

 時間単位の年次休暇を日に換算する場合は、7時間45分をもって1日となります。

●年休は、所定の用紙を用いて、校長に届け出ることによって、効果が生じます(形成権)。しかし、校長は学校運営上職務の遂行に支障が認められる場合は、他の時季に変更することができます。

●年休の繰り越しは、前年の残日数を次の年に繰り越すことができます。繰り越された年休の日数は、翌年に限り有効で、最高20日となります。他県からの転入者は、引き続いたものとみなされます。(学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例13条、同規則8~10条)

(公立小中学校管理規則準則、公立小・中学校職員服務規程準則)     (年次休暇の取扱いについて(通知)昭48.10.25付)

(年休の計画取得)

●年休は形威権(具体的な年月日は、労働者の請求によって決まり、使用者の承認の有無は必要でない)であり、強制されて取るものではありませんが、小・中学校の職場では、年休の取得率がきわめて低いのが実態です。年休を取りやすい環境を整備し、年休の行使率を向上させるために、1996年4月から「年休の計画的取得」が実施されました。この制度は、各学校でよく話し合って、各自が学期ごとに2日程度、年休を計画的に取得するものです。強制されたり、義務づけられるものではなく、年休をみんなが気がねなく取得できるようにするためのものです。

●実施状況は管理職の姿勢や職場の状況によってちがいがあります。職場全体の合意をつくって実施したところでは、リフレッシュするために気がねなく年休を行使できてよいとの声も聞かれます。結婚記念日や家族の誕生日などにとることもよいでしょう。教職員定数増など教育条件整備のとりくみを強めるとともに、職場での民主的な協議と協力で年休の行使率を高め、有効に活用できるよう組合としてもとりくむことが大切です。

Q39 子の出産・育児のための休暇にはどんなものがありますか

(1)出産補助休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条15項)

●教職員の妻の出産(妊娠4ヵ月以上の分娩)にあたり、夫である男性教職員は3日の範囲内で、そのつど必要と認める期間、休暇がとれます。

●1日を単位とし連続してもよいし、分割してもよいことになっています。出産当日から2週間以内にとることを原則としています。連続してとる場合、日曜日も含まれますので、1日ずつわけてとるとよいでしょう。

●1日単位でも、1時間単位でも取得できます。1時間単位とする場合は7時間45分を持って1日と計算します。

(2)男性職員の育児参加のための休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条19項)

●妻が出産するとき、その出産予定日の6週間前の日から出産の日から8週間までの期間に、当該出産にかかる子または小学校の始期に達するまでの子を養育するための休暇です。多胎妊娠の場合は14週前から認められます。

●子と同居している必要があります。

●必要と認められたときに5日の範囲で取得できます。1日単位でも時間単位でも取得できます。

(3)育児休暇(育児時間)

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則第12条5項)

●生後2年に達しない生児を育てる男女職員は、勤務時間中、休憩時間の他に、1日2回、1日を通じて90分を超えない範囲で育児のための時間をとることができます。

朝45分、夕方45分と、2回にわけてもとれますし、まとめて90分、朝か帰りにとることもできます。30分と60分の組み合わせもできます。夫が朝45分、妻が帰りに45分と、分けてとることもできます。

●生児の母親が育てることができる場合(勤めていない場合)、男性教職員は取得できません。ただし女性職員は配偶者が勤めていなくても取得できます。

●原則として1月単位で、または承認をあてることができる限度期間までを一括して申し出ます。

●なお、「部分休業」(1日2時間、無給)も認められています。育児休業の項(Q40参照)を参照してください。

(4)子育て休暇

(学校職員の勤務時間・休暇に関する規則12条の6)

●義務教育終了前までの子(配偶者の子を含む)を養育する学校職員が、その子の看護や学校行事等に出席するために、勤務しないことが相当であると認められた場合、1年に7日(義務教育終了前までの子2人以上の場合には10日)の範囲で休暇がとれます。

●看護する「疾病・負傷」には、風邪・発熱などあらゆる疾病・負傷が含まれます。医師の診断書等の提出は必要ありません。実際に職員が子の看護を行う必要があればとることができます。後遺障害の機能回復訓練の介助、健康診断または予防接種のための付き添いも認められます。

●子が在籍する学校(園)等が実施する行事に出席する場合、学校(園)等からの通知を添えて申し出ます。学校行事とは、入学(園)式・卒業(園)式、授業(保育)参観、運動会・学習発表会、家庭訪問、保護者説明会(入学・入園説明会) 、引き渡し訓練、子が在籍する学校等から保護者へ引き渡しをいいます。高等学校又は教育委員会が実施する保護者説明会も対象となりました。

●2010年1月から義務教育終了前の子が2人以上いる場合、10日の範囲になりました。1人に月5日とするものではありません。

●2012年度より、子どもは実子、養子、配偶者の子に加え、里子も含めることとなりました。

●2021年度より、一日単位、時間単位に加え、30分単位でも取得することができることとなりました。

Q40 育児休業について説明してください

●すべての労働者に育児休業の取得を制度化した「育児休業等に関する法律」が1992年4月1日に施行されました。この法律は民間と公務員の法に大別され、私たちは「地方公務員の育児休業等に関する法律」が適用されます。

●3歳に満たない子を養育する男女教職員(非常勤職員・臨時的職員等は除く)がとれます。子とは実子・養子で法律上の親子関係のある者ですが、未婚の母・認知した未婚の父も同居・養育していれば可能です。配偶者が「子を常態として養育することができる場合」には育児休業はできません。配偶者が負傷・疾病で子を養育できない場合や産前6週産後8週の期間は、夫は育児休業をとることができます。

●原則として育児休業を開始する1カ月前までに請求します。特別の事情のある場合を除き、1回に限り延長することができます。育児休業中に産前休暇が始まった場合や子の死亡・養子縁組などで養育しなくなったとき、育児休業は終了します。一度育児休業を取ったあと、再度育児休業をとることは、育児休  業中に妊娠し流産した場合、配偶者の負傷、疾病・別居、予測することができない事情が生じたときなど、特別の事情がある場合にはできます。

●両親が育児休業計画書によって申し出れば、両親が交互に育児休業を取得することができます。(1回が3ヶ月以上)

●休業中の身分・地位は継続され、原職復帰が保障されます。育児休業中は、代替の配置がされます。

●賃金については、第4条で「給与を支給しない」と定めています。 わたしたちの長年の求めにより、2017年10月より、総務省令により2歳に達するまで育児休業手当金が公立学校共済組合から支払われることになりました。しかし、総務省は「保育所における保育の実施を希望し、申し込みを行っているが、当該子が1歳6ヶ月に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」との定めを設け、算定された給付日額に、雇用保険と横並びの上限を設定しました。手当金の引き上げとともに、県及び国の負担で所得保障をするよう求めていきます。

〔育児休業手当金〕

●育児休業手当金は、育児休業の承認を受けて学校等を休むときに、子が1歳(注記1)に達するまでの育児休業期間中の所得を保障するための給付です。

注記1:
 パパ・ママ育休プラスに該当するときは、1年を限度に1歳2カ月まで、保育所に入れない等特別な事情に該当するときは最長2歳までとなります。
  特別な事情に該当したことによる給付期間の延長については、まず、子が1歳に達した日後について、特別な事情に該当する場合に1歳6カ月まで、子が1歳6カ月に達した日後について、なお特別な事情に該当する場合に2歳までとなります。

〈パパ・ママ育休プラスによる給付期間の延長について〉

2010年6月30日から、男性の育児参加を促進する観点から始まった、父母がともに育児休業を取得した場合の育児休業期間の延長制度(パパママ育休プラス)の導入に伴い、育児休業手当金の給付期間も延長されるようになりました。

  配偶者が子どもの1歳の誕生日の前日までに育児休業(父母ともに同一の子どもに対する育児休業に限ります。)を取得している場合、子どもが1歳2カ月になるまでの間に最大1年(給付期間の上限は、父親の場合は1年間、母親の場合は産後休業期間を含め1年間となります。)まで育児休業手当金が給付されます。

特別な事情に該当するとき
1育児休業に係る子について、保育所における保育の実施を希望し、申込みを行っているが、当該子が1歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合
2 常態として育児休業に係る子の養育を行っている配偶者であって、当該子が1歳に達する日後の期間について、常態として子の養育を行う予定であったものが次のいずれかに該当した場合
ア  死亡したとき
イ  負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により育児休業に係る子を養育することが困難な状態になったとき
ウ  婚姻の解消その他の事情により配偶者が育児休業に係る子と同居しないこととなったとき
エ  6週間(多胎妊娠の場合14週間)以内に出産する予定であるかまたは産後8週間を経過しないとき

〈給付額〉                                      

勤務しなかった期間1日につき標準報酬日額(標準報酬月額の22分の1の額)の50%(育児休業開始から180日に達するまでの間は67%)。

  ただし、報酬が支給されているときは、その額を控除した額となります。なお、1日あたりの給付上限相当額は、雇用保険法に定める額に相当する額に30を乗じて得た額の50%(または67%)に相当する額を22で除して得た額となります。

給付率50%の場合の給付上限相当額
期間給付上限相当額
2016.8~2017.79,647円
2017.8~2018.710,165円
2018.8~2019.310,220円
2019.3~2019.710,234円
2019.8~2020.710,322円
2020.8~10,370円
給付率67%の場合の給付上限相当額
期間給付上限相当額
2016.8~2017.712,927円
2017.8~2018.713,622円
2018.8~2019.313,695円
2019.3~2019.713,713円
2019.8~2020.713,832円
2020.8~13,896円
育休の短縮
 「育児休業期間は学校運営や代員との関係で短縮を指導できる」という校長がいますが、正しくありません。育児休業法で「当該請求に係わる期間について当該請求した職員の業務を処理するための措置を講ずることが著しく困難である場合を除き、これを承認しなければならない」としているのは、僻地・離島などの1人職場もあるなかで公務サービス上の必要から入れたものですが、その場合でも代員確保等で承認が原則であると人事院は回答しています。つまり、承認しない場合は1人職場等で代員も困難な場合などきわめて限定した場合を想定しており、学期の始業・終業など学校運営や代員が来ないなどの理由で任命権者が短縮を指導することはできません。また、「職員の育児休業等に関する条例」第5条では、育児休業の承認の取り消し事由として「育児休業に係わる子を職員以外の当該子の親が常態として養育することができることとなったこととする」と明記しており、これ以外の理由での承認取り消しはないわけです。

Q41 育児短時間勤務制度について教えてください

●この制度は常勤職員のまま、子どもの就学前までの間、職務を部分的に離れて子育てを行うことができる仕組みです。国が2007年8月1日から実施したことを受けて、埼玉県でも「育児短時間勤務制度」についての条例を定め、2008年4月1日から実施された制度です。「育児と仕事の両立」の実現のために必要とされるものです。

●学校職員は、常勤職員のまま、小学校就学の始期に達するまでの子を養育するために、希望する日及び時間帯において勤務することができます。(地方公務員の育児休業等に関する条例第10条、学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則第12条)

●教職員の場合、次のうち一つのパターンを選び、勤務します。

 ①1日3時間55分(週19時間35分)

 ②1日4時間55分(週24時間45分)

 ③週3日(週23時間15分)

 ④週3日(うち1日は3時間55分で週19時間25分)

●給与については勤務時間に応じた額となります。

●育児短時間勤務の開始希望日の1月前までに校長に承認請求書を提出します。承認期間は、一月以上一年以下です。延長を希望する場合は勤務終了までに再度承認請求書を提出します。原則として、育児短時間勤務の終了後、1年間は育児短時間勤務をすることはできません。

●妻と夫が同時に育児短時間勤務をすることも可能です。

●後補充として、勤務しない時間に相当する時間で任期付短時間勤務職員が配置されます。本務者と後補充者の勤務については、学校の裁量で重なる時間帯を作ってもかまいません。学校現場では、引き継ぎは必要なため、後補充者の労働時間を制度取得者の労働時間の残を上回るものとすることを要求しています。

●年休や子育て休暇、家族看護休暇などの特別休暇はすべて取得できますが、勤務日数や勤務時間に合わせた時間となります。

 例えば、1日3時間55分勤務の場合、子育て休暇は7日とれますが、1日は3時間55分となります。

●育児休暇は、1日の勤務時間が4時間以下の日は30分、4時間を越える日は60分(2回に分割できます)となります。

〈部分休業〉

子を養育するため、子どもの就学前までの間、1日の勤務時間の一部について勤務しないことを請求することができます。ただし、無給で、勤務1時間当たりの賃金が減額されます。部分休業は、正規の勤務時間の始めまたは終わりに、1日に2時間を上限として30分単位とするとしています。育児休暇をとった場合は2時間から減じます。非常勤職員や配偶者等が育児休業をとっている場合はとれません。また、育児短時間勤務と同時にとることはできません。

〈育児または介護を行う学校職員の時間外勤務の制限〉

 小学校就学前の子のいる学校職員、要介護者を介護する学校職員からの請求があった場合、一月について24時間、一年について150時間を越えての時間外勤務をさせてはならないことになっています。

 育児介護休業法の改正に沿って、配偶者が育児または介護ができる場合でも請求することができるようになりました。また、3歳未満の子のいる学校職員から請求があった場合は、原則として時間外勤務をさせてはならないことになりました。

Q42 介護休暇について説明してください

●負傷、疾病または老齢により1週間以上の期間にわたり日常生活を営むのに支障がある者の介護をするために介護休暇をとることができます。この場合、介護休暇を希望する本人が1週間以上とる義務づけはありません。

●介護者の範囲は、同居の有無を問わず、配偶者、父母、配偶者の父母、子、同居であれば、祖父母、兄弟姉妹、父母の配偶者、配偶者の父母の配偶者、子の配偶者、配偶者の子、孫(父母のいずれも死亡している場合)も認められます。

●「介護」とは、食事、入浴、着替え、排泄等の身の回りの世話を行うことをいいます。子どもの不登校等の場合も含まれます。介護はひとりでは担いきれない場合がありますので、職員以外に介護することが可能である者がいる場合でも、実際に介護する必要があるか否かで判断されます。完全介護の病院に入院している場合も同様です。要介護者が完全看護の病院に入院している場合は認めないという校長がいますが、病状等によって介護の必要があるか否かで判断されます。

●要介護者各々につき介護を必要とする状態ごとに通産して六月を超えない範囲で取得できます。六月を限度として最大3分割して再取得できます。

●介護休暇をとり、いったん介護を必要とする状態が終結した後、また新たな負傷、疾病により介護が必要となった場合はあらたな介護休暇を取得できます。

●疾病の有無、疾病の種別、病気の重複あるいは先天性か後天性かにより介護休暇を判断するものではありません。

●休暇の単位は1日又は1時間とします。1日4時間を越すと1日として計算されます。

●短期介護休暇については2020年度地公労交渉において、30分単位での休暇取得も可能であることを確認しました。

●介護休暇の期間の計算には週休日、学校職員の休日及び休日の代休を含みますが、職員の給料支給などにおける介護休暇の取得日数にはそれらは含みません。

●通算して六月を越えない範囲内で再取得する場合は、再取得する日の一週間前までに介護休暇の請求を行います。

●証明書は通常不要です。その事由を確認する必要があると教育委員会が認めるときは証明書類の提出を求めることもあります。(※診断書や住民票を提出するように言う校長がいますが、通常は介護休暇簿で申請します。)

●一ヶ月以上の連続取得者には代替者が配置されます。

●介護期間中に要介護者が死亡した場合、代替者は発令事由を失いますが、引き続き忌引休暇の末日まで勤務することが運用で認められています。

●賃金については以下の通りです。

 ①給料・地域手当:勤務しない1時間につき1時間あたりの給与額減

 ②期末手当:介護休暇の期間は除算しない。

 ③勤勉手当:介護休暇の期間から週休日等を除いた日が30日までは除算しない。30日を越える場合は、全介護休暇期間を勤務時間から除算する。

 ④通勤手当:一日でも通勤した日があれば支給する。

 ⑤扶養手当:住居手当・管理職手当・僻地手当は支給

 ⑥退職手当:介護休暇の期間も通算

※共済組合から介護休業手当金・互助会から介護休暇給付金が支給されます。

※介護休暇期間の2分の1を勤務したものとみなして昇給します。

〈介護時間〉

 要介護者の介護(食事の介助、通所介護施設への送迎等)をするため勤務しないことが相当であるとき、連続3年の期間、始業又は終業の時刻に連続して2時間の範囲内でとることができます。介護時間を受けようとするときは、介護時間簿を持って校長に願い出ます。1時間につき1時間あたりの給与が減額されます。

Q43 病気休暇について説明してください

●負傷または疾病のため療養する必要がある場合、90日の範囲で、病気休暇をとることができます。教職員については、「医師の証明等に基づき、療養のため勤務しないことがやむを得ないと認められる期間、必要に応じて1日又は1時間を単位とすることができる」となっています。

●病気休暇は、「休暇願」の提出だけでとることができ引き続き連続8日以上の病気休暇取得の際に医師の診断書等が必要になります。8日未満の場合は病気の旨を報告すれば取得できます。

●病気休暇の前一月間に通算5日以上の病気休暇を使用しているときには、医師の証明書等が必要となります。しかし、処方薬袋や病院等の領収書、家族または管理職による証明書でもかまいません。

●1日、1時間単位でとれるものですから、風邪や発熱等病気のときは、年休でなく病休の申し出をしましょう。

●病気休暇は90日と定められています。病休1ヶ月以上で代替教職員(県費)が配置されます。3ヶ月以上になる場合は病気休職になります。

●ただし、休暇をとった日が30日をこえると勤勉手当が減額されます。

●病気休暇90日を越えた日から給与は半額に減額されます。しかし、公立学校共済組合の疾病手当金の支給により、1年6ヶ月間、給料の8割程度は保障されます。

●結核性疾患の病気休暇は90日間となりますが、その後の病気休職中(3年間)は現行通りに給与の全額が支給されます。

●連続8日以上の病気休暇を取得した場合、病休通算判定期間(クーリング期間)以内に再度の病気休暇を取得した場合は、病気休暇の期間を通算することとなります。部分休業や育児休暇、通勤緩和休暇、妊娠中の休息や捕食の職専免などは対象となりません。

●人工透析など定期的な通院加療のための病気休暇については、特例的に通算はしません。

●これまで公務災害・通勤災害による病気休暇は90日であり、その後は病気休職へと移行していました。しかし、上限が取り払われ「療養に必要な期間」となりました。

●条件付採用期間中の教職員(初任者)と臨時的任用教職員には休職制度の適用がなく、病気休暇90日間の取得後は、自主退職せざるを得ませんでした。しかし、2011年度の病休制度の改定で90日間の上限は取り払われ「療養に必要な期間」となり、働き続けられる道がひらけました。

●2020年度の地公労交渉において、不妊治療に係る以下の内容を獲得しました。

不妊治療に係る改善項目
①不妊症に係る病気休暇について、不妊検査のための通院や不妊症と診断された後の薬の受領のための通院も病気休暇として認められるようになった。
②不妊症に加え、不育症に係る治療についても病気休暇の対象とした
③不妊症、不育症に係る病気休暇について、他の病気休暇と同様に、1回の休暇の請求が連続して7日を超えない場合には、診断書の提出は必要しないこととなった。
④7日を越える不妊症に係る病気休暇を申請する場合、診断書ではなく、より簡易な様式である、不妊治療連絡カードでも可となった。

Q44 リフレッシュ休暇について説明してください

●勤続10年、20年および30年に達した年度の翌年度の4月1日~3月31日までに取ることのできる職専免(長期勤続職員の職務専念義務免除)のことです。ただし、この間に利用できない事情がある場合は、1年間に限り延長することができます。

●勤続11年目に2日、21年目に3日、31年目に5日取れます。勤続年数には臨時的任用教職員としての在職期間は通算されます。

●この「リフレッシュ休暇」に引き続き年休等を利用して、長期の休暇をとることができます。もちろん課業日海外研修等(海外旅行)も認められています。職場の協力を得て、ゆっくり休み、リフレッシュしましょう。

●2020年度の地公労交渉で、21年目の3日間の休暇を分割取得(連続2日+残り1日)、31年目の5日間の休暇を分割取得(連続3日+残り2日)することができるようになりました。

Q45 ライフプラン休暇について説明してください

●当該年度に満54歳になる教職員は、ライフプラン休暇をとることができます。

●ライフプラン休暇とは、ベテラン教職員が自らの生涯生活設計の充実を図るため、自発的な計画に基づき、健康の維持増進、余暇活動、生涯学習活動及び地域活動等を行うために取得する連続した休暇のことをいいます。

●年休3日以上を含む連続した5日間以上の休暇(夏季休暇、週休日、学校職員の休日を含む)です。休暇を取得した教職員互助会会員については、所定の手続きにより、5000円が付与されます。

第3章 賃金・年金・福利厚生

Q46 賃金はどのようにして決まりますか

●1.春闘期(1月~4月)

春闘は、民間の職場では労働組合が経営者と交渉をして賃金・労働条件の改善をめざします。教職員組合を合む公務員の共闘組織は、地域の共同闘争課題として民間労働組合を支援するとともに、憲法改悪反対、増税反対、教育要求実現などの国民的課題と結合しながらとりくみます。教職員組合の分会(各学校単位)では、職場要求を掘り起こし校長に要求書を提出し交渉を実施します。本部・支部(=各教育事務所に対応)・単組(=各市町村教委に対応)は、自治体当局へ要求書を提出し交渉を実施します。

●2.人事院勧告

人事院は、春闘などで決定した民間産業の賃金水準と国家公務員の賃金水準を比較調査した結果にもとづいて、国家公務員の賃金を政府と国会に勧告します。通常は8月上旬になります。2006年度より民間との比較企業規模を100人以上から50人以上へと引き下げました。公務員賃金抑制のために比較企業規模を変更したのです。

●3.閣議決定と国会の給与法改正

人事院勧告をうけた政府は、これを勧告通りに実施するかどうかを協議したのち、給与法改正案を国会に提出し、国会で決定されれば、国家公務員の賃金が確定します。しかし、この給与法案はしばしば政府の反動法案とだきあわせにされたり、取り引きの材料とされているため、国会内外の強力な闘争が展開されます。また、1982年度の人勧実施見送りに見られるように、給与法改正を国会に提出しなかったり、勧告を大幅に値切った提案をするなどの事態もおこっています。

●4.人事委員会勧告

各都道府県および政令市の人事委員会は、閣議決定後国会での給与法改正と前後して、それぞれの民間産業の賃金水準と地方公務員(埼玉県の場合は県の職員)の給与水準を調査したうえで、地方公務員に対する賃金を知事と議会に勧告します。通常は10月中旬です。人事院と同様に比較企業規模を50人以上に引き下げました。

●5.各県および政令市における賃金確定闘争

各県および政令市の人事委員会勧告が出たあと、それぞれの都道府県および政令市における賃金確定闘争がおこなわれます。埼玉県の場合、埼玉県地方公務員労働組合共闘会議(埼教組、埼高教、県職)が統一して、県知事と教育長に対して要求書を提出し、団体交渉を実施します。労使で妥結した内容を給与条例として県議会に提案させ、議会の決定によって新しい賃金(給与条例)が最終的にきまります。通常12月議会です。政令市も同様です。

2020年度は、コロナウイルス感染拡大の影響から、上記に記した例年のスケジュール感は無く、さらに人事院勧告、人事委員会勧告がともに「一時金と人事」と「月例給のみ」という2段階でのこれまでに例の無い勧告でした。さらにその内容は、コロナ禍で奮闘している教職員・県職員の期待に応えない一時金0.05月分の引き下げ勧告でした。引き下げ勧告を強行する当局に対し、地公労は様々な労働条件改善を求め、一定程度の要求実現を獲得しました。

以上が、賃金が決定されるまでのあらましですが、埼教組はそれぞれの段階ごとに、中央行動、署名のとりくみ、人事委員会要請行動、当局との団体交渉等、要求を実現するための多様なたたかいをおこなっています。

Q47 給料表の種類とそれぞれ適用される職はどのようになっていますか

●公務員の賃金はそれぞれの職員の職務と責任に応じたものという「職務給の原則」が定められています。(地公法24条1項)これにより、学校職員の場合もそれぞれの職により適用される給料表と級が異なります。具体的に次のようになっています。(それぞれの級の職員は標準的な職員)

1.学校職員とは次の者をいう。(学校職員の給与に関する条例2条に定める学校職員で、校長、副校長、教頭、主幹教諭、教諭、養護教諭、栄養教諭、助教諭、養護助教諭、講師、栄養職員、事務職員)

教育職員給料表(一)級別基準職務表

四級三級特二級二級一級職務の級
高等学校等の校長の職務高等学校等の副校長又は教頭の職務高等学校等の主幹教諭の職務高等学校等の教諭、養護教諭又は栄養教諭の職務高等学校又は特別支援学校(以下この表において「高等学校等」という。)の助教諭、養護助教諭、講師、実習助手又は寄宿舎指導の職務基準となる職務

教育職員給料表(二)級別基準職務表

四級三級特二級二級一級職務の級
小学校等の校長の職務小学校等の副校長又は教頭の職務小学校等の主幹教諭の職務小学校等の教諭、養護教諭又は栄養教諭の職務小学校、中学校又は義務教育学校(以下この表において「小校等」という。)の助教諭、養護助教諭又は講師の職務基準となる職務

2.学校栄養職員(学校職員の給与に関する条例5条2項関係に定める学校職員)

学校栄養職給料表級別基準職務表

五級四級三級二級一級職務の級
小学校等の栄養主査の職務小学校等の栄養主任の職務高度の知識又は経験を必要とする小学校等栄養技師の職務相当高度の知識又は経験を必要とする小学校等栄養技師の職務小学校、中学校、義務教育学校又は特別支援学校(以下この表において「小校等」という。)の栄養技師の職務基準となる職務

3.事務職員(学校職員の給与に関する条例5条2項関係に定める学校職員)

事務職員給料表級別基準勤務表

六級五級四級三級二級一級職務の級
困難な業務を処理する小学校等の事務主幹の職務小学校等の事務主幹の職務小学校等の事務主査の職務小学校等の事務主任の職務相当高度の知識又は経験を必要とする小学校等の事務主事の職務小学校等の事務主事の職務基準となる職務

Q48 新たに学校職員となった者の初任給はどのように決まりますか

●新たに学校職員になった者の初任給は、それぞれの職によって適用される給料表と級が異なりますが、その級の号給も異なっています。

具体的には大別して①前歴(本採用の学校職員となる前に職についていた期間等)をもたずに就職した場合、②前歴をもって就職した場合の2つに区分して考えます。

〈前歴をもたずに就職した場合の初任給〉

  学校職員の初任給、昇格、昇給等の基準に関する規則10条に定める初任給基準表にもとづいて基本的には初任給が決定(格付)します。

●現在は次のようになっています。

1.教育職給料表(一)適用の学校職員

職種学歴免許初任給
教諭、養護教諭及び栄養教諭博士課程修了2級35号給
教諭、養護教諭及び栄養教諭博士課程修了
専門職学位課程修了
2級17号給
教諭、養護教諭及び栄養教諭大学卒2級5号給
教諭、養護教諭及び栄養教諭短大卒1級15号給
助教諭、養護助教諭、講師、実習助手及び寄宿舎指導員大学卒1級25号給
短大卒1級15号給
高校卒1級5号給

2.教育職給料表(二)適用の学校職員

職種学歴免許初任給
教諭、養護教諭及び栄養教諭博士課程修了2級47号給
博士課程修了専門職学位課程修了2級29号給
大学卒2級17号給
短大卒2級7号給
講師、助教諭及び養護助教諭大学卒1級25号給
短大卒1級15号給
高校卒1級5号給

3.学校栄養職員給料表適用の学校職員

職種学歴免許初任給
学校栄養職員大学卒2級5号給
短大卒1級15号給

4.事務職給料表適用の学校職員

試験学歴免許初任給
学校栄養職員上級 1級29号給
中級 1級19号給
初級 1級9号給
その他 高校卒1級5号給

〈前歴をもって就職した場合の初任給〉

就職前に民間企業等に勤めていた場合などは、その期間を一定の比率で換算して初任給が決定されます。

Q49 昇格と昇給はどう違うのですか また、教職員評価システムと昇給システムの関係について教えてください

●昇格とは職員の職務の級を同一給料表の上位の職務の級に変更することをいいます。したがって、それぞれの給料表ごとの級の標準的職務の職に昇任することをもって昇格することになります。

教育職給料表(二)の場合は、助教諭から教諭に昇任した場合2級に昇格します。教諭から主幹教諭に昇任して特2級、主幹教諭から教頭に昇任して3級、教頭から校長へ昇任して4級にそれぞれ昇格します。

昇給は現に受けている級の号給をそれより上位の同じ級の号給に格付することをいいます。

●2006年度より、昇給日は毎年4月1日としました。そして、監督する地位にある者による勤務成績の証明を得ておこなわれ、昇給の号給数は次のようになっています。(学校職員の初任給、昇格、昇給等の基準に関する規則28条)

1.勤務成績が特に良好である職員        一号該当

2.勤務成績が良好である職員  二号該当

3.前二号に掲げる職員以外の職員 次に掲げる職員のいずれに該当するかに応じ、次に定める昇給区分

 イ 勤務成績がやや良好でない職員 三号該当

 ロ 勤務成績が良好でない職員 四号該当

別表第十八 昇給号給数表(第二十八条関係)
昇給区分昇給の号給数
一号該当五以上一以上
二号該当
三号該当
四号該当

※この表に定める左の昇給の号給数は条例第六条第七項の規定の適用を受ける職員以外の職員に、右の昇給の号給数は同項の規定を受ける職員に適用されています。

 次のような場合は、上記に係らず当該各号に定める昇給区分により決定されます。

 1.教育委員会の定める事由以外の事由によって基準期間の6分の1に相当する期間の日数以上の日数を勤務していない職員・・・三号該当

 2.教育委員会の定める事由以外の事由によって基準期間の2分の1に相当する期間の日数以上の日数を勤務していない職員・・・四号該当

●2007年度埼教連の「成果主義的差別賃金反対」団体交渉は、人事評価結果「D」の場合の昇給の扱いが大きな課題でした。交渉を重ねた結果、「D」評価者を昇給なしで取り扱うことが著しく不適当であると認められる場合は、4号昇給するとしました。「D」評価以外の職員の昇給の取り扱いは、引き続き従来通りとしました。

●2015年度埼教連の「成果主義的査定賃金の導入反対」団体交渉では、地公法が改正されたことを理由に、人事評価結果に基づく「新たな昇給システム」導入の当局提案がなされました。しかし、組合員の強い団結により、成果主義的な格差を極力つけさせない制度設計とするために重要な14の原則を確認させました。

確認原則1 これまでの人事評価に関わる原則を堅持した運用を行なう。確認原則2 人事評価の目的は「賃金に格差をつけるために行うもの」ではなく、「学校の教育力を高める」ために行うものである。確認原則3 新たな昇給システムは「短期」で「個人」の成果と報酬を明確に連動させた成果主義的な格差を極力つけるものではない点に十分考慮した制度設計とする。確認原則4 校長は、教職員が意欲を持って学校運営に参画し、競争主義に陥らないよう配慮することが必要である。そのため、教職員が評価・昇給システムを過度に意識することなく、いままで以上に共通理解を深めながらチームワークづくりを推進し、学校の教育力を最大限発揮できる職場づくりに努めさせることが重要である。確認原則5 チームワークづくりは、教職員の自発性を基礎とし、協働性を創造するための継続的な努力が求められるものである。従って、チームワークづくりに大きな格差をつける評価は困難であり、チームワーク行動評価は、通常の水準で勤務が期待通りに行われていれば「高い評価」となるよう制度設計する。確認原則6 新たな昇給システムの運用に当たって教職員の専門性を高める生徒指導経験の蓄積や多様な校務経験など教職経験を重視し、長期的な評価の観点も取り入れ、単年度評価ではなく、毎年度の評価を積み上げることで成果主義的な格差が極力付かないよう制度設計する。確認原則7 教職員の協働性、チームワークづくりを踏まえ、チームワーク行動評価とこれまでの総合評価を組み合わせることにより、現行の「特別昇給(※1)」14号分を踏まえる制度設計とする。確認原則8 教職員が、その専門性を高めていくためには、日常的に自らその教育活動等を振り返り、自己評価を深めていく事が大切であり、教職員評価において自己評価は本質的なもので、自己評価を基本とすることが重要である。評価者研修については、埼教連と綿密に話し合いながら、確実かつ適切に行なわれるよう改善にとりくむ。確認原則9 人事評価システム、新たな昇給システムにおいて透明性を確保し、教職員自身が昇給の仕組みについて理解できる制度設計とする。確認原則10 青年教職員については、初年から10年程度の期間、処遇改善について極力格差をつけない運用とする。確認原則11 勤勉手当の成績率の運用については、全教職員からの一律引き下げを行わない運用とする。確認原則12 55歳超教職員の事実上の「昇給停止」については、新たな昇給システムの運用の中で何らかの緩和措置を検討する。確認原則13 評価Dの取り扱いは、2007年12月25日の埼教連交渉回答及び最終確認事項と変わらないものとする。確認原則14 人事評価システム、新たな昇給システムの制度設計について、今回の交渉で確認した原則にもとづいて、埼教連と引き続き交渉する。

※1 2015年まで「特別昇給」として毎年当局と組合との間で確認をしていました。一般的には、教員は25歳、36歳、42歳、50歳、54歳の2号加算と32歳の4号加算、事務職・栄養職員は勤続6年、35歳、39歳、50歳、54歳で2号加算の加算となっていました。(この全ての昇給分と合計すると14号給分)

●2020年度埼教連の「人事評価システム及び再任用職員の処遇改善に関する二次要求書」にもとづく団体交渉では、2020年度より制度運用が始まった会計年度任用職員への人事評価の実施は行わないよう、強く求めました。県教委は2020年度の地公法改正に伴い、会計年度任用職員は一般職になったことから、地公法上人事評価の対象者となったことを理由に人事評価を実施する姿勢を崩しませんでしたが、これまでの埼教連交渉での確認原則にもあるように、埼玉県における学校職員の人事評価システムは教育活動の特性から単年度勤務の職員への人事評価は想定したものではないことや学校現場の教育活動及び学校運営の実態を踏まえたものではないことから、2度にわたる交渉の末、会計年度任用職員の人事評価実施要領については、新たに定め運用することと、自己評価シート等については次のような回答を引き出しました。

被評価者は、求められる職務内容に対して自己評価シートを用いて自己評価を行い、評価者は自己評価を基本として評価者評価を行います。評価の信頼性の確保のため、面談については、日常的なコミュニケーションの中で行うこととし、人事評価のために改めて面談の場を設定することは必要としません。非常勤講師の場合、人事評価に目的を限定した授業観察は要しませんが、評価者は日常的な職務行動の把握に努めるものとします。(特定の評価領域は設定しないこと)については、評価領域を設定せず、当該職務全般に対して評価を行うこととします。(「自己評価シート」については、簡略化に最大限配慮すること)については、自己評価シートについては、簡略化に最大限配慮したものとします。 2020.11.18埼教連「人事評価システム及び再任用職員の処遇改善に関する二次要求書」にもとづく交渉回答より

●臨時的任用職員、再任用短時間勤務職員及び任期付短時間任用職員の人事評価については、2018年度埼教連交渉において、本採用者とは異なる任用の性格、任期や勤務経験、勤務実態、各学校の実情を十分に踏まえた実施方法(いわゆる別枠運用)とすることを確認しています。しかし、2019年度に導入されたばかりである制度であることから、管理職の認識不足や制度そのものに関する周知が不足していることから、2020年度埼教連交渉において改めて周知徹底を求めました。

●2020年度埼教連交渉では、要求項目の中で埼教組としての「最優先しなければならない課題」として以下の項目を求め、次のような回答をさせました。

小学校・中学校について評価者研修会を充実させるために次のことを行うこと。①県としてリーダーシップを発揮し、確実かつ適切に評価者研修会を実施し、市町村間による格差をつくらず統一した運用となるよう研修会を実施すること。②すべての市町村の実施状況及びその内容を把握するとともに、適切な運用がなされるよう指導すること。③自己申告目標の数値化や書き直しを強要しないこと。
【小中学校人事課】 これまでも、管理職や市町村教育委員会対象の評価者研修において、すべての学校で人事評価が適切に運用されるよう助言をしてまいりました。 また、学校や市町村の運用状況を確認するため、評価者アンケートや市町村教育委員会への訪問を実施し、運用状況の把握に努めております。 人事評価は、教職員自らが行なう「自己評価」を基本としております。今後も書き直しなどの強要がないよう、周知してまいります。(以下省略) 2020.11.18埼教連「人事評価システム及び再任用職員の処遇改善に関する二次要求書」にもとづく交渉回答より

Q50 休職に入ると給料はどこまで保障されますか

●職員が公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は通勤により負傷し、若しくは疾病にかかり、心身の故障のため、長期の休養を要すると判断され休職した場合に限り、その休職期間中、給与の全額が支給されます。

●私傷病によって休職した場合、その休職の期間が1年に達するまでは、これに給料、扶養手当、地域手当及び住宅手当のそれぞれの100分の80の割合で支給されます。また、この他に公立学校共済組合から傷病手当金の給付が受けられます。

2020年度版 埼玉県福利課「福利のしおり」より抜粋
エ 休業のとき(ア)傷病により給与の一部が支給されなくなったとき、又は無給となったとき(休職による給与の8割支給(傷病手当金の給付日額が給与日額を上回るとき))、90日を越える病気休暇による給与の5割支給、又は無給休職等) 組合員が私傷(公務又は通勤途上に起因する傷病は除く)のため勤務することができず、傷病手当金の給付日額を上回ることとなった場合、請求により次のものが支給されます。(以下省略)傷病手当金…1日に付き、標準報酬日額の平均額(注1)×2/3×給付対象日数(注2      支給期間は同一傷病につき、支給開始日から1年6ヶ月 (注1)「標準報酬日額の平均額」とは、次のとおりです。    支給開始日に属する月以前の直近の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額×1/22(注2)「給付対象日数」とは、月の日数から週休日(土・日)を除いた日数です。なお、平日の祝日は支給対象になります。 傷病手当金附加金…金額は、上記傷病手当金と同額         傷病手当金支給終了後、さらに6ヶ月を限度として支給します。傷病手当金(県教職員互助会)…1か月20,000円(18ヶ月限度)、共済給付終了後1か月50,000円(12ヶ月限度)               無給休職の月について支給されます。

Q51 教職調整額とは何ですか 見直しの動きがあるのですか

●教育職給料表の適用をうける者で1級(助教諭、養護助教諭または講師)と2級(教諭、養護教諭、栄養教諭)、特2級(主幹教諭)である者に対して支給されるもので、下の算式で計算される額が毎月支給されます。(義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例3条)

給料月額×4/100

●教育調整額の「メリハリ」と称する差別的な支給を文科省は企図しています。その根拠として、2006年度実施した文科省は勤務実態調査を実施し、小中学校教員の平均は「一月当たり40時間の残業と20時間の持ち帰り仕事」が明らかとなりました。文科省はこれを事務の合理化と教員定数改善により、教職調整額を一時金や退職手当にはねかえる本俸からはずし差別支給化しようとしました。一律支給を改めて、休職や研修中の者は0~4%、標準10%、主任12%、主幹教諭14%という想定をしました。しかしこの考えは、義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(略称:給特法)のもとで限定された4項目のみの超過勤務命令であり、そのうえ臨時または緊急にやむを得ない場合のみの超過勤務という法制定の経緯とも噛み合わず、見直しの方向も示せずに継続的な検討状態にあります。

●2016年度の埼玉県教委の勤務状況調査によれば、勤務時間を除いた1ヶ月の在校時間が45時間を超える教諭の割合(土日を除く)は小学校78.5%、中学校81.2%、さらに80時間を超える教諭については、小学校23.4%、中学校31.6%と、給特法が施行された当時以上の長時間過密労働という状況あります。時間外勤務は限定4項目以外、教職員の自発的な活動とされています。

 国はこうした状況の本質的な解決からは背を向け、「一年単位の変形労働時間制」を導入することで、みなしの労働時間を削減し、あたかも教職員の勤務時間が縮減されたかのようなまったくの処方箋違いである施策を導入しようと目論んでいます。私たち教職員組合は全国の仲間と連帯することで、教職員の長時間過密労働を解消する本質的な施策である教職員定数の改善、業務負担軽減、20人以下学級を展望とした少人数学級の実現を求めているのです。

Q52 扶養手当はどのような場合に支給されますか

●扶養手当は扶養親族のある職員に対して支給されます。扶養親族とは他に生計の途がなく、主としてその職員の扶養を受けている者をさします。

具体的には次のようになっています。

扶養手当

扶養親族支給月額
配偶者13,000円
・子・孫・父母・祖父母・弟妹・2人までについては1人につき6,500円(職員に配偶者がない場合にあっては、1人目について11,000円、扶養親族でない配偶者を有する場合は1人目の額6,500円)・3人目以上の扶養親族については1人につき2,000円※子については満15歳に達する日以後の最初の4月1日から満22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子がいる場合、1人につき5,000円加算

※2007年賃金確定交渉で、配偶者以外の扶養親族のかかる支給月額を500円引き上げ、6,000円を6,500円としました。

※上記以外の条件であっても、心身に著しい障害がある者(一般に終身労務につくことができない程度の者)は扶養親族の対象となります。

※扶養手当支給の開始は原則的には事実の生じる日の属する日の翌月(この日が月の初日であるときはその日の属する月)となり、終了はその事実が生じた日の属する月(この日が月の初日であるときはその日の属する月の前月)となります。

●扶養手当支給に関して問題になるのは、その親族が「他に生計の途がなく主としてその職員の扶養を受けている者」として認定されるかどうかという点や「扶養の事実の生じた日または支給の終了とする日」はいつの時点かという問題です。それらについては、新たな事実が発生した後すぐに、学校事務職員と  ていねいに相談をすることが必要です。

Q53 地域手当とは何ですか

●地域手当は、当該地域における民間の賃金水準等考慮して教育委員会規則で定める地域に定める地域に在勤する学校職員に支給するとして、2006年度より、調整手当に変わって導入されました。

地域手当の月額は、給料・扶養手当および管理職手当の月額の合計額に、地域手当の級地の区分に応じて割合を乗じて得た額です。埼玉県内においては2006年創設時に1級地は9%、2級地は7%、3級地は5%としました。

●地公労共闘会議(埼教組、埼高教、県職で構成)は、「同一労働同一賃金の原則」に照らして、県内で手当が支給地による差があることを改め同一支給の主張を続けました。賃金確定交渉を通じて、当局は2006年度、2007年度は全県一律5%支給としました。そして2006年度2月県議会で付  帯決議がなされ、「本県の実態や実情を十分に反映し、支給地の指定は県民の  納得できるものとして適切な取り扱いを求める」として、人事委員会へ再検討を要請しました。人事委員会は「県内を一つの地域としてとらえ地域による差を設けず一律の支給割合とする。支給割合は7%とし、2007年度は現行支給割合5%に0.5%を加え5.5%とする」と勧告し、その後の賃金確定交渉で勧告通りに実施させました。

●2008年度人事委員会は公民格差の解消として「地域手当を1%引き上げ5.5%から6.5%とする」と勧告しました。その後の賃金確定交渉で、勧告通りに実施させました。

●地域手当は2008年度以降も徐々にではあるものの引き上げられましたが、2020年度の4月より、埼玉県は国の圧力を受け、地域手当を8.3%(これ以前は10%)に引き下げ、給料と地域手当の配分を変更しました。しかし、私たちの粘り強いたたかいの結果、給料表の額に調整係数1.01571を乗じることでこれまでの給与水準を維持させました。

Q54管理職手当はどのようになっていますか

●管理または監督の地位にある学校職員の職にある者のうち、教育委員会規則で定める職員に支給されるものです。職によって支給割合が異なりますが、最高でも給料月額の25%相当額を超えてはならないとされています。(学校職員の給与に関する条例12条の6)

●管理職手当の支給額は以下のように定められています。(学校職員の管理職手当に関する規則3条)

教職給料表(二)
職務の級区分管理職手当額
4級校長2種73,500円
3級教頭4種53,000円
教職給料表(二)再任用職員の場合
職務の級区分管理職手当額
4級校長2種66,300円
3級教頭4種40,700円

※給料の支給方法に準じて支給されます。

※管理職手当が支給される者には、教職調整額、時間外勤務手当及び教員特殊業務手当は支給されません。

Q55 住居手当はどのような場合に支給されますか

●自ら居住するために住宅(借間を含む)を借り受け、月額16,000円を超える家賃(使用料を含む)を支払っている学校職員に支給されます。(学校職員の給与に関する条例第9条の5)

●住居手当の月額は次の区分に応じて、定められた額が支給されます。

 ①月額27,000円以下の家賃を支払っている場合

  →家賃の月額から16,000円を控除した金額

 ②月額27,000円を超える家賃を支払っている場合

  →家賃の月額から27,000円を控除した額の2分の1(その控除した額の2分の1が17,000円を超えるときは、17,000円)を11,000円に加算した額

●2019年度における人事委員会勧告において上記のように示され、地公労交渉においてこの改定により手当額が2,000円を超えて引き下がる職員については、1年間、引下げ額を2,000円として引き続き手当を支給させました。

●自宅に係わる住居手当は2009年度に国において廃止され、その後埼玉県も段階的に削減する経過措置を経て廃止されてしまいました。

Q56 通勤手当はどのような基準で支給されますか

●通勤手当については、通勤方法や距離などその条件により、次の3つにわけて考えます。(学校職員の給与に関する条例第10条)

1.交通機関等利用者

該当者 通勤のため交通機関又は有料の道路を利用することを常例として、その運賃又は料金を負担する学校職員。ただし、交通機関等を利用しないで徒歩で通勤する場合の距離が片道2km未満の者(交通機関を利用しなければ通勤が著しく困難な者を除く)を除く。

(2)支給額 通勤定期代相当額(職員の住居から勤務校に至る経路のうち一般に利用しうる最短の経路で最も低廉となる定期券の価額)。定期券の通用期間のうち、最も長いものに相当する期間。

経済的かつ合理的であると認められる場合は、回数券またはプリペイドカードを利用する。

2.自動車等使用者

該当者 通勤のため自動車等(自動車、原動機付自転車、その他交通用具、自転車及び教育委員会が特に承認するもの)を使用することを常例とする学校職員。ただし自動車等を利用しないで徒歩で通勤する場合の距離が片道2km未満の者(自動車等を利用しなければ通勤が著しく困難な者を除く)を除く。

(2)支給額 自動車等の使用距離の区分により次に記載した額。自動車等の使用距離が片道3㎞未満の学校職員は月額2,000円。距離1㎞を加えるごとにガソリン小売価格を基礎として定めた額。

※ガソリン小売価格は、2007年度まで1月の県内小売価格を基準としていましたが、近年のガソリン小売価格の乱高下 から、地公労共闘会議の要求にもとづいて、2008年度より前年度1年間の平均小売価格として4月1日より改定することとしました。

3.交通機関等と自動車等の併用者

該当者  通勤のため交通機関等を利用してその運賃等を負担し、かつ、自動車等を使用することを常例とする学校職員。ただし、交通機関等も自動車等も利用しないで徒歩で通勤する場合の距離は片道2km未満の者交通機関等や自動車等を利用しなければ通勤が著 しく困難な者を除く)を除く。

支給額 ①自動車等の使用距離の部分が片道 1.5km 以上の者及びその使用距離が片道1.5km 未満であるが自動車等を使用しなければ著しく通勤困難な者

前記1の「交通機関等利用者」の支給額と前記2の「自動車等使用者]の支給額の合計額

②自動車等の使用距離が片道1.5km未満で①に該当しない者のうち、交通機関等利用の部分の運賃等の額 2,000 円以上である者前記1の「交通機関等利用者」の支給額

③自動車等の使用距離が片道1.5km未満で①に該当しない者のうち、交通機関等利用の部分の運賃等の額が2,000 円未満である者

前記2の「自動車等使用者」の支給額

●遠距離、長時間通勤をする職員が、新幹線鉄道等を利用することにより、その通勤状況が緩和される場合は、その利用に要する額の一部が支給されます。ただし、一定の基準を満たしていることが必要であり、それは次のようになっています。

1.認定要件

新幹線、特別急行列車または急行列車(以下、新幹線等)の利用者

次の条件のすべてを満たしている場合

新幹線徐を利用しないで通勤した場合の片道の総通勤距離が 60km以上であること、又は新幹線の利用により通勤時間が30分以上短縮されること、通勤事情の改善がこれに相当するものと教育委員会が認めるもの。

高速自動車国道等の有料の道路の利用者

高速自動車国道等を利用しないで通勤した場合の片道の総通勤距離が60km以上であること、または高速自動車国道等を利用しないで通勤した場合の通勤事情の改善がこれに相当程度資するものと教育委員会が認めるもの。

2.支給額

新幹線等及び高速自動車国道等の利用に係わる特別料金等の額の2分の1に相当する額。ただし、月額2万円が上限となります。

Q57 特殊勤務手当とは何ですか

●特殊勤務手当は次のものあります。

1 多学年学級担当手当

2 兼務手当

3 実習等指導手当

4 教員特殊業務手当

5 教育業務連絡指導手当

6 夜間学級担当手当

●このうち、小・中学校教職員に直接関係する次の5つの手当について説明します。

1.多学年学級担当手当

県立の中学校又は市町村立の小学校、中学校若しくは義務教育学校の2以上の学年の児童又は生徒で編成されている学級を担当する主幹教諭、教諭、助教諭、講師で、当該学級における授業または指導に従事した場合に支給されます。(1日につき350円を超えない範囲)ただし、下記に該当する職員は除きます。

(1)給料の調差額を受けている者(特別支援学校の教育職員及び特別支援学級の担当による)

上記担当時間数がその者の担当授業時間数の2分の1に満たない者

上記担当時間数が1週間につき12時間に満たない者

2.兼務手当

次のような勤務を行った場合に支給されます。

該当者勤務内容手当額
市町村立の中学校又は義務教育学校の夜間その他特別な時間において授業を行う学級の勤務を本務とする職員以外市町村立の中学校等(中学校及び義務教育学校の後期課程をいう)の夜間学級における授業のための勤務1時間につき1,200円
市町村立の中学校等の夜間学級の勤務を本務とする職員市町村立の中学校等の夜間学校以外の学級における授業のための勤務1時間につき1,200円

3.教員特殊業務手当

教育職給料表(一)及び(二)の1級または2級である者が、下記の業務に従事した場合に支給されます。

学校の管理下において行う非常災害時等の緊急業務で次に掲げるもの

①非常災害時における児童もしくは生徒の保護又は緊急の防災もしくは復旧の業務(1日につき3,200円*激甚災害の場合は6,400円)

②児童又は生徒の負傷、疾病等に伴う救急の業務

③児童又は生徒に対する緊急の補導業務

修学旅行、林間・臨海学校等(学校が計画し実施するものに限る)において児童又は生徒を引率して行う指導業務で、泊を伴うもの

県教育委員会が定める対外運動競技等において児童又は生徒を引率して行う指導業務で、泊を伴うもの。週休日、学校職員の休日、又はこれに相当する日に行うもの

学校の管理下において行われる部活動(正規の教育課程としてクラブ活動に準ずる活動)における児童又は生徒に対する指導業務で、週休日、学校職員の休日、又はこれに相当する日に行うもの

4.教育業務連絡指導手当

いわゆる「主任手当」のことで、教育業務についての連絡調整及び指導助言に従事した日1日につき200円支給となっています。支給対象となる主任等は次のとおりです。

・教務主任、学年主任(3学級以上の学校)、生徒指導主任、保健主事、進路指導主事(6学級以上の中学校)

埼教組は、学校教育は全教職員の自主的で創造的な共同の営みで成り立っていることから、一部の主任にだけ手当を支給する「主任手当」に反対をしています。

5.夜間学級担当手当

 市町村立の中学校等で、夜間学級を置く学校の校長、副校長、教頭、主幹教諭、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭及び講師に対して、月額21,000円を超えない範囲で職務の級に応じ支給されます。

職務の級手当額
4級校長21,000円
3級副校長、教頭20,000円
特2級主幹教諭19,000円
2級教諭18,000円
1級講師14,000円

Q58 時間外勤務手当はどのようになっていますか

●教員は教職調整額の支給はありますが、労働基準法の時間外労働割増賃金の規定(労基法37条)は適用除外であり、文部科学省の勤務実態調査に長時間労働が認められる現状であっても、時間外勤務手当はありません。

一方、学校事務職員と学校栄養職員は教職調整額の支給はありませんが、時間外勤務手当が支給されます。

(学校職員の給与に関する条例10条の4) (職員の給与に関する条例14条)

●時間外勤務手当対象の事務職員および栄養職員は、法定の労働時間を越えて労働させる場合又は休日に労働させる場合には、労働基準法第36条第1項の規定に基づき、あらかじめ時間外労働及び休日労働に関する協定(いわゆる「36(さぶろく)協定」)を書面で締結し、人事委員会等に届け出ることが必要になります。校長又は職場長と労働者の間で結びます。

 2019年4月1日より、働き方改革関連法により時間外労働の上限を月45時間、年360時間を原則としました。

Q59 一時金(期末手当、勤勉手当)はどのように計算されますか

●期末・勤勉手当はいわゆるボーナスに相当する手当であり、その支給額は支給対象者の在職期間・勤務期間に応じて異なります。

1.支給対象職員

(1)期末手当

①6月1日および12月1日(以下「基準日」)に在職する職員。

※「基準日」現在において「無給休職者」「刑事休職者」「停職者]「専従休職者」「育児休暇を取得している職員のうち、基準日以前6ヶ月以内の期間に勤務した期間がない者」「無給派遣職員」「無給公益的法人等派遣職員」「大学院就学休業職員」「自己啓発等休業職員」「配偶者同行休業職員」のいずれかに該当する者には支給されません。

②「基準日」前1か月以内に退職、失職または死亡した職員。

※この場合でも上記の除外要件に該当する場合は支給されません。また、退職または失職後から「基準日」までの間に県費支弁の常勤職員になったり、引き続き国または他の地方公共団体の職員になった場合は支給されません。

③上記①②にかかわらず、次に該当するものは支給されません。

・「基準日」から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの間に地公法29条1項の規定による懲戒処分を受けた者

・「基準日」から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの回に地公法28条4項の規定により失職(同法 16条一号に該当した場合を除く)した者

・「基準日」前1か月以内または「基準日」から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの間に離職した者で、その離職した日から、当該支給日の前日までの間に禁錮以上の刑に処せられた者

・起訴休職等によって給与の一時差し止め処分を受けた者で、その者の在職期間中の行為に係る刑事事件が禁錮以上の刑に処せられた者

(2)勤勉手当

①6月1日および 12 月1日(以下「基準日」)に在職する職員。

※「基準日」現在において「休職者(公務上または通勤による傷病に係る休職並びに教育職員および公立学校の事務職員の結核性疾患による休職を除く)」「停職者]「専従休職者」「育児休暇を取得している職員のうち、基準日以前6ヶ月以内の期間に勤務した期間がない者」「無給派遣職員」「無給公益的法人等派遣職員」「大学院就学休業職員」「自己啓発等休業職員」「配偶者同行休業職員」のいずれかに該当する者は支給されません。

  ②「基準日」前1か月以内に退職、失職または死亡した者

※この場合でも上記の除外要件に該当する場合は支給されません。また、退職または失職後から「基準日」までの間に県費支弁の常勤職員になったり、引き続き国または地方公共団体の職員になった場合は支給されません。

③上記①②にかかわらず、次に該当する者は支給されません。

・「基準日]から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの間に地公法 29 条1項の規定による懲戒処分を受けた者

・「基準日」から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの間に地公法 28 条4項の規定により失職(同法 16 条1号に該当した場合を除く)した者

・「基準日」前1か月以内または「基準日」から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの間に離職した者で、その離職した日から、当該支給日の前日までの間に禁錮以上の刑に処せられた者

・起訴休職等によって給与の一時差し止め処分を受けた者で、その者の在職期間中の行為に係る刑事事件が禁錮以上の刑に処せられた者

2.支給額

①実務上は期末手当も勤勉手当も次の算式で求めます。

給料の月額(教職調整額含む)+扶養手当の額…①
(給料の月額+扶養手当の額)×5/00  …②(端数切捨)
(給料の月額+給料の月額×5/100)×(加算割合)…③(端散切捨)
(①+②+③)×(支給割合)×(期間率)=□(端散切捨)

②支給割合は次のとおりです。(2021年以降)

6月期期末手当1.275勤勉手当0.95支給計2.225月
12月期期末手当1.275勤勉手当0.95支給計2.225月

※懲戒処分を受けた場合、その直後の勤勉手当について減給されます。

※2020年度地公労共闘会議(埼教組、埼高教、県職で構成)による賃金確定交渉では、コロナウイルス感染拡大の影響で人事院勧告、人事委員会勧告ともに一時金と月例給に関する勧告を2回に分けて勧告し、そうした情勢の中でのたたかいでした。生計費原則を無視し、機械的な公民格差のみをもって県当局は一時金について0.05月分の引下げを強行しましたが、地公労は労働条件において様々な前進を実現しました。

※2020年度の埼教連交渉においても、再任用フルタイムの人事評価結果の下位区分は運用せず、勤勉手当への反映は行わないことを確認し、以下の回答を引き出しました。

【県立学校人事課】
  再任用フルタイム勤務職員については、これまで同様に勤勉手当の成績率への評価結果の反映を下位反映のみ行ってまいりたいと存じます。しかしながら、評価の運用に当たっては、職務行動に努力・改善すべき点があり、評価C、Dとなる可能性のある職員については、改善すべき点が解消され、評価C、Dとならないように十分な指導・助言を行うことが肝要であり、研修会等で周知してまいります。


 2020.11.12 埼教連「人事評価システム・再任用職員の処遇改善に関する要求書」に基づく交渉回答

③加算割合は次のとおりです。

教育職給料表(一)(二)

4級加算割合20%校長 教育委員会が別に定める者
4級加算割合15%校長
3級加算割合15%教頭 教育委員会が別に定める者
3級加算割合10%教頭
特2級加算割合10%主幹教諭
2級加算割合10%教育委員会が別に定める者
2級加算割合5%教諭

事務職給料表

6級加算割合10%
5級加算割合10%
4級加算割合5%  教育委員会が別に定める者
3級加算割合5%  教育委員会が別に定める者

学校栄養職給料表

5級加算割合10% 教育委員会が別に定める者
5級加算割合5%  上記以外
4級加算割合5% 

  一般職の任期付職員の採用等に関する条例第四条第一項の給料表

5号給以上加算割合20%
4号給加算割合15%
3号給加算割合15%
2号給加算割合10%
1号給加算割合10%

※経験年数については病気休職、育児休業など全て含めます。休職等にともなうマイナス調整はありません。

※前歴をもって入職した者は前歴換算基準にもとづいてその分を算入します。

 ④期間率は基準日以前6箇月以内の期間における学校職員の勤務期間の区分に応じて次のように定める

 期末・勤勉手当の期間率

 〈期末手当〉

在籍期間在籍期間
6月12月
100/1003月6月
80/1002月15日以上3月未満5月以上6月未満
60/1001月15日以上2月15日未満3月以上5月未満
30/1001月15日未満3月未満

 〈勤勉手当〉

期間率勤務期間
95/1005月15日以上~6月未満
90/1005月以上~5月14日未満
80/1004月15日以上~5月未満
70/1004月以上~4月15日未満
60/1003月15日以上~4月未満
50/1003月以上~3月15日未満
40/1002月15日以上~3月未満
30/1002月以上~2月15日未満
20/1001月15日以上~2月未満
15/1001月以上~1月15日未満
10/10015日以上~1月未満
5/10015日未満

Q60 義務教育等教員特別手当はどのようになっていますか

●学校職員の給与に関する条例12条の9第1項は、義務教育諸学校(学校教育法に規定する小学校、中学校、義務教育学校又は特別支援学校の小学部若しくは中学部)に勤務する教育職員に義務教育等教員特別手当を支給すると定めています。

また、同条3項では、学校教育法に規定する高等学校、又は特別支援学校の高等部若しくは幼稚園部に勤務する教育職員については、1項に規定する教育職員との権衡上必要と認められる範囲内で、同手当を支給することを定めています。そして、この権衡教育職員として、義務教育等教員特別手当に関する規則2条で支給することを明記しています。

●義務教育等教員特別手当の月額は条例では8,000円を超えない範囲内で職務の級及び号給の別に応じて教育委員会規則で定めるとしています。

 2006年に文科省と財務省との間で教員は一般行政職に比べ優遇されているとして、給与2.76%削減(全国430億円削減)を合意しました。教員給与削減計画を4年間で実施するとして、2008年度政府予算案で義務教育等教員特別手当を給与の3.8%から3.0%へ減額しました。

●2008年度賃金確定交渉で埼玉県は国から国庫補助金が入ってこなくなるという理由で政府予算のとおりに、義務特殊手当を削減しました。

Q61 育児休業手当金の額はどのように計算されますか

●地方公務員共済組合法(70条の2)は、育児休業を取得した共済組合員に対して育児休業手当会を支給すると定めています。

子の養育のため、育児休業(部分休業を除く。)を取得したとき、当該育児休業に係る子の1歳の誕生日の前日までについて育児休業手当金が一括請求により1か月ごとに支給されます。

 なお、子が1歳に達した日後においても育児休業が必要と認められるものとして総務省令で定める場合にあっては、延長給付として当該子が2歳に達するまで、育児休業手当が1か月ごとの請求に基づき支給されます。

 また、「パパ・ママ育休プラス」により、共済組合員の配偶者が育児休業に係る子の1歳の誕生日前日までに育児休業を取得していた場合、育児休業を取った共済組合員に対し、当該子の1歳2ヶ月の範囲で最大1年間育児休業手当金が支給されます。

●育児休業手当金は次の算式で求めます。

 標準報酬日額×50/100×日数

※育児休業を開始した日から、180日(土日を含む)に達するまでの期間は67/100となります。

※給付日額については上限があります。(上限10,322円、開始から180日に達するまでは13,832円、毎年8月に改定があります。)

※育児休業手当金支給期間のうち、土日を除いた日数分が支給されます。

なお、休業中の共済組合掛金と互助会掛金は免除されます。

Q62 退職手当の額はどのようにして決められますか

〈退職手当の受給者〉

●常勤の教職員が退職した場合、その者に支給されます。引き続き退職手当が通算される国または他の地方公共団体の公務員となった場合は支給されません。任期付短時間勤務職員は非常勤のため、退職手当の支給対象外となります。

〈退職手当の額〉

●退職日の給料の月額に、退職事由と勤続期間に応じた支給割合を乗じて得た額を「退職手当の基本額」とし、これに「退職手当の調整額」を加えて得た額が退職手当として支給されます。

 退職手当の基本額(※)+退職手当の調整額…③=退職手当

 ※退職日の給料の月額…①×支給割合…②

①退職日の給料の月額

●退職日の給料の月額=「(給与明細内記載の)給料の月額※」+(教員の場合)教職調整額」

 ※3級加算額(給料表3級該当者のみ)と特別支援学級担当の場合の給料の調整額を含んだ額

●給与明細の欄外に「(参考)給料表の切換えに伴う経過措置を含まない給料月額」の記載がある場合は、その金額が上記の式の「給料の月額」となります。

●勤続20年以上で、60歳定年職種の方については、45歳以上、63歳定年職種の方については48歳以上で勧奨により退職する場合、上記の「退職日の給料の月額」に、定年との年齢差1年につき給料の月額3%(定年の1年前に退職する場合は2%)を加算します。

年齢45(48)46(49)47(50)48(51)49(52)50(53)51(54)52(55)
加算率(%)4542393633302724
年齢53(56)54(57)55(58)56(59)57(60)58(61)59(62) 
加算率(%)21181512962 

※( )は63歳定年職種の場合の年齢

②支給割合

●退職事由(定年・勧奨・任期満了等)と勤続期間に応じて決まります。(別表参照)

 なお、勤続期間とは、職員となった月から退職した月までの引き続く在職期間をいい、次の計算方法により求めます。

 (1)1年未満の月数の取扱い

   ・原則、在職期間が1年以上ある場合の1年未満の月数は切り捨てます。

     例:35年10月→35年

   ・在職期間が6月以上1年未満の場合は1年として計算します。

 (2)休職等期間の除算

   ・在職期間中、休職(公務傷病による休職は除く)、停職等の期間がある場合、原則その期間の1/2を在職期間から除算します。

     例:30年1月のうち、休職期間が8月ある場合

       30年1月-(8月×1/2)=29年9月→29年

   ・育児短時間勤務の期間がある場合、その全期間の1/3を除算します。

   ・通常の育児休業の期間がある場合、子が1歳に達した日に属する月までの期間についてはその期間の1/3、それ以外の期間については1/2を除算します。

   ・組合専従の休職期間については、全期間を除算します。

③退職手当の調整額

●在職期間中の職務の級等に応じて決まります。具体的には、1996年4月1日から退職日までの在職期間について、その期間の各月ごとに、退職者がどの職務の級等にあったかによって、下記の表の「職員の区分」とそれに対応する「調整月額」を割り振り、その後で各月の「調整月額」の高いほうから60月分を合計します。

●勤続期間4年以下の場合は計算した額の1/2に相当する額を退職手当の調整額とします。また、自己都合退職で勤続10年以上24年以下の退職者の場合も計算した額の1/2に相当する額を退職手当の調整額とします。自己都合退職で勤続期間が9年以下の退職者の場合、退職手当の調整額は支給されません。

Q63 「成績主義賃金」について説明してください

●1993年「富士通」が最初にこの制度を導入したが、2004年に社長自らが実質的な破綻宣言を出しました。2006年8月には、経済産業省から「人材マネジメントに関する研究会」報告が出されました。報告よると、成果主義賃金システムを導入した企業では、

①多くの従業員のモチベーションが低下した

②組織のチーム力が低下した

と指摘をしました。行政の報告書が示さざるをえないように、成果主義賃金制度には大きな問題点が明らかです。主な問題点は次の通りです。

短期的評価の強調

すぐに成果が出る仕事だけが高く評価され、一部の目先の利く者を除いて多くの地道に縁の下で支える労働者の意欲をそいでいる問題。病気休職者の増大にも結びついています。

チームワークの軽視

職場の中で無理矢理にランク別に評価されて、賃金や昇任・昇格につながるとチームワークそのものが崩されていきます。

納得感、公平感の欠如

多様な労働内容や形態があるにもかかわらず、上司の評価に労働者は納得をして次の労働のモチベーションにつながるはずもなく、職場には不満が充満していきます。

《成果主義が生み出したものとその人間観》

●結局、成果主義は財界・経営者による人件費の抑制のために導入されたことが問題を生みます。「努力すれば報われる」と経営者は労働者をアメとムチで働くという人間観にたっていますが、本来、人間の労働とは自分と家族の生活、社会の発展と明日への希望のために働くものです。

《教育にもっともふさわしくない成果主義賃金制度》

●学校で働く教職員は、「自分のクラスの子どもだけが発達すれば」「自分の授業だけがうまくいけば」などと考える教職員はいません。学校に通うすべての子どもたちが健やかに成長することを考えて、全教職員で共同して教育活動にとりくんでいます。成果主義賃金制度は、教育の営みに冷水を浴びせるもので教育の崩壊につながります。民間企業ですでに破綻しているものを、共同性のより高い、子どもの教育という息長く尊厳のあるとりくみにもっともふさわしくない制度です。

●教育の成果は単年度で現れるものではありません。さらに教育は教職員相互の協力と協同の上で成り立つものでることから成果主義賃金がなじまないことは明白です。管理職の評価を気にするあまりに、管理職に媚びる、困難な課題の担当を避けたり挑戦しなくなる、自分の失敗を誰にも相談できず、隠蔽してしまうなどと、教職員間の関係性を崩しかねません。

●埼教組は、評価を行う管理職が教職員に対する主観的な思いを評価に反映されることも問題視し、2020年度の埼教連交渉にいても評価者研修においての指導を徹底するよう、県教委に対して求めました。

第4章 母性保護・ジェンダー平等

Q64 母性を保護することとジェンダー平等との関わりをどう考えたらいいのか説明してください

●母子保健法には「母性はすべての児童がすこやかに生まれ、かつ育てられる基盤であることにかんがみ、尊重され、保護されなければならない」と規定されています。「生命を生み出す」ことは当事者だけの問題でなく、次の世代を創り出すということでもあり、母性は社会的に保護されるべきものです。それは単に妊娠・出産に直接かかわる時期だけでなく月経開始時から閉経に至る期間の母性をさすといわれます。女子差別撤廃条約第四条にも「母性保護を目的とする特別措置を締約国がとることは、差別とみなしてはならない」と明記されています。

●命を生み出す母性機能をもつ女性が男性と対等に仕事をしていくためには、母性がハンディキヤップとならないようにしなければなりません。つまり、「母性保護とジェンダー平等」は二律背反的にとらえられるものではなく、母性保護はジェンダー平等の前提となるのです。母性保護が確立されて、はじめて男女が同じ基盤に立つといえます。

●ところが、自公政権は、口では「女性の活躍」と言いながら、差別の実態には目をふさぎ、ジェンダー平等に背を向け続けています。政権の内部から、「子どもを産まないのが問題」、「セクハラ罪という罪はない」など、公然と女性を差別し、セクハラ加害者を擁護する発言が繰り返されています。

 これらの根底には、侵略戦争と植民地支配の美化、男尊女卑と家父長制度、個人の尊厳の否定、個人の国家への従属という、時代逆行の思想があります。多様な人々の人権の尊重は、国際社会が求める普遍的価値です。

●長時間過密労働が常態化する学校現場において、母性保護の諸権利行使が困難になったり、産休代替職員が見つからない未配置・未補充などの問題がありますが、「母性保護はジェンダー平等の前提」を全教職員の合意にし、母性が大切にされる職場づくりをすすめなければなりません。そのためには男性教職員を含めた労働条件の改善が必要です。

Q65 雇用におけるジェンダー平等について教えてください

●男性の正社員にくらべて、女性の正社員の賃金は7割と大きな格差があります。女性の約6割がパートや派遣などの非正規労働者として働いており、正社員との不当な格差や差別が女性の低賃金、男女格差につながっています。

 “女性は残業や転勤ができないから責任ある仕事はさせられない”という理屈で差別が正当化されています。雇用におけるジェンダー平等は、誰もが働きやすく、生きやすい社会にしていく大きな力になるとともに重要な視点です。

●国連やILOなどでは、形式上は「差別」ではないようにしてあっても、一方の性に不利益な影響を与える行為を「間接差別」と規定し、違法な差別としています。ところが日本で「間接差別」とされるのは、募集や採用・昇進の時に「身長や体重、体力を要件」にするとか「転居を伴う転勤ができることを要件」とする程度です。コース別雇用管理で昇進機会や賃金に格差をつけるなど、働く場で横行している「間接差別」のほとんどが野放しです。

●公務員は国公法・地公法に性差別禁止が盛り込まれているとして、均等法の多くの部分が適用除外とされています。しかし、公務員も募集・採用は国公法・地公法に含まれないともいわれ、また現に、一般公務員の昇進・昇格差別が問題になっています。「職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮」、「妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置」は、地方公務員は適用になります。学校は比較的平等が保障されている職場でもありますが、県内でも扶養認定などをめぐる問題やセクシャル・ハラスメント、妊娠はおめでたいことにも係らず、未配置・未補充の問題等から管理職に「学校運営のことを考えてくれ」などといったマタニティー・ハラスメントが問題に挙げられる職場も少なくありません。罰則規定を盛り込むなど均等法をいっそう実効性のある法に改正するとともに、職場でジェンダー平等を推進する具体的なとりくみが重要です。

●「家族のことは女性にまかせて、男性は夜遅くまで働く」長時間労働の背景に「育児や介護は女性の仕事」という性別役割分担論があります。

育児や介護など家族的責任を持つ労働者は、男女を問わず、時間外労働・深夜労働・単身赴任や長時間通勤を伴う転勤を原則禁止し、看護休暇や育児介護休業制度を拡充するなど、男女ともに家族的責任を果たすことを保障する、働くルールの確立をめざしてとりくみを強めることが重要です。

Q66 ハラスメント対策はどうなっていますか

●国連は、セクハラ、性暴力、DV等を「女性に対する暴力」と規定し、女性差別撤廃のために対策を抜本的に強化すべきだと締約国に示しています。日本はこれらの法整備と被害者への支援体制がきわめて不十分であり、早急に改善することが求められています。

●埼玉県教委は「県立学校におけるセクシュアル・ハラスメントの防止等に関する要綱」を制定し、1999年9月1日より施行しました。さらに2011年2月1には「県立学校におけるパワー・ハラスメントの防止等に関する要項」を、2017年1月1日には「県立学校における妊娠、出産、児童又は介護に関するハラスメントの防止等に関する要項」を施行しました。これらの要綱の中には、校内に苦情相談をうける相談員を設け、相談員からなる委員会を置くこと等がもりこまれています。それぞれ臨時・非常勤も含む全ての職員を対象としています。

●2020年度現在、全ての市町村で3つのハラスメントに関する要項が策定されているとともに、相談窓口が設置されています。

●2019年度の全教青年部調査では、青年教職員の30%(女性は35%)が職場でハラスメントを「受けたことがある」と答えています。ハラスメント(若い人や女性への「仕事の押し付け」「過剰な叱責」、「陰での悪口」など)は、勤務の過密さ・ゆとりのなさによって引き起こされることもあると考えられます。マタハラ(3年間は妊娠しないようにといわれたなど)は、人員不足が原因です。ハラスメントがない職場にするためには、啓発をするとともに、正規職員を増やし、学校運営にゆとりをつくることが大切です。

Q67 結婚後、職場で別姓を使うことができますか

●戦後、「家」制度が廃止され、民法が1947年に改正されましたが、夫婦の氏については同じ姓を名乗る夫婦同氏制度とされました。女性が改姓する場合が圧倒的に多く、男女平等を求める運動の高まりや仕事上の不都合から氏の変更を望まない人も増え、夫婦別氏制度を求める運動が広がりました。

●結婚したら、どちらか一方の姓を名乗らなければならない―夫婦同姓を法律(民法)で義務付けているのは世界で日本だけです。姓を変えるのは96%が女性です。外国人との結婚や離婚の際の姓は選択できますが、日本人同士の結婚では同姓が強制的義務とされたままです。日本も批准している女性差別撤廃条約第16条の「夫及び妻の同一の個人的権利」には、姓を選択する権利も含まれます。女性差別撤廃委員会から再三にわたり法律改正の勧告を受けています。国民は、選択できる社会、個々の人格や多様性が認められる社会を望んでいます。最高裁も「氏名は、人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴」(1988年)と判断しています。

●埼玉県は全国に先駆けて、1997年に「埼玉県職員旧姓使用取扱要綱」を、県教委は「埼玉県立学校職員旧姓使用取扱要綱」を制定し、婚姻や養子縁組等により戸籍上の氏を改めた職員が希望すれば、旧姓が使用できることになりました。施行前に改姓した職員も対象となります。

●この対象となるのは、県職員や県立学校教職員です。市町村立学校職員の服務監質権は市町村にありますので、各市町村に旧姓使用を認めさせることが必要です。県教委は「埼玉県立学校職員旧姓使用取扱要綱」制定を各市町村に通知しています。

●「埼玉県立学校職員旧姓使用取扱要綱」及び通知のは次のようです。

①旧姓を使用できる文書等

職員録、座席表、回覧用紙、校務分掌、名札、住所届、出勤簿、着任届、職専免願、休暇届、休暇願、欠勤届、遅刻(早退)届、研修承認願、兼職承認願、復命書、休日・時間外勤務命令簿、事務引継書、週休日の指定簿、旅行命令簿、起案文書、支出負担行為決議書(回議、合議、決裁の押印)及び  支出命令書(回議、合議、決裁の押印)、検査調書、これ以外に法令等に基づかない文書等で校長が認めるもの。

その他一学校日誌、職員名簿、時間割表、生徒出席簿、学校要覧、職員会議録、宿日直日誌、職員動静表、海外旅行承認願、各種校務報告、事務日誌、  通知票、生徒・保護者への通知等、各種研修会・研究大会への申し込み等、職場での呼称及び名刺

②次の文書等については戸籍上の氏とする。

服務の宣誓書、職員証(事務職員等)、退職願、専従許可願、育児休業(部分休業)承認請求書、人事異動及び昇給等の発令書、人事異動記者発表、給与明細書、契約書、共済及び互助会関係事務、公務災害事務

③旧姓使用を希望する職員は、所定の様式の「旧姓使用願」を提出する。

Q68 生理休暇について説明してください

●月経は生理現象で女性の性機能の状態を表し、その順・不順はその人の機能のはたらきを反映します。生理と出産は関係が深く思春期のころから母性を大切にしなければなりません。生理の時は、自分では苦痛を自覚しなくても疲労したときの血液に多く含まれる物質が炭鉱で徹夜作業をしたときほどの量であるという学者もいます。だから自分に苦痛がなくても十分休養をとり、仕事  から解放されて精神的にも肉体的にもゆっくり休む必要があります。生理時の過激な労働は子宮位置の異常をおこしやすく、不育症や不妊症の原因ともなっています。生理休暇をとらずに労働した人の方が、異常出産・未熟児・難産が多いという調査結果もあります。

●生理休暇規定があるのは世界でも数少ないのですが、日本は欧米諸国より長い労働時間の上に残業も多く、労働密度もずっと高いのです。男女別の休養室もない職場環境、遠距離通勤と異常な混雑、病気の時でさえ気楽に休めない職場環境など、諸外国では考えられない特別な状況があります。いま大切なことは、生理休暇をきちんととれる職場をつくることです。生休が取れる職場は、年休もとりやすい職場なのです。

●生理休暇は1回につき3日の期間内で必要な期間をとることができます。続けてとる場合は、勤務を要しない日も日数に合まれます。時間単位でとることもできます。

●医師の診断書は不要です。

(学校職員の職務時間、休暇等に関する規則第12条9)

Q69 妊娠・出産にかかわる休暇について教えてください

(1)産前・産後休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条1項)

(女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律)

●産前休暇は、出産予定日を含め前6週間に当たる日からです。多胎の場合は出産予定日前14週間です。

●産後休暇は、出産の翌日から8週間となっています。出産日が遅れた場合は、出産の翌日から改めてカウントされますので、遅れた分だけ産前休暇が延長されることになります。

●産前・産後休暇に妊娠傷害休暇2週間、加算休暇2週間を続け、最長18週(多胎の時26週)の休暇をとることができます。

●労基法66条により、産前休暇は本人の請求により、産後休暇は本人の請求がなくとも使用者はこれを与えなければなりません。(産後6週間経過後、本人が請求し、医師が支障のないことを認めた業務に就かせることはできます。)

●妊娠44か月以上(28日で1月、4か月以上とは85日以上をいう)の分娩(早産・ 死産・流産・人工中絶)の場合に、産後8週間の休暇をとることができます。また、産後加算休暇をうけることができます。

●産前・産後休暇の期間中は産休代替教職員が配置されます。●産前休暇に入る直前及び産後休暇直後(育児休業をつづけてとった時は育児休業直後)に各1日、教育内容や事務引き継ぎのため代替者が配置されます。

●2014年度より、産前産後休暇取得期間中も育児休業中と同様に、申し出により共済組合および互助会の掛金が免除されることとなりました。

(2)加算休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条1項)

(女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律)

●産前・産後休暇に続けて、2週間とることができます。産前及び産後に分割して加算しても差し支えありません。産前または産後の休暇願の提出により承認され、出勤簿は「産休」となります。

●加算休暇の期間中は産休代替教職員加配置されます。

(3)妊娠傷害休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条1項4号)

●つわりや妊娠中の傷害等で妊娠期間を通じて14日を越えない範囲でとることができます。母子手帳等で妊娠の事実を示すとともに本人が妊娠に起因する障害のため勤務が困難であることを口頭または文書で申し出ます。

●1日単位に分割しても、2日以上連続してもよいのですが、事実上1時間単位でとっても1日として計算されます。妊娠に起因する障害があれば、産前休暇または加算休暇に連続してとることができます。

●産前休暇、産前加算休暇につなげてとった場合は、名称は「産前休暇」と なり、産休と離して継続的にまたは1日ずつ分割してとる場合は「傷害休暇」という名称になります。

●産前休暇につなげてとった場合は産休代替教職員が配置されます。

(4)通院休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条2項)

●妊娠中は、自覚症状がなくても、いろいろな病気にかかる割合が普通の時よりも多いと言われており、定期的に医師などの診断をうけることが不可欠です。通院休暇は、妊娠中又は産後1年以内の教職員が、医師等の保健指導・健康診断を受ける場合に保障されている休暇です。

●妊娠中及び産後、保健指導・健康診査のために1回につき1日の範囲内で、その都度必要と認められる時間を次のようにとることができます。

妊娠23週まで・・・4週間に1回

妊娠24週から35週まで・・・2週間に1回

妊娠36週まで出産まで・・・1週間に1回

出産後1年まで・・・1年以内に1回

※医師の特別の指示があった場合は指示された回数

●請求の際、母子健康手帳を休暇願とともに提示します。妊娠の事実を確認できる証明書でもかまいません。なお、妊娠確認のために診察を受ける場合も、この休暇が適用されますが、妊娠していなかった場合は年休となります。

(5)通勤緩和休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条1項3号)

●通勤に利用する交通機関の混雑から、母体の健康持続をはかるために実施されるようになった休暇です。

●通勤時間の始め又は終りにおいて、1日につき1時間以内の勤務時間の繰上げ・繰り下げの休暇を取ることができます。

●1か月単位に、妊娠の証明ができる日から、産前休暇の前日までを一括して願い出ることによってとることができます。

●医師の診断書はいりません。母子手帳に「通勤に注意」などの趣旨を記入してもらうとよいでしょう。母子手帳に記入がなくともとることができます。通勤ラッシュを避けるため、自家用車・原動機付自転車・その他の原動機付交通用具利用者も混雑する場合は該当します。

(6)出産補助休暇

(学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則12条1項18号)

●妻の出産(妊娠4カ月以上の分娩)にあたり、夫である男性職員は3日の範囲内でその都度必要と認められる期間、休暇がとれます。

●出産当日からおおむね2週間以内にとることを原則としています。入院の際の付添い、出産時の付添い、出産に係る入院中の世話、出生届提出時等に使います。

●連続して3日とる場合、休日等を含む場合は、休日の前後に分けて請求することもできます。1日単位でも1時間単位でも取得することができます。

●1時間を単位とする場合は、7時間45分をもって1日と計算をします。

(7)男性職員の育児参加のための休暇

(学校職員の勤務時間、休暇に関する規則第12条1項19号)

●学校職員の妻が出産をする時、その出産予定日の6週間(多胎妊娠のときは14週間)前の日から出産の日から8週間までの期間に、当該出産に係る子または小学校の始期に達するまでの子を養育する職員が、これらの子を養育するため勤務しないことが相当であると認められる期間休暇がとれます。

●これらの子と同居している必要があります。

●1日単位でも1時間単位でも取得することができます。●1時間を単位とする場合は、7時間45分をもって1日と計算をします。

Q70 妊娠中の業務軽減についてはどうなっていますか

●妊娠中の女性教職員が請求した場合には、校長は、他の軽易な事務に転換させなければならないことになっています。妊娠がわかったらみんなに知らせ、業務軽減を請求しましょう。

●学校の場合、遠足への付添、泊を伴う行事、プールの水泳指導、体育の実技  指導などの業務は転換させる必要があります。また、高い階の教室は避けるとか、家庭訪問を学校での個人面談にする等の配慮も必要です。分会で本人とよく協議し、対策を講じさせることが大切です。

(労基法65条3項)

●妊産婦が請求した場合、使用者は1週間について38時間、1目について7時間45分を超えて労働させてはならず、時間外労働、休日労働、深夜業をさせてはならないことになっています。

(労基法66条)

●妊娠中の教職員が母子保健法に規定する健康指導または健康診査に基づく指導事項を守るため適宜、休息または補食する場合、その都度必要と認める時間について、服務専念義務が免除されます。その際、母子健康手帳等によって確認を求められますが、その際プライバシー保護には十分留意することになっています。

(服務に専念する義務の特例に関する規則2条13号)

●教育内容や事務の連絡を行うために、産前休暇に入る直前に1日、及び産後休暇終了直後(続けて育児休業を取った人は育児休業終了直後)に1日、育児休業に入る直前に1日、及び育児休業終了直後に1日、引き継ぎ日として代替者が配置されます。

●連絡引き継ぎに該当する日が長期休業日、各学期の始業・終業日にあたる時も代替者が配置されるようになっています。

(配置事業実施要項)

Q71 妊娠教員体育代替制度について説明してください

●1981年に「埼王県公立小学校妊娠教員体育代替非常勤講師事業」が小学校で実現し、その後改善され、1998年に中学校でも実現しました。体育授業の教育水準維持と妊娠者の母体保護を目的とするものです。

●小学校の教諭及び中学校体育科の教諭が妊娠した場合、母性保護のため、体育の授業を担当する非常勤講師が措置されます。

〈小学校〉

2020年度埼教連交渉によって、体育を行う教諭の妊娠者1人に対して、非常勤講師がこれまでの週5時間から週6時間措置されます。(2015年度までは18学級以上という学級要件がありましたが、2016年度長年の要求が実現し学級要件がなくなりました。)

〈中学校〉

体育科教諭が妊娠した場合週13時間非常勤講師が措置されます。

●該当者は母子手帳または医師の診断書の写しを校長に届け、「妊娠教員体育代替非常勤講師」の配置を求めます。

●2019年度埼教連交渉において、本務者が休暇等を取得し勤務しない場合であっても、代替者については勤務配置ができるよう配置要件が拡大されました。

Q72 セクシャリティ(性のあり方)について教えてください

●2019年、同性婚を容認することを求める訴訟が全国4都市で始まりました。同性パートナーシップ条例・制度をもつ自治体は全国20自治体(2019年4月現在)に広がりました。日本経団連が実施した「LGBTへの企業のとりくみに関するアンケート」では、90%以上の企業が「性的少数者に関して社内の取り組みが必要」と回答しています。セクシュアル(性的)マイノリティに対する差別をなくすための運動が、社会を大きく動かしています。

●もともと①身体的性(身体的構造における性。多くの場合、産まれてきたときの外性器によって判断される)、②性自認(自分の性をどのように認識しているかということ)、③性的指向(ひろい意味ではどんな性を好きになるかということ)、④性表現(自分のありたい性をどのように表現するかということ)において、人は極めて多様です。

●私たちのこれまでの社会では、性は「男」または「女」と二分され、性的指向が異性に向いていることが前提となっています(同性愛中心主義)。同時に、性自認と身体的性が一致していることが「当たり前」だとする考え方(「シスジェンダー」といいます)も浸透しています。

●①身体的性、②性自認、③性表現が一致していて、③性的指向は異性に向いている、これがセクシュアルマジョリティ(性的多数者)であるとされています。

●しかし、①②④が一致せず、③が同性に向く場合もあれば、どちらにも向かない場合、逆にどちらにも向く場合もあるなど、何通りもあります。④性表現も①②と一致しない場合があります。セクシュアルマイノリティは、セクシュアルマジョリティ以外のセクシュアリティ(性のあり方)のことをいいます。

●セクシュアルマイノリティに対する差別は、女性差別と同じように、「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」というジェンダー規範から生まれてくると考えています。そして、そのジェンダー規範は、資本主義社会のなかで、男性は強く、長時間労働に耐え、家計を担う存在として、女性は家事育児に専念し、「家」を守る存在として、一律に規定付けられていました。そのような社会の中で、結婚は、将来の社会を支えるために、子どもを産み、人口を増やしていくための営みと位置づけられがちです。

●このような社会では、異性愛が大前提ですし、身体的性に規定された性自認や性的指向、性表現を事実上強制されることになり、セクシュアルマイノリティの方にとって非常に生きづらい社会になります。同時にセクシュアルマイノリティではなくても、身体的性にふさわしいとされる外見やしぐさが異なる人、結婚したくない人、結婚しても子どもを産みたくないと考えているカップルなどにとっても、息苦しい社会です。セクシュアルマイノリティに対する差別は、セクシュアルマイノリティの当事者だけの問題ではありません。

 また、民主主義国家の前提として、多様な意見が反映されるように、政治分野にもダイバーシティ(多様性)が必要です。

●近年、学校の制限においても、男子はズボン、女子はスカートという固定概念が見直される学校が広がりつつありますが、男女二分法を多用する学校文化は今もなお根強く残っているのが現状です。

第5章 身分保障・人事・服務

Q73 教職員の身分はどうのように保障されていますか

●公立学校の教職員は学校教育に従事する公務員労働者です。したがってその身分保障については、まず公務員という側面から地方公務員法(地公法)の適用を受けます。さらに教員の場合には、専門職として教育に従事するという側面から教育基本法(教基法)、教育公務員特例法(教特法)が適用されます。

教特法によって、政治的行為の制限については、国家公務員と同様の規則を受けます。しかし、罰則の規定はありません。(18条)また、労働者であることから憲法28条(勤労者の団結権・団体交渉権及び団体行動権)でその身分が保障されています。わたしたちの身分(地位)や勤務条件はすべて法律できめられているのです。これを勤務条件法定主義と呼びます。

●教職員の任免は自治体の長ではなく、自治体の教育委員会がおこなうこととされています。もっとも、都道府県に採用された教職員の日常の監督や人事評価は、市町村教育委員会が行なうものとされています。

●教職員は、法律で定める場合以外は、本人の意思に反して、降任、免職などの不利益な取り扱いを受けないことを保障されています。(身分保障・地公法27条2号)これは、公務員が「全体の奉仕者」として、上司等からの不当な圧力に屈することなく、住民に継続的な公共サービスを提供することを目的としているからです。

 この点について、ILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」(1966年9月)は、「教職における雇用の安定と身分保障は、教員の利益にとって不可欠なもの」(45項)と位置づけています。

Q74 不当労働行為とは何ですか どのような場合、不当労働行為となりますか

●不当労働行為とは使用者による団結権の侵害行為を指します。労働者の自主的団結活動にたいして使用者の干渉、介入を許したままにしておけば団結権保障の内容は形骸化してしまいます。そこで不当労働行為救済制度を設けて、こうした使用者の行為を排除し、自主的団結権を保障しようとするものです。

労働組合法(労組法)7条は使用者の不当労働行為として次の 4 つの類型をあげています。

 1.組合加入、組合活動などを理由とした不当解雇及び不利益取り扱い、組合不加入、脱退を条件とした雇用

 2.団体交渉の拒否

 3.組合への支配・介入

 4.不当労働行為申し立て等に対する報復的措置

●しかし、国家公務員や地方公務員は労組法の適用除外であるため、形式上、上記の禁止は適用されません。ところが、使用者の不当労働行為が禁止されるのは、憲法28条の団結権を保障したことの当然の結果であって、あえてそれ以上の法令の定めを必要としません。その意味では労組法7条は憲法28条の団結権保障の効果を確認する意味で明記したにすぎないものといえます。

 したがって、憲法28条が団結権を保障している以上、公務員にも次のことは不当労働行為となります。

 1.組合員であること、もしくは組合活動を積極的に推進したことにより差別すること。

 2.組合に入らないよう、もしくは組合を脱退するよう働きかけること。

 3.正当な理由がなく交渉を拒むこと。

 4.組合の運営に支配・介入すること。

 5.不利益な取扱いを訴えたことによりさらに不利益取扱いをすること。

    例えば、何ら支障がないにもかかわらず分会会議を開かせなかったり、組合の掲示物にクレームをつけたり、集会・デモ等に参加させなかったりするのも、組合の正常な運営を阻害するので組合に対する介入であり、不当労働行為になります。

〈管理職のカンパ〉
 管理職が組合のボ一ナスカンパに応じることについて、労組法7条3項の「労働組合の運営のための経費の支払いにつき経理上の援助を与えること」にあたり不当労働行為になるので応じるべきではないとする考えがあります。しかし、そもそもこの条文の趣旨は、使用者(管理職が使用者であるかどうかは論議が必要です)が組合の財政に介入して使用者の意向に沿うよう活動させるといったことがないようにする点にあります。しかも、この条文の続きに「厚生資金または経済上の不幸もしくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする」とあります。
 カンパで組合活動の方向を左右するほどの額を拠出するなら問題も出てくるかもしれませんが、それほどの額でないなら組合の活動に影響を与えることもないし、ボーナスカンパは「厚生資金」に準ずるものであるので、管理職がカンパに応じても、何ら問題はありません。

<不利益処分に対する救済措置>

●地公法56条は「職員は、職員団体の構成員であること、職員団体を結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと又は職員団体のために正当な行為をしたことの故をもって不利益な取扱を受けることはない」と規定しています。これによって不利益を受けた場合は、人事委員会に不利益処分に  対する審査申し立てができます。(地公法49条2項以下)

この手続きによる救済を受けられるのは組合員であること、あるいは組合活動をしたことを理由とする「不利益」であり、人事や処分による不利益が代表的なものといえます。したがってこの申し立て方法では組織への介人的言動、組合活動への嫌がらせ、団交拒否などについては対応することはできません。  この場合には不当労働行為は労働組合に対する違法な攻撃、すなわち不法行為ですから、裁判所に損害賠償の請求を求めることができます。また、不当労働行為が行政処分としてなされる場合は執行の停止、取り消しを、組合に対する誹謗・中傷などの事実行為としてなされた場合は仮処分などの裁判手続きで争うことができます。この他、世論喚起のために人権擁護委員会や弁護士会に救済申し立てをすることも一つの方法です。

●不当労働行為とのたたかい方の原則は、組合の組織的反撃(抗議・団体交渉要求)によってこうした侵害を排除することです。不当労働行為救済制度が制度として完備した民間労働者の場合でも実際には不当労働行為があとをたたないのが現実です。又、労働委員会の場で勝利命令が出されたのにそれが実行されないというケースも少なからずあり、逆に負けても実質的にたたかいが勝利した場合もあります。

このように、たたかいの主たる場は職場であり、そこでの自主的団結と連帯こそが不当労働行為を許さない基本的な力であるといえます。

Q75 教員免許制度の概要について教えてください

〈相当免許主義〉(教育職員免許法 第2条、第3条)

●幼稚園、小学校、中学校、高等学校の教員は、原則として、学校の種類ごとの教員免許状が必要です。(中学校又は高等学校の教員は学校の種類及び教科ごとの教員免許状が必要です。)

●義務教育学校の教員は、小学校と中学校の両方の教員免許状が必要です。中等教育学校の教員は、中学校と高等学校の両方の教員免許状が必要です。

●特別支援学校の教員は、特別支援学校と特別支援学校の各部(幼稚部・小学部・中学部・高等部)に相当する学校種の両方の教員免許状が必要です。

●児童の養護をつかさどる教員、児童の栄養の指導及び管理をつかさどる教員は、それぞれ養護教諭(養護助教諭)の免許状、栄養教諭の免許状が必要です。

〈教員免許状の種類〉(教育職員免許法第4条、第5条)

●教員免許状の種類 教員免許状は3種類あり、申請により、都道府県教育委員会から授与されます。授与を受けるためには、

①所要資格(学位と教職課程等での単位修得、又は教員資格認定試験(幼稚園、小学校、特別支援学校自立活動のみ実施)の合格)を得る

②都道府県教育委員会が行う教育職員検定(人物・学力・実務・身体面)を経る必要があります。具体的な授与基準等の細則は、都道府県ごとに定められています。

免許の種類有効期間有効地域範囲概要
普通免許状10年全国の学校教諭、養護教諭、栄養教諭の免許状です。所要資格を得て必要な書類を添えて申請を行うことにより授与されます。専修、一種、二種(高等学校は専修、一種)の区分があります。既に教員免許状を有する場合は、一定の教員経験を評価し、通常より 少ない単位数の修得により、上位区分、隣接学校種、同校種他教科の免許状の授 与を受けることができます。
特別免許状10年授与を受けた都道府県内の学校教諭の免許状です。社会的経験を有する者に、教育職員検定を経て授与されます。 授与を受けるには、任命又は雇用しようとする者の推薦が必要であり、教科に関する専門的な知識経験又は技能、社会的信望、教員の職務に必要な熱意と識見を有 することが求められます。幼稚園教諭の免許状はありません。小学校教諭の免許状は教科ごとに授与されますが、特別活動など教科外活動を担任することも可能です。
臨時免許状3年授与を受けた都道府県内の学校助教諭、養護助教諭の免許状です。普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り、教育職員検定を経て授与されます。(当分の間、相当期間にわたり普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り、都道府県が教育委員会規則を定めることにより、有効期間を6年とすることができます。(教育職員免許法附則第6項))

 ※特別免許状の授与例

  例1 職業:看護師

     →高等学校の教科「看護」の特別免許状を授与

  例2 職業:外国人の英会話学校講師

     →中学校の強化「英語」の特別免許状を授与

〈免許状主義の例外〉

●特別非常勤講師制度

 多様な専門的知識・経験を有する人を教科の学習に 迎え入れることにより、学校教育の多様化への対応や 活性化を図ることを目的とした制度です。 教員免許状を有しない非常勤講師が、教科の領域 の一部を担任することができます。 任命・雇用する者が、あらかじめ都道府県教育委員 会に届出をすることが必要です。(教育職員免許法第3条の2)

 ※特別非常勤講師制度の活用例

  職業:調理師

→高等学校の教科「家庭」の領域の一部として「調理実習」の授業を単独で実施することが可能。

職業:書道家

→中学校の教科「国語」の領域の一部として「書道」の授業を単独で実施することが可能。

●免許外教科担任制度

 中学校、高等学校等において、相当の免許状を所有する者を教科担任として採用することができない場合に、校内の他の教科の教員免許状を所有する教諭等が、1年に限り、免許外の教科の担任をすることができます。

校長及び教諭等が、都道府県教育委員会に申請し、許可を得ることが必要です。(教育職員免許法附則第2項)

※免許外教科担任制度の活用例

 山間地・へき地等の生徒数が少ない中学校で、全ての教科に対応した教員を1人ずつ採用できないなどの場合

中学校教諭の理科の教員免許状

同じ中学校の数学の担任 ○

隣の中学校の数学の担任 ×

隣の小学校の算数の担任 ×

●ゲストティーチャーやティームティーチングにおける副担任の教員免許状は、相当の教員免許状を所有する教員と常時一緒に授業に携わる場合には、必要ありません。

〈免許状の有効性〉

●現職教員は、定められた期間内に大学等が開設する30時間以上の免許状更新講習を受講・修了し、都道府県教育委員会に申請して、10年に一度、教員免許状の有効性を更新することが必要です。(免除・延長も申請が必要。)

●採用予定者も、教員免許状を取得後10年を経過している場合は、採用前に免許状更新講習の受講・修了と教育委員会への申請を行い、教員免許状を更新することが必要です。

※教員免許状は、学校の教員になる資格があることを証明する重要な書類です。教員免許状更新時に発行される証明書と一緒に大 切に保管してください。懲戒免職(相当)や禁錮以上の刑に処せられたときなどは失効又は取上げとなり、勤務地又は住所地の教育委員会への返納義務があります。(教育職員免許法第10条、第11条)

〈違反者に対する刑事罰〉

●相当の教員免許状の必要性を認識しながら故意に、次の①又は②の行為をした者は、30万円以下の罰金に処されます。

①相当の教員免許状を所有しない者を教員に任命・雇用した者

②相当の教員免許状を所有しないにもかかわらず、教員になった者(教育職員免許法第22条)

Q76 教員の採用のしくみについて教えてください

●任用権者が特定の人を特定の職員の職につかせることを任用と言い、通常、採用、昇任、降任、転任のいずれかの方法によってなされます。(地公法17条)

また緊急の場合には臨時的任用の方法がとられています。したがって採用というのは、地公法上の任用の一種ということになります。

●一般公務員の採用は原則として人事委員会のおこなう公開競争試験によるもの(地公法17条3項)とされていますが、教員の採用は教特法13条によって任命権者である教育委員会の教育長がおこなう選考によるものと定められています。

試験は受験者を競争させて相互の優劣を相対的に判定するものですが、選考はその職務を遂行するために必要な能力があるかどうかを一定の基準に基づいて判定するものです。教員採用の場合、選考によって採用することにしたのは、一つには、教員の資格が教員免許状によって公証されることになっていること、  二つには、教員には専門的知識とともに人格的要素が強く要求され、単純な競争試験ではその判定に適さないと考えられているからです。選考権者を人事行政機関である人事委員会でなく任命権者の一機関である教育長にしたのも教育の専門性に配慮するためと解されます。

こうして選考試験の合格者は採用候補者名簿に登載され、その中から採用するという仕組みが取られています。

●埼玉県の志願区分・教科(科目)等は次のとおりです。

2021年度埼玉県公立学校教員採用選考試験要領より抜粋
志願区分教科(科目)等備考
小学校等教員合格者のうち、約40名は特別支援学校小学部に配置される。
中学校等教員国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術、家庭、英語合格者のうち、約10名は特別支援学校中学部に配置される。
高等学校等教員国語、地理歴史 、公民、数学、理科、保健体育、音楽、美術工芸、書道、英語、家庭、情報、農業、電気、機械、情報技術、建築、商業、看護合格者のうち、約15名は特別支援学校高等部に配置される。
特別支援学校教員特別支援教育、自立活動「自立活動」は、社会人特別選考のみ実施。
養護教員小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、特別支援学校のいずれかに配置される。
栄養教諭小学校、中学校又は義務教育学校に配置される。

●選考区分は次のとおりです。

 ①一般選考:②の「特別選考」によらない選考。特別選考の受験資格を有していても、特別選考を志願せずに、一般選考を志願することが可能。

 ②特別選考:埼玉県公立学校教員採用選考試験には以下の特別選考があります。

2021年度埼玉県公立学校教員採用選考試験要領より抜粋
種別対象
障害者特別選考全志願区分
臨時的任用教員経験者特別選考A選考全志願区分
臨時的任用教員経験者特別選考B選考全志願区分
社会人特別選考高等学校教員(看護)特別支援学校教員(自立活動)
大学推薦特別選考小学校等教員中学校等教員(技術)特別支援学校教員(特別支援教育)高等学校等教員(数学・理科)全志願区分

●臨採者は現に小・中学校でクラスを担任し、分掌を担当し、学校運営を担うなど、重要な一員となっています。教職員として十分に職務を遂行できることを日々証明しているわけです。埼教組は臨採者の経験を考慮した本採用への道を要求しています。

Q77 条件付き採用期間は何か制限があるのですか

●地方公務員の採用は臨時的任用または会計年度任用職員の場合を除き、すべて条件付採用ということになります。そして、その職員がその職において6か月を勤務し、その間、その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用となります。(地公法 22 条1項)

この条件付採用の期間は人事委員会規則で1年まで延長できることになっていますが、その要件は厳格で普通、実勤務日数が90日に達しない場合等に限られています。

●教職員の採用もこれと同様ですが、初任者研修の法制化にともない、1989年4月から初任者研修の対象教員は条件付採用の期間が1年に廷長されました。(教特法13条)

●条件付採用といっても地公法27条2項「職員は、この法律で定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、若しくは免職されず、この法律又は条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して、休職されず、又、条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して降級されることがない」など地公法の若干の条文(28条1項から3項、40条1項及び2項)と行政不服審査法の規定が適用されない(地公法29条2項)というだけであって他の法令はすべて正式採用者と同様に適用されます。したがってこの期間の職名も正式採用の場合と変わらず、教諭、助教諭、養護教諭及び講師等の職名となっています。

 初任者が通勤手段として、自家用車を希望する際、管理職から「初任者は車通勤できない」と言われることがありますが、厳密には正しくありません。正しくは、通勤手段として自家用車を選択することはできます。

しかし、仮に通勤において自家用車で事故等を起こし、起訴された場合は上記に示したように地公法の若干の条文と行政不服審査法の規定が適用されないため、すぐさま免職処分になってしまうことから、自家用車による通勤は条件付採用期間内においては避けたほうがよいというのが正しい理解です。

僻地校等で公共交通機関がない場合など、通勤に支障がある場合は、自家用車による通勤は可能です。しかし、いつも以上に安全運転を心がけることが大切です。

●条件付採用期間中でも組合に加入できますし、毎年この期間中に新採用者が組合に加入しています。いまだかつて組合加入を理由に正式採用をされなかった例はひとつもありません。

 組合加入を考えていても、管理職から差別的な扱いを受けるのではないかと不安をもつ初任者がいます。もし、校長などが組合加入を妨害するようなことや組合加入による差別的な扱いがあれば、それは不当労働行為であり、責任を追及されることになります。

Q78 臨時的任用とはどのようなことですか 臨時的任用者にはどのような種類がありますか

●臨時的任用は地公法22条3項にもとづくものと特別法にもとづくものとに大別されます。

●地公法では、人事委員会規則の規定に基づき、常時勤務を要する職に欠員を生じた場合において、「緊急の場合」「臨時の職務に関する場合」「任用候補者名簿がない場合」において認められ、しかも人事委員会の承認が必要とされています。人事委員会は承認に際し、これら要件の存否を判断し恣意的運用をチェックする役割を担うことになっています。

臨時的任用には期間の制限があり、6か月を超えない範囲で認められ、人事委員会の承認があったときはさらに6か月を超えない範囲で更新することができますが再度の更新はできません。

●特別法にもとづく臨時任用期間は産休補助教職員(産休法3条)と育児休業代替職員(産休法15条)の2種があります。この場合には地公法にもとづく場合と違い、人事委員会の承認、期間の制限の規定は適用されません。

●2020年度より、本務者が1年以上の育児休業を取得するときには、その全期間を任期付職員として任用されることになりました。

●臨時的任用者には次のような種類があります。

①育児休業代員および任期付職員(育児作業中の教職員の代替)

②産休代員(産休中の教職員の代替)

③休職代員(病気休職、組合専従休職など休職中の教職員の代替)

④病気休暇代員(1か月以上~3か月病気休暇中の教職員の代替)

⑤介護休暇代員(1か月以上の介護休暇中の教職員の代替)

⑥公務災害による者の代員

⑦長期研修代員

⑧欠員補充(教職員の年度途中の退職等、その職員の職を欠員にしておくことができない緊急の場合。教職員の任用候補者名簿に適当な候補者がいない場合。いわゆる定数内臨任者)

⑨特別加配

⑩その他(妊娠教員体育代替など会計年度任用職員を含む)

⑪市町村費の臨時的学校職員

Q79 臨時的任用者の賃金・権利などはどのように保障されていますか

●前項でもふれたように臨時的任用の期間は6ケ月を超えないものとされ、1回だけ更新することができるものの再度の更新はできないため1年が限度です。1年以上にわたって勤務を続けているように見えても、実際には改めて新しく採用されていることになっています。

 これまで臨時的任用者にはいわゆる「空白の一日」が存在し、この一日のために一時金の勤勉率期間率が下がり、国民健康保険・国民年金に切り替えなければならない等、様々な不利益がありました。

2020年度から、遂にわたしたちのこれまでの長きに渡る粘り強い要求とたたかいにより、「空白の一日」を解消させました。これにより、一時金の満額支給、任命権者が異なる場合でも公立学校共済組合加入期間が継続される、昇給など、臨時的任用職員の大幅な待遇改善を実現させました。

●臨時的任用者には正式採用者と同様に地公法が適用されますが、身分保障の上で正式採用者と若干違った適用を受けます。具体的には次のような規定が適用されません(地公法29条の2)

1.職員が良好な成績で職務に遂行している場合には免職等の不利益な処分を受けることがないという身分保障(地公法27条2項、 28条1~3項)

2.不利益処分に関する不服申し立てに関する規定(地公法49条)

3.行政不服審査法の規定の適用

●その他の権利などは、大部分は正式採用者と同じですが、年休は次のように雇用期間によって異なります。

雇用期間年休日数雇用期間年休日数
1ヶ月以内2日7ヶ月以内12日
2ヶ月以内3日8ヶ月以内13日
3ヶ月以内5日9ヶ月以内15日
4ヶ月以内7日10ヶ月以内17日
5ヶ月以内8日11ヶ月以内18日
6ヶ月以内10日12ヶ月以内20日

●臨採者は産休を取得することができ、欠員補充(定数内臨採)者には代替配置もされますが、多くは代替がなく、また、「産休等長期休暇が予定されない者」を採用するため、産休が保障されているとはいえないのが現状です。育児休業は育休法で適用除外となっています。

●勤務期間が6月以上の場合は退職金が支給され、条件により失業手当も支給されます。代替で任用期間の途中で都合により雇用が終了する場合は、解雇予告手当が受けられます。

Q80 人事異動のしくみについて説明してください

●一般公務員は、公務員法等によって不利益処分の種類や事由を限定するという身分保障が規定されていますが、特に教育公務員については、裁判官などとともに、一般公務員以上に身分が尊重され保障されています(教育基本法9条)。

●教育公務員特例法は、大学の教員について、任用に関する教授会選考のほか(4・5条)本人の口頭陳述請求権を含む「大学管理機関の審査の決定によるのでなければ」分限、懲戒および転任の処分を受けないと規定しています。

●私たちの身分保障は、大学の教員のように具体的に規定されてはいませんが、前記の教育基本法、ユネスコ[教員の地位に関する勧告]の精神にのっとって人事行政が行われるよう、教職員組合が永年にわたってたたかってきた人事闘争の成果として、現在では、基本的には大学教員と同様に「本人の希望を尊重」して異動を行い、「本人の意思に反する異動は不利益人事(不当人事)」であることが、埼玉県においては一般に認められています。教育委員会もその立場で人事異動を行っており、この成果を後退させてはなりません。

したがって、めんどうだと思う人がいるかもしれませんが、異動希望の有無にかかわらず毎年調書を出すということは、私たちの身分保障の証しであり、私たちがたたかいとってきた権利のあらわれです。

ILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」(3)指導的原則
1.教員の労働条件は、教員が効果的な学習を最もよく促進し、その職業的任務に専念することができるものでなければならない。 

同勧告(7)雇用と経歴“身分保障”
45.教職における雇用の安定と身分保障は教員の利益にとって不可欠であることはいうまでもなく、教育の利益のためにも不可欠のものであり、たとえ学校組織、または学校内の編成に変更がある場合でも、あくまで保障されるべきである。
46.教員は、その職業的身分ないし経歴に影響する専断的行為から十分に保護されなければならない。

●教職員の人事異動については、県教委が毎年「○○年度当初教職員人事異動の方針]を策定するとともに、市町村立学校教職員については「○○年度当初市町村立小・中学校等教職員人事異動方針細部事項」が定められ、これにもとづき実際の人事異動実務がすすめられていきます。

県教委は、2000年度当初人事異動方針及び細部事項により従来の人事異動方針を大きく改変しました。これらの「方針」は従来以上に「教職員の職務経験を豊かにする」「視野を広げる」「年齢構成不均衡の解消をはかる」ことを重視するとともに、これまで「適材を適所に配置する」とした表記  を「適材を適時に適所に配置する]として、「適時に」を強調したものとなっています。この立場から、「同一校在職年限の短縮」「新規採用者の早期・複数校経験の推進」「市町村を異にする異動の強化」「退職勧奨制度の活用」を強化する内容となりました。

異動対象とする同一校経験年数については、「同一校3年以上7年未満」「同一校7年以上」、新採用者は同一校5年目で経験人事対象としています。市町村の教育委員会の中には、7年での異動が原則と強調したり、新採から5年目で必ず異動など、機械的な人事を行う事例や声かけが報告されていいます。

埼教組はこれらの問題に対しても毎年交渉を本人及び学校の状況をふまえて、同一校勤務年数によって機械的な人事を行わないよう、県教委と確認しています。

●埼教組は毎年度県教委との間で当初人事に関する要求書に基づき交渉を行います。2021年度当初人事については次のとおりです。

2021年度当初人事に関する要求書(回答)
1.人事は教職員の勤務条件に重大なかかわりをもっています。したがって、当組合が設置する各級人事対策委員会との交渉を積極的にすすめ、また、各級教育行政当局に対して責任をもって指導し、昇任、転任などにあたっては公正妥当な人事を行うこと。 

 人事異動に関することは、管理運営事項でありますが、これまで同様、話し合いの場を設定していきたい。令和3年度当初教職員人事異動方針に基づき、公正妥当な人事を行っていく。
2.本人の意志を尊重し、合意を前提として強制的人事を排し民主的人事を行うこと。

  本人の意向は把握するが、人事異動方針に基づく異動実現のため、教職員の協力を望む。
3.「適材を適時に適所に配置する」ことが教育の継続性や地域との関わりの軽視につながることのないよう、「地域に根ざす教育推進」の立場から、新採用5年以内異動であっても、本人の意向のない広域人事・経験人事に名を借りた不当な市町村間異動は行わないこと。

  教職員の視野を広げ、職務経験を豊かにするための異動であり、教職員の理解と協力を望む。
4.経験3年以上のすべての教職員に異動地を書かせたり、いわゆる「7年人事」を強要することなく、全県で共通する人事異動方針にもとづく対応を行うようすべての市町村教委を指導すること。

  令和3年度当初人事異動方針及び異動方針細部事項に基づき、人事異動は進めている。今後も本人と校長とのヒアリングにより、本人の意向を十分に把握して対応するよう市町村教育委員会を指導していく。
5.これまでの市町村合併によって当該市町村が広域となった場合は、転任・転補に伴い、ブロック制等の措置や、調書の異動地の範囲でなく従前の市町村単位で細分化するなどの措置を講ずること。なお、広域自治体にあっても同様の配慮を行うこと。

 市町村公立小中学校の教職員にあっては、市町村教育委員会の内申をまって人事異動が行われることから、同一市町村を分けて人事異動を考えることは難しい。 本人と校長とのヒアリングにより、本人の意向を十分に把握して対応するよう市町村教育委員会を指導していく。
6.さいたま市との交流人事については、本人の意向を十分に把握してすすめること。

  令和3年度当初教職員人事異動方針に基づき、構成妥当な人事を行っていく。
7.本人及び学校の状況をふまえて、同一校勤務年数によって機械的な人事異動は行わないこと。また、恣意的な人事異動を排除すること。 

 機械的、恣意的な人事異動は行わない。
8.学級減による過員は実情に即した措置をとることを含めて、当組合の該当する人事対策委員会との交渉で解決すること。

  過員が生ずる場合には、教職員定数を勘案し、全県的視野に立って適切に対処する。
9.「退職勧奨」については強制しないこと。また各学校に数値目標などを示さないこと。

  勧奨退職は、強要・強制するものではない。
10.客観的にみて「組合活動による忌避」ともいえるような教育事務所や市町村教育委員会による受け入れ拒否や強制異動をいっさいやめさせるよう責任をもって指導すること。 組合活動を事実上の理由にした不当な差別及び組合活動をしないことを条件とする人事を行わないこと。

  全県的視野に立った広域人事の推進のため、従前より市町村教育委員会の積極的な協力を得て進めてきたところである。 今後とも、人事異動方針に基づいた、公正妥当な人事異動が進められるよう、推進してまいりたい。
11.主任を想定した人事異動を行わないこと。主任選出にあたっては、学校管理規則の趣旨、留意事項及び「主任制度にあたっての県教委との“確認書”」に則り、主任選出が民主的になされるよう、改めてこれらの文書を配布して指導を徹底すること。

  人事異動方針に基づいて、公正妥当で適正な人事異動を行なう。 関係法令や通知の趣旨に則り、適当に運用されていると認識している。
12.思想・信条・性別・年齢・子育て・介護・共働き等による差別を行わないこと。

  差別人事は行なわない。
13.人事評価による評価を人事に使用しないこと。 

 人事評価は、公正な人事管理に資することを目的の1つとしていることから、今後、適正な人事配置に活用していきたいと考えている。 ただし、令和3年度当初人事に今年度の評価結果を活用することはない。
14.調書の記入事項及び校長によるヒアリングにより、教職員の意向を充分把握し尊重すること。意向がないにもかかわらず調書に異動地を書かせたり、調書の書き換えを強要することは絶対に行わないように指導すること。

  令和3年度当初人事異動方針及び異動方針細部事項に基づき、人事異動は進めている。今後も本人と校長とのヒアリングにより、本人の意向を十分に把握して対応するよう市町村教育委員会を指導していく。
15.人事を円滑にすすめる上からも、所属長は調書提出後から内示までの間に、本人の希望の進捗状況等についてきめ細かに状況を伝えるよう指導すること。地教委に対しても同様の指導を行うこと。

  年度当初人事異動にかかわる教職員とのヒアリングにおいて、教職員の状況を十分に把握したり、適切に情報提供したりするように、市町村教育委員会をとおして、校長に周知していく。
16.事前内示は内諾を前提として相当の猶予をもって行うこと。また、管理職ではない主幹教諭の内示は一般教諭と同日に行うこと。

  従来どおり、内示を行う予定である、 なお、内示は本人への応諾に拘束されるものではない。
17.教職員の配置にあたっては、現職優先の原則をつらぬくこと。

  現職教職員の一層円滑で適正な異動に努める。
18.「年度当初人事に関する調書」の記入や同一校勤務年数の扱いについては,細部事項・調書に関する当組合との話し合いで確認された内容を尊重すること。市町村教委・学校長に対して確認事項の周知徹底をはかること。

  市町村教委に対しても、同様の説明を行っている。
19.第三者の介入は理由の如何を問わず絶対に排除すること。

  そのとおりである。
20.母性保護に留意すること。妊娠中及び産前・産後休暇期間中の異動は、本人が積極的に希望した場合を除いて行わないこと。また、育児休業、育児休暇、介護休暇期間中の異動も同様に扱うこと。

  人事異動方針及び人事異動方針細部事項に基づき、適切に対応していく。 妊娠中、または産前・産後休暇、育児休業期間中の教職員の移動は原則として行わない。
21.雇用と年金の接続により無収入期間が発生しないように、すべての再任用希望者が希望する勤務地と形態での勤務を実現するように、市町村教委を指導すること。また、再任用教職員は新たな任用であることから、同一校在職年数に関わることなく、本人の意向を十分に把握しながら、同一校継続勤務を行うこと。

  再任用希望者には、配属の参考とするために「再任用に関する意向調査票」を配布し、希望する勤務形態や採用希望地を聴取しているが、意向に沿えないこともあるので、御理解いただきたい。 任用については、原則として同一市町村内としており、同一市町村内での任用が難しい場合、各教育事務所が調整し、勤務校を決定している。 再任用教職員の同一校在職年数については、「人事異動方針細部事項」にはよらないが、本人の意向も踏まえながら、計画的に配置するよう市町村教育委員会に働きかけていく。
22.教育事務所長・校長・教頭・指導主事等、いわゆる「管理職」の中で非民主的、独善 的な者、管理職としての適性能力を欠く者については、直ちに降職を含む配置替え等を行うこと。  管理職については、適材を適時に適所に配置する。
23.校長、教頭などの任用を民主的に行うこと。その際、特に、現場教職員の信頼度を重要な参考資料とすることができるような方策を検討すること。また、教頭は「必要に応じ児童・生徒の教育をつかさどる(学校教育法37条)」ことから、配置される校種の教員免許を所有することを前提とし、配置校において必要あるときは授業を行うことを市町村教委に指導・助言すること。

  管理職としてその職に適する資質を備えた者を登用する。また、学校の実情に応じて校種の教員免許を考慮し配置するようにしている。
24.2021年度の学級編制基準日を2021年4月1日とすること。

 令和2年度より、学級編成基準日を4月3日に変更し、学校運営の円滑化を図ったところであり、現状では困難である。
25.病休代員や産休代員、育児短時間勤務者の後補充者を含めて定数に対する未配置、未補充の絶無を期すること。急な代員要請にただちに応じるために、県教委・市町村教委内に一定の代員候補者を確保しておくこと。

  あってはならない重大な事態である教職員の未配置・未補充をなくすために、県教育委員会として、補充が必要となる可能性の早期把握による体制整備を行うなど、あらゆる方策を講じ、最大限努力していく。 退職された方に意向を確認するなど年度途中の未補充においても最大限努力していく。
26.新採用教職員の配置については、同一地教委に偏したり、同一地教委内の特定の学校 に偏したりすることのないよう適正に配置すること。 

 計画的に配置する。
27.免許外教科の担当の絶無を期すること。安易な臨時免許発行による異校種配置をしないこと。

  引き続き、免許外教科担当が生じないよう非常勤講師を措置するとともに、適正な人材配置に努める。免許外教科担当解消のために安易な臨時免許発行による配置はしない。
28.臨時的任用教職員で引き続き採用を希望する場合、その者を優先的に採用すること。引き続き同一校を希望する場合は、同一校勤務を認めること。

  臨時的任用職員の任用については、地公法22条の3によるが、「市町村教育委員会が必要と認めるとき」については、市町村立教育委員会の意向を尊重し、当該教育事務所で精査した上で、同一校への配置を行っているので、この旨を周知していく。
29. 市町村立学校から県立特別支援学校への異動を促進すること。特に、市町村立特別支援学校の教職員の異動については、県立特別支援学校と密接に連携して進めること。

  本人の意向を把握し、県立学校人事課と連携しながら進めていく。

●「異動にあたっての特記事項」欄については、埼教組の県教委交渉によって、この欄には、「異動したい理由」とともに、「異動が困難な理由」が記入できることになりました。「異動が困難」な状況があることを認めながら、3以上の市町村名の記入を強制し、しかも「異動地欄に記入がない場合は異動地について特に意向がないものとして取り扱う」としていることは、整合性がなくきわめて不当で認めることはできません。交渉で県教委は、撤回はしなかったものの「教職員の意向が十分把握されるようにしなければならない」と回答しています。調書の記入にあたっては、この「特記事項」欄に、本人が積極的に異動希望がある場合はその「理由」を、異動ができない場合はその「困難な理由(たとえば、学校内の分掌や構成、介護、保育、通勤手段等々)」を記入することが必要です。また、異動地欄への記入(特に2市町村以下の記入の場合)と、この「特記事項」欄に記入した内容との整合性がとれるよう記入することが重要です。

●「児童生徒の指導等に生かせる事項」欄については、埼教組との県教委交渉でも「記入しなくともやむを得ない」ことを確認しています。記入する場合でも、いわゆる「特色ある学校づくり」を促進したり、部活動の勝利至上主義につながるような内容を記入するのではなく、教職員としてごくあたりまえの実践上の事項等を記入することが必要です。

●私たち教職員の服務監督権は地教委(地方教育委員会)にあり、任免権は県教委が持っています。(地教行法37条)

教職員→→→→校長→→→→地教委→→→→県教委 = 発令 
   個表提出   具申     内申 
       (地教行法39条)(地教行法38条)

校長は提出された調書をもとに、地教委へ意見の申し出を文書で行います(これを具申といいます)。そしてこれは地教委で整理等の作業を行ったのち教育事務所へ集められ、教職員の異動希望の有無、退職希望の有無及び校長の意見が集約されるわけです。大体これが12月中に行われています。

1月には、教育事務所、地教委、校長による直接的な意見交換、要望集約があり、各地教委や教育事務所による具体的な作業にはいります。作業の主体が地教委を中心とするところ、あるいは相当細かいところまで教育事務所がタッチするところなど、組合の主体的力量や地域の教育をめぐる状況などから、県内でも相当の差があります。

1月の下旬ごろから2月にかけて、学校長から途中経過や、異動に対する「意向打診」などが分会人事対策委員会や個々の教職員に行われます。近年、意向打診や途中経過の説明を十分行わない管理職や地教委がありますが、人事を円滑に行うためにもこれらをきちんと行わせることが重要です。

3月にはいると、いわゆる「内示」が全県的に行われ、地教委の内申を待って発令という段取りになるわけです。

●当局側が人事問題についての交渉を拒否する理由としてよく持出すのが「人事は管理運営事項である」「人事は教職員の名誉やプライバシーにかかわる秘密事項」だという2つの誤った主張です。

●管理運営事項の論拠として当局は地公法55条3項「地方公共団体の事務の管理および運営に関する事項は交渉の対象とすることができない」を引合いに出し、教職員の人事はここでいう管理運営事項だと主張します。

地公法55条1項には「地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関し、適法な交渉の申入れがあった場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとする」と記述されています。

管理運営事項としているものも、一面で勤務条件に密接に関連している場合が多く、ILOのドライヤー報告でも「管理運営と雇用条件の双方に影響する問題が数多くあることも認識しなければならない」として、安易に団体交渉の枠外の問題とみなすことを批判しています。勤務条件の変更をともなう転任が勤  務条件そのものであることは明白です。学校の現業職員に適用される地方公営企業労働関係法7条には、団体交渉の対象にできるものとして2号に「昇職、降職、転職、免職、休職、専任権及び懲戒の基準に関する事項」を掲げ、さらに4号で「第3号に掲げるもののほか労働条件に関する事項]を定めています。人事を交渉事項に位置づけているのはそのためです。

●もう一つの理由として出される「人事は秘密事項」という主張も正当なものではありません。もともと教職員の人事は情実を排し、客観的な基準で公明正大におこなわれなければなりません。そのことは地公法でも厳しく定められています。同時に転任処分に不満があれば不服申立てをすることができ、本人の  希望があれば人事委員会で公開審理もでき、人事に関する資料を開示させることもできます。これらのことからもともと秘密を前提としていないのです。

また、組合が団体交渉を行うのは組合員個々人の希望実現のためにまず多数の組合員に共通する課題を定めて行い、その確認事項が個々の人事に生かされて初めて交渉が意味あるものとなります。したがって個々人の人事問題も当然交渉事項になります。

●以上のことからも、人事に不必要なことを口外しないなど一定の配慮は必要としても「秘密事項だ」という理由をもって交渉を拒否することは不当です。

●内申なしに人事を決めることは許されません。地教委の内申については、地教行法38条1項で「都道府県委員会は、市町村委員会の内申をまって、県費負担教職員の任免その他の進退を行うものとする」と規定されています。

この規定で明らかなように、地教委の内申は人事権行使の必要な要件であり、内申制度によって地域に密着した地教委の意向を参考とさせ、地域的要請に応える人事行政を行わせようとする趣旨のものです。「内申をまって」という法律用語は、内申は法律上の要件で欠くことのできないものという意味をもって  います。したがって、県教委は市町村教委の内申ぬきに人事の発令をすることはできません。

また、校長の具申についても、校長や各学校の教職員集団の意見をきかなければ適正な人事をなしえないというような事案について、これを省いた場合には違法視されると考えられます。

●「組合に入ると人事異動が不利になるのでしょうか」という人がいますが、そのようなことはありません。1966・ 67年の組合員に対する不当人事とのたたかい以降、組合員に対する不当配転、強制退職などは事実として存在しません。人事が交渉事項として事実上確立されている今日、組合員だからという理由で人事上不利な扱いが当局としてできるはずがありませんし、また組合として、そのようなことをさせてはいません。例年、全体的にみて組合員の異動希望実現率は未組合員の希望実現率を上回っています。このことは、むしろ組合員であることが有利だということを示しているのではないでしょうか。

●それにもかかわらず、そのような噂が流されるのは、組合加入を阻止したり、あるいは組合離脱をはかるために、故意に流しているものと考えられ、極めて悪質な言動といわなければなりません。

Q81 再任用制度について説明してください

●1981年6月に国家公務員法が、1981年11月に地方公務員法がそれぞれ改正され、1985年3月31日から地方公務員についても定年制が実施されました。(地公法28条の2.3.4)

 これによって小・中学校の県費負担教職員は満60歳に達した日以後における最初の3月31日までに退職することになっています。

●公的年金制度の改定により、65歳まで引き上げられたことで、雇用と年金の接続による生活保障が必要となり、この制度が導入されました。

●再任用制度の対象者は定年退職者と、25年以上勤務した者であって当該退職の日の翌日から起算して5年を経過する日までの間にある者です。採用は従前の勤務実績に基づく選考を任命権者が行います、任期は1年で、年金が満額支給される年度の前年度末まで更新できます。

勤務形態は次の通りです。

 ①フルタイム(38時間45分)

 ②短時間勤務

  ・62時間(フルタイムの5分の2 週15.5時間)

  ・77時間30分(フルタイムの2分の1 週19.375時間)

  ・93時間(フルタイムの5分の3 週23.25時間)

  ・124時間(フルタイムの5分の4 週31時間)

   ※短時間勤務職員は月曜日から金曜日の間に週休日を設けることは可能で、1日につき7時間45分を超えない範囲で勤務時間を割り振ることとなります。

●責任、勤務内容、校務分掌等はフルタイム、短時間勤務いずれの場合においても定年退職前と同じです。フルタイム勤務であればクラブや委員会、中学校では部活動指導も行ないます。

●給料は、月額は職務に応じて決定された職務の級による給与月額となります。

 短時間勤務再任職員の場合は、次のように計算します。

 短時間勤務職員の給料月額(端数切捨)=フルタイム職員の給料月額×(1週間あたりの勤務時間/38.75時間)

●2020年度地公労賃金確定交渉において、小・中学校等事務職員及び学校栄養職員のフルタイムの再任用については、本人の希望を踏まえ、主任級の業務を行う場合については主任専門員とし、3級格付けとすることを実現しました。

 しかし、再任用短時間勤務については未だ2級格付けのみとなっており、今後も引き続き処遇改善を求めていく必要があります。

●諸手当については次の通りです。(フル、短時間とも同じ)

支給しない手当支給する手当等※
扶養手当、住居手当、へき地手当(準ずる手当を含む)、再任用期間に係る退職手当教職調整額、給料の調整額、地域手当、通勤手当、特殊勤務手当、時間外勤務手当、義務教育等教員特別手当、期末手当、勤勉手当、管理職手当、管理職員特別勤務手当、単身赴任手当

※短時間勤務再任用職員の場合、勤務時間で按分した給料月額を基礎として算出するものや、手当額を勤務時間で按分するものがあります。

●期末勤勉手当支給割合は次の通りです。(2021年4月現在)

〈教育四級職員(校長)〉

 6月12月
期末手当0.625月分0.625月分1.25月分
勤勉手当0.55月分0.55月分1.1月分
1.175月分1.175月分2.35月分

〈教育四級職員以外(校長以外)〉

 6月12月
期末手当0.725月分0.725月分1.45月分
勤勉手当0.45月分0.45月分0.9月分
1.175月分1.175月分2.35月分

 ※役職段階別加算については、定年前職員と同様です。(ただし、在級職要件を除く。)

 ※人事評価結果を次年度の勤勉手当に反映します(フルタイム職員のみ)

●再任用制度が導入された当初から指摘していた、再任用職員が学校現場において退職前と同じ勤務内容であるにもかかわらず、定年前の60%以下の賃金水準であること、そして定数内に位置付けられていることから生じる根本的な矛盾は、長時間過密労働による「多忙化」がさらに深刻化している現在、短時間勤務者への人事評価実施と相まって、より一層大きな矛盾となってあらわれています。さらに、再任用職員の職の内容と定数上の位置づけの問題は、再任用職員の希望に沿った働き方の保障と学校づくりの関係において、深刻な問題を生じさせています。

●再任用職員制度の抱える問題の本質は、年金支給年齢の引き上げによって生じた「雇用と年金の接続」の課題を低賃金雇用で乗り切ろうとしたところにあることはいうまでもありません。

 こうした再任用職員のおかれた劣悪な状況を放置することは、教職員の働く権利の保障及び学校づくりに背を向けることであり、県教委はただちにこうした実態を把握し、使用者責任を果たすべきです。学校で働く教職員の尊厳が傷つけられている状況を放置することは許されません。

Q82 職務命令について説明してください

●職務命令が適法であるための要件は次の4つです。

1.職務上の上司が発するものであること。

ここでいう「上司」とは当該職員の職務につき指揮監督する権限を有する者を指し、単に地位が上である者を指すのではありません。市町村立学校の場合、具体的には市町村教育委員会(地教行法43条1・2項)と校長(学校教育法28条3項、40条)となります。教頭について当局は上司だといっていますが、学校教育法28条4項、5項の規定からいっても校長が事故あるとき、または校長が欠けたときに校長の代理または代行する場合を除いて指揮・監督する権限はないというべきです。

2.命令が上司の権限に属し、命令を受ける職員の職務に関するものであること。

職務命令は「その職務を遂行するにあたって」(地公法32条)の命令ですから、その命令を発する者はその職務の遂行について指揮監督権限のあるものでなければなりません。また、法令等でその職員の職務と定められた枠の範囲でなければなりません。

3.適法な手続きで発せられたものであること。

一般的にも個別にも職務命令の手続きを定めた法令はありません。したがって様式に制限がないことから文書であるか口頭であるかはかまわないことになります。しかし、内容が複雑だったり、特に正確を期すべきだったりする時は一般的には文書によることが適当だといえます。問題はそれが、命令か命令でないのかがあいまいな場合です。本来、教育に職務命令はなじまないことから校長は職務命令と言いにくく、そこが曖昧にされることが少なくありません。命令であることを明確にしていない限り、本問でいう職務上の命令と解すべきではないといえます。

4.内容が憲法及び法令に違反するものでないこと。

行政を執行する職務についての命令が法令に違反してはならないことはいうまでもありません。法令に違反する職務命令は無効であり、これに従う義務はありません。

●以上の4つの要件を満していない職務命令は違法といえます。したがってこうした職務命令に従う義務はなく、逆に公務員は法令に従う義務がありますから違法な職務命令には従ってはならないというのが筋といえます。

しかし、このような解釈について当局は、一般に行政は一体性を保持する必要があることから「職務命令の適法性に疑義がある場合でも、その命令は権限ある機関によって取消されるまでは命令を受けた職員はこれに従わなければならない」と主張することがあります。

このような考え方は時代遅れの行政優位、権威主義的な考え方で承認できません。

●一般に職務命令が問題になるのは学校行事のもち方(入学式・卒業式・研修会等)をめぐっての場合が多いようです。このような問題について、たとえ職務命令で強制されても心を打ちこんだ教育はできないといえましょう。校長も、こうした類の問題をめぐっての職務命令はなじまないと考えている入が多いという全国的な報告結果がだされています。

意見の異なる問題についてもねばり強い話し合いをつづけることが必要です。説得と話し合いの自信をもたない校長が職務命令にたよって学校運営をすすめることは、職務命令が有効か無効かの論議の前に論外な態度と批判されるべきでしょう。

Q83 職務専念義務とは何ですか それが免除される場合はどんなときですか

●地公法35条は「職員は法律又は条例に特別の定めがある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない」と定めています。これが職務専念義務といわれるものです。職務専念義務は職員の基本的な義務であることはいうまでもありません。しかし注意したいのは「勤務時間……のすべて」といっても、それは文字通り「勤務時間」そのものであって  公務員が無定量の勤務に服するものでないことは当然です。

また、「職務上の注意力のすべて」という表現を社会常識に反することまで当てはめた、いわゆる前近代的な官吏関係を残存させようとする意図でもち出すことには当然反対しなければなりません。

●職務専念義務は「法律又は条例に特別の定めがある場合を除く外」の場合と定めています。したがって法律または条例で定めている範囲については、職務専念義務は免除されます。条例上定められているものは具体的には次のような場合です。

なお、県費負担教職員の場合、免除の承認は市町村教育委員会が行うことになっています。

1.研修を受ける場合(職務に専念する義務の特例に関する条例)

2.厚生に関する計画の実施に参加する場合(職務に専念する義務の特例に関する条例)

3.人事委員会が定める場合(職務に専念する義務の特例に関する規則)

①証人、鑑定人、参考人等として官公署に出頭する場合

②選挙権その他公民として権利を行使する場合

③職務に関連のある国家公務員又は他の地方公共団体の公務員としての職を兼ね、その職に属する事務を行う場合

④法令又は条例に基いて設置された職員の厚生福利を目的とする団体の事業又は事務に従事する場合

⑤地公法46条または49条の2、1項の規定に基き、勤務条件に関する措置の要求をし、又は不利益処分に関する不服の申立てをし、及びこれらに関し、人事委員会が行う審査のため出頭する場合

⑥地方公務員災害補償法51条の規定に基づき、審査請求若しくは再審査請求をし、又は同法60条1項の規定に基づき、審査請求人として出頭する場合

⑦労組法7条の規定に違反した旨の申立てをし、及びこれに関し、地方労働委員会が行う審問のために出頭する場合

⑧地公法55条11項の規定に基き、当局に不満を表明し又は意見を申し出る場合

  ⑨県の行う任用試験又は職務の遂行に必要な資格試験を受ける場合

⑩国若しくは公共団体又は公共的団体の依頼を受けて講演、講義、演技等を行う場合

⑪県行政と密接な関係を有し、県が指導育成を行うことを必要とする団体の事務に従事する場合

⑫職員団体の指名を受けた者、労働組合の代表者又はこれらの団体から委任を受けた者として当局と適法な交渉を行う場合

⑬任命権者が特に必要と認め人事委員会の承認を受けた場

 合

Q84 懲戒とは何ですか 懲戒処分の種類と事由について説明してください

●地公法29条は職員が法令や職務上の義務に違反したり、職務を怠った場合等に任命権者が懲戒処分を行うことができる旨を定めています。分限処分との対比でいえば次のような特徴をもっています。

1.職員の道義的責任を問題にする。

2.職員の義務違反に対する制裁として行われるので、その行為が本人の故意または過失によることを要する。

3.懲戒処分の事由としては、必ずしも継続した状態ではなく個々の行為または状態をとらえるとみられる。

この制裁の趣旨は公務員の服務規律違反に対して公務員関係における秩序を維持するために任命権者が公務員に対して課する制裁であるとされていますが、いずれにしても公務員の場合、懲戒は明文の法律・条文に定める限度内で行使されることになっています。

●懲戒処分の種類、また処分の効果は次の通りです。

種類処分の内容処分の効果
免職職員をその意に反して退職させる処分・処分の日から2年を経過するまでは復職の機会が与えられない。(地公法16条3号)・懲戒免職の場合は退職年金等の長期共済給付の金額もしくは一部を止められたり、昇給や退職手当の支給を打ち切られる。ただし、退職年金は1981年以降最高60ヶ月間の一部カットにとどめられる。
停職職員を一定の期間職務に従事させない処分・期間は1日以上6ヶ月以下・停職者はその職を保有するが職務に従事しない。・停職期間中いかなる給与も支給されない。
減給一定の期間、給料の一定額を減ずる処分・6ヶ月以下の期間、給料の月額10分の1以下に相当する額を給与から減ずる。
戒告職員の服務義務の責任を確認し、その将来を戒める処分・いわば「叱る」という事実行為に過ぎないが、履歴上の「汚点」となる。・「懲戒処分」ゆえの待遇上の不利益(昇給延伸など)が伴うこともある。

●2020年、懲戒処分の基準の一部改正が行われ、「公文書の不適正な取り扱い」「パワーハラスメント」の標準例が見通し・追加されました。

〈改正の内容〉

パワーハラスメントを行ったことにより、相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えた職員は停職、減給又は懲戒とする。

Q85 分限とは何ですか 分限の種類と事由について説明してください

●地公法28条は、

①勤務実績が良くない場合

②心身の故障のため職務の遂行に支障があり、またはこれに堪えない場

③公務員の適格性を欠く場合

④職制もしくは定数の改廃または予算の減少により廃職または過員を生じた場合

に、本人の「意に反する]処分を行うことができるとしています。これを分限処分と呼んでいます。懲戒処分との対比でいえば次のような特徴をもっています。

1.職員の道義的責任を問題にしない。

2.公務の能率の維持向上の見地から行われるので、その事由についてとくに  本人の故意または過失によることを要しない。

3.分限処分の事由としては、一定の期間にわたって継続している状態をとらえるとみられる。

その趣旨・目的は「公務の能率の維持およびその適正な運営の確保」とされています。しかし、この分限処分の場合も懲戒処分と同様、法律あるいは条例で定める趣旨・要件にあう場合でなければその意に反して不利益な処分を受けることはありません。

なお、分限処分として行うのではなく、公務員の「意に反しない」処分として本人の申し出にもとづいて辞職(依願退職)や休職あるいは降任の処分をすることは許されるとされています。

●分限処分の種類と、それぞれの処分ごとに発令できる事由は次のとおりです。

種類事由
免職1.勤務成績がよくない場合2.心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合3.上記1、2の場合の外で、その職に必要な適格性を欠く場合4.職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合(地公法28条1項)
降任同上
休職1.心身の故障のため、長期の休養を要する場合2.刑事事件に関し起訴された場合(地公法28条2項)
降給1.条例で規定されることになっているが、現在のところ降給を定めた条例はないのでこの分限処分がなされることはない。

●分限処分の効果としては、制裁としてなされる懲戒処分とは性格を異にするため、たとえば免職の場合に退職金が支給されないというようなことはありません。

Q86 精神疾患による休職者の職場復帰はどのように行われますか

●埼玉県における復職支援プログラムの概要(教育職員)は次の通りです。(2018年4月1日現在)

1.復職支援プログラムについて

 【内容】

 ①対象者

 県立学校教職員、県費負担市町村立学校教職員、県教育局等職員で、精神疾患により休職しているもの。

 ②復職にあたっての受講を必ず求めているか

 義務ではないものの、円滑な職場復帰を目的として、対象者は全員実施している。

 ③復職支援プログラムの内容

 職場に慣れることを目的として簡易な業務等を行う「準備訓練」を実施する。その後、職場に慣れることから開始し、最終的には復職後の業務とほぼ同程度の訓練を行う「職場リハビリテーション」を実施する。

 ・準備訓練(1週間程度)

開始2~3日目は原則として4時間程度とし、簡易な業務 を行う。

原則として開始4日目は始業時から6時間程度、5日目は通常どおりとし、簡易な業務又は休職者の分掌のうち軽易な事務を行う。

・職場リハビリテーション(4週間程度)

第1週は、準備訓練の内容を基本とし、必要に応じて他の業務を実施する。

第2週以降は、原則通常勤務と同様とし、必要に応じて適宜業務内容を変更する。

【実施場所】

休職者の所属所

④実施時期

5週間程度

⑤受講者に対する公費による保険措置

あり(損害保険に加入)

2.復帰の判断について

 ①復職を判断するにあたって教育委員会事務局職員以外で審査等を担当するもの

 ・主治医

・教職員の休職、復職等の可否を審査する「埼玉県教職員健康審査会」の委員(医師)

②復職を判断するにあたっての主な基準

・職務を滞りなく行えるかどうか

3.復職後の経過観察について

 ①復職後の経過観察の内容

 ・教職員健康審査会への状況報告

主治医の診断書及び所属長の観察報告書による。

・主治医・家族等との連携

所属長等による経過観察を行い、必要に応じて主治医・家族と連絡を取り合う。

 ②復職後の経過観察の実施期間

  教職員の健康状態について 、医学的判断に基づいた、個別に応じて必要な期間。

 ③復帰後の人事配置等の基準

  所属していた学校に配置する。所属長の判断により本人の状況を踏まえて校務分掌等を軽減している。

第6章 学校財政・教育条件整備

Q87 学校の適正規模はどのように考えたらよいでしょうか

●国は学校規模について学校教育法施行規則(41条、79条)で小中学校とも12学級以上18学級以下を標準と定めています。したがって小学校では1学年2~3学級、中学校では4~6学級ということになります。しかし、一方ではこのように定められていても、同法は「ただし、地域の実態その他により特別の事情のあるときはこの限りではない。」と定めています。

●設置者や設置に伴う条件は学校教育法で定められています。具体的には国立学校は国が、公立学校は地方公共団体が、私立学校は学校法人が設置することになっています。このうち公立の高等学校は都道府県が設置することになっていますが、人口が10万人以上で高等学校を設置するのに十分な財政力のある市町村も設置できることになっています。学校を設置する場合、財政が大きな問題となりますが、2006年度に義務教育国庫負担制度が変えられ、国の負担率が1/2から1/3となりました。地方財政が圧迫されている中で、この制度によって負担率が市  町村30%、都道府県40%となったことは学校規模の適正化を一層困難にしています。主要先進諸国(アメリカを除く)が全額国負担の制度になっていることを見ても、義務教育国庫負担制度の改善を求める運動をすすめていかなければなりません。

●文部科学省は「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」を策定し、2015年1月27日、各教育委員会に通知しました。文部科学省が「公立小中学校の適正規模・適正配置」の基準を見直すのは約60年ぶりとされています。おもなポイントは、次の点です。

○「学校規模の適正化」として、クラス替えができるかどうかを判断基準に、小学校で6学級以下、中学校で3学級以下の学校については、速やかに統廃合の適否を検討する必要があるとしたこと。
○「学校の適正配置」として、従来の通学距離について小学校で4㎞以内、中学校で6㎞以内という基準は引き続き妥当としつつ、スクールバスの導入などで交通手段が確保できる場合は「おおむね1時間以内」を目安とするという基準を加えたこと。

●2015年1月に文部科学省が公表した「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」でも、「小・中学校では一定の集団規模が確保されていることが望ましい」、教育的な観点から学校規模の適正化を考える上で「一定の学校規模を確保することが重要」としているだけです。ここで「一定の規模」というのが、国の定める学校規模の標準(12~18学級)を指していることは容易に想像できます。しかし「標準規模」を「適正規模」と明記できない点に注目することが大切です。つまり「学校の適正規模」というのは、地域の実情によって異なり、全国一律に決められるものではないというのが、現在の到達点だからです。また、それは行政が一方的に決めるものでもなく、教育条件の改善の観点を中心に据えることはもちろん、「地域とともにある学校づくり」の視点をふまえ、保護者や地域住民との丁寧な議論を積み重ねて決める必要があるからです。こうした点は、学校統廃合を加速させるために作られた「手引」でも無視することはできず明記されています。

文部科学省「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引」
学校規模の適正化や適正配置の具体的な検討については、行政が一方的に進める性格のものでないことは言うまでもありません。各市町村においては…学校が持つ多様な機能にも留意し、学校教育の直接の受益者である児童生徒の保護者や将来の受益者である就学前の子供の保護者の声を重視しつつ、地域住民の十分な理解と協力を得るなど「地域とともにある学校づくり」の視点を踏まえた丁寧な議論を行うことが望まれます。 (「手引」3ページ)

 本手引の内容を機械的に適用することは適当ではなく、あくまでも各市町村における主体的な検討の参考資料として利用することが望まれます。 (「手引」5ページ)

●「公共施設等総合管理計画」の名のもとに経費を制限するとして、市町村が小中学校の統廃合計画を打ち出しています。教育的な視点は一切無く、コスト削減だけを前面にした計画で、住民、父母、子どもたちにとって大きな問題です。

Q88 学級編成の仕組みと運用について教えてください

●以下は2011年に文科省より示された「学級編制の仕組みと運用について(義務)」からの抜粋です。

〈学級編制の基準〉

小・中学校
 小学校中学校
同学年の児童で編成する学級35人(1年生)40人(2~6年生)40人
複式学級16人(1年生を含む場合は8人)8人
特別支援学級8人8人
特別支援学校(小・中学校部)6人(重複障害3人)
《参考》○小学校設置基準(文部科学省令)(一学級の児童数)第四条 一学級の児童数は、法令に特別の定めがある場合を除き、四十人以下とする。ただし、特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、この限りでない。(学級の編制)第五条 小学校の学級は、同学年の児童で編制するものとする。ただし、特別の事情があるときは、数学年の児童を一学級に編制することができる。

〈学級編制の考え方〉

原則として、学級は同学年の児童生徒で編制するもの。ただし、児童生徒数が著しく少ないか、 その他特別の事情がある場合においては、数学年の児童生徒を1学級に編制することができる。学級編制の標準は、1学級あたりの人数の上限を示したもの。したがって、各学年ごとの児童生徒数を標準の人数で除して得た数(1未満の端数切り上げ)が当該学年の学級数になる。

(例)
35人の学年 → 1学級 〔35人〕
65人の学年 → 2学級 〔32人、33人〕
122人の学年 → 4学級 〔30人、30人、31人、31人〕

〈個別の学校の実情に応じた学級編制の弾力的運用〉

学級編制は、通常、年度始めの都道府県が定める基準日における児童生徒数に基づいて行われるが、個別の学校ごとの実情に応じて、児童生徒に対する教育的配慮の観点から、市町村別の教職員定数等の範囲内で学級編制の弾力的な運用が可能。

 (例)
①中学校2年時に生徒数が81人で3学級としていたところ、進級時に1人が転出してしまうため2学級となるところを、 教育的配慮から3学級を維持する場合
②小学校5年時に児童数が80人で2学級としていたところ、進級時に1人が転入してきたことにより3学級となるところ を、卒業を控えていることへの教育的配慮から2学級のまま据え置き、教員1人を少人数指導等に活用する場合
③小学校第1学年の児童数が36人~40人の学校において、その学校の児童の状態に応じた教育的配慮から学級を分割しないで、ティーム・ティーチングなど他の指導体制の充実により対応する場合

〈学級編制の弾力化〉

1.児童生徒の実態等を考慮して、全県一律に国の標準(40人、小1は35人)を下回る一般的な 学級編制基準を設定することが可能。
2.加配定数の活用が可能。

Q89少人数学級実現に向けたとりくみについて教えてください

●教職員組合を中心とする長い間のたたかいによって、1学級の児童・生徒数は次のように改善されてきました。

計画小学校中学校
第1次5カ年計画(1959~1963年度)60~50人55~50人
第2次5ヵ年計画(1969~1973年度)49~45人 
第3次5カ年計画(1969~1973年度)45人 
第4次5カ年計画(1974~1978年度)45人 
第5次12カ年計画(1979~1991年度)45~40人 
第6次6カ年計画(1993~1998年度)40人 
第7次5カ年計画(2001~2005年度)40人 

●1968年度に45人学級が完了してから長い期間、政府・文部省はこれを固定してきましたが、教職員や父母などの強い要求と運動、ならびに諸外国の実態(当時25~30人学級が主流)などからやっと重い腰を上げ、40人学級をめざす第5次12か年計画をスタートさせました。

●第5次計画開始後8年目の1986年度からすべての地域で順次40人学級が実施されはじめ、小・中学校全学年で40人学級が完結したのは1991年度のことでした。(埼玉県では革新県政下、89年度から県独自の措置として、小・中とも25学級以上の大規模校で42人学級が実現しました)

多くの教職員や父母などが「30人学級」への期待を寄せていましたが、第6次6か年計画、第7次5カ年計画には学級規模縮小の計画は盛り込まれませんでした。

●2020年、新型コロナウイルス感染拡大に伴う大きな混乱が起こりました。コロナ禍において、密集・密接・密閉(3密)をさけるソーシャルディスタンスが叫ばれました。

 コロナ感染症から子どもたちのいのちと健康を守り、成長と発達を保障するため、緊急措置として「20人学級」を展望とした少人数学級の実現と教職員定数増を求める動きが全国各地で広がりました。

●少人数学級の実現に向けたとりくみ・運動は、一人ひとりの児童生徒をしっかりと見守れる、学習を保障するといった観点から30年にわたり行われてきています。毎年「ゆきとどいた教育をすすめる教育署名」を全国各地でとりくみ、集められた署名を文科省へ、そして埼玉県では対県要請集会を行うとともに、県議会へ請願しています。

●2020年は“コロナ禍の今だからこそ少人数学級の実現を”と、教職員組合ばかりでなく、知事会・市長会・町村長会など地方3団体、PTA団体、校長会、政党などあらゆる団体が、少人数学級を求めて声を挙げました。

その結果、2020年12月17日、文科省と財務省の間で閣僚折衝がおこなわれ、「義務標準法を改正し、2021年度から5年かけて小学校の35人学級を実施する」ことが決められました。これについては一定の評価はできるものの、学級編制標準引き下げの幅が小さいことや中学校・高校についての言及がないこと、改正に時間がかかりすぎることなど多くの課題があります。また、教職員定数についても加配定数として措置されているものが基礎定数化されるだけであり、教職員の数が増えないことにも課題が残っています。

●2021年2月、義務標準法の改正により、国は2021年4月より小学校2年生を35人学級として、その後5年間かけて学年進行で小学校全学年を35人学級にすることが決まりました。40年ぶりの義務標準法が改正されたことは評価することはできます。しかし、教員定数に関しては、これまで加配定数としていた教員定数が基礎定数化されるにとどまり、35人学級になったとはいえ、教員定数の大幅増への改善がないのは不十分です。

●埼玉県はこうした国の動きを踏まえ、2021年1月14日付けで「令和3年度指導方法の工夫改善に伴う加配(教科指導充実加配)の弾力的な運用について」を発出しました。具体的には、指導方法の工夫改善に伴う加配(教科指導充実加配)を活用し、学校の状況に応じて、小学校3年生において35人以下学級の少人数学級編制をすることもできるというものです。既に市町村に配当された教科指導充実加配の定数の中で、少人数指導のための教科指導充実に活用するか、少人数学級編制に活用するかを市町村が選択できるようにするもので、新たな加配の配当はありません。

 2021年度については、小学校3年生での少人数学級編制で活用しない場合は、従来どおりの少人数指導としての教科指導充実加配となります。

Q90特別支援学級の設置・編制はどのように決定されますか

 ●学校教育法85条2項は、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校に、

①知的障害者

②肢体不自由者

③身体虚弱者

④弱視者

⑤難聴者

⑥その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの

としています。

また、学級編制の基準は、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律(義務標準法)」の第3条で次のように定められています。

学校の種類学級編制の区分1学級の児童生徒の数
小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)同学年の児童で編制する学級40人(2021年度より5年間かけて35人へ)
小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)2つの学年の児童で編制する学級16人(第1学年の児童を含む場合は8人)
小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)学校教育法第81条2項及び3項に規定する特別支援学級8人
中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)学級編制の区分40人(埼玉県では中1のみ38人)
中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)同学年の児童で編制する学級8人
中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)2つの学年の生徒で編制する学級
 学校教育法第81条2項及び3項に規定する特別支援学級8人

埼玉県市町村立小・中学校教職員配当基準表では特別支援学級数に対し1.5人の教員配置を行っています。

●「通級による指導」は、「通常の学級に在籍する心身に軽度の障害がある児童生徒に対して、その障害に応じて特別の指導の場(在籍校または近隣校)で行われる特別の指導を行う場合に、特別の教育課程によることができる」(文部省通達)という制度で、1993年度より法制化されたものです。

「通級による指導」の対象となるのは、2006年4月から「学校教育法施行規則の一部改正」により、次の障害をもっている通常の学級に在籍している児童・生徒です。

1.言語障害者

2.自閉症者

3.情緒障害者

4.弱視者

5.難聴者

6.学習障害者

7.注意欠陥多動性障害

8.その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当な者

●全国的に特別支援学級在籍者の児童生徒数が増え続け、2007年に11万3377人だった小中学校の特別支援学級在籍児童生徒数が、2017年には23万5487人と2.08倍となっています。一方、担当教員数は、4万369人から6万4947人と1.61倍にとどまっています。また、在籍する児童生徒も、医療的ケアが必要な子ども、学年に沿った教科学習が可能な情緒障害の子ども、個別対応が常時必要な子ども等々、実態に大きな差があります。

●学級編制に学年は配慮されません。小学校では1年生から6年生まで、中学校では1年生から3年生までの複数学年の子どもたちが在籍していても、8 人以内は1クラスです。発達や生活年齢、学年に応じた指導が必要であるにもかかわらず、充分な対応ができないのが現状です。

●多様な課題をもつ子どもを一人で担任し、授業準備と家庭との連絡、それぞれの学年行事やクラスの授業への付き添いなど、担当教員の負担は限界を超えています。しかし、1993年の第6次定数改善以来、特別支援学級の編制標準は1学級8人のまま変わっていません。特別支援学級での教育を豊かに発展させるために、全国で要求が高まっています。

●全国で不足している教室は、2016年10月の文科省調査で3430教室にのぼることが明らかになっています。また同じく文部科学省の「公立学校施設実態調査報告」(2017年度)では、教育活動に必要とされる面積に対し実際の特別支援学校の保有面積が3分の2程度である実態が明らかにされ、ほぼ100%充足している小中学校などとの違いが歴然としています。

●普通教室確保のために、1つの教室をカーテンやついたてで仕切り2教室として使ったり、図書室や音楽室などの特別教室を普通教室に転用したりしています。仕切った教室はとても狭い上に、隣のクラスの先生や子どもの声が筒抜けになり、落ち着いた授業にはなりません。特別教室がほとんどない学校では、音楽も、図工・美術も、作業学習もすべて普通教室で行わなければなりません。体育館を使用できる回数が少なく、廊下を走ったり、教室や玄関ホールで 体操をしたりする学校も多数あります。トイレが足りず休み時間に行列ができる、給食が必要数作れない、スクールバスでの通学時間が1時間を超える等、児童・生徒数の急増に教育条件の整備が全く追いつかない現在の状況は、子どもたちの学ぶ権利を奪うばかりか、いのちと健康をも脅かしており、もはや人権侵害といえます。

●こういった事態の根幹にあるのが、幼稚園から 小中学校、高校、大学、専門学校まですべてにある 設置基準(学校を設置するのに必要な最低の基準)が特別支援学校だけにないことです。

 そうした中、中央教育審議会(文科相の諮問機関)の初等中等教育分科会は2020年9月28日、今後の初等中等教育のあり方に関する「中間まとめ」を公表しました。比較的重い障害の子どもが通う特別支援学校について、これまでなかった設置基準の策定や、不足教室の解消に向けた施設整備の推進を国に求めました。「中間まとめ」は「国として特別支援学校に備えるべき施設等を定めた設置基準を策定する」と明記。教室不足については、特別支援学校の新設や増築、他の学校の余裕教室を特別支援学校の教室として確保するなどの施設整備を求めました。

●特別支援学校の設置基準の策定は、教職員と父母・保護者の切なる願いであり、私たちが長年にわたって求め続けてきたことです。特別支援学校の過大・過密の解消につながるものとして期待できます。

 しかし、「中間まとめ」には、「他の学校の余裕教室を特別支援学校の教室として確保」することが教室不足解消の方法としてあげられていますが、余裕教室の利用では抜本的な改善にはつながりません。設置基準の策定と合わせて、国として、特別支援学校の新設増設に対する十分な予算措置を行うことが求められます。

Q91 学校毎の教職員配置数(配当数)はどのようにして決定されますか

●教職員定数は、配当基準表によってきめられています。

なお、特別配当は当該年度の定数を勘案して配当するものであり、翌年度も保障するものでないため本表には含まれません。

以下、職種別に配置基準を述べます。

「標準法」6・7条では、次のようになっています。

〈校長〉            小・中学校に各1人。

〈教頭及び教諭・助教諭及び講師・養護教諭〉

県の配当基準も毎年交渉をし、改善されてきています。

〈市町村費教職員〉

市独自のさまざまな名前で雇用するいわゆる学級支援員の他、給食調理員、校務員、事務職員などがこれにあたり、各自治体ごとの基準に基づいて配置されていますが、リストラ攻撃が強まり、調理員民間委託・校務員の不補充やパート化・事務職員の引き上げが続いています。

※養護教員については、小学校が児童数851人以上の場合、中学校が生徒数801人以上の場合、複数配置とするとしています。なお、学校の実態を考慮し特に必要が認められる場合、複数配置を行うものとするともしています。

Q92 加配教職員の配置はどのように決定されますか

●条例によって定められた教職員定数(条例定数)を配当し、さらに一定の基準に基づいて特別加配がされます。発令日は毎月1日と16日ですが、埼教組のとりくみもあり、教育職員は、4については、1日、5日、10日、16日、20日、25日となっています。

2020年度を例にとると、次のような加配がなされました。

2020年度 埼玉県教職員条例定数・特別加配基準
職種内容
一般職員(校長を含む)(1)本年度条例定数
 小学校 15,704人(昨年度15,634人) +70人
 中学校  9,138人(昨年度9,138人)  +16人
  合計 24,842人(昨年度24,756人) +86人 

(2)特別加配基準
【小学校】
①小規模校加配―へき地指定校に1人(廃校によりなし)
②特別支援学級加配(8人)
③分校加配―分校に1人(分校なし)
④施設児収容校加配―熊谷市・深谷市・羽生市・春日部市・加須市(10人)
⑤児童生徒支援(22人)
⑥指導方法の改善(T・T等)(1095人)
⑦通級による指導(230人)
⑧外国人児童生徒等日本語指導対応(78人)
⑨教頭複数配置(15人)
⑩長期病休代替―1ヶ月以上の病休者すべて
⑪介護休暇代替―1ヶ月以上の介護休暇取得者すべて
⑫妊娠時体育代替講師―妊娠者1人につき1人⑬長期派遣代替講師―1ヶ月以上の長期派遣者すべて

【中学校】
①小規模校加配―へき地指定校につき1人(廃校によりなし)
②特別支援学級加配(0人)
③施設児収容校加配―行田・春日部・熊谷・加須(8人)
④免許外教科担当解消―(原則として12学級規模校以下)
⑤児童生徒支援(生徒指導推進モデル校含む)(119人)
⑥指導方法の改善(T・T等)(625人)
⑦分校加配(2人)
⑧通級による指導(40人)
⑨外国人児童生徒等日本語対応(14人)
⑩教頭複数配置(17人)
⑪充指導主事(104人)
⑫長期病休代替―1ヶ月以上の病休者すべて
⑬介護休暇代替―1ヶ月以上の介護休暇取得者すべて
⑭長期派遣代替講師―1ヶ月以上の長期派遣者すべて
⑮妊娠時体育代替講師―週13時間
養護教員(1)本年度条例定数
 小学校 748人(昨年度747人)  +1人
 中学校 376人(昨年度375人)  +1人
  合計 1,124人(昨年度1,122人) +2人

(2)現行複数配当基準
 小学校851人以上校、中学校801人以上校

(3)改善特配(複数配置の実施)
 小学校31人、中学校11人

(4)養護教諭加配
 小学校2人、中学校8人
学校事務職員(1)本年度条例定数
 小学校 769人(昨年度769人)  ±0人
 中学校 415人(昨年度424人)  +1人
  合計 1,184人(昨年度1,183人) +1人

(2)現行配当基準
 小学校 4学級以上の学校に1名、27学級以上の学校に2名
 中学校 4学級以上の学校に1名、21学級以上の学校に2名

(3)改善特配
 3学級の学校に特配(小1・中5)
学校栄養職員・栄養教諭本年度条例定数
 小学校 229人(昨年度229人) ±0人
 中学校  92人(昨年度92人)  ±0人
  合計 321人(昨年度321人) ±0人

Q93 学校配当予算はどのようにして決定されますか その内訳を教えて下さい

●学校教育法5条は学校の経費はその設置者が負担するという原則を定めています。つまり小・中学校であればその経費は市町村負担が原則ということになります。教育の機会均等、その水準の維持向上と円滑な実施のために法令によって、国の負担、補助が行われることになっています。

●現実には施設設備費・維持運営費が公費でまかなえず、寄付金・学級費・PTA会費・労働奉仕などの形で少なくない父母の負担があります。

●国の負担する経費を大別すると、次の2つです。

①国庫負担金・補助金

②地方交付税交付金

〈国庫負担金・補助金〉

国庫負担金・補助金は義務制教職員給与費の1/3負担(義務教育費国庫負担法)や就学奨励・奨学、学校給食の補助などで、充当すべき経費が特定されているいわゆる「ヒモつき財源」ですから流用することはできず、全額教育経費の財源となります。

しかし、これらの経費の算定基礎である国の基準の補助単価、対象、数量は実際より低いため、補助額が必要経費より低く、父母負担の増大や地方自治体に超過負担を強いているのが実態です。

〈地方交付税交付金〉

地方交付税交付金は一定の積算内容にそって、土木費、産業経済費など他の経費と合わせて教育費として交付されるものです。4月、6月、9月、11月の4回に分けて1/4ずつ、12月と3月に補正額が交付され、積算基礎として教職員給与費、学校需要費、設備費などが算入されています。

しかし、問題はこの交付金の場合、どの経費に使うか特定されていないため、「ヒモつき財源」とちがって、地方自治体予算の中で教育費として積算額どおり充当されず、他の経費に流用されてしまっている例が少なくないことです。  したがって、この交付金のしくみを十分知っておくことが重要です。

この地方交付税のしくみは、どのような財政状況の自治体でも一定の行政水準が維持できるような財政保障は国がしなければならないという理念に基づくものです。

●地方交付税(普通交付税)に算入されている教育費の額がわかれば、それは自治体に対する予算要求の強力な根拠となります。また、個々の学校予算についても測定単位である教職員数、児童生徒数、学級数がわかれば基準財政需要額が算出できますから学校毎の予算額の多少を判断する重要な指標となります。

●なお、こうしたしくみで編成された予算はいずれも議会の議決を経て執行されますので、要求運動を組織する上で国や地方自治体の予算編成・決定の時期を知っておくことも大切です。

国:毎年9月末までに各省庁の概算要求、

9月以降財務省の予算編成、通常

12 月末までに閣議決定、1月からの通常国会で議決。

県:毎年11月中に各部局の予算要求、

12月末頃から予算編成、1月末頃知事査定、

3月定例議会で議決。

市町村:県とほぼ同じ日程。

Q94  GIGAスクール構想とその問題点について教えてください

●政府は、2019年12月13日、経済財政諮問会議で安倍元首相が「PCが1人当たり1台となることが当然だということを、国家意思として明確に示す」と発言したことを受け、経済対策として「GIGA スクール構想の実現(2318億円)」を含む補正予算案を閣議決定しました。

同日、萩生田文科大臣は、「令和時代のスタンダードとしての 1 人 1 台端末環境~大臣メッセージ」を発表し、「GIGAスクール実現推進本部」を設置し、「児童生徒1人1台コンピュータを実現」「高速大容量の通信ネットワーク」整備等の政策パッケージを発表しました。「大臣メッセージ」では、「1人1台端末環境は、もはや令和の時代における学校の『スタンダード』であり(略)これからの学校教育は劇的に変わります」としています。しかし、「教育の ICT化」や「1人1台端末」が子どもと教育に及ぼす効果や影響についての研究・検証も十分おこなわれていないまま導入を強行しようとするもので、学校現場から 懸念する声が上がっています。子どもと教育への影響についての検討を後回しにし、とにかく「国家プロジェクト」として位置づけ、公教育への民間産業の参入を促進する経済対策としてやみくもに導入に突き進んでいくことは、許されるものではありません。

●政府・文科省は、一人ひとりの子どもたちの学習ログを蓄積しAIを活用することで「最適化」された 課題を提供し、異なる課題にとりくむことで「公正に個別最適化された学び」が実現するとしています。しかし、今、経済政策として強引にICT化をすすめれば、子どもたちが共同の学びをすすめ、人間的なふれあいを通じて育む本来の教育を大きく阻害する危険性があります。「人格の完成」をめざす教育に直接責任を負う教職員の専門性をも否定するものです。また、子どもたちの学習ログを蓄積したビッグデータを活用することは、民間教育産業や巨大IT産業による教育や生活への介入・支配につながる危険性すらあります。さらに、ICT機器の活用を推進することによる子どもの体や心の成長・発達への影響につい て、多くの専門家から問題が指摘されていますが、十分に検討されているとは言えません。

●「GIGAスクール構想」の導入により、公教育への民間産業の参入を促進しようとする政府・財界の意図が見え隠れします。

全教は、子ども・教育への影響や自治体の実状を無視し、経済政策として「GIGAスクール構想」を押しつけるのではなく、子どもや学校、地方自治体の実態を踏まえ、国の責任で一人ひとりの子どもたちにゆきとどいた教育を保障するための条件整備をすすめることを求めています。

Q95 小学校高学年への教科担任制導入の問題点について教えてください

●中教審「答申素案」は、「9年間を見通した効果的な指導体制の在り方を検討する必要がある」として、義務教育学校化や小中一貫教育の導入、小中学校の連携を促進するとともに、2022年度を目途に「小学校高学年から教科担任制を本格的に導入する」としています。外国語・理科・算数を新たな「専科指導の対象」とし、そのために必要な教員定数確保に向けた検討と教職課程における取得免許要件の弾力化を求めています。

●小学校の教科担任制については、すでに導入されている義務教育学校等での状況や、中学校の教員が複数の学校を掛け持ちするなどの実態を充分に把握した上で、小学校での学級担任制の意義や子どもの発達段階、教職員定数と配置等を含めた包括的な議論が不可欠です。

●全教は、「中間まとめ」に対する意見表明において、実施強化や時間数を一律に押し付けるのではなく、各学校で工夫できる制度とすること、小学校教員の「持ちコマ数の軽減」につながるよう専科教員の増員をおこなうことを求めました。

第7章 学校事故・公務災害・職場環境

Q96 学校事故で、教職員に不利益が及ぶことがありますか

●学校事故では、教職員個人に対して発生原因・経過によっては損害賠償責任、懲戒責任、刑事責任の3点が問題となり、不利益が生ずることがあります。

これらはそれぞれ異った目的をもっており、3つの責任を同時に負わなければならないものではなく、また逆に、懲戒処分を受けたからといって刑事責任を免れるというものでもありません。

①損害賠償責任-金銭等での損害賠償の場合

公立学校の事故の場合は、通常では国家賠償法(国賠法)1条1項により直接の損害賠償責任は国または自治体が負うので教職員個人の賠償責任はないとしています。しかし、国賠法1条2項は「公務員に故意又は重大な過失があったときは、国又は公共団体はその公務員に対して求償権を有する」と定めています。したがって、このような場合は被害者からではなく、当局が支払った損害を求償されることがあります。もちろん、故意又は過失などなく普通の教育活動上の事故については問題となりません。

②懲戒責任-懲戒処分の対象となった場合

地方公務員法29条1項2号は、教職員の故意・過失によって事故が発生した場合、職務上の義務違反として懲戒処分の対象ともなりうるとしています。しかし、懲戒は職務違反に対して職務上の秩序維持の観点から課せられる処分であるため、損害賠償認定上必要な過失があるからといって直ちに懲戒処分が  正当化されうるものではないことは当然です。

③刑事責任- 業務上過失致死傷害などの場合

水泳訓練中の事故、登山、キャンプ、クラブ活動、施設・設備の欠陥、懲戒、体罰などでこれまで刑事責任に問われた例があります。この場合のケースでは事前の現地調査など周到な準備や気候状況、児童・生徒の体力などを考慮せず無理におこなった場合であり、人の注意力をもってしてはとうてい予見しえず不可抗力というべきものについては過失責任を問われることはないと考えてよいでしょう。*関係法規-国家賠償法・地方公務員法

Q97 労働(公務)災害について教えて下さい

●労働(公務)災害とは

業務上の事由又は通勤途上で、負傷、疾病、障害、死亡などを受けた場合の災害のことで、休憩時間を含む全ての労働行為に対してその対象となり、出張中の災害なども含みます。近年は過労死や自殺もその要因が、使用者の支配下によるものと認められた場合、労働災害として認定されるようになりました。

ただし、業務として強制されない(使用者の支配下にない)事業所外での懇親会等は労働災害に含まれず、またその場への行き帰りの際の事故も通勤途上災害とはならない場合があります。また、第三者の犯罪行為や戦争、内乱も同様の取り扱いとなります。

●教職員の労働(公務)災害について

地方公務員である教職員は業務上の負傷、疾病、障害、死亡に関する補償の規定については、「地方公務員災害補償法」という法律で定められており、その給付は「地方公務員災害補償基金」同法第3条の規定により設けられた各都道府県の地方公務員災害補償基金により各種給付が行われます。また、発生した労働災害に関して、管理者責任は問われません。これは、法の趣旨が災害者の救済を第一義的にしているためです。

●公務災害補償申請の流れ

認定給付を受けようとする場合には、地方公務員災害補償基金に認定請求をします。埼玉県の場合は総務部人事課内に地方公務員災害補償基金の支部があります。

●決定に不服がある場合には

 基金の支部長が行う補償に関する決定について不服がある場合には、支部審査会(支部に設置。地公災法52条)にたいして審査請求をすることができます。(同法51条2項)

 審査請求の期間は、支部長の決定があったことを知った日の翌日から起算して60日以内です。(行政不服審査法14条1項)

 支部審査会は、審査請求を審査のうえ、原処分取り消し、請求棄却または請求却下の裁決をおこない、裁決書を審査請求人に発送します。(地公災法51条5項、行政不服審査法40条、41条、42条)

●公務災害は、公務遂行性と公務起因性から判断されます。

〈公務遂行性〉

 公務遂行性とは、任命権者の支配管理下にある状況で災害が発生したことをいいます。職務遂行上必要な研修や訓練をおこなっている最中に負傷した場合は公務災害となります。

 公務を中断してトイレに言ったり水を飲みに行ったりする途中に負傷した場合でも、これらは生理的に必要な行為であり、職務に通常ともなう合理的な行為であるから、公務災害となります。休憩時間中でも同様です。しかし、勤務時間中でも職場を離れ、私用電話中に負傷した場合は公務災害とはなりません。

〈公務起因性〉

 公務起因性とは、公務と災害との間に因果関係が認められることをいいます。

 学校の給食施設の給食による食中毒も公務災害となります。また、施設に欠陥があれば、休憩時間中の私的行為であっても公務災害となります。

 出張中であっても、宿泊先のホテルで泥酔して階段を踏み外したとか、ホテルでチェックインした後に私的な飲食で外出し、そこで負傷した場合などは、公務起因性は認められません。また、学校で宿直勤務をする場合、その時間中は時間的に場所的に拘束されることになりますが、テレビを見るなどの自由行動をしている最中は公務災害となりません。

Q98 措置要求について教えて下さい

●措置要求制度とは

これは地方公務員法46条に規定があり、職員の給与、勤務時間その他の労働条件についての改善などを人事委員会に対して要求することができる制度です。措置要求できるのは、一般の教職員の他、条件付採用期間中の初任者、臨時的任用職員、会計年度任用職員も要求できます。

●職員が要求できるのは、給与、勤務時間その他の勤務条件に関することです。

 ・措置要求できること

  給与、旅費、勤務時間、休日、休暇、部分休業、執務環境、福利厚生、安全衛生

 ・措置要求できないこと

  職員定数の増減、予算の増額、行政機構の改廃、条例の提案、勤務成績の評定制度

●措置要求の手順は次の通りです。

 ①職員による措置要求

  人事委員会又は公平委員会の規則により、職員は書面により措置要求を行います。

 ②措置要求の審査・判定

  人事委員会又は公平委員会は、調査の後に口頭審理その他の方法により審査を行います。

  審査後の判定としては、要求の全部または一部を認める、またはすべてを認めない、のいずれかとなります。

 ③判定に基づく勧告など

  人事委員会又は公平委員会は、判定の結果に基づいて、その権限に属する事項については自らこれを実行します。

たとえば、人事委員会規則で定めているものは、初任給、昇格及び昇給の基準などです。

人事委員会又は公平委員会の権限に属さない事項については、当該事項について権限を有する地方公共団体の機関に対し必要な勧告を行います。

 人事委員会又は公平委員会の審査・判定の手続、およびその結果執るべき措置に関して必要な事項は、地公法第48条の規定に基づいて、委員会規則で定めなければなりません

●措置要求はできるだけ具体的な内容で行うことが大切です。それによってはすぐに解決することがあります。川口市や越谷市などでは、労働安全衛生体制の確立のために「衛生委員会」の設置を求めて措置要求したところ実現しています。行政には「法例遵守」義務がありますので、予算などがないなどの理由でこれを断ることはできません。但し、超過勤務時間などのように法的な解釈が分かれる事案については棄却されることがあります。しかし、川口市の組合員6名が行った超過勤務の解消を求めた措置要求については、厳密な調査を実施して、「超過勤務は存在した」と認めながら、その要求は認めないという不当な最終判定をしました。これに対して、3名の組合員が取消を求めて裁判所に訴訟を起こしました。

Q99 「労働安全衛生法」について教えて下さい

●教職員と労働安全衛生法(以下、労安法)

この法律は労働者(教職員)の安全と健康を守るための「最低基準」の法律であり、学校や教職員もこの法律の適用下にあります。

また、これに違反すると事業者側(教育委員会)には6ヶ月以下の懲役、又は50万円以下の罰金(労安法20~25条)が科せられます。また、実際の行為違反者と事業者に科せられる両罰規定(労安法122条)もあり、厳しい内容となっています。

●労安法と学校保健法の関係

これまで労安体制がすすまなかった主な原因は、旧文部省が意図的に学校保健法と混同させ労安法の適用を怠ってきたり、各市区町村教育委員会が一校あたりの教職員数が50人未満であることを理由に無視してきたことにあったといえます。

学校保健法の目的は「学校における保健管理、および安全管理に関して必要な事項を定める。児童・生徒・学生または幼児並びに教職員の健康の保持増進を図る。もって、教育の円滑な実施とその成果の確保に資する」とされており、特別な機関による監督基準、事業者の責任体制、改善のために必要な規定はなく罰則規定もまったくありません。こうした点からも、教職員の労働安全衛生環境等の整備については労安体制を確立し推進させることが大切です。

●学校での労安法推進のための法的根拠

1995年4月の国会答弁で学校における労安法の適用を認め、その後2005年10月の特別国会で「学校教育の場で労働安全衛生の必要性についてその指導徹底を図る」との付帯決議がされ、翌2006年4月3日に文科省はこの付帯決議の徹底を図るための通達を各県教育委員会に出しています。

この通達では教職員の過重労働の防止対策やメンタルヘルス対策を重視したものとなっています。さらに2007年12月6日付けの文科省通達では、2008年4月から50人未満の職場においても面接指導等が義務づけられるなど、過労死ラインにある教職員に対する対策は急務であり、具体的に実行させるためにも各市区町村の教職員組合の役割が求められています。

2016年度より、労働者に対してストレスチェックの実施を事業者に義務づけました。

●労働安全衛生管理体制の確立と教職員組合の役割

市区町村教育委員会を事業者とする小・中学校においては、その服務・監督権の実施主体として、すべての教職員に責任をもっており、少なくとも行政区単位に労働安全衛生体制をとることは当然です。よって50人未満の学校においても市区町村を一単位として見ればこの法律を適用することには何ら問題は  なく、労安法23条の2項には「関係労働者の意見の聴取」が定められています。実際に、川口市、草加市、越谷市などはすでに体制を確立して実施しています。また、いのちと健康を守るための労安法推進のためには教職員組合の存在は決定的です。

●労働安全衛生管理体制の具体的なすすめ方

まず、安全衛生推進のための管理規定の制定が必要です。そのため市区町村教育委員会と教職員組合が労安法の精神である労使対等の原則に立って協議を行い、労安法の内容を上回る管理規定の作成をめざすことが大切です。

次に管理規定が制定されたら、総括安全衛生管理者、衛生管理者、産業医を選任し、労安法の施策を効果的に推進するための組織を整える必要があります。教職員が50人以上の学校であれば労使同数の「衛生委員会」の設置が義務づけられており、50人未満の学校でも「衛生推進委員会」などを設置してとりくむことができます。

●これまでの埼教組の長きに渡る要求により、2020年4月現在、労安法に基づく負担軽減検討委員会を設置した埼玉県内の市町村教育委員会は51市町、出退勤記録を客観的な方法(ICカード等)で記録をとるようになった市町村教育委員会は2020年12月現在、さいたま市を除く59市町村となりました。残りの3市町についても2021年度中に整備される予定です。

●2020年8月1日現在で「働き方改革基本方針」を既に策定している市町村は、さいたま市を除く62市町村中31市町村にのぼりました。残りの31市町村からは、2020年度中に策定予定と県教委に対して報告がなされています。

●2020年度地公労賃金確定交渉において、県教委は「労安法に基づく衛生委員会の設置が努力義務の学校について、その必要性を改めて周知するとともに、各教育事務所の指導主事等に「働き方改革推進担当」を任命し、優良事例の共有化などを行うことで業務改善を進める」と回答しました。

埼教組青年部が2020年度に実施した実態調査アンケートによれば、青年教職員のおよそ8割が、2019年9月に策定された「埼玉県 学校における働き方基本方針」に沿った働き方改革が勤務校で行われているかどうかという質問項目において、「行われていない」「実感がない・わからない」と回答しました。これに対し、県教委は「「学校における働き方改革」については、未だ十分とは言えず、より一層取組を強化していかなければならないと考えております。今後も、教育局全課及び各教育事務所において、学校に対して業務削減できるものはないか、引き続き検討するとともに、市町村と連携・協力を図りながら、学校における働き方改革が一層推進するよう努めてまいります。」と回答しました。

教職員の働き方を抜本的に改善するためには、教育予算を増額し、教員増をすることですが、衛生委員会を機能させ、学校単位や市町村単位で業務負担軽減を検討し、一人あたりの仕事の総量を削減することも重要です。

第8章 組合活動・政治活動・選挙活動

Q100 教職員が労働組合をつくる理由を説明してください

●戦前の日本社会では教師は「聖職者」として位置づけられ、何ひとつ不平を言わずに政府(行政)からの指示どおりに黙々と子どもたちの指導に当たることが当然視されていました。自らの労働条件の改善を求める権利は奪われ、国家(時の政権政党)の意に沿う教育を担うことが余儀なくされていました。戦後、「教え子を戦場に送った」ことを後悔・懺悔する教師が少なくなかったことは、当時の社会の異常な状況を端的に示しています。

●戦後になって教師(教職員)も働く者として、生活を守り、労働条件の改善を要求する権利とそのために労働組合を結成する(団結する)ことが、法的(憲法28条、地方公務員法52条)にも社会通念上も広く認められるようになりました。これらの事実は、戦前の反省を踏まえて、教職員の身分や暮らしの安定が図られなければ教育もよくならないこと、国の施策に対する批判の自由が保障されなければ人格の完成をめざすという教育の本来の目的が歪められることを、国民が広く認めたことを証明するものでしょう。

●教職員が労働組合を結成することの意義は、日々の身近な事実の経緯を見ても明らかです。賃金をはじめとした労働条件改善や教育条件改善を、一人で国や県知事等に持ち込んでも一般的には全く相手にされません。諸要求を実現する具体的な力は、根本的には団結した力による以外にありません。しかもその団結は一時的なものよりも、常時組織された状態を維持する方がはるかに優位に立つことは論を待ちません。幾多の攻撃や困難があっても労働組合(教職員組合)が組織され、活動が続けられてきた要因もそこにあるのです。

Q101 組合に加入すると特定の教育理念や政党支持を押しつけられることになるのでしょうか

●埼玉県教職員組合は、労働組合は次の3原則を保持しなければならないと考え、この立場から運動をすすめています。

①資本(公務労働者の場合は行政機関)からの独立

労働組合の中には、労働者の権利を守るためでなく、会社の意向を代弁させるために存在しているのではないかと思われる組合もあるようです。労働組合存立の大前提は、「労働者の利益を守る」ことにあります。このことは、「労働者の権利や利益さえ保護されれば後はいっさいお構いなし」という立場とは無縁のものであることも付言します。

②政党からの独立

労働組合は政党ではありません。政党は政治的信条を同じくする人々によって組織された集団ですが、労働組合は同じ要求を持つ労働者によって組織された集団です。したがって、労働組合においては、個々の組合員の政治的信条、政党支持の自由が保持されなければならないのは当然です。選挙にあたって組合員に特定の候補者のために活動させたり、労働組合が組合費等を充当することが許されてはなりません。

労働組合の中には、こうした原則を無視して、組合員に選挙活動を強制したり、政党への政治献金をしている組合もあるようですが、私たちはこうした態度を一貫して批判してきました。なお、組合員が一人の市民として、自らの政治信条にもとづいて活動をすることが保障されなければならないことは言うまでもありません。

③一致する要求にもとづく行動

労働組合は組織を構成する組合員の一致する要求あるいは大会における多数意見で決定した方針(要求)にもとづいて行動する組織です。しかし、みんなで決めた方針であっても、組合員はそれぞれの生活条件等が異なりますので、活動は理解と納得のもとにすすめられるべきです。一方、一致する要求といっても、教育実践にかかわる指導方法等について組織的統一を図るという方針は労働組合としてとるべき態度ではないと考えています。したがって、組合として特定の教育理念や指導方法を押しつけることは間違いだと考えています。

Q102 教職員の労働基本権について教えてください

●憲法が保障する労働基本権

(1)労働基本権の保障

 教職員には、労働基本権が全面的に認められることは、日本国憲法が労働基本権を特段の留保もなく、広く国民に保障していることに鑑みれば、争いのないところです。労働基本法を保障した憲法28条は、国民の生存権を定めた憲法25条、国民の労働の権利を定めた憲法27条を前提に、使用者との関係で経済的劣位に立つ労働者が、自らの経済地位を向上させ、人間らしい、文化的な生活を営むことができるようにするために、以下の4つの権利を保障しています。

 ①団結権

  労働者が団結して労働組合を結成し、あるいは労働組合に加入する権利

 ②団体交渉権(労働協約締結権を含む)

  労働組合が、その組織する組合員の労働条件あるいは労働組合と使用者との労使関係(組合掲示板や組合事務所の使用、団体交渉の際のルールなど)について定める労働協約の締結を目的として使用者あるいはその団体と団体交渉を行う権利

 ③争議権

  労働組合が、団体交渉において労使双方に対立が生じた場合(労働争議)に、自らの主張の実現を求めて行なう争議行為の権利

 ④組合活動の権利

  労働組合が、組合員の経済的地位の向上その他目的を達成することを目的として行う諸活動のうち、団体交渉、争議行動を除いた活動をする権利

  (ア)日常的な組織運営のための活動(各種会議・集会、連絡、組合費の徴収など)

  (イ)組合員その他にたいする情報宣伝活動(ビラ・ニュース等の配布、掲示板の利用等)

  (ウ)闘争的活動(大量のビラ貼り、就業時間中のリボン・腕章等の着用、職場内外の抗議活動)

(2)子どもの教育を受ける権利を担保する労働基本権

 教職員は、子どもの教育を受ける権利(憲法26条)、父母の子どもに教育を受けさせる義務を実現する第一次的な主体であり、父母、広く国民の付託にこたえ、子どもの教育を受ける権利を負っています。教職員は、教育の荒廃の現実に立ち向かい、活力ある実践にとりくんでいかなければなりません。そのために、教職員が労働組合に結集して、教育政策・教育制度について積極的に発言し、使用者である当局と交渉あるいは協議をおこなうことは必要不可欠といえます。

(3)公務員労働者の労働基本権を剥奪する現行法制

〈現行法による制約〉

 憲法は教職員に労働基本権を保障していますが、わが国では、1948年以降、以下に見るように、公務員の労働基本権が法律により大きく制約されてきました。

 ①団結権・組合活動の権利

  教職員には団結権・組合活動の権利が認められています。ただし、当局は、職員団体として人事院(国家公務員の場合)、人事委員会(あるいは公平委員会、地方公務員の場合)に登録の申請をし、登録を受けた職員団体からの交渉の申し入れがあった場合にのみ、その申し入れに応ずべき地位にたつものとされています。(国家公務員法108条の2、5の第1項、地公法第52条、55条1項)

 ②団体交渉権・労働協約締結権

  団体交渉は原則として保障されていますが、労働協約締結権は認めていません。(国公法108条の5第2項、地公法55条2項)ただし、地方公務員の場合には、書面協定制度(地公法55条9項)が設けられています。

 ③争議団

  教職員には争議権が認められていません。(国公法98条2項、地公法37条1項)争議行為を「そそのかし、あおる」行為については3年以下の懲役または100万円(地方公務員の場合は10万円)以下の罰金に処するとしています。

Q103 現行の労働基本権の解釈を説明してください

(1)団体交渉の対象

 地公法第55条1項は、地方公共団体は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに付帯して、社会的または厚生的活動を含む適法な活動にかかわる事項に関し、適法な交渉の申し入れがあった場合については、その申し入れに応ずべき地位に立つものとされています。

 教職員組合は、教職員の労働条件その他の待遇、当局と労働組合との間の集団的労使関係に関する事項(これは「義務的団交事項」と呼ばれる)であって、当局として処置することができる事項について、当局と団体交渉をおこなうことができます。

 参考までに義務的団交事項について、地方公営企業等の労働関係に関する法律7条は以下の通り定めています。

  • 賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項
  • 昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項
  • 労働に関する安全、衛生及び災害補償に関する事項
  • 前3号に掲げるもののほか、労働条件に関する事項

 これらについては、教職員の労働条件その他の待遇に関する事項について、さらにその対象を限定して、団体交渉の対象とするものといえます。教職員組合にとって大切なのは、教職員の待遇に関する事項であれば、狭い意味での労働条件に限定せず、広く団体交渉の対象とするとりくみをすすめることです。

(2)管理運営事項

 地公法第55条3項は、「地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項」いわゆる「管理運営事項」は団体交渉外であるとしています。この「管理運営事項」は、地方自治体の機関がその本来の職務または権限として、法令、条例、規則その他の規定、あるいは地方公共団体の議会の議決にもとづき、もっぱら自らの判断と責任にもとづいて執行すべき事項とされています。通常、行政の企画・立案・執行、定数・配置・人事権等がこれに含まれるとされています。

 管理運営事項に関して、しばしば現場で問題となるのは、教育委員会の定数配置問題、個別の昇任、配転、懲戒処分、校長による校務分掌の決定、教職員に対する勤務評価などです。これらの事項については、当局により、教育委員会や校長が責任を持って決定すべき事項であり、「管理運営事項」として、交渉の対象外であるとする扱いがなされることがあります。

 「管理運営事項」の多くは教職員の労働条件その他待遇に関連しており、これを団体交渉の対象から除外すれば、団体交渉権が空洞化することは避けられません。直接に教職員の労働条件そのものに該当するものではないとしても、労働条件その他の待遇に関する事項については、団体交渉の対象と解するべきです。当局が「管理運営事項」を盾に交渉に応じない場合には、粘り強く交渉に応じるように要求していくことが重要です。

(3)交渉の当事者・担当者

〈地方公務員法の立場〉

 交渉の相手方について、地公法55条4項は、当局側の交渉当事者を、「交渉事項について適法に管理し、又は決定することのできる」当局と定めています。その一方で、労働者側の当事者については、「登録を受けた職員団体」(地公法第55条1項)であり、交渉に臨む者を役員に限定し(同5項)、特別の事情のあるときは、例外として委任状を要件としてそれ以外のものも許される(同6項)としています。

〈労働組合側当事者・担当者〉

 しかし、教職員組合が登録を受けなければ団体交渉の権利を認めないことは重大な団結権の侵害です。また、ILO第87号条約2条、3条、5条にも違反しています。登録の有無にかかわらず、団体交渉権は認められると解すべきです。行政解釈は、交渉の申し入れが適法なものである限り、非登録団体であっても交渉に応ずることが望ましいですが、交渉すべき立場にあるというのが正しいといえます。実際には、教職員組合は、紛争を避けるために職員団体として登録していますが、職員団体登録制度は直ちに廃止すべきです。

 また、職場交渉においては、職場に組織された分会も当事者となると考えるべきです。分会を当事者と認めず、交渉に当たる分会長は職員団体の役員とはいえないとか、職員団体の執行機関から適法な委任を受けていないことを理由に団体交渉を拒否すること、交渉ではなく単に意見を聞く場とすることは許されません。

 交渉担当者を誰にするかは、本来、組合の自主的な判断に委ねられるべきです。それゆえ、地公法第55条6項にいう「特別の事情があるとき」の判断は労働組合の専権に委ねられていると解すべきです。また、交渉担当者への委任関係が明らかである限り、委任状による証明は不要というべきです。当局が労働組合側が立てた交渉担当者が地公法第55条5項あるいは6項の要件に該当しないことを理由に団体交渉を拒否することは、団結権を保障した憲法、ILO87号条約に反する不当な対応と解さなければなりません。

〈使用者側当事者〉

①国=文部科学省の関与領域が広範

 給与、定員、教育条件その他について、地方自治体は国の財政に大きく依存しています、教育制度についても、全国一律の教育制度の制定は、文部科学大臣の所管でおこなわれています。これらの事項については、団体交渉の当局は、これらの事項を所管する文部科学大臣になると考えられます。一方、労働組合側当事者は、各自治体の教育公務員を組織する労働組合を統轄する中央団体(例えば、全教、日教組)になるでしょう。

 しかし、国は、中央団体による中央交渉について、あくまでも団体交渉ではなく、要望を聞く場にとどまるというスタンスに立ってきました。そして、その根拠として、地公法第55条1項が団体交渉の当局側当事者を「地方公共団体の当局」としていること、地公法第53条4項が、職員団体の登録の要件として、同一の地方公共団体に属する職員をもって組織されていることを必要としていること、地公法第55条1項は、登録を受けていない職員団体からの団体交渉の申し入れには応ずる義務がないとしていることを根拠としています。

②地方自治体(県費職員)の場合

 県費職員の場合、任命権者は教育委員会であり、給与支払者は(都道府)県の首長(知事)です、また、学校設置管理は、県(高校等)と市(町村・義務制)です。

 教職員の勤務条件は、原則として教育委員会が所管し、執行する権限を有し(地教行法第23条)、教育長も教育委員会の指揮監督のもとに、同委員会の権限に属する全ての事務をつかさどるとされています(同17条)。

③校長、センター長など(職場交渉を大いに活性化しよう。)

 教職員が、労働者として日常的に労働を提供する場である学校職場において、自らの経済的地位や人間らしい生活の実現のために使用者側当事者と交渉をおこなうことはとても大切な意味をもっています。

 職場交渉における使用者側当事者は、学校教育法第37条4項により校務をつかさどるとされている(学)校長になります。校長は、教職員の校務分掌の決定、1週間の勤務時間の割り振り、出張の命令、校内研修の実施、有給休暇の承認、宿日直担当者の氏名、労働安全衛生法上の措置の実施などの権限を有しています。これらはいずれも現場の教職員の労働生活に重大な影響を及ぼすものです。それゆえ、校長を相手方として職場交渉をおこない、これらに関する組合員の要求を実現していくことは労働組合として当然の権利です。また、職場交渉は、職場における組合活動を教職員の目にみえるものとし、そのことがさらに組合活動の活性化、組織の拡大へと繋がっていきます。

 当局は、「校長中心の学校経営」というスローガンで、学校現場にたいする管理と統制の強化の柱として校長の管理権限の強化をはかっていますから、理屈からいえば交渉事項は拡大していくことになるはずです。しかし、校長に対する団体交渉の要求を、校長は、交渉事項について管理し、または決定する立場にないとして拒否する場合も少なくありません。(Q110参照)

 職場においては、校長側に対して、地道に交渉の実績を積み上げていくことがとても大切です。また、仮に校長自身に妥結権限がない事項であっても、妥結権限がある上級機関に責任をもって取り次ぎ、その実現に努力すべき立場にある事項については、校長が当局として団体交渉の当事者になると考えるべきです。

Q104 団体交渉の持ち方について教えてください

〈予備交渉〉

 労働組合に団体交渉権が保障されている以上、当局は、団体交渉の申し入れがあれば、誠意をもって速やかに応じなければなりません。予備交渉をするか否かは組合の判断に委ねられているものであり、予備交渉を経ていないことを理由に、団体交渉を拒否することは許されないはずです。

 しかし、地公法第55条5項は、交渉にあたっては、組合と当局との間において、「議題、時間、場所その他必要な事項」および交渉人員の数を予め取り決めたうえでおこなうとしています。教職員組合としては、予備交渉を経ない団体交渉の実施の実績を当局との間で築き上げることが大切です。また、予備交渉の実施の実績を当局との間で築き上げることが大切です。また、予備交渉をおこなう場合であっても、そこでの取り決めはあくまで一応の目安であることを明らかにして、当局が予備交渉での内容を団体交渉を打ち切る口実として利用しないことがないように十分注意を払うべきです。

〈交渉打ち切り〉

 地公法第55助7項は、交渉は、予備交渉における取り決めや、職員以外の交渉委員について委任状を要するという要件を満たさなくなった場合、または他の職員の職務の遂行を妨げ、もしくは地方公共団体の事務の正常な運営を阻害することになったときは、当局から打ち切ることができるとしています。

 当局が、この条項にもとづいて、団体交渉を打ち切ろうとする場合には、事実上の団体交渉拒否にあたると主張し、粘り強く交渉の場にとどまるよう働きかけなければなりません。

〈勤務時間中の交渉〉

 後述のとおり、地公法第55条5項は、同条に規定する適法な交渉は、勤務時間中におこなうことができるとしています。

〈交渉の場所〉

 後述のとおり、地公法第55条5項は、具体的な交渉に先立って、交渉の場所について、当局と職員団体があらかじめ取り決めることを求めています。しかし、交渉の場所は、それまでの労使の慣行にそって柔軟に決められるべきものです。交渉の場所について、当局側が従来の慣行を無視し、教職員組合の不都合な場所を一方的に指定してくるような場合は、実質的に見て団体交渉の拒否にあたるというべきです。

Q105 書面協定の効力について教えてください

〈書面協定の規定(地公法第55条10項)〉

 教職員組合に団体交渉権を認める以上、団体交渉での合意事項を書面化する労働協約の締結権が認められるのは当然というべきです。しかし、地公法第55条2項は職員団体の労働締結権を否定しています。これが違憲であることはいうまでもありません。もっとも、その一方で、地公法55条9項は「職員団体は、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の当局と書面による協定を結ぶことができる」と定めています。また、地公法55条10項は、書面協定について、当局および職員団体の双方において、誠意と責任をもって履行しなければならないと定めています。

〈書面協定の態様〉

 書面協定の態様について、地公法は特段の規定を置いていません。しかし、団体交渉の成果を可能なかぎり書面化するという観点からは、その形式にとらわれずに、広く書面協定として認めていくべきです。具体的には、以下の形式については、書面協定としての効力を認めるべきです。

 ①書面への連署

 ②組合の要求書と当局の回答書

 ③無署名議事録の確認

 ④口頭確認事項を当局が通達で流す

 ⑤口頭確認を組合が文書で公表し、当局がこれを黙認する。

Q106 団体交渉以外の集団的協議について教えてください

●交渉事項が「管理運営事項」であること、あるいは団体交渉の当事者性を否定して、団体交渉に応じない当局側の対応にたいして、憲法による団体交渉権の保障を実質化するために、教職員組合は、当局との交渉あるいは協議において、「意見表明」、「協議」、「合意を前提としない交渉」、「合意を目的とする交渉」といったさまざまな枠組みを、運動の情勢や当局側の対応を見極めて、選択してきました。

 こうしたとりくみについては、すべてを団体交渉・労働協約締結にむけて収束させるのではなく、現場における教職員組合と当局との到達点、双方の自主的な判断に委ねていくべきです。

Q107 学校長に交渉を申し入れたら、「話し合い以外は受けられない」 と拒否されました。交渉権はどうなっているのでしょうか

●憲法第28条は労働者の団体交渉権の保障を明記しています。教職員組合(公務員組合)の具体的な交渉権(交渉成立の要件)については、地方公務員法55条に定められています。その概要は次のとおりです。

・人事委員会に登録された団体であること。(埼教組は登録団体)

・交渉議題が勤務条件およびこれに附帯する社交的または厚生的活動に係る事項であること。

・当局の事務の管理および運営に関する事項は対象外であること。

・当局側(学校長)が交渉事項に関して当事者能力(適法に管理し、決定することができる権限)を有する議題であること。

・交渉議題、日時、場所、参加者数、その他必要事項について事前に取り決めておくこと。

・交渉は団体協約を締結する権利を含まないものであること

●上記のことから各分会(学校単位)が学校長に交渉を申し入れた場合、当然「交渉」として認められなければなりません。学校長が「話し合いである」と主張する根拠として挙げるのは、主に次の二点です。

第1は、埼教組は人事委員会に登録された団体であるが、分会は登録されていないとする理由です。しかし、埼教組の各分会は単一体としての埼教組の一組織です。したがって、埼教組が人事委員会に登録されていることをもって、当然地公法上の登録団体となります。

このことは1981年12月9日に埼教組と県教委の間で確認されています。もしこの論理をもって交渉を拒絶するのであれば、県人事委員会に登録されている埼教組(本部)や市町村の公平委員会に登録されている市町村教職員組合(単組)とは交渉を受けなければならないことになります。

第2は、交渉議題が何れも管理運営事項に属するものであり、交渉は成立しないとする理由です。当局は、管理運営事項の範囲をできるだけ拡大解釈しようとする傾向にありますが、地方公務員法は「社交的または厚生的活動を含む」適法活動も交渉事項と定めています。このことは、一般的に考えて相当広範囲のものが含まれると解することができますし、人事問題、学校の運営問題、教育条件整備に関する事項は何れも勤務条件に深く関わる事項です。

●以上のことから、安易に「交渉は認められない」とする態度は容認できません。なお、地方公務員法55条は「交渉は、勤務時間中においても行うことができる」と定めています。

Q108 組合活動の権利について教えてください

●教職員組合が、日常的な組合活動の自由を保障されることは、団結の目的である教職員の経済的地位の向上にとってきわめて重要です。また、学校における教育の直接の担い手である教職員が、父母、広く国民の付託にこたえ、子どもの教育を受ける権利を十分に保障し、国民主権の立場から、自主的、主体的に民主的教育を実践していくうえでも不可欠です。

 わが国においては、企業・事業場を単位に組織される企業内労働組合が大半であるため、労働組合の活動は、企業施設の利用、さらには勤務時間中の活動を避けていては十分に機能しない場合が多いといえます。しかし、このことは、反面で、使用者による施設管理権、労働者の職務専念義務との抵触の問題を生じさせます。教職員組合の場合にも、学校施設の利用、勤務時間中の組合活動が問題となる点は共通しています。

 教職員組合の組合活動の自由を認めることは、当局にたいして、施設管理権の制限に対する受忍や、職務専念義務の免除を当然の前提としているというべきです。しかし、現実には、地公法や地方公共団体が定める条例が教職員の組合活動にたいして広範な規制を及ぼしており、憲法で保障された組合活動の自由がかなりの程度、侵害されているのが現状です。

 以下では、組合活動にたいする当局の制約にたいして、教職員組合としてどのように対処すべきかを簡潔に述べていきます。

(1)勤務時間内の組合活動

〈職務専念義務との調整について〉

 教職員が、子どもと向き合い、子どもの教育を受ける権利の保障のために全力を傾ける義務(職務専念義務)を負うこと、地公法30条がこの当然の道理を定めた規定であることは争いのないところです。しかし、職務専念義務を絶対視し、集団的労使関係にまで押し広げるのであれば、職場における組合活動は窒息してしまいます。教職員組合に組合活動の権利が認められている以上、職務専念義務と組合活動の権利の調整が必要となることは当然です。

 この調整について、地公法第35条は、「法律又は条例に特別の定めがある場合」には、職務専念義務が免除されることを定めています。現行法上は、休職、停職、職員団体と当局との勤務時間内交渉(地公法第55条8項)などがあげられます。条例上も、休日・休暇に関する条例にもとづく休日・休暇、各自治体が地公法35条を直接の根拠として制定する職務専念義務の免除に関する条例にもとづいて職務専念義務が免除される場合(研修を受ける場合、厚生に関する計画の実施に参加する場合、交通機関の事故等の不可抗力の原因による場合、証人、鑑定人、参考人等として国会、裁判所、地方公共団体の議会その他の官公署へ出頭する場合、選挙権その他公民としての権利を行使する場合等)があげられます。なお、職務専念義務の免除は、県費負担教職員の場合、市町村の職務専念義務免除の条例により、市町村教育委員会がおこないます。実際には、地方公共団体の事務委任規定にもとづいて校長が職務専念義務免除の承認をおこなっています。

 この点でしばしば問題となるのが「研修」です。ここにいう「研修」は職務としての研修ではなく、職務以外の研修、たとえば教職員組合が主催する教育研究集会への参加です。当局は、このような研修について、職務専念義務を免除せず、参加については有給休暇を取得することを求めるのが通常です。

 しかし、教育公務員特例法(教特法)第21条は、教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならないとし、22条は教育公務員には研修を受ける機会が与えられなければならず、教員は授業に支障のないかぎり、本属長の承認を受けて、勤務場所を離れて研修をおこなうことができる、としています。また、1966年ILO・ユネスコ「教員の地位に関する勧告」は、社会の平和と進歩のための教育の役割を重視し、その発展のためには、「学問の自由」を有する教員が専門職として尊重されることを求めています。それゆえ、「研修」については、教員の自主的な判断を可能なかぎり尊重すべきです。

〈勤務時間内組合活動の慣行の効力〉

 教職員組合のたたかいの成果として、実際にも、勤務時間中の組合活動(たとえば、職員会議での組合文書の配布、放課後の職場会議、授業時間中の組合決定事項の伝達など)については、当局側が黙認してきたり、職場の慣行として一定の範囲で認められてきた経緯があります。これは、当局の側からみれば、勤務時間中の組合活動を受忍する義務を慣行上負担しているということになります。

(2)学校施設を利用した組合活動

〈組合事務所利用の権利関係〉

 職場における交渉あるいは長年の慣行により、一定の場所を組合事務所として利用することを当局が認めてきた場合、当局は組合事務所の利用を受忍する義務を負っています。当局が、合理的な理由なく組合事務所の利用を禁止することは許されません。

〈掲示板・学校電話・コピー機等の利用の権利関係〉

 これについても、組合事務所利用の権利関係と同一に考えられます。

(3)学校施設内での文書配布

〈施設管理権の及ぶ範囲〉

 組合における組合活動にとって、組合員あるいは未組合員に対する文書(組合ニュースや組合業務文書、宣伝ビラなど)配布は、団結の維持・強化に欠かせない活動です。ところが、文書配布については、ほとんどの地方公共団体は、施設管理権を根拠として、事前に当局の許可を得ることが必要であるとしています。

 職場に組織された労働組合が、いちいち当局の許可を得なければ学校施設内で文書配布ができないのであれば、労働組合の活動に重大な支障が生じます。労働組合に組合活動の権利が認められている以上、配布場所、配布方法、配布の時間帯等に鑑み、学校施設内での文書配布によって学校業務の運営に実質的に支障がないかあるいはあったとしてもごく軽微な場合には、当局は文書配布を受忍する義務を負うと考えるべきです。

 また、労使慣行上、配布が認められてきた場合(配布場所、配布方法、配布の時間帯、頻度についても労使慣行にもとづいて決定している場合もあるでしょう)に、当局が文書配布を受忍する義務を負っていることはいうまでもありません。

〈懲戒権の濫用〉

 また、当局が事前に許可を得ていない文書配布を問題にする場合には、まず労働組合との間で団体交渉をもち、配布のあり方について協議することが大切です。こうした手続きを経ずに施設管理権を具体的に侵害する可能性のない文書配布を事前に許可を受けていないことのみを理由に懲戒処分をおこなうことは、懲戒権の濫用として許されません。

(4)教育公務員にたいする不当労働行為の救済

 労働者にたいする団結権の保障は、団結権の侵害行為、団結権の正当な行使に対する使用者の介入や不利益の取り扱い(たとえば、組合に加入したことを理由に当該労働者を労働条件において差別すること)から労働者を救済する制度を要請しています。労基法第7条は、こうした使用者による行為を不当労働行為として類型化し、使用者が不当労働行為をおこなった場合には、都道府県労働委員会が労働者・労働組合の申し立てを待ってその救済にあたる不当労働行為救済制度を設けています。

 これに対して、地公法第58条は、地方公務員に対する労基法の適用を全面的に排除しているため、地方公務員には労基法第7条の不当労働行為救済制度は適用されません。しかし、地方公務員に団結権が保障されている以上、民間労働者と同じく団結権侵害行為にたいして救済が与えられてしかるべきです。

 地公法第56条は、職員団体の構成員であること、職員団体を結成しようとしたこと、または職員団体のために正当な行為をしたことのゆえをもって不利益な取り扱いを行うことを禁止しています。当局がこれらの行為を理由に懲戒その他その意に反すると認められる不利益な処分を行った場合、その処分を受けた職員は、人事委員会(公平委員会)に対して不服申し立てをすることができます(地公法第49条の2)。

Q109 学校内で分会会議を開いたり、組合掲示板設置を要求できる根拠は何ですか

●学校施設は、学校が学校教育の目的に使用するために設置されたものですが、次の場合は目的外使用も認められています。ひとつは法律または法律にもとづく命令にもとづいて使用する場合(公職選挙法にもとづく投票所や災害時の避難所等)、もうひとつは管理者または校長の同意を得て使用する場合です。組合の掲示板設置や分会会議のための教室使用の例は後者の場合ですが、いちいち許可申請などを提出することなく認められなければならないものです。

●労働組合の結成は憲法および地方公務員法で明確に保障されています。団結権が保障されていることは、その活動も保障されなければならないことを意味します。組合活動が学校施設の利用を必要不可欠としている実状からすれば、それは団結権保障を受ける活動ですから、その限りにおいて管理権者である校  長は施設を利用させなければなりません。当局が作成した各種解説書でも同様の見解が示されています。

●以上のことからすれば、分会会議開催や組合掲示板に関わる使用方法、態様について、学校運営に特段の支渉がない限り、干渉・介入する根拠は存在しません。学校によっては、「職員室は子どもや父母など不特定多数が出入りするところだから困る」という校長もいますが、憲法で保障された労働組合が存在  するのは当然のことです。万一、質問があれば、当校には組合があり、法律にもとづいて掲示板設置を許可していると答えれば済むことです。ちなみに埼玉県庁の主要な玄関口近くには県職員組合の掲示板が相当大きなスペースで置かれ、県民向けに置かれたものでないのに県民(子どもを含めて)の目に入るも  のとなっています。これは国の各省庁や地方自治体でも全く同様です。

Q110 教職員の政治活動・選挙活動について教えてください

●国民主権と民主主義を原理とする日本国憲法のもとで、政治活動・選挙活動の自由は最も基本的な権利であり、むやみに制限されてよいものではありません。ところが、政府は公務員に対しては、一般の市民を上まわる「制限」を加えています。行政側はこれを根拠にしながら、選挙の都度、公務員はいっさいの政治活動・選挙活動ができないかのように喧伝しています。正しくは、「教職員にも憲法上保障された思想・信条の自由、政治活動の自由が存在している。そうした市民としての権利に『一定の制限』が加えられているにすぎない」ということです。したがって大別すれば、

①国民全体におよぶ制約事項

②公務員に対してのみおよぶ制約事項

の2つに分けて考えることが必要です。

国民全体におよぶ制約事項

公職選挙法による制約であり、買収、供応、法定外文書配布などの禁止が盛り込まれています。戸別訪問もそのひとつですが、系統的・連続的に訪問して投票を依頼することが戸別訪問であり、選挙以外の用事で訪問した折に、 たまたま選挙の話しに及んで支持依頼することは戸別訪問には該当しません。このように何もさせないという立場からの拡大解釈には毅然と対処することが必要です。なお、公職選挙法に違反すると刑罰の対象となります。

公務員におよぶ制約事項

①教育職員以外の事務職員、栄養職員に対する制約

地公法36条によって一定の政治的行為が制限されています。詳しくは当該条文を正確に読みとることが必要ですが、ポイントは次の2点です。なお、これに違反した場合、行政処分の対象にはなりますが、刑罰の対象とはなりません。

ア、同条の規定は「政治的目的」と「政治的行為」を分けて記述し、「政治的目的」をもって「政治的行為」をした場合のみを禁じています。したがって、「政治的目的」があったとしても「政治的行為」に含まれなければ違反ではなく、その逆も同様と解されます。

イ、同条が規定する「政治的行為」の禁止は、当該職員の勤務地以外の自治体では禁止ではなく(一部を除く)、行うことができると定められています。

②教育職員に対する制約

次の2点による制約が加えられています。

ア、公職選挙法137条による制約です。同条は、「教育者(学校長、教員)は、学校の児童、生徒及び学生に対する教育上の地位を利用して選挙運動をすることができない」と規定しています。これは私立学校の教育職員にも適用され、公職選挙法適用ですから刑罰の対象となります。要は、「教育上の地位を利用して」と言うことですから、公文書で特定の選挙候補者を紹介したり、  成績評価をちらつかせながら支持依頼をおこなう等のことはできませんが、勤務時間外におけるビラ配布など単純な実務行為がこれに含まれないことは明白です。

イ、教育公務員特例法18条に定める制約です。同条は、公立学校の教育職員の政治的行為については地方公務員法(地公法)36条を適用するのではなく、国家公務員法(国公法)102条を適用すると定めています。その国公法102条は人事院規則(14-7)を適用するとしています。したがって、詳しくは人事院規則(14-7)を正確に読みとることが必要ですが、その仕組みは非教育職員(事務職員等)と同様で、「政治的目的」と「政治的行為」を区分して適用することとしていますから、前述の例で対応することが必要です。なお、違反した場合の罰則は、公立学校の教育職員の場合は国家公務員と異なり、行政処分の対象にはなりますが、刑罰は適用されません。

Q111 教職員の署名活動について教えてください

●日本国憲法は第16条で国民の請願権を認め、「請願法」を制定しています。

 教育条件整備拡充に向けて、署名活動を労働組合がとりくみ、その組合員として教職員が携わることは、労働組合法・地公法からして問題はありません。ただ、地方公務員法で、選挙に関する「署名活動」(例えば、特定の候補者の支持を求める署名活動)を組織し、自ら発起人や代表者となることは禁止されています。もちろん、選挙に関係のない書名や組合の要求の署名運動は選挙期間中であっても自由にできます。また、署名に応じることも自由にできます。

●埼教組が、1989年から続けてきた「ゆきとどいた教育をすすめる全国・埼玉」署名の活動をする自由ももちろん認められています。しかしながら、1999年頃から、県教委への匿名電話や県議会での一部議員などの質問によって、署名活動に対する妨害や圧力が繰り返されてきました。埼教組は、当初からこの攻撃に対する全面的な反論を次のように展開してきています。

①政治的中立性が損なわれるという批判について

 長い間続いている運動で証明済みのことであり問題ありません。20人以下学級を展望とした少人数学級の実現やどの子にもゆきとどいた教育という主張は、全国・県内の多くの国民・県民の共通の要求になっています。教員に対し直接適用される人事院規則14-7でも、この署名についてまったく該当しないことは当局の解説文書でも明言しています。そもそも「政治的中立」とは、戦前の国家神道を主柱とする教育への反省を基盤とし、政治教育・宗教教育…等々の教育的原則・公務員の職務における政治的中立などを規定したものであり、個々の教職員の信条・政治的行為を禁止しているものではありません。運動がひろがるにつれて、「ゆきとどいた教育をすすめる全国・埼玉」署名の請願事項についても全ての政党・会派の議員が紹介議員となるように変化してきています。もちろん特定の政党・政治集団を利することにならないことはあきらかです。

②地位利用をしているという批判について

 ①の立場に立てば、教育条件の拡充を求める署名を地域の父母・県民に知らせるとともに実現を迫ることは、教職員としても、県民としても当然の行為です。本来教育行政が進めるべき課題を、住民の要求運動として具体化した行為であり、そのすすめる主体である教職員が父母と共同して推進する場合、当然学校の関わりのある父母に依頼することは、運動の性格上当然のことです。

③「職務専念義務違反」(勤務時間内の署名配布など)であるという批判について

 埼教組(の支部・単組も含めて)として、署名活動について勤務時間内のとりくみをするという方針を掲げているものではありません。そういう点では、職務専念義務との関係で批判をしてくるものに対してきっかけを与えないように一定の配慮を行うことは必要です。当該学校において、当該学校の判断で具体化したことであり、署名・募金活動についてはあくまで任意であり、強制の範囲ではありません。

Q112 労働組合が共済活動をおこなっている理由について教えてください

●生活の安定は、組合員や加入者にとっては重要な要求です。ですから、生活を守る福利厚生活動の一つである共済活動は、労働組合の基本的な役割であり、労働組合の原点なのです。

●共済は、様々なリスクに対して、一定の地域や職域などの人々が協同して万一の場合の相互扶助を行う制度で、共済は、組合員の事故や病気による入院・死亡・火災・自動車事故などに対して給付を行うものです。

埼教組共済は、全教(全日本教職員組合)という上部組織のもと、埼教組(埼玉県教職員組合)が埼玉県で運営する教職員のための自主共済です。

●共済は、相互扶助を目的とするため儲ける必要は一切ありません。ですから、掛金は給付に必要な経費と運営に必要な経費があればよいのです。一方民間保険は、企業としての利潤追求を目的としていますので、この目的の違いが安い掛け金で、加入者の助け合いで生まれた充実した給付につながっているのです。

基本法規・埼教組規約

1.日本国憲法(抜粋)

1946年11月3日

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが 国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第二章   戦争の放棄

第9条(戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認)

日本国民は、正義と秩 序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第三章 国民の権利及び義務

第10条(国民の要件)

日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

第11条(基本的人権の享有)

国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

第12条(自由・権利の保持の責任とその濫用の禁止)

この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

第13条(個人の尊重と公共の福祉)

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第14条(法の下の平等・貴族の禁止、栄典)

すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

2華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

3栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

第15条(公務員の選定及び罷免の権利、公務員の本質、普通選挙の保障、投票秘密の保障)

公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

2すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。

3公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

4すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第16条(請願権)

何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

第17条(国及び公共団体の賠償責任)

何人も、公務員の不法行為に より、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

第18条(奴隷的拘束及び苦役からの自由)

何人も、いかなる奴隷的  拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

第19条(思想及び良心の自由)

思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

第20条(信教の自由)

信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

2何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

3国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

第21条(集会・結社・表現の自由、通信の秘密)

集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

第22条(居住・移転及び職業選択の自由、外国移住及び国籍離脱の自由)

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

第23条(学問の自由)

学問の自由は、これを保障する。

第24条(家族生活における個人の尊厳と両性の平等)

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

第25条(生存権、国の社会的使命)

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

第26条(教育を受ける権利、教育の義務)

すべて国民は、法律の定  めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

2すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

第27条(勤労の権利及び義務、勤労条件の基準、児童酷使の禁止)

すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

2賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

3児童は、これを酷使してはならない。

第28条(勤労者の団結権)

勤労者の団結する権利及び団体交渉その 他の団体行動をする権利は、これを保障する。

第29条(財産権)

財産権は、これを侵してはならない。

2財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

3私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

(中略)

第97条

この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

第99条(憲法尊重擁護の義務)

天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、 裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

2.教育基本法 2006年12月22日

我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。

第一章 教育の目的及び理念

第1条(教育の目的)

教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

第2条(教育の目標)

教育は、その目的を実現するため、学問の自由 を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。

一 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。

二 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。

三 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

四 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。

五 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。

第3条(生涯学習の理念)

国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。

第4条(教育の機会均等)

すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、教育基本法、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。

2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。

3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。

第二章 教育の実施に関する基本

第5条(義務教育)

国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。

2 義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。

3  国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。

4  国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。

第6条(学校教育)

法律に定める学校は、公の性質を有するものであって、国、地方公共団体及び法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

2  前項の学校においては、教育の目標が達成されるよう、教育を受ける者の心身の発達に応じて、体系的な教育が組織的に行われなければならない。この場合において、教育を受ける者が、学校生活を営む上で必要な規律を重んずるとともに、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。

第7条(大学)

大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。

2  大学については、自主性、自律性その他の大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない。

第8条(私立学校)

私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。

第9条(教員)

法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。

2   前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。

第10条(家庭教育)

父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図 るよう努めるものとする。

2  国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。

第11条(幼児期の教育)

幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。

第12条(社会教育)

個人の要望や社会の要請にこたえ、社会におい て行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。

2  国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供その 他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。

第13条(学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力)

学校、家庭及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。

第14条(政治教育)

良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。

2  法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

第15条(宗教教育)

宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。

2  国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。

第三章 教育行政

第16条(教育行政)

教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。

2 国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。

3 地方公共団体は、その地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない。

4 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。

第17条(教育振興基本計画)

政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。

2  地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。

第四章 法令の制定

第18条

この法律に規定する諸条項を実施するため、必要な法令が制定されなければならない。

(参考)1947年3月31日施行の教育基本法

われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。

われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成 を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめ ざす教育を普及徹底しなければならない。

ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

第1条(教育の目的)

教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

第2条(教育の方針)

教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。

第3条(教育の機会均等)

すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。

2   国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。

第4条(義務教育)

国民は、その保護する子女に、9年の普通教育を受 けさせる義務を負う。

2  国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。

第5条(男女共学)

男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであって、教育上男女の共学は、認められなければならない。      第6条(学校教育)

法律に定める学校は、公の性質をもつものであって、国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。

2  法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。このためには、教育基本法教員の身分は、尊重され、その待遇の適正が、期せられなければならない。

第7条(社会教育)

家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。

2  国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によって教育の目的の実現に努めなければならない。

第8条(政治教育)

良識ある公民たるに必要な政治的教養は、教育上 これを尊重しなければならない。

2  法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない

第9条(宗教教育)

宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。

2  国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。

第10条(教育行政)

教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。

2  教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

第11条(補則)

この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。

附則 この法律は、公布の日から、これを施行する。

3.子どもの権利条約(抜粋)(児童の権利に関する条約)

1989年11月20日   国連採択 1994年5月22日   発効

第1条(子どもの定義)

この条約の適用上、児童とは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、当該児童で、その者に適用される法律によりより早く成年に達し たものを除く。

第2条(差別の禁止)

1 締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見   その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に 定める権利を尊重し、及び確保する。

2 締約国は、児童がその父母、法定保護者又は家族の構成員の地位、活動、表明した意見又は信念によるあらゆる形態の差別又は処罰から保護されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。

第3条(子どもの最善の利益)

1 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。

2 締約国は、児童の父母、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者の権利及び義務を考慮に入れて、児童の福祉に必要な保護及び養護を確保することを約束し、このため、すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる。

3 締約国は、児童の養護又は保護のための施設、役務の提供及び設備が、特に安全及び健康の分野に関し並びにこれらの職員の数及び適格性並びに適正な監督に関し権限のある当局の設定した基準に適合することを確保する。

第12条(意見表明権)

1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。

2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。

第13条(表現・情報の自由)

1 児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。

2 1の権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のた めに必要とされるものに限る。

(a)他の者の権利又は信用の尊重

(b)国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護

第14条(思想・良心・宗教の自由)

1 締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する。

2 締約国は、児童が1の権利を行使するに当たり、父母及び場合により法定保護者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利及び義務を尊重する。

3 宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。

第15条(結社・集会の自由)

1締約国は、結社の自由及び平和的な集会の自由についての児童

 の権利を認める。

2 1の権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳の保護又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。

第16条(プライバシー・通信・名誉の保護)

1 いかなる児童も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。

2 児童は、1の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。

第19条(虐待・放任からの保護)

1 締約国は、児童が父母、法定保護者又は児童を監護する他の者による監護を受けている間において、あらゆる形態の身体的若しくは精神的な暴力、傷害若しくは虐待、放置若しくは怠慢な取扱い、不当な取扱い又は搾取(性的虐待を含む。)からその児童を保護するためすべての適当な立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる。

2 1の保護措置には、適当な場合には、児童及び児童を監護する者のために必要な援助を与える社会的計画の作成その他の形態による防止のための効果的な手続並びに1に定める児童の不当な取扱いの事件の発見、報告、付託、調査、処置及び事後措置並びに適当な場合には司法の関与に関する効果的な手続を含むものとする。

第23条(障害児の権利)

1 締約国は、精神的又は身体的な障害を有する児童が、その尊厳を確保し、自立を促進し及び社会への積極的な参加を容易にする条件の下で十分かつ相応な生活を享受すべきであることを認める。

2 締約国は、障害を有する児童が特別の養護についての権利を有することを認めるものとし、利用可能な手段の下で、申込みに応じた、かつ、当該児童の状況及び父母又は当該児童を養護している他の者の事情に適した援助を、これを受ける資格を有する児童及びこのような児童の養護について責任を有する者に与えることを奨励し、かつ、確保する。(以下略)

第31条(休息・余暇・遊び、文化的・芸術的生活への参加)

1 締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める。

2 締約国は、児童が文化的及び芸術的な生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進するものとし、文化的及び芸術的な活動並びにレクリエーション及び余暇の活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。

第42条(条約広報義務)

締約国は、適当かつ積極的な方法でこの条約の原則及び規定を成人及び児童のいずれにも広く知らせることを約束する。

4.教員の地位に関する勧告(抜粋)

1966年9月21日〜10月5日 ユネスコにおける特別政府間会議

[3]指導的諸原則

3 教育は、その最初の学年から、人権および基本的自由に対する深い尊敬をうえつけることを目的とすると同時に、人間個性の全面的発達および共同社会の精神的、道徳的、社会的、文化的ならびに経済的な発展を目的とするものでなければならない。これらの諸価値の範囲の中でもっとも重要なものは、教育が平和のために貢献をすること、およびすべての国民の間の、そして人種的、宗教的集団相互の間の理解と寛容と友情にたいして貢献することである。

4 教育の進歩は、教育職員一般の資格と能力および個々の教員の人間的、教育学的、技術的資質に依存するところが大きいことが認識されなければならない。

5 教員の地位は、教育の目的、目標に照らして評価される教育の必要性にみあったものでなければならない。教育の目的、目標を完全に実現するうえで、教員の正当な地位および教育職に対する正当な社会的尊敬が、大きな重要性をもっているということが認識されなければならない。

6 教育の仕事は専門職とみなされるべきである。この職業は厳しい、継続的な研究を経て獲得され、維持される専門的知識および特別な技術を教員に要求する公共的業務の一種である。また、責任をもたされた生徒の教育および福祉に対して、個人的および共同の責任感を要求するものである。

7 教員の養成および雇用のすべての面にわたって、人種、皮膚の色、性別、宗教、政治的見解、国籍または門地もしくは経済的条件にもとづくいかなる形態の差別も行なわれてはならない。

8 教員の労働条件は、効果的な学習を最もよく促進し、教員がその職業的任務に専念することができるものでなければならない。

9 教員団体は、教育の進歩に大きく寄与しうるものであり、したがって教育政策の決定に関与すべき勢力として認められなければならない。

[4]教育目的と教育政策

10 それぞれの国で必要に応じて、人的その他のあらゆる資源を利用して「指導的諸原則」に合致した包括的な教育政策を作成すべく適切な措置がとられなければならない。その場合、権限ある当局は以下の諸原則および諸目的が教員に与える影響を考慮しなければならない。

(a)子どもができるだけ最も完全な教育の機会を与えられることは、 すべての子どもの基本的権利である。特別な教育的取扱いを必要 とする子どもについては、適正な注意が払われなければならない。

(b)あらゆる便宜は、性、人種、皮膚の色、宗教、政治的見解、国籍又は門地もしくは経済的条件のゆえに差別されることなくすべての人々が教育を受ける権利を享受しうるように、平等に利用しうるものであるべきである。

(c)教育は、一般公共の利益に役立つ基本的重要性をもつ業務であるから、国家の責任であることが認識されなければならない。 国家は十分に学校を分布し、そこで無償の教育を行い、貧しい児童に物質的援助を与えなければならない。

このことは父母および場合によっては法的保護者が国家によって設立される学校以外の学校をその子どものために選ぶ自由を妨げるもの、または、国家によって定められているか認められている最低教育水準をみたした教育機関を個人あるいは団体が設立し管理する自由を妨げるものという意味に解釈されてはならない。

(d)教育は経済成長における不可欠の要因であるから、教育計画は生活条件改善のために立てられる経済的・社会的全計画の必要欠くべからざる部分とならなければならない。

(e)教育は、継続的過程であるから、教育業務の各種部門は、すべての生徒に対する教育の質を向上させると同時に、教員の地位を高めるよう調整されなければならない。

(f)いかなるタイプのいかなる段階の教育へも児童が進学する機会を制限するような隘路が起きないよう、適切に相互関連した柔軟性ある学校システムに自由に入れるようにしなければならない。

(g)教育の目標として、いかなる国家も単に量でのみ満足すべきではなく、質の向上をも追求しなければならない。

(h)教育においては、長期および短期の計画と課程編成が必要である。共同社会に今日の生徒をうまく組み入れることは、現在の要請より、むしろ将来の必要による。

(i)すべての教育計画には、自国民の生活に精通し、母国語で教えることのできる国民である、有能で資格のある十分な数の教員の養成および現職教育の早期対策が、各段階にわたって含まれていなければならない。

(j)教員養成および現職教育の分野における系統的継続的な研究と活動の協力が、国際的次元での協同研究および研究成果の交 流を含めて、欠くことのできないものである。

(k)教育政策とその明確な目標を決定するためには、文化団体、 研究・調査機関はもちろんのこと、権限ある当局、教員、使用者、労働者および父母等の各団体ならびに文化団体、研究調査機関の間で、緊密な協力が行なわれなければならない。

(l)教育の目的、目標の達成は、教育にあてられる財政手段に大きくかかっているのであるから、すべての国において、国家予算のなかで、国民所得のうちの十分な割合を教育の発展に配分することをとくに優先すべきである。

[6]教員の継続教育

31 当局と教員は、教育の質と内容および教授技術を系統的に向上させていくことを企図する現職教育の重要性を認識しなければならない。

32 当局は、教員団体と協議して、すべての教員が無料で利用できる 広範な現職教育の制度の樹立を促進しなければならない。この種の 制度は、多岐にわたる手段を準備し、かつ、教員養成機関、科学・文化機関および教員団体がそれぞれ参加するものでなければならない。一時教職から離れて再び教職に戻る教員のためとくに再訓練課程を設けなければならない。

33(1)教員がその資格を向上させ職務の範囲を変更もしくは拡大し、 または、昇進を希望し、かつ、担当教科や教育分野の内容および方法について最も新しいものを常に身につけるために、講習または他の適当な便宜が考慮されるべきである。

(2)教員が、その一般教育や職業資格を向上するための書物、その他の資料を利用できるようにする諸手段が講じられなければならない。

34 教員には継続教育の課程や便宜に参加するための機会および刺激が与えられ、また教員はこれらを十分に活用すべきである。

35 学校当局は、学校が教科および教授法に関する研究成果をとり入れられるようにするため、あらゆる努力を払わなければならない。

36 当局は、教員が、継続教育を目的として、集団であれ、個人であれ、自国内および国外を旅行するのを奨励すべきであり、できるかぎり、援助を与えなければならない。

37 国際的または地域的な規模での財政的技術的協力によって、教員の養成および継続教育のためにとられる措置が発展され補足されることが望ましい。

[7]雇用とキャリア

〈教職への参加〉

38 教員団体との協力により、採用に関する政策を適切な次元で明確に定め、かつ教員の義務と権利を定める規則を制定しなければならない。

39 教職への就職に関する試用期間は、新しい教職参加者への励ましとたよりになる手ほどきのための、そして教員自身の実際の教授能 力を向上させることとならんで適切な専門的水準を確立し、保持するための機会として教員およびその使用者の両者によって認識されなければならない。通常の試用期間は、あらかじめ知らされるべきであり、それを満足に修了するための条件は、厳密に職業的能力に関連づけられなければならない。もしその教員が試用期間を満足に修了しえなかったときは、教員はその理由を知らされなければならず、かつこれに対して意見を述べる権利をもたなければならない。

〈昇進と昇格〉

40 教員は、必要な資格を有することを条件として、教育の仕事の範囲内で、ある種の学校または、ある段階の学校から、他の種の学校または他の段階の学校に異動できなければならない。

41 教育事業の組織と構造は、個々の学校のそれをも含めて、個々の教員が付加的な責任を果たすことの自覚、および果たすための十分な機会を、これらの責任が教員の教授活動の質または規則性に不利にならないという条件のもとに、与えなければならない。

42 学校が十分に大きければ、さまざまの教員が各種の責任を果たすことから、生徒も利益を得、教員も機会を与えられるという利点に考慮が払われなければならない。

43 督学官および教育行政官、教育管理者あるいはその他、特別責任を持つ職など教育に責任をもつ職はできる限り広く経験豊かな教員に与えられなければならない。

44 昇格は、教員団体との協議により定められた、厳密に専門職上の基準に照らし、新しいポストに対する教員の資格の客観的な評価にもとづいて行なわなければならない。

〈身分保障〉

45 教職における雇用の安定と身分保障は、教員の利益にとって不可欠であることはいうまでもなく、教育の利益のためにも不可欠なものであり、たとえ学校制度、または、学校内の組織に変更がある場合でも、あくまでも保護されるべきである。

46 教員は、その専門職としての身分またはキャリアに影響する専断的行為から十分に保護されなければならない。

〈専門職としての行為の違反に関する懲戒処分〉

47 専門職としての行為違反の責を負うべき教員に適用される懲戒措置は明確に規定されなければならない。懲戒手続、およびすべての決定された措置は、授業活動の禁止が含まれているか、あるいは生徒の保護又は福祉がそれを必要とする場合を除いて、その教員がそれを要求するときにのみ公表されなければならない。

48 懲戒を提案し、ないしは適用する資格を有する当局ないし機関は、明確に指定されなければならない。

49 教員団体は、懲戒問題を扱う機関の設置にあたって、協議にあずからなければならない。

50 すべての教員は、一切の懲戒手続の各段階で公平な保護を受けなければならない。とくに、

(a)懲戒の提起およびその理由を文書により通知される権利

(b)事案の根拠を十分に入手する権利

(c)教員が弁護準備に十分な時間を与えられ、自らを弁護し、または自己の選択する代理人によって弁護を受ける権利

(d)決定およびその理由を書面により通知される権利

(e)明確に指定された権限ある当局または機関に不服を申し立てる権利

51 懲戒からの保護、ならびに懲戒それ自体の効果は、その教員が、同僚の参加のもとで判定を受ける場合、非常に高まる、ということを当局は認識しなければならない。

52 前記第47項から第51項の諸規定は刑法の下で処罰される行為に対して通常適用される法規にいかなる意味でも影響を及ぼすものではない。

〈健康診断〉

53 教員は定期健康診断を受けることを要求されるべきであり、それは無料で行なわれなければならない。

〈家庭の責任をもつ女性教員〉

54 結婚が女子教員の採用または雇用の継続の障害とみなされてはならず、また報酬、その他の労働条件に影響してはならない。

55 使用者は、妊娠および母性休暇の故をもって、雇用契約を解除することを禁止されなければならない。

56 家庭の責任を持つ教員の子どもの面倒を見るため、望ましい場合には、保育所、託児所等の特別の便宜が考慮されなければならない。

57 家庭の責任を持つ女子教員が居住地域で勤務できるようにし、また夫婦とも教員である者は、近接する学区あるいは同一学区および同一学校で勤務できるようにするための措置が講じられなければならない。

58 適切な条件のもとでは、定年前に離職した、家庭の責任をもつ女子教員は、再び教職に戻るように奨励されなければならない。

〈非常勤の勤務〉

59 当局と学校は、必要な場合には、何らかの理由からフルタイムで勤務することのできない有資格教員によるパートタイムの勤務の価値を認識しなければならない。

60 正規にパートタイムで雇用される教員は、

(a)フルタイムで雇用される教員と比率的に同一報酬をうけ、同一の基本的雇用条件を享受すべきであり、

(b)有給休暇、疾病休暇、母性休暇について、フルタイムで雇用される教員と同一の適格条件を前提として、同等の権利を与えられ るべきであり、

(c) 使用者による年金制度の適用を含めて、十分かつ適切な社会保障保護をうける 権利を与えられるべきである。

[8]教員の権利と責任

〈職業上の自由〉

61 教育職は専門職としての職務の遂行にあたって学問上の自由を享受すべきである。教員は生徒に最も適した教材および方法を判断するための格別の資格を認められたものであるから、承認された計画 の枠内で、教育当局の援助を受けて教材の選択と採用、教科書の選択、教育方法の採用などについて不可欠な役割を与えられるべきである。

62 教員と教員団体は、新しい課程、新しい教科書、新しい教具の開発に参加しなければならない。

63 一切の視学、あるいは監督制度は、教員がその専門職としての任務を果たすのを励まし、援助するように計画されるものでなければならず、教員の自由、創造性、責任感をそこなうようなものであってはならない。

64(1)教員の仕事を直接評価することが必要な場合には、その評価は客観的でなければならず、また、その評価は当該教員に知らされなければならない。

(2)教員は、不当と思われる評価がなされた場合に、それに対して不服を申し立てる権利をもたなければならない。

65 教員は、生徒の進歩を評価するのに役立つと思われる評価技術を自由に利用できなければならない。しかし、その場合、個々の生徒に対していかなる不公平も起こらないことが確保されなければならない。

66 当局は、各種の課程および多様な継続教育への個々の生徒の適合性に関する教員の勧告を、正当に重視しなければならない。

67 生徒の利益となるような、教員と父母の密接な協力を促進するために、あらゆる可能な努力が払われなければならないが、しかし、教員は、本来教員の専門職上の責任である問題について、父母による不公正または不当な干渉から保護されなければならない。

68(1)学校または教員に対して苦情のある父母は、まず第一に学校長および関係教員と話し合う機会が与えられなければならない。さらに苦情を上級機関に訴える場合はすべて文書で行なわれるべきであり、その文書の写しは当該教員に与えられなければならない。

(2)苦情調査は、教員が自らを弁護する公正な機会が与えられ、かつ、調査過程は公開されてはならない。

69 教員は、生徒を事故から守るため最大の注意を払わねばならないが、教員の使用者は、校内ないし校外における学校活動の中で生じた生徒の傷害のさいに教員に損害賠償が課せられる危険から教員を守らねばならない。

〈教員の責任〉

70 すべての教員は、専門職としての地位が教員自身に大きくかかっていることを認識し、そのすべての専門職活動の中で最高の水準を達成するよう努力しなければならない。

71 教員の職務遂行に関する専門職の基準は、教員団体の参加のもとで定められ維持されなければならない。

72 教員と教員団体は、生徒、教育事業および社会全般の利益のために当局と十分協力するよう努力しなければならない。

73 倫理綱領または行動綱領は教員団体によって確立されなければならない。なぜなら、この種の綱領はこの専門職の威信を確保し、また合意された原則に従った職責の遂行を確保するうえで大きく貢献するからである。

74 教員は、生徒および成人の利益のために課外活動に参加する用意がなければならない。

〈教員の権利〉

79 教員の社会的および公的生活への参加は、教員の個人的発達、教育事業および社会全体の利益のために奨励されなければならない。

80 教員は市民が一般に享受する一切の市民的権利を行使する自由をもち、かつ、公職につく権利をもたなければならない。

81 公職につく要件として、教員が教育の職務をやめなければならないことになっている場合、教員は、先任権、年金のために教職にその籍を保持し、公職の任期終了後には、前職ないしは、これと同等の職に復帰することが可能でなければならない。

82 教員の給与と労働条件は、教員団体と教員の使用者の間の交渉過程を通じて決定されなければならない。

83 法定の、または任意の交渉機構を設置し、これにより教員が教員団体を通じてその公的または私的使用者と交渉を行なう権利が保障されなければならない。

84 雇用条件等から生じる教員と使用者の間の争議の解決にあたるため、適切な合同の機構が設置されなければならない。もしこの目的のために設けられた手段と手続が使い尽くされ、あるいは当事者間の交渉が行きづまった場合、教員団体は、他の団体がその正当な利益を保護するため普通もっているような他の手段をとる権利をもたなければならない。

9 効果的な授業と学習のための条件

85 教員は価値のある専門家であるから、教員の仕事は、教員の時間と労力が浪費されないように組織され援助されなければならない。

〈学級規模〉

86 学級規模は、教員が生徒一人ひとりに注意を払うことができるようなものでなければならない。時には矯正教育などを目的とする小グループまたは個人授業の措置を講じ、また時には視聴覚教具を使 用する大グループ授業の措置を講じることもできる。

〈補助教員〉

87 教員がその専門的職務に専念することができるように、学校には授業以外の業務を処理する補助職員を配置しなければならない。

〈労働時間〉

89 教員が一日あたり、および一週あたり労働することを要求される時間は、教員団体と協議して定められなければならない。

90 授業時間を決定するにあたっては、教員の労働負担に関係するつぎのようなすべての要因を考慮に入れなければならない。

(a)教員が一日あたり、一週あたりに教えることを要求される生徒数

(b)授業の十分な立案と準備ならびに評価のために要する時  

  間

(c)各日に教えるようにわりあてられる異なる科目の数

(d)研究、正課活動、課外活動、監督任務および生徒のカウンセリングなどへ参加するために要する時間

(e)教員が生徒の進歩について父母に報告し、相談することのできる時間をとることが望ましいということ

91 教員は現職教育の課程に参加するために必要な時間を与えられなければならない。

92 課外活動への参加が教員の過重負担となってはならず、また教員の本務の達成を妨げるものであってはならない。

93 学級での授業に追加される特別な教育的責任を課せられる教員は、それに応じて通常の授業時間を短縮されなければならない。

〈年次有給休暇〉

94 すべての教員は、給与全額支給の適正な年次休暇をもつ権利を享受しなければならない。

〈研修休暇〉

95(1)教員は給与全額または一部支給の研修休暇をときどき与えられなければならない。

(2)研修休暇の期間は、先任権および年金のための在職期間に通算されなければならない。

〈特別休暇〉

96 二国間および多国間文化交流の枠内で与えられる休暇期間は、勤務と考えられなければならない。

97 技術援助計画に従事する教員は、休暇を与えられなければならない。そして母国における彼らの先任権、昇任資格および年金権は守られなければならない。さらに、彼らの臨時出費をつぐなう特別の措置を講じなければならない。

98 外国からの客員教員も、同様に母国から休暇を与えられなければならず、彼らの先任権および年金権は守られなければならない。

99 (1)教員は、教員団体の活動に参加できるように給与全額支給の 休暇を随時与えられなければならない。

(2)教員は、教員団体の役職につく権利を有するべきであり、この場合、公職につく教員と同等の諸権利をもたなければならない。

100 教員は、雇用に先立って行なわれた取り決めにしたがって、正当な個人的理由による給与全額支給の休暇を与えられなければならない。

〈病気休暇と出産休暇〉

101 (1)教員は有給の病気休暇の権利を与えられなければならない。

(2)給与の全額あるいは一部を支払われる期間を決定するに当たっては、教員を長期間にわたって生徒から隔離することが必要な場合があることを考慮しなければならない。

102 国際労働機関によって定められた母性保護の分野における諸基準、とくに1919年の母性保護条約、1952年の母性保護条約(改定)は、 本勧告の第126項の諸基準と同じく、これを実施しなければならない。

103 子どもを持つ女子教員は、失職することなく、かつ、雇用から生ずるすべての権利を完全に保護されて、出産後一年まで追加の無 給休暇を、要求によって取得することができるような措置により、教職にとどまることを奨励されなければならない。

[10]教員の給与

114 教員の地位に影響する様々な要因のなかでも、給与はとくに重要視しなければならない。なぜならば、今日の世界的状況の中では教員に与えられる信望または尊敬、彼らの機能の重要性についての評価の程度等の諸要因は、他の対応する専門職の場合と同様、主として教員のおかれている経済的状態にかかっているからである。

115       教員の給与は

(a)教員が教職についたときから彼らに課されるあらゆる種類の責任を反映しなければならないと同時に、教育機能の社会に対する重要性、したがって教員の重要性を反映しなければならない。

(b)類似のあるいは同等の資格を要求される他の職業に支払われる給与とくらべて有利なものでなければならない。

(c) 彼ら自身と家族のために適正な生活水準を確保するとともに、研修の積み重ねまたは文化活動を続け、もって専門職としての資質を向上するに足るものでなければならない。

(d)ある種のポストは、より高い資質と経験を必要とし、より大きな責任をともなうという事実を考慮しなければならない。

116 教員は、教員団体との合意によって定められた給与表にもとづいて給与を支払われなければならない。いかなる場合にも、有資格の教員には、その試用期間中あるいは臨時採用中に、正式に雇用された教員を対象として規定されたものより低い給与表によって給与を支払ってはならない。

117 給与構造は、異なる教員集団の間のまさつを起す原因となる不公平や変則性を生じないように計画されねばならない。

118 最高授業時数が定められているばあい、正規の時間数が通常の最高限度を超える教員は、承認された給与表にもとづいて追加の報酬を受けなければならない。

119 給与差は、資格水準、経験年数、責任などの客観的な基準にもとづいたものであり、最低給と最高給の関係は、合理的なものでなければならない。

120 いかなる学位ももたない職業科あるいは技術科の教員を基本給与表に格付けする場合には、その実際的訓練と経験の価値が考慮されなければならない。

121 教員の給与は一年を基準として算出されなければならない。

122 (1)定期的な、なるべくならば年一回の給与増加による同一等級内の昇給を規定しなければならない。

(2)基本的給与表の最低額から最高額に達する期間は、十年ないし十五年をこえてはならない。

(3)試用あるいは臨時採用期間中の勤務に対しても、昇給を教員に与えなければならない。

123 (1)教員の給与表は、生活費の値上り、国内における生活水準の向上をみちびく生産性の増加、賃金または給与水準の全般的上昇動向などの要因を考慮に入れて定期的に再検討されなければならない。

(2)生活費指数にしたがって、給与を自動的に調整する制度を採用している国では、どの指数をとるかは、教員団体の参加のもとに決定しなければならない。そして、支給される生活手当は、すべて年金計算の基礎となる収入に含まれるものと見なされなければならない。

124  給与決定を目的としたいかなる勤務評定制度も、関係教員団体との事前協議およびその承認なしに採用し、あるいは適用されてはならない。

5.埼玉県教職員組合規約

         第一章  総則

第 一 条 この組合は埼玉県教職員組合(略称埼教組)という。

第 二 条 この組合は埼玉県下の公立学校教職員をもって構成する。但し、この組合の組合員であって不当解雇を受けたもの、この組合の役員となったもの及び教育運動に専門的に従事しているものは組合員とすることができる。

第 三 条 この組合は本部書記局をさいたま市浦和区高砂三 丁目十二番二十四号におく。

第 四 条 この組合は組合員の強固な団結によって教職員の経済的、社会的、政治的地位の向上と教育の民主化を実現して文化の進展に寄与することを目的とする。

第 五 条 この組合は前条の目的を達成するために左の事業をおこなう。

     一 教職員の待遇改善並びに勤務条件の維持改善に関すること。

     二 教職員の福利厚生に関すること。

     三 教育並びに学術研究の民主化に関すること。

     四 教職員の文化教養に関すること。

     五 他の諸団体との連絡提携に関すること。

     六 その他この組合の目的達成に必要なこと。

         第二章 組織

第 六 条 この組合は原則として県下各教育事務所行政区画単位に支部をおく。但し、各教育事務所内に駐在事務所を置く地域にあっては、駐在事務所行政区画を一単位と見做す。二以上の支部が合同して地区連絡協議会を設ける。各市町村または地区毎に市町村(地区)教職員組合を組織し、各学校職場毎または近隣の学校職場が合同して分会組織を設ける。

    2 地区連絡協議会運営および支部運営・市町村(地区)教職員組合運営の原則は別に定める準則によるものとする。

第 七 条 この組合は必要により書記局の中に左の専門部をおく。

     一 養護教員部

     二 事務職員部

     三 栄養職員部

     四 青年部

     五 女性部

     六 障害児教育部

第 八 条 この組合は必要により書記局内に専門委員をおくことができる。

    2 専門委員は中央執行委員会で選任し、中央委員会の承認を受ける。

          第三章 加入・脱退

第 九 条 この組合に加入しようとするものは、所定の手続きをもって支部を通して申し込み、中央執行委員会の承認を受ける。但し、組合員としての権利は、組合費その他所定の負担金が納入された日から生じる。

第 十 条 この組合を脱退しようとするものは、その理由を具した届書を支部を通して中央執行委員長に提出する。但し、組合員としての義務は中央執行委員長が届書を受理した日から消滅する。

    2 この組合を脱退した場合は、既納の組合費及び財産上またはその他すべての組合員としての権利を放棄したものとする。

          第四章 組合員の権利・義務

第 十一 条 この組合の組合員は、この組合のすべての問題に参与する権利及び均等の取扱いを受ける権利を有する。

第 十二 条 この組合の組合員は如何なる場合においても人種、宗教、政治的信条、性別、門地または身分によって組合員たる資格を奪われない。

第 十三 条 この組合の組合員は何人といえども規約を遵守し、綱領、スローガンを重んじ、議決機関の決定にしたがわなければならない。

第 十四 条 この組合の組合員は所定の組合費その他の負担金を遅滞なく納入しなければならない。

          第五章 機関

第 十五 条 この組合に左の機関をおく。

     一 大会

     二 中央委員会

     三 中央執行委員会

第 十六 条 大会は最高の議決機関で毎年一回原則として六月に開く。但し、組合員総数の三分の一以上または三支部以上が要求したとき及び中央委員会または中央執行委員会が必要と認めたときには、中央執行委員長は三十日以内に臨時大会を招集しなければならない。

    2 大会を招集するときは、少なくとも十五日以前に議事日程、議案その他必要事項を各支部に通知するものとする。

第 十七 条 大会は代議員及び役員で構成する。但し、議決権は代議員のみが有し、大会役員は代議員より選出する。

    2 代議員は各支部毎に三名及び各支部組合員二十名に一名の割合で選出する。特別分会は一名を選出する。

    3 代議員は大会の都度、選出単位のすべての組合員が平等に参加する機会を有する直接無記名投票もしくは選出単位の議決機関において無記名投票により選出する。

    4 代議員選出基準は別に定める。

        5 中央執行委員会の承認によって、専門部の代表を特別代議員とすることができる。特別代議員は発言権を有するが、議決権はもたない。

第 十八 条  大会の権限は次の通りである。

               一 綱領・宣言・スローガンの決定並びに変更。

               二 規約の決定並びに変更。

               三 組合の解散手続きに関すること。

               四 組合の事業。

               五 運動方針の決定。

               六 重要な協定の締結並びに各種協定の破棄。

               七 組合の予算の決定並びに決算の承認。

八 五千万円以上の財産の取得及び処分に関すること。

               九 他団体への加入または脱退に関すること。

               十 懲罰の最終審理と決定。

               十一その他この組合の目的達成に必要なこと。

第 十九 条 中央委員会は大会に次ぐ議決機関で年三回、原則として、八月、十二月、三月に開く。但し、中央委員総数の三分の一以上または二支部以上が要求したとき及び中央執行委員会が必要と認めたときには、中央執行委員長は十五日以内に臨時中央委員会を招集しなければならない。

    2 中央委員会を招集するときは、少なくとも七日以前に議事日程、議案その他必要事項を中央委員に通知するものとする。但し、緊急の臨時中央委員会はこの限りでない。

第 二十 条 中央委員会は中央委員及び役員で構成する。但し、議決権は中央委員のみが有し、中央委員会役員は中央委員より選出する。

    2 中央委員は各支部毎に組合員百名までは二名、百名をこえる支部はさらに五十名につき一名の割合で選出したものに各専門部毎に二名を加えたものとする。

    3 中央委員は各支部においてすべての組合員が平等に参加する機会を有する直接無記名投票または支部大会において選出する。専門部代表中央委員は各専門部大会において選出する。

第二十一条 中央委員会の権限は次の通りである。

               一 大会より委任された事項。

               二 規約についての疑義の解釈。

三 各種規定の決定並びに変更及び各専門部細則の承認。

四 更正予算及び暫定予算の決定及び臨時徴収金の決定。

五 一千万円以上五千万円未満の財産の取得及び処分に関すること。

               六 各種協定の締結。

               七 闘争組織の編成並びに解体に関すること。

               八 懲罰並びに慰藉・救援に関すること。

九 役員選挙にあたっての定数及び専従役員の役職と人数の決定

十 加盟団体の議決機関構成員および派遣役員の承認。

               十一その他の緊急事項の処理。

第二十二条 中央執行委員会は執行機関で必要に応じて随時開く。但し三名以上の中央執行委員が要求したときには、中央執行委員長は三日以内に中央執行委員会を招集しなければならない。

第二十三条 中央執行委員会は中央執行委員長、中央執行副委員長、書記長、書記次長及び中央執行委員で構成し、議長は中央執行委員長があたる。

第二十四条 中央執行委員会の権限は次の通りである。

一 大会、中央委員会決定事項の執行に関すること。

     二 各種原案の企画作成に関すること。

三 各支部・単組代表者会議その他の各種会議の開催に関すること。

     四 各支部・単組の指導に関すること。

五 緊急事項の処理。但し、この場合直後の議決機関の承認を必要とする。

第二十五条 この組合は常務の執行処理のため、中央執行委員会内に書記局を設ける。

    2 書記局は規約第二十三条に定める中央執行委員会構成員のうち専従役員〈特別役員を除く〉で構成し、閉会中の中央執行委員会の権限を代行する。

    3 書記局運営についての規定は別に定める。

第二十六条 この組合の会議はすべて議決権をもつ構成員の過半数の出席で成立し、議決はすべて議決権を有する出席員の過半数の賛成を必要とする。但し、第十八条第二号及び第九号に関しては大会における直接無記名投票による代議員全員の過半数の賛成がなければならない。

第二十七条 この組合の会議はすべて中央執行委員長が招集し、特に定められている場合のほか議長はその都度きめる。

    2 会議運営についての規定は別に定める。

        第六章 役員

第二十八条 この組合に次の役員をおく。

      中央執行委員長    一名

           中央執行副委員長  若干名

           書記長        一名

           書記次長      若干名

           中央執行委員    若干名

      監事         五名

    2 中央執行委員会は選出された役員(監事を除く)の中から特別役員を指名することができる。

    3 特別役員は上部団体および加盟の共闘組織の業務に専ら従事するものとする。

第二十九条 中央執行委員長はこの組合を代表し、組合運営の最高責任者となる。

      中央執行副委員長は中央執行委員長を補佐し、中央執行委員長に事故あるときにはその代理となる。

第 三十 条 書記長は正副中央執行委員長を補佐し、書記局の責任者となり組合常務の執行をつかさどる。

      書記次長は書記長を補佐し、書記長に事故あるときにはその代理となる。

第三十一条 中央執行委員は組合業務を執行する。

第三十二条 監事は会計を監査する。

第三十三条 第二十八条に定める役員はすべての組合員が平等に参加する機会を有する直接無記名投票による組合員全員の過半数の賛成によって選出される。

    2 役員選出についての規定は別に定める。

        3 書記局を構成する専従役員は離籍専従役員をもって充てることができる。離籍専従役員についての規定は別に定める。

第三十四条 専従・非専従のすべての役員の任期は一年とする。役員は当該年度の四月一日に就任し、年度の末日をもって退任する。但し、再任を妨げない。

    2 役員の改選は原則として当該年度の二月におこなう。

    3 補欠役員の任期は前任者の残任期間とする。

第三十五条 この組合の役員は中央委員、大会代議員を兼ねられない。

第三十六条 この組合の役員の給与は別に定める役員給与規定によって支払う。

    2 離籍専従役員及び休職専従役員に対する補償についての規定は別に定める。

         第七章 会計

第三十七条 この組合の経費は組合費その他の収入をもってこれに充てる。

    2 会計についての規定は別に定める。

第三十八条 会計帳簿は公開し、会計報告は大会において承認された監事による監査証明書と共に年一回以上公表する。

第三十九条 会計年度は四月一日から翌年三月三十一日までとする。

第 四十 条 この組合の決算は年度会計事務終了後、二カ月以内に監事の監査を受けなければならない。

    2 会計監査についての規定は別に定める。

          第八章 統制・救援

第四十一条 この組合の役員、中央委員、組合員が次の事項に該当するとき、大会または中央委員会は懲罰並びに役員を召還することができる。

     一 この組合の規約に違反したとき。

     二 この組合の規律をみだしたとき。

     三 この組合の名誉及び利益を毀損したとき。

    2 前項各号の事実があるときはその情状により次の罰則を適用する。

          一 警告

          二 組合員権の制限または一時停止

          三 役員から解任

          四 除名

第四十二条 前条の適用に当たっては、統制委員会は確実公正な調査及び審理をおこなわなければならない。

    2 統制委員会についての規定は別に定める。

第四十三条 第四十一条の処分に不服なときは大会に申し出ることができる。

    2 大会は本人の弁明の機会を与え、統制委員会の決定に対して当否を判断し、最終の決定をおこなう。

    3 第四十一条第二項第三号は同条同項第二号及び第四号に必ず先立っておこなわなければならない。また同号は大会における直接無記名投票による代議員全員の過半数の賛成を得て成立する。

第四十四条 この組合の運動のために損害をこうむった組合員は慰藉、救援される。

    2 慰籍・救援についての規定は別に定める。

       第九章 規約の改廃

第四十五条 この規約の改廃は、すべての組合員が平等に参加する機会を有する直接無記名投票によって組合員全員の過半数の賛成がなければならない。

        第十章 解散及び清算

第四十六条 この組合の解散はすべての組合員が平等に参加する機会を有する直接無記名投票によって組合員全員の過半数の賛成がなければならない。

    2 前項についての発議は大会における直接無記名投票による代議員全員の三分の二以上の賛成によってのみおこなわれる。

第四十七条 組合解散による清算の手続きは大会の議決による。

        第十一章 附則

第四十八条 この規約は二〇二〇年十一月一日より発効する。

         経過規定

1 特別の事情があるものについては当分の間、準組合員として扱うことができる。準組合員については組合費その他の負 担金を減額することができる。準組合員としての認定は中央執行委員会がおこなう。

〈一九六九年五月十九日、第二十九回定期大会にて決定〉

2 規約第二十五条については、第四十七条の規定にかかわらず二〇〇六年四月一日発効とし、その間は従前の規定による。

〈二〇〇五年六月十二日、第七十四回定期大会にて決定〉

・一九六八年六月十七日第二十八回定期大会にて一部改正

・一九七〇年五月二十二日第三十一回定期大会にて一部改正

・一九七一年十一月二十一日第三十三回臨時大会にて一部改正

・一九七三年十月三十一日第三十八回臨時大会にて一部改正

・一九七四年七月二十七日第三十九回定期大会にて一部改正

・一九七五年十二月七日第四十一回臨時大会にて一部改正

・一九八〇年五月三十一日第四十六回定期大会にて一部改正

・一九八八年六月二十六日第五十五回定期大会にて一部改正

・一九九一年五月二十六日第五十九回定期大会にて一部改正

・一九九一年十二月十四日第六十回臨時大会にて一部改正

・一九九六年五月二十六日第六十五回定期大会にて一部改正

・一九九八年五月三十一日第六十七回定期大会にて一部改正

・二〇〇〇年五月二十八日第六十九回定期大会にて一部改正

・二〇〇一年五月二十七日第七十回定期大会にて一部改正

・二〇〇二年六月九日第七十一回定期大会にて一部改正  

・二〇〇三年六月八日第七十二回定期大会にて一部改正

・二〇〇五年六月十二日第七十四回定期大会にて一部改正

・二〇〇九年六月八日第七十八回定期大会にて一部改正

・二〇一五年六月六日第八十四回定期大会にて一部改正

・二〇二〇年十一月一日第八十九回定期大会にて一部改正

       大会代議員選出基準                                                     

〈一九七五年十二月七日第四十一回臨時大会にて制定〉

一、代議員数

     1 各支部毎に三名及び大会開催前々月の組合費納入人員二十名につき一名。

     2 特別分会一名。

二、選出方法

     1 代議員はいずれも大会の都度選出する。

     2 代議員はいずれも支部毎に組合員全員または議決機関における無記名投票によって選出する。

     3 代議員選挙にあたっては、すべての組合員が立候補権を有する。

     4 選挙は定数内自由連記とし、当選には議決権を有する構成員の過半数の得票を必要とする。

三、選挙結果の報告

      各支部は全代議員の選挙結果を大会前々日までに中央執行委員会に報告する。

四、資格認否

      資格審査委員会は支部からの報告にもとづき、代議員の資格を審査し、認否を決定する。

五、その他

     1 中央執行委員会の承認によって、専門部の代表を特別代議員とすることができる。特別代議員は発言権を有するが、議決権はもたない。特別代議員の定数は各専門部二名とする。

     2 代議員選出にあたっては可能な限り全ての単組代表を含むように努めなければならない。

                            ・一九七八年五月三十日第四十三回定期大会にて一部改正

・一九八八年六月二十六日第五十五回定期大会にて一部改正

・一九九一年十二月十四日第六十回臨時大会にて一部改正

・一九九八年五月三十一日第六十七回定期大会にて一部改正

・二〇〇三年六月八日第七十二回定期大会にて一部改正

・二〇〇九年六月八日第七十八回定期大会にて一部改正

埼教組加入申込書

預金口座振替依頼書・自動払込利用申込書

年齢早見表

職場ハンドブック…112問112答 発行日 2021年4月発行者 埼玉県教職員組合               さいたま市浦和区高砂3-12-24    埼玉教育会館5階    電話048-824-2511 ※本書の内容は、原則的に2021年2月末現在で記述されています。