Q46 賃金はどのようにして決まりますか

●1.春闘期(1月~4月)

春闘は、民間の職場では労働組合が経営者と交渉をして賃金・労働条件の改善をめざします。教職員組合を合む公務員の共闘組織は、地域の共同闘争課題として民間労働組合を支援するとともに、憲法改悪反対、増税反対、教育要求実現などの国民的課題と結合しながらとりくみます。教職員組合の分会(各学校単位)では、職場要求を掘り起こし校長に要求書を提出し交渉を実施します。本部・支部(=各教育事務所に対応)・単組(=各市町村教委に対応)は、自治体当局へ要求書を提出し交渉を実施します。

●2.人事院勧告

人事院は、春闘などで決定した民間産業の賃金水準と国家公務員の賃金水準を比較調査した結果にもとづいて、国家公務員の賃金を政府と国会に勧告します。通常は8月上旬になります。2006年度より民間との比較企業規模を100人以上から50人以上へと引き下げました。公務員賃金抑制のために比較企業規模を変更したのです。

●3.閣議決定と国会の給与法改正

人事院勧告をうけた政府は、これを勧告通りに実施するかどうかを協議したのち、給与法改正案を国会に提出し、国会で決定されれば、国家公務員の賃金が確定します。しかし、この給与法案はしばしば政府の反動法案とだきあわせにされたり、取り引きの材料とされているため、国会内外の強力な闘争が展開されます。また、1982年度の人勧実施見送りに見られるように、給与法改正を国会に提出しなかったり、勧告を大幅に値切った提案をするなどの事態もおこっています。

●4.人事委員会勧告

各都道府県および政令市の人事委員会は、閣議決定後国会での給与法改正と前後して、それぞれの民間産業の賃金水準と地方公務員(埼玉県の場合は県の職員)の給与水準を調査したうえで、地方公務員に対する賃金を知事と議会に勧告します。通常は10月中旬です。人事院と同様に比較企業規模を50人以上に引き下げました。

●5.各県および政令市における賃金確定闘争

各県および政令市の人事委員会勧告が出たあと、それぞれの都道府県および政令市における賃金確定闘争がおこなわれます。埼玉県の場合、埼玉県地方公務員労働組合共闘会議(埼教組、埼高教、県職)が統一して、県知事と教育長に対して要求書を提出し、団体交渉を実施します。労使で妥結した内容を給与条例として県議会に提案させ、議会の決定によって新しい賃金(給与条例)が最終的にきまります。通常12月議会です。政令市も同様です。

2020年度は、コロナウイルス感染拡大の影響から、上記に記した例年のスケジュール感は無く、さらに人事院勧告、人事委員会勧告がともに「一時金と人事」と「月例給のみ」という2段階でのこれまでに例の無い勧告でした。さらにその内容は、コロナ禍で奮闘している教職員・県職員の期待に応えない一時金0.05月分の引き下げ勧告でした。引き下げ勧告を強行する当局に対し、地公労は様々な労働条件改善を求め、一定程度の要求実現を獲得しました。

以上が、賃金が決定されるまでのあらましですが、埼教組はそれぞれの段階ごとに、中央行動、署名のとりくみ、人事委員会要請行動、当局との団体交渉等、要求を実現するための多様なたたかいをおこなっています。

Q47 給料表の種類とそれぞれ適用される職はどのようになっていますか

●公務員の賃金はそれぞれの職員の職務と責任に応じたものという「職務給の原則」が定められています。(地公法24条1項)これにより、学校職員の場合もそれぞれの職により適用される給料表と級が異なります。具体的に次のようになっています。(それぞれの級の職員は標準的な職員)

1.学校職員とは次の者をいう。(学校職員の給与に関する条例2条に定める学校職員で、校長、副校長、教頭、主幹教諭、教諭、養護教諭、栄養教諭、助教諭、養護助教諭、講師、栄養職員、事務職員)

教育職員給料表(一)級別基準職務表

四級三級特二級二級一級職務の級
高等学校等の校長の職務高等学校等の副校長又は教頭の職務高等学校等の主幹教諭の職務高等学校等の教諭、養護教諭又は栄養教諭の職務高等学校又は特別支援学校(以下この表において「高等学校等」という。)の助教諭、養護助教諭、講師、実習助手又は寄宿舎指導の職務基準となる職務

教育職員給料表(二)級別基準職務表

四級三級特二級二級一級職務の級
小学校等の校長の職務小学校等の副校長又は教頭の職務小学校等の主幹教諭の職務小学校等の教諭、養護教諭又は栄養教諭の職務小学校、中学校又は義務教育学校(以下この表において「小校等」という。)の助教諭、養護助教諭又は講師の職務基準となる職務

2.学校栄養職員(学校職員の給与に関する条例5条2項関係に定める学校職員)

学校栄養職給料表級別基準職務表

五級四級三級二級一級職務の級
小学校等の栄養主査の職務小学校等の栄養主任の職務高度の知識又は経験を必要とする小学校等栄養技師の職務相当高度の知識又は経験を必要とする小学校等栄養技師の職務小学校、中学校、義務教育学校又は特別支援学校(以下この表において「小校等」という。)の栄養技師の職務基準となる職務

3.事務職員(学校職員の給与に関する条例5条2項関係に定める学校職員)

事務職員給料表級別基準勤務表

六級五級四級三級二級一級職務の級
困難な業務を処理する小学校等の事務主幹の職務小学校等の事務主幹の職務小学校等の事務主査の職務小学校等の事務主任の職務相当高度の知識又は経験を必要とする小学校等の事務主事の職務小学校等の事務主事の職務基準となる職務

Q48 新たに学校職員となった者の初任給はどのように決まりますか

●新たに学校職員になった者の初任給は、それぞれの職によって適用される給料表と級が異なりますが、その級の号給も異なっています。

具体的には大別して①前歴(本採用の学校職員となる前に職についていた期間等)をもたずに就職した場合、②前歴をもって就職した場合の2つに区分して考えます。

〈前歴をもたずに就職した場合の初任給〉

  学校職員の初任給、昇格、昇給等の基準に関する規則10条に定める初任給基準表にもとづいて基本的には初任給が決定(格付)します。

●現在は次のようになっています。

1.教育職給料表(一)適用の学校職員

職種学歴免許初任給
教諭、養護教諭及び栄養教諭博士課程修了2級35号給
教諭、養護教諭及び栄養教諭博士課程修了
専門職学位課程修了
2級17号給
教諭、養護教諭及び栄養教諭大学卒2級5号給
教諭、養護教諭及び栄養教諭短大卒1級15号給
助教諭、養護助教諭、講師、実習助手及び寄宿舎指導員大学卒1級25号給
短大卒1級15号給
高校卒1級5号給

2.教育職給料表(二)適用の学校職員

職種学歴免許初任給
教諭、養護教諭及び栄養教諭博士課程修了2級47号給
博士課程修了専門職学位課程修了2級29号給
大学卒2級17号給
短大卒2級7号給
講師、助教諭及び養護助教諭大学卒1級25号給
短大卒1級15号給
高校卒1級5号給

3.学校栄養職員給料表適用の学校職員

職種学歴免許初任給
学校栄養職員大学卒2級5号給
短大卒1級15号給

4.事務職給料表適用の学校職員

試験学歴免許初任給
学校栄養職員上級 1級29号給
中級 1級19号給
初級 1級9号給
その他 高校卒1級5号給

〈前歴をもって就職した場合の初任給〉

就職前に民間企業等に勤めていた場合などは、その期間を一定の比率で換算して初任給が決定されます。

Q49 昇格と昇給はどう違うのですか また、教職員評価システムと昇給システムの関係について教えてください

●昇格とは職員の職務の級を同一給料表の上位の職務の級に変更することをいいます。したがって、それぞれの給料表ごとの級の標準的職務の職に昇任することをもって昇格することになります。

教育職給料表(二)の場合は、助教諭から教諭に昇任した場合2級に昇格します。教諭から主幹教諭に昇任して特2級、主幹教諭から教頭に昇任して3級、教頭から校長へ昇任して4級にそれぞれ昇格します。

昇給は現に受けている級の号給をそれより上位の同じ級の号給に格付することをいいます。

●2006年度より、昇給日は毎年4月1日としました。そして、監督する地位にある者による勤務成績の証明を得ておこなわれ、昇給の号給数は次のようになっています。(学校職員の初任給、昇格、昇給等の基準に関する規則28条)

1.勤務成績が特に良好である職員        一号該当

2.勤務成績が良好である職員  二号該当

3.前二号に掲げる職員以外の職員 次に掲げる職員のいずれに該当するかに応じ、次に定める昇給区分

 イ 勤務成績がやや良好でない職員 三号該当

 ロ 勤務成績が良好でない職員 四号該当

別表第十八 昇給号給数表(第二十八条関係)
昇給区分昇給の号給数
一号該当五以上一以上
二号該当
三号該当
四号該当

※この表に定める左の昇給の号給数は条例第六条第七項の規定の適用を受ける職員以外の職員に、右の昇給の号給数は同項の規定を受ける職員に適用されています。

 次のような場合は、上記に係らず当該各号に定める昇給区分により決定されます。

 1.教育委員会の定める事由以外の事由によって基準期間の6分の1に相当する期間の日数以上の日数を勤務していない職員・・・三号該当

 2.教育委員会の定める事由以外の事由によって基準期間の2分の1に相当する期間の日数以上の日数を勤務していない職員・・・四号該当

●2007年度埼教連の「成果主義的差別賃金反対」団体交渉は、人事評価結果「D」の場合の昇給の扱いが大きな課題でした。交渉を重ねた結果、「D」評価者を昇給なしで取り扱うことが著しく不適当であると認められる場合は、4号昇給するとしました。「D」評価以外の職員の昇給の取り扱いは、引き続き従来通りとしました。

●2015年度埼教連の「成果主義的査定賃金の導入反対」団体交渉では、地公法が改正されたことを理由に、人事評価結果に基づく「新たな昇給システム」導入の当局提案がなされました。しかし、組合員の強い団結により、成果主義的な格差を極力つけさせない制度設計とするために重要な14の原則を確認させました。

確認原則1 これまでの人事評価に関わる原則を堅持した運用を行なう。確認原則2 人事評価の目的は「賃金に格差をつけるために行うもの」ではなく、「学校の教育力を高める」ために行うものである。確認原則3 新たな昇給システムは「短期」で「個人」の成果と報酬を明確に連動させた成果主義的な格差を極力つけるものではない点に十分考慮した制度設計とする。確認原則4 校長は、教職員が意欲を持って学校運営に参画し、競争主義に陥らないよう配慮することが必要である。そのため、教職員が評価・昇給システムを過度に意識することなく、いままで以上に共通理解を深めながらチームワークづくりを推進し、学校の教育力を最大限発揮できる職場づくりに努めさせることが重要である。確認原則5 チームワークづくりは、教職員の自発性を基礎とし、協働性を創造するための継続的な努力が求められるものである。従って、チームワークづくりに大きな格差をつける評価は困難であり、チームワーク行動評価は、通常の水準で勤務が期待通りに行われていれば「高い評価」となるよう制度設計する。確認原則6 新たな昇給システムの運用に当たって教職員の専門性を高める生徒指導経験の蓄積や多様な校務経験など教職経験を重視し、長期的な評価の観点も取り入れ、単年度評価ではなく、毎年度の評価を積み上げることで成果主義的な格差が極力付かないよう制度設計する。確認原則7 教職員の協働性、チームワークづくりを踏まえ、チームワーク行動評価とこれまでの総合評価を組み合わせることにより、現行の「特別昇給(※1)」14号分を踏まえる制度設計とする。確認原則8 教職員が、その専門性を高めていくためには、日常的に自らその教育活動等を振り返り、自己評価を深めていく事が大切であり、教職員評価において自己評価は本質的なもので、自己評価を基本とすることが重要である。評価者研修については、埼教連と綿密に話し合いながら、確実かつ適切に行なわれるよう改善にとりくむ。確認原則9 人事評価システム、新たな昇給システムにおいて透明性を確保し、教職員自身が昇給の仕組みについて理解できる制度設計とする。確認原則10 青年教職員については、初年から10年程度の期間、処遇改善について極力格差をつけない運用とする。確認原則11 勤勉手当の成績率の運用については、全教職員からの一律引き下げを行わない運用とする。確認原則12 55歳超教職員の事実上の「昇給停止」については、新たな昇給システムの運用の中で何らかの緩和措置を検討する。確認原則13 評価Dの取り扱いは、2007年12月25日の埼教連交渉回答及び最終確認事項と変わらないものとする。確認原則14 人事評価システム、新たな昇給システムの制度設計について、今回の交渉で確認した原則にもとづいて、埼教連と引き続き交渉する。

※1 2015年まで「特別昇給」として毎年当局と組合との間で確認をしていました。一般的には、教員は25歳、36歳、42歳、50歳、54歳の2号加算と32歳の4号加算、事務職・栄養職員は勤続6年、35歳、39歳、50歳、54歳で2号加算の加算となっていました。(この全ての昇給分と合計すると14号給分)

●2020年度埼教連の「人事評価システム及び再任用職員の処遇改善に関する二次要求書」にもとづく団体交渉では、2020年度より制度運用が始まった会計年度任用職員への人事評価の実施は行わないよう、強く求めました。県教委は2020年度の地公法改正に伴い、会計年度任用職員は一般職になったことから、地公法上人事評価の対象者となったことを理由に人事評価を実施する姿勢を崩しませんでしたが、これまでの埼教連交渉での確認原則にもあるように、埼玉県における学校職員の人事評価システムは教育活動の特性から単年度勤務の職員への人事評価は想定したものではないことや学校現場の教育活動及び学校運営の実態を踏まえたものではないことから、2度にわたる交渉の末、会計年度任用職員の人事評価実施要領については、新たに定め運用することと、自己評価シート等については次のような回答を引き出しました。

被評価者は、求められる職務内容に対して自己評価シートを用いて自己評価を行い、評価者は自己評価を基本として評価者評価を行います。評価の信頼性の確保のため、面談については、日常的なコミュニケーションの中で行うこととし、人事評価のために改めて面談の場を設定することは必要としません。非常勤講師の場合、人事評価に目的を限定した授業観察は要しませんが、評価者は日常的な職務行動の把握に努めるものとします。(特定の評価領域は設定しないこと)については、評価領域を設定せず、当該職務全般に対して評価を行うこととします。(「自己評価シート」については、簡略化に最大限配慮すること)については、自己評価シートについては、簡略化に最大限配慮したものとします。 2020.11.18埼教連「人事評価システム及び再任用職員の処遇改善に関する二次要求書」にもとづく交渉回答より

●臨時的任用職員、再任用短時間勤務職員及び任期付短時間任用職員の人事評価については、2018年度埼教連交渉において、本採用者とは異なる任用の性格、任期や勤務経験、勤務実態、各学校の実情を十分に踏まえた実施方法(いわゆる別枠運用)とすることを確認しています。しかし、2019年度に導入されたばかりである制度であることから、管理職の認識不足や制度そのものに関する周知が不足していることから、2020年度埼教連交渉において改めて周知徹底を求めました。

●2020年度埼教連交渉では、要求項目の中で埼教組としての「最優先しなければならない課題」として以下の項目を求め、次のような回答をさせました。

小学校・中学校について評価者研修会を充実させるために次のことを行うこと。①県としてリーダーシップを発揮し、確実かつ適切に評価者研修会を実施し、市町村間による格差をつくらず統一した運用となるよう研修会を実施すること。②すべての市町村の実施状況及びその内容を把握するとともに、適切な運用がなされるよう指導すること。③自己申告目標の数値化や書き直しを強要しないこと。
【小中学校人事課】 これまでも、管理職や市町村教育委員会対象の評価者研修において、すべての学校で人事評価が適切に運用されるよう助言をしてまいりました。 また、学校や市町村の運用状況を確認するため、評価者アンケートや市町村教育委員会への訪問を実施し、運用状況の把握に努めております。 人事評価は、教職員自らが行なう「自己評価」を基本としております。今後も書き直しなどの強要がないよう、周知してまいります。(以下省略) 2020.11.18埼教連「人事評価システム及び再任用職員の処遇改善に関する二次要求書」にもとづく交渉回答より

Q50 休職に入ると給料はどこまで保障されますか

●職員が公務上負傷し、若しくは疾病にかかり、又は通勤により負傷し、若しくは疾病にかかり、心身の故障のため、長期の休養を要すると判断され休職した場合に限り、その休職期間中、給与の全額が支給されます。

●私傷病によって休職した場合、その休職の期間が1年に達するまでは、これに給料、扶養手当、地域手当及び住宅手当のそれぞれの100分の80の割合で支給されます。また、この他に公立学校共済組合から傷病手当金の給付が受けられます。

2020年度版 埼玉県福利課「福利のしおり」より抜粋
エ 休業のとき(ア)傷病により給与の一部が支給されなくなったとき、又は無給となったとき(休職による給与の8割支給(傷病手当金の給付日額が給与日額を上回るとき))、90日を越える病気休暇による給与の5割支給、又は無給休職等) 組合員が私傷(公務又は通勤途上に起因する傷病は除く)のため勤務することができず、傷病手当金の給付日額を上回ることとなった場合、請求により次のものが支給されます。(以下省略)傷病手当金…1日に付き、標準報酬日額の平均額(注1)×2/3×給付対象日数(注2      支給期間は同一傷病につき、支給開始日から1年6ヶ月 (注1)「標準報酬日額の平均額」とは、次のとおりです。    支給開始日に属する月以前の直近の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均額×1/22(注2)「給付対象日数」とは、月の日数から週休日(土・日)を除いた日数です。なお、平日の祝日は支給対象になります。 傷病手当金附加金…金額は、上記傷病手当金と同額         傷病手当金支給終了後、さらに6ヶ月を限度として支給します。傷病手当金(県教職員互助会)…1か月20,000円(18ヶ月限度)、共済給付終了後1か月50,000円(12ヶ月限度)               無給休職の月について支給されます。

Q51 教職調整額とは何ですか 見直しの動きがあるのですか

●教育職給料表の適用をうける者で1級(助教諭、養護助教諭または講師)と2級(教諭、養護教諭、栄養教諭)、特2級(主幹教諭)である者に対して支給されるもので、下の算式で計算される額が毎月支給されます。(義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する条例3条)

給料月額×4/100

●教育調整額の「メリハリ」と称する差別的な支給を文科省は企図しています。その根拠として、2006年度実施した文科省は勤務実態調査を実施し、小中学校教員の平均は「一月当たり40時間の残業と20時間の持ち帰り仕事」が明らかとなりました。文科省はこれを事務の合理化と教員定数改善により、教職調整額を一時金や退職手当にはねかえる本俸からはずし差別支給化しようとしました。一律支給を改めて、休職や研修中の者は0~4%、標準10%、主任12%、主幹教諭14%という想定をしました。しかしこの考えは、義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(略称:給特法)のもとで限定された4項目のみの超過勤務命令であり、そのうえ臨時または緊急にやむを得ない場合のみの超過勤務という法制定の経緯とも噛み合わず、見直しの方向も示せずに継続的な検討状態にあります。

●2016年度の埼玉県教委の勤務状況調査によれば、勤務時間を除いた1ヶ月の在校時間が45時間を超える教諭の割合(土日を除く)は小学校78.5%、中学校81.2%、さらに80時間を超える教諭については、小学校23.4%、中学校31.6%と、給特法が施行された当時以上の長時間過密労働という状況あります。時間外勤務は限定4項目以外、教職員の自発的な活動とされています。

 国はこうした状況の本質的な解決からは背を向け、「一年単位の変形労働時間制」を導入することで、みなしの労働時間を削減し、あたかも教職員の勤務時間が縮減されたかのようなまったくの処方箋違いである施策を導入しようと目論んでいます。私たち教職員組合は全国の仲間と連帯することで、教職員の長時間過密労働を解消する本質的な施策である教職員定数の改善、業務負担軽減、20人以下学級を展望とした少人数学級の実現を求めているのです。

Q52 扶養手当はどのような場合に支給されますか

●扶養手当は扶養親族のある職員に対して支給されます。扶養親族とは他に生計の途がなく、主としてその職員の扶養を受けている者をさします。

具体的には次のようになっています。

扶養手当

扶養親族支給月額
配偶者13,000円
・子・孫・父母・祖父母・弟妹・2人までについては1人につき6,500円(職員に配偶者がない場合にあっては、1人目について11,000円、扶養親族でない配偶者を有する場合は1人目の額6,500円)・3人目以上の扶養親族については1人につき2,000円※子については満15歳に達する日以後の最初の4月1日から満22歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子がいる場合、1人につき5,000円加算

※2007年賃金確定交渉で、配偶者以外の扶養親族のかかる支給月額を500円引き上げ、6,000円を6,500円としました。

※上記以外の条件であっても、心身に著しい障害がある者(一般に終身労務につくことができない程度の者)は扶養親族の対象となります。

※扶養手当支給の開始は原則的には事実の生じる日の属する日の翌月(この日が月の初日であるときはその日の属する月)となり、終了はその事実が生じた日の属する月(この日が月の初日であるときはその日の属する月の前月)となります。

●扶養手当支給に関して問題になるのは、その親族が「他に生計の途がなく主としてその職員の扶養を受けている者」として認定されるかどうかという点や「扶養の事実の生じた日または支給の終了とする日」はいつの時点かという問題です。それらについては、新たな事実が発生した後すぐに、学校事務職員と  ていねいに相談をすることが必要です。

Q53 地域手当とは何ですか

●地域手当は、当該地域における民間の賃金水準等考慮して教育委員会規則で定める地域に定める地域に在勤する学校職員に支給するとして、2006年度より、調整手当に変わって導入されました。

地域手当の月額は、給料・扶養手当および管理職手当の月額の合計額に、地域手当の級地の区分に応じて割合を乗じて得た額です。埼玉県内においては2006年創設時に1級地は9%、2級地は7%、3級地は5%としました。

●地公労共闘会議(埼教組、埼高教、県職で構成)は、「同一労働同一賃金の原則」に照らして、県内で手当が支給地による差があることを改め同一支給の主張を続けました。賃金確定交渉を通じて、当局は2006年度、2007年度は全県一律5%支給としました。そして2006年度2月県議会で付  帯決議がなされ、「本県の実態や実情を十分に反映し、支給地の指定は県民の  納得できるものとして適切な取り扱いを求める」として、人事委員会へ再検討を要請しました。人事委員会は「県内を一つの地域としてとらえ地域による差を設けず一律の支給割合とする。支給割合は7%とし、2007年度は現行支給割合5%に0.5%を加え5.5%とする」と勧告し、その後の賃金確定交渉で勧告通りに実施させました。

●2008年度人事委員会は公民格差の解消として「地域手当を1%引き上げ5.5%から6.5%とする」と勧告しました。その後の賃金確定交渉で、勧告通りに実施させました。

●地域手当は2008年度以降も徐々にではあるものの引き上げられましたが、2020年度の4月より、埼玉県は国の圧力を受け、地域手当を8.3%(これ以前は10%)に引き下げ、給料と地域手当の配分を変更しました。しかし、私たちの粘り強いたたかいの結果、給料表の額に調整係数1.01571を乗じることでこれまでの給与水準を維持させました。

Q54管理職手当はどのようになっていますか

●管理または監督の地位にある学校職員の職にある者のうち、教育委員会規則で定める職員に支給されるものです。職によって支給割合が異なりますが、最高でも給料月額の25%相当額を超えてはならないとされています。(学校職員の給与に関する条例12条の6)

●管理職手当の支給額は以下のように定められています。(学校職員の管理職手当に関する規則3条)

教職給料表(二)
職務の級区分管理職手当額
4級校長2種73,500円
3級教頭4種53,000円
教職給料表(二)再任用職員の場合
職務の級区分管理職手当額
4級校長2種66,300円
3級教頭4種40,700円

※給料の支給方法に準じて支給されます。

※管理職手当が支給される者には、教職調整額、時間外勤務手当及び教員特殊業務手当は支給されません。

Q55 住居手当はどのような場合に支給されますか

●自ら居住するために住宅(借間を含む)を借り受け、月額16,000円を超える家賃(使用料を含む)を支払っている学校職員に支給されます。(学校職員の給与に関する条例第9条の5)

●住居手当の月額は次の区分に応じて、定められた額が支給されます。

 ①月額27,000円以下の家賃を支払っている場合

  →家賃の月額から16,000円を控除した金額

 ②月額27,000円を超える家賃を支払っている場合

  →家賃の月額から27,000円を控除した額の2分の1(その控除した額の2分の1が17,000円を超えるときは、17,000円)を11,000円に加算した額

●2019年度における人事委員会勧告において上記のように示され、地公労交渉においてこの改定により手当額が2,000円を超えて引き下がる職員については、1年間、引下げ額を2,000円として引き続き手当を支給させました。

●自宅に係わる住居手当は2009年度に国において廃止され、その後埼玉県も段階的に削減する経過措置を経て廃止されてしまいました。

Q56 通勤手当はどのような基準で支給されますか

●通勤手当については、通勤方法や距離などその条件により、次の3つにわけて考えます。(学校職員の給与に関する条例第10条)

1.交通機関等利用者

該当者 通勤のため交通機関又は有料の道路を利用することを常例として、その運賃又は料金を負担する学校職員。ただし、交通機関等を利用しないで徒歩で通勤する場合の距離が片道2km未満の者(交通機関を利用しなければ通勤が著しく困難な者を除く)を除く。

(2)支給額 通勤定期代相当額(職員の住居から勤務校に至る経路のうち一般に利用しうる最短の経路で最も低廉となる定期券の価額)。定期券の通用期間のうち、最も長いものに相当する期間。

経済的かつ合理的であると認められる場合は、回数券またはプリペイドカードを利用する。

2.自動車等使用者

該当者 通勤のため自動車等(自動車、原動機付自転車、その他交通用具、自転車及び教育委員会が特に承認するもの)を使用することを常例とする学校職員。ただし自動車等を利用しないで徒歩で通勤する場合の距離が片道2km未満の者(自動車等を利用しなければ通勤が著しく困難な者を除く)を除く。

(2)支給額 自動車等の使用距離の区分により次に記載した額。自動車等の使用距離が片道3㎞未満の学校職員は月額2,000円。距離1㎞を加えるごとにガソリン小売価格を基礎として定めた額。

※ガソリン小売価格は、2007年度まで1月の県内小売価格を基準としていましたが、近年のガソリン小売価格の乱高下 から、地公労共闘会議の要求にもとづいて、2008年度より前年度1年間の平均小売価格として4月1日より改定することとしました。

3.交通機関等と自動車等の併用者

該当者  通勤のため交通機関等を利用してその運賃等を負担し、かつ、自動車等を使用することを常例とする学校職員。ただし、交通機関等も自動車等も利用しないで徒歩で通勤する場合の距離は片道2km未満の者交通機関等や自動車等を利用しなければ通勤が著 しく困難な者を除く)を除く。

支給額 ①自動車等の使用距離の部分が片道 1.5km 以上の者及びその使用距離が片道1.5km 未満であるが自動車等を使用しなければ著しく通勤困難な者

前記1の「交通機関等利用者」の支給額と前記2の「自動車等使用者]の支給額の合計額

②自動車等の使用距離が片道1.5km未満で①に該当しない者のうち、交通機関等利用の部分の運賃等の額 2,000 円以上である者前記1の「交通機関等利用者」の支給額

③自動車等の使用距離が片道1.5km未満で①に該当しない者のうち、交通機関等利用の部分の運賃等の額が2,000 円未満である者

前記2の「自動車等使用者」の支給額

●遠距離、長時間通勤をする職員が、新幹線鉄道等を利用することにより、その通勤状況が緩和される場合は、その利用に要する額の一部が支給されます。ただし、一定の基準を満たしていることが必要であり、それは次のようになっています。

1.認定要件

新幹線、特別急行列車または急行列車(以下、新幹線等)の利用者

次の条件のすべてを満たしている場合

新幹線徐を利用しないで通勤した場合の片道の総通勤距離が 60km以上であること、又は新幹線の利用により通勤時間が30分以上短縮されること、通勤事情の改善がこれに相当するものと教育委員会が認めるもの。

高速自動車国道等の有料の道路の利用者

高速自動車国道等を利用しないで通勤した場合の片道の総通勤距離が60km以上であること、または高速自動車国道等を利用しないで通勤した場合の通勤事情の改善がこれに相当程度資するものと教育委員会が認めるもの。

2.支給額

新幹線等及び高速自動車国道等の利用に係わる特別料金等の額の2分の1に相当する額。ただし、月額2万円が上限となります。

Q57 特殊勤務手当とは何ですか

●特殊勤務手当は次のものあります。

1 多学年学級担当手当

2 兼務手当

3 実習等指導手当

4 教員特殊業務手当

5 教育業務連絡指導手当

6 夜間学級担当手当

●このうち、小・中学校教職員に直接関係する次の5つの手当について説明します。

1.多学年学級担当手当

県立の中学校又は市町村立の小学校、中学校若しくは義務教育学校の2以上の学年の児童又は生徒で編成されている学級を担当する主幹教諭、教諭、助教諭、講師で、当該学級における授業または指導に従事した場合に支給されます。(1日につき350円を超えない範囲)ただし、下記に該当する職員は除きます。

(1)給料の調差額を受けている者(特別支援学校の教育職員及び特別支援学級の担当による)

上記担当時間数がその者の担当授業時間数の2分の1に満たない者

上記担当時間数が1週間につき12時間に満たない者

2.兼務手当

次のような勤務を行った場合に支給されます。

該当者勤務内容手当額
市町村立の中学校又は義務教育学校の夜間その他特別な時間において授業を行う学級の勤務を本務とする職員以外市町村立の中学校等(中学校及び義務教育学校の後期課程をいう)の夜間学級における授業のための勤務1時間につき1,200円
市町村立の中学校等の夜間学級の勤務を本務とする職員市町村立の中学校等の夜間学校以外の学級における授業のための勤務1時間につき1,200円

3.教員特殊業務手当

教育職給料表(一)及び(二)の1級または2級である者が、下記の業務に従事した場合に支給されます。

学校の管理下において行う非常災害時等の緊急業務で次に掲げるもの

①非常災害時における児童もしくは生徒の保護又は緊急の防災もしくは復旧の業務(1日につき3,200円*激甚災害の場合は6,400円)

②児童又は生徒の負傷、疾病等に伴う救急の業務

③児童又は生徒に対する緊急の補導業務

修学旅行、林間・臨海学校等(学校が計画し実施するものに限る)において児童又は生徒を引率して行う指導業務で、泊を伴うもの

県教育委員会が定める対外運動競技等において児童又は生徒を引率して行う指導業務で、泊を伴うもの。週休日、学校職員の休日、又はこれに相当する日に行うもの

学校の管理下において行われる部活動(正規の教育課程としてクラブ活動に準ずる活動)における児童又は生徒に対する指導業務で、週休日、学校職員の休日、又はこれに相当する日に行うもの

4.教育業務連絡指導手当

いわゆる「主任手当」のことで、教育業務についての連絡調整及び指導助言に従事した日1日につき200円支給となっています。支給対象となる主任等は次のとおりです。

・教務主任、学年主任(3学級以上の学校)、生徒指導主任、保健主事、進路指導主事(6学級以上の中学校)

埼教組は、学校教育は全教職員の自主的で創造的な共同の営みで成り立っていることから、一部の主任にだけ手当を支給する「主任手当」に反対をしています。

5.夜間学級担当手当

 市町村立の中学校等で、夜間学級を置く学校の校長、副校長、教頭、主幹教諭、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭及び講師に対して、月額21,000円を超えない範囲で職務の級に応じ支給されます。

職務の級手当額
4級校長21,000円
3級副校長、教頭20,000円
特2級主幹教諭19,000円
2級教諭18,000円
1級講師14,000円

Q58 時間外勤務手当はどのようになっていますか

●教員は教職調整額の支給はありますが、労働基準法の時間外労働割増賃金の規定(労基法37条)は適用除外であり、文部科学省の勤務実態調査に長時間労働が認められる現状であっても、時間外勤務手当はありません。

一方、学校事務職員と学校栄養職員は教職調整額の支給はありませんが、時間外勤務手当が支給されます。

(学校職員の給与に関する条例10条の4) (職員の給与に関する条例14条)

●時間外勤務手当対象の事務職員および栄養職員は、法定の労働時間を越えて労働させる場合又は休日に労働させる場合には、労働基準法第36条第1項の規定に基づき、あらかじめ時間外労働及び休日労働に関する協定(いわゆる「36(さぶろく)協定」)を書面で締結し、人事委員会等に届け出ることが必要になります。校長又は職場長と労働者の間で結びます。

 2019年4月1日より、働き方改革関連法により時間外労働の上限を月45時間、年360時間を原則としました。

Q59 一時金(期末手当、勤勉手当)はどのように計算されますか

●期末・勤勉手当はいわゆるボーナスに相当する手当であり、その支給額は支給対象者の在職期間・勤務期間に応じて異なります。

1.支給対象職員

(1)期末手当

①6月1日および12月1日(以下「基準日」)に在職する職員。

※「基準日」現在において「無給休職者」「刑事休職者」「停職者]「専従休職者」「育児休暇を取得している職員のうち、基準日以前6ヶ月以内の期間に勤務した期間がない者」「無給派遣職員」「無給公益的法人等派遣職員」「大学院就学休業職員」「自己啓発等休業職員」「配偶者同行休業職員」のいずれかに該当する者には支給されません。

②「基準日」前1か月以内に退職、失職または死亡した職員。

※この場合でも上記の除外要件に該当する場合は支給されません。また、退職または失職後から「基準日」までの間に県費支弁の常勤職員になったり、引き続き国または他の地方公共団体の職員になった場合は支給されません。

③上記①②にかかわらず、次に該当するものは支給されません。

・「基準日」から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの間に地公法29条1項の規定による懲戒処分を受けた者

・「基準日」から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの回に地公法28条4項の規定により失職(同法 16条一号に該当した場合を除く)した者

・「基準日」前1か月以内または「基準日」から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの間に離職した者で、その離職した日から、当該支給日の前日までの間に禁錮以上の刑に処せられた者

・起訴休職等によって給与の一時差し止め処分を受けた者で、その者の在職期間中の行為に係る刑事事件が禁錮以上の刑に処せられた者

(2)勤勉手当

①6月1日および 12 月1日(以下「基準日」)に在職する職員。

※「基準日」現在において「休職者(公務上または通勤による傷病に係る休職並びに教育職員および公立学校の事務職員の結核性疾患による休職を除く)」「停職者]「専従休職者」「育児休暇を取得している職員のうち、基準日以前6ヶ月以内の期間に勤務した期間がない者」「無給派遣職員」「無給公益的法人等派遣職員」「大学院就学休業職員」「自己啓発等休業職員」「配偶者同行休業職員」のいずれかに該当する者は支給されません。

  ②「基準日」前1か月以内に退職、失職または死亡した者

※この場合でも上記の除外要件に該当する場合は支給されません。また、退職または失職後から「基準日」までの間に県費支弁の常勤職員になったり、引き続き国または地方公共団体の職員になった場合は支給されません。

③上記①②にかかわらず、次に該当する者は支給されません。

・「基準日]から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの間に地公法 29 条1項の規定による懲戒処分を受けた者

・「基準日」から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの間に地公法 28 条4項の規定により失職(同法 16 条1号に該当した場合を除く)した者

・「基準日」前1か月以内または「基準日」から、当該「基準日」に対応する支給日の前日までの間に離職した者で、その離職した日から、当該支給日の前日までの間に禁錮以上の刑に処せられた者

・起訴休職等によって給与の一時差し止め処分を受けた者で、その者の在職期間中の行為に係る刑事事件が禁錮以上の刑に処せられた者

2.支給額

①実務上は期末手当も勤勉手当も次の算式で求めます。

給料の月額(教職調整額含む)+扶養手当の額…①
(給料の月額+扶養手当の額)×5/00  …②(端数切捨)
(給料の月額+給料の月額×5/100)×(加算割合)…③(端散切捨)
(①+②+③)×(支給割合)×(期間率)=□(端散切捨)

②支給割合は次のとおりです。(2021年以降)

6月期期末手当1.275勤勉手当0.95支給計2.225月
12月期期末手当1.275勤勉手当0.95支給計2.225月

※懲戒処分を受けた場合、その直後の勤勉手当について減給されます。

※2020年度地公労共闘会議(埼教組、埼高教、県職で構成)による賃金確定交渉では、コロナウイルス感染拡大の影響で人事院勧告、人事委員会勧告ともに一時金と月例給に関する勧告を2回に分けて勧告し、そうした情勢の中でのたたかいでした。生計費原則を無視し、機械的な公民格差のみをもって県当局は一時金について0.05月分の引下げを強行しましたが、地公労は労働条件において様々な前進を実現しました。

※2020年度の埼教連交渉においても、再任用フルタイムの人事評価結果の下位区分は運用せず、勤勉手当への反映は行わないことを確認し、以下の回答を引き出しました。

【県立学校人事課】
  再任用フルタイム勤務職員については、これまで同様に勤勉手当の成績率への評価結果の反映を下位反映のみ行ってまいりたいと存じます。しかしながら、評価の運用に当たっては、職務行動に努力・改善すべき点があり、評価C、Dとなる可能性のある職員については、改善すべき点が解消され、評価C、Dとならないように十分な指導・助言を行うことが肝要であり、研修会等で周知してまいります。


 2020.11.12 埼教連「人事評価システム・再任用職員の処遇改善に関する要求書」に基づく交渉回答

③加算割合は次のとおりです。

教育職給料表(一)(二)

4級加算割合20%校長 教育委員会が別に定める者
4級加算割合15%校長
3級加算割合15%教頭 教育委員会が別に定める者
3級加算割合10%教頭
特2級加算割合10%主幹教諭
2級加算割合10%教育委員会が別に定める者
2級加算割合5%教諭

事務職給料表

6級加算割合10%
5級加算割合10%
4級加算割合5%  教育委員会が別に定める者
3級加算割合5%  教育委員会が別に定める者

学校栄養職給料表

5級加算割合10% 教育委員会が別に定める者
5級加算割合5%  上記以外
4級加算割合5% 

  一般職の任期付職員の採用等に関する条例第四条第一項の給料表

5号給以上加算割合20%
4号給加算割合15%
3号給加算割合15%
2号給加算割合10%
1号給加算割合10%

※経験年数については病気休職、育児休業など全て含めます。休職等にともなうマイナス調整はありません。

※前歴をもって入職した者は前歴換算基準にもとづいてその分を算入します。

 ④期間率は基準日以前6箇月以内の期間における学校職員の勤務期間の区分に応じて次のように定める

 期末・勤勉手当の期間率

 〈期末手当〉

在籍期間在籍期間
6月12月
100/1003月6月
80/1002月15日以上3月未満5月以上6月未満
60/1001月15日以上2月15日未満3月以上5月未満
30/1001月15日未満3月未満

 〈勤勉手当〉

期間率勤務期間
95/1005月15日以上~6月未満
90/1005月以上~5月14日未満
80/1004月15日以上~5月未満
70/1004月以上~4月15日未満
60/1003月15日以上~4月未満
50/1003月以上~3月15日未満
40/1002月15日以上~3月未満
30/1002月以上~2月15日未満
20/1001月15日以上~2月未満
15/1001月以上~1月15日未満
10/10015日以上~1月未満
5/10015日未満

Q60 義務教育等教員特別手当はどのようになっていますか

●学校職員の給与に関する条例12条の9第1項は、義務教育諸学校(学校教育法に規定する小学校、中学校、義務教育学校又は特別支援学校の小学部若しくは中学部)に勤務する教育職員に義務教育等教員特別手当を支給すると定めています。

また、同条3項では、学校教育法に規定する高等学校、又は特別支援学校の高等部若しくは幼稚園部に勤務する教育職員については、1項に規定する教育職員との権衡上必要と認められる範囲内で、同手当を支給することを定めています。そして、この権衡教育職員として、義務教育等教員特別手当に関する規則2条で支給することを明記しています。

●義務教育等教員特別手当の月額は条例では8,000円を超えない範囲内で職務の級及び号給の別に応じて教育委員会規則で定めるとしています。

 2006年に文科省と財務省との間で教員は一般行政職に比べ優遇されているとして、給与2.76%削減(全国430億円削減)を合意しました。教員給与削減計画を4年間で実施するとして、2008年度政府予算案で義務教育等教員特別手当を給与の3.8%から3.0%へ減額しました。

●2008年度賃金確定交渉で埼玉県は国から国庫補助金が入ってこなくなるという理由で政府予算のとおりに、義務特殊手当を削減しました。

Q61 育児休業手当金の額はどのように計算されますか

●地方公務員共済組合法(70条の2)は、育児休業を取得した共済組合員に対して育児休業手当会を支給すると定めています。

子の養育のため、育児休業(部分休業を除く。)を取得したとき、当該育児休業に係る子の1歳の誕生日の前日までについて育児休業手当金が一括請求により1か月ごとに支給されます。

 なお、子が1歳に達した日後においても育児休業が必要と認められるものとして総務省令で定める場合にあっては、延長給付として当該子が2歳に達するまで、育児休業手当が1か月ごとの請求に基づき支給されます。

 また、「パパ・ママ育休プラス」により、共済組合員の配偶者が育児休業に係る子の1歳の誕生日前日までに育児休業を取得していた場合、育児休業を取った共済組合員に対し、当該子の1歳2ヶ月の範囲で最大1年間育児休業手当金が支給されます。

●育児休業手当金は次の算式で求めます。

 標準報酬日額×50/100×日数

※育児休業を開始した日から、180日(土日を含む)に達するまでの期間は67/100となります。

※給付日額については上限があります。(上限10,322円、開始から180日に達するまでは13,832円、毎年8月に改定があります。)

※育児休業手当金支給期間のうち、土日を除いた日数分が支給されます。

なお、休業中の共済組合掛金と互助会掛金は免除されます。

Q62 退職手当の額はどのようにして決められますか

〈退職手当の受給者〉

●常勤の教職員が退職した場合、その者に支給されます。引き続き退職手当が通算される国または他の地方公共団体の公務員となった場合は支給されません。任期付短時間勤務職員は非常勤のため、退職手当の支給対象外となります。

〈退職手当の額〉

●退職日の給料の月額に、退職事由と勤続期間に応じた支給割合を乗じて得た額を「退職手当の基本額」とし、これに「退職手当の調整額」を加えて得た額が退職手当として支給されます。

 退職手当の基本額(※)+退職手当の調整額…③=退職手当

 ※退職日の給料の月額…①×支給割合…②

①退職日の給料の月額

●退職日の給料の月額=「(給与明細内記載の)給料の月額※」+(教員の場合)教職調整額」

 ※3級加算額(給料表3級該当者のみ)と特別支援学級担当の場合の給料の調整額を含んだ額

●給与明細の欄外に「(参考)給料表の切換えに伴う経過措置を含まない給料月額」の記載がある場合は、その金額が上記の式の「給料の月額」となります。

●勤続20年以上で、60歳定年職種の方については、45歳以上、63歳定年職種の方については48歳以上で勧奨により退職する場合、上記の「退職日の給料の月額」に、定年との年齢差1年につき給料の月額3%(定年の1年前に退職する場合は2%)を加算します。

年齢45(48)46(49)47(50)48(51)49(52)50(53)51(54)52(55)
加算率(%)4542393633302724
年齢53(56)54(57)55(58)56(59)57(60)58(61)59(62) 
加算率(%)21181512962 

※( )は63歳定年職種の場合の年齢

②支給割合

●退職事由(定年・勧奨・任期満了等)と勤続期間に応じて決まります。(別表参照)

 なお、勤続期間とは、職員となった月から退職した月までの引き続く在職期間をいい、次の計算方法により求めます。

 (1)1年未満の月数の取扱い

   ・原則、在職期間が1年以上ある場合の1年未満の月数は切り捨てます。

     例:35年10月→35年

   ・在職期間が6月以上1年未満の場合は1年として計算します。

 (2)休職等期間の除算

   ・在職期間中、休職(公務傷病による休職は除く)、停職等の期間がある場合、原則その期間の1/2を在職期間から除算します。

     例:30年1月のうち、休職期間が8月ある場合

       30年1月-(8月×1/2)=29年9月→29年

   ・育児短時間勤務の期間がある場合、その全期間の1/3を除算します。

   ・通常の育児休業の期間がある場合、子が1歳に達した日に属する月までの期間についてはその期間の1/3、それ以外の期間については1/2を除算します。

   ・組合専従の休職期間については、全期間を除算します。

③退職手当の調整額

●在職期間中の職務の級等に応じて決まります。具体的には、1996年4月1日から退職日までの在職期間について、その期間の各月ごとに、退職者がどの職務の級等にあったかによって、下記の表の「職員の区分」とそれに対応する「調整月額」を割り振り、その後で各月の「調整月額」の高いほうから60月分を合計します。

●勤続期間4年以下の場合は計算した額の1/2に相当する額を退職手当の調整額とします。また、自己都合退職で勤続10年以上24年以下の退職者の場合も計算した額の1/2に相当する額を退職手当の調整額とします。自己都合退職で勤続期間が9年以下の退職者の場合、退職手当の調整額は支給されません。

Q63 「成績主義賃金」について説明してください

●1993年「富士通」が最初にこの制度を導入したが、2004年に社長自らが実質的な破綻宣言を出しました。2006年8月には、経済産業省から「人材マネジメントに関する研究会」報告が出されました。報告よると、成果主義賃金システムを導入した企業では、

①多くの従業員のモチベーションが低下した

②組織のチーム力が低下した

と指摘をしました。行政の報告書が示さざるをえないように、成果主義賃金制度には大きな問題点が明らかです。主な問題点は次の通りです。

短期的評価の強調

すぐに成果が出る仕事だけが高く評価され、一部の目先の利く者を除いて多くの地道に縁の下で支える労働者の意欲をそいでいる問題。病気休職者の増大にも結びついています。

チームワークの軽視

職場の中で無理矢理にランク別に評価されて、賃金や昇任・昇格につながるとチームワークそのものが崩されていきます。

納得感、公平感の欠如

多様な労働内容や形態があるにもかかわらず、上司の評価に労働者は納得をして次の労働のモチベーションにつながるはずもなく、職場には不満が充満していきます。

《成果主義が生み出したものとその人間観》

●結局、成果主義は財界・経営者による人件費の抑制のために導入されたことが問題を生みます。「努力すれば報われる」と経営者は労働者をアメとムチで働くという人間観にたっていますが、本来、人間の労働とは自分と家族の生活、社会の発展と明日への希望のために働くものです。

《教育にもっともふさわしくない成果主義賃金制度》

●学校で働く教職員は、「自分のクラスの子どもだけが発達すれば」「自分の授業だけがうまくいけば」などと考える教職員はいません。学校に通うすべての子どもたちが健やかに成長することを考えて、全教職員で共同して教育活動にとりくんでいます。成果主義賃金制度は、教育の営みに冷水を浴びせるもので教育の崩壊につながります。民間企業ですでに破綻しているものを、共同性のより高い、子どもの教育という息長く尊厳のあるとりくみにもっともふさわしくない制度です。

●教育の成果は単年度で現れるものではありません。さらに教育は教職員相互の協力と協同の上で成り立つものでることから成果主義賃金がなじまないことは明白です。管理職の評価を気にするあまりに、管理職に媚びる、困難な課題の担当を避けたり挑戦しなくなる、自分の失敗を誰にも相談できず、隠蔽してしまうなどと、教職員間の関係性を崩しかねません。

●埼教組は、評価を行う管理職が教職員に対する主観的な思いを評価に反映されることも問題視し、2020年度の埼教連交渉にいても評価者研修においての指導を徹底するよう、県教委に対して求めました。