●憲法が保障する労働基本権

(1)労働基本権の保障

 教職員には、労働基本権が全面的に認められることは、日本国憲法が労働基本権を特段の留保もなく、広く国民に保障していることに鑑みれば、争いのないところです。労働基本法を保障した憲法28条は、国民の生存権を定めた憲法25条、国民の労働の権利を定めた憲法27条を前提に、使用者との関係で経済的劣位に立つ労働者が、自らの経済地位を向上させ、人間らしい、文化的な生活を営むことができるようにするために、以下の4つの権利を保障しています。

 ①団結権

  労働者が団結して労働組合を結成し、あるいは労働組合に加入する権利

 ②団体交渉権(労働協約締結権を含む)

  労働組合が、その組織する組合員の労働条件あるいは労働組合と使用者との労使関係(組合掲示板や組合事務所の使用、団体交渉の際のルールなど)について定める労働協約の締結を目的として使用者あるいはその団体と団体交渉を行う権利

 ③争議権

  労働組合が、団体交渉において労使双方に対立が生じた場合(労働争議)に、自らの主張の実現を求めて行なう争議行為の権利

 ④組合活動の権利

  労働組合が、組合員の経済的地位の向上その他目的を達成することを目的として行う諸活動のうち、団体交渉、争議行動を除いた活動をする権利

  (ア)日常的な組織運営のための活動(各種会議・集会、連絡、組合費の徴収など)

  (イ)組合員その他にたいする情報宣伝活動(ビラ・ニュース等の配布、掲示板の利用等)

  (ウ)闘争的活動(大量のビラ貼り、就業時間中のリボン・腕章等の着用、職場内外の抗議活動)

(2)子どもの教育を受ける権利を担保する労働基本権

 教職員は、子どもの教育を受ける権利(憲法26条)、父母の子どもに教育を受けさせる義務を実現する第一次的な主体であり、父母、広く国民の付託にこたえ、子どもの教育を受ける権利を負っています。教職員は、教育の荒廃の現実に立ち向かい、活力ある実践にとりくんでいかなければなりません。そのために、教職員が労働組合に結集して、教育政策・教育制度について積極的に発言し、使用者である当局と交渉あるいは協議をおこなうことは必要不可欠といえます。

(3)公務員労働者の労働基本権を剥奪する現行法制

〈現行法による制約〉

 憲法は教職員に労働基本権を保障していますが、わが国では、1948年以降、以下に見るように、公務員の労働基本権が法律により大きく制約されてきました。

 ①団結権・組合活動の権利

  教職員には団結権・組合活動の権利が認められています。ただし、当局は、職員団体として人事院(国家公務員の場合)、人事委員会(あるいは公平委員会、地方公務員の場合)に登録の申請をし、登録を受けた職員団体からの交渉の申し入れがあった場合にのみ、その申し入れに応ずべき地位にたつものとされています。(国家公務員法108条の2、5の第1項、地公法第52条、55条1項)

 ②団体交渉権・労働協約締結権

  団体交渉は原則として保障されていますが、労働協約締結権は認めていません。(国公法108条の5第2項、地公法55条2項)ただし、地方公務員の場合には、書面協定制度(地公法55条9項)が設けられています。

 ③争議団  教職員には争議権が認められていません。(国公法98条2項、地公法37条1項)争議行為を「そそのかし、あおる」行為については3年以下の懲役または100万円(地方公務員の場合は10万円)以下の罰金に処するとしています。